HRナレッジライン
カテゴリ一覧
なぜ伝わらない?タイプ別に攻略!「部下とのコミュニケーション」
公開日:2024.12.23
- 記事をシェアする

HRナレッジライン編集部が、管理職の皆さんのお悩みについて一緒に考える「編集部レポート “管理職は悩ましい”」シリーズ。管理職の皆さんの悩ましい問題に、専門家へのヒアリングなど交えながら解決のヒントを紐解きます。
今回は「コミュニケーション」についてです。部下との会話のなかで下記のように感じたことはありませんか?
「丁寧に伝えたつもりだけど、部下は腑に落ちていなさそう」
「こちらの意図が、どうも伝わっていない気がする…」
「もっと成長意欲を持ってほしいから励ましたのに、伝わらない」
実は、よい伝え方やアプローチは、部下のタイプによって異なります。部下の「タイプ」を知り、適したアプローチをすることで、意図したことが伝わり、スムーズなコミュニケーションができるようになります。
前回に続き、多くの管理職へのコーチングや研修を行っている専門家である高田直子氏にお話を伺い、円滑に業務や部下育成が進むコミュニケーションについて深掘りしてみました。
目次
部下育成におけるコミュニケーション課題と失敗例
働き方改革や新型コロナウィルス感染症の影響で非対面でのコミュニケーションが増え、近年ではパワハラやセクハラなどのハラスメントも重要視されています。ただでさえ難しい部下への関わり方やコミュニケーション方法ですが、近年はさらに難しく感じている方は多いのではないでしょうか。部下とのコミュニケ―ションが円滑に進められないと、業務も育成もうまくはいきません。では、「伝わるコミュニケーション」にするにはどうしたらよいでしょうか。
まず、部下は上司とのコミュニケーションについてどうのように思っているかみてみましょう。
パーソルホールディングス株式会社の「はたらくを考えてみる本2023 はたらく10万人大調査」によると、「職場の不満な点ランキング」で上司とのコミュニケーションに関する項目が上位に入っています。どうやら「うまくいっていない」「伝わらない」「伝わっていない」と思っているのは管理職側だけではなさそうです。やはり、コミュニケーションは大切なのです。

※出典|パーソルホールディングス株式会社 「はたらくを考えてみる本2023 はたらく10万人大調査」
では、実際に管理職がよくやってしまう部下とのコミュニケーションとはどんなケースがあるのでしょうか。代表として2つの例を紹介します。
- 同じコミュニケーション方法を貫き通してしまう
常に同じコミュニケーションで部下と接したり、昔と同じようなコミュニケーションを取っていることはありませんか?人はそれぞれ考え方が異なるだけでなく、物事に対する理解のプロセスや表現方法も異なり、時代とともに変化していきます。相手や状況に合わせたコミュニケーションが必要です。 - 細かく指示してしまう
「まずは○○して、次は△△して…」と部下に対して一から指示してしまうことはないでしょうか?新入社員や異動したばかりの社員であれば、手取り足取り教える「ティーチング」の方法は有効ですが、中堅層のメンバーや年上部下に対しては「コーチング」の観点であまり有効ではありません。細かく指示することで、部下は上司に依存し部下の成長機会やモチベーションを損ねる可能性があるからです。
いかがでしょうか。ご自身で思い浮かぶことはありますか。
コーチングの「タイプ分け診断」とは
どうやら管理職も部下も「うまくいっていない」と思っている「コミュニケーション」ですが、育成やマネジメントにおいてコミュニケーションは重要課題であり、部下のモチベーションにも関係することもわかりました。信頼関係を築きながら「伝わる」コミュニケーションにする必要があります。
では、どうしたら「伝わる」コミュニケーションができるでしょうか。
円滑に関係性を築くには、相手のタイプ別にアプローチ方法を変える「タイプ分け診断」という方法があるので、本記事にてご紹介します。
タイプ分け診断とはコミュニケーションの傾向を分類した指標です。株式会社コーチ・エイが開発した「感情表出タイプ」「自己主張タイプ」をベースに4つの分類にタイプ分けしたもので、コーチングで用いられる指標です。
- コントローラー:行動的で物事を自分で推進していくリーダータイプ
- プロモーター:独創的で人と活気あることを行うことがすきなタイプ
- サポーター:他人を支援していくことにやりがいを感じるタイプ
- アナライザー:多くの情報から、分析や計画して物事を進めていくタイプ

※引用:株式会社コーチ・エィ 「【図解】「タイプ分け™」とは 〜あなたはどのタイプ?タイプ分けで上手くいくコミュニケーション」
タイプ分け診断の4つの特徴
4つのタイプの特徴とコミュニケーション方法についてご紹介していきます。
コントローラー
コントローラーは、解決策を明確にして推進したいタイプです。スピード感を重視し、自分自身で判断し行動を好むため、他人から指図されたり自分を支配しようとする人に対して反発します。
コミュニケーションのポイント
- 単刀直入に伝える
- なにか仕事を任せる際は、全面的に任せる
- 上から目線の褒め言葉は使わない
プロモーター
プロモーターは、独創的でアイディアを大切するタイプです。直観的で行動的なため、自由度が低いとモチベーションが下がります。
コミュニケーションのポイント
- オープンクエスチョンで自由に話をさせる
- 独創性が発揮できる自由な環境を与える
- プロモーターの持つ価値観を大切にし、傾聴する
サポーター
サポーターは、他人の期待に応えようとし対立を避けるタイプです。自分を後回しにしても他人を優先する傾向があり、依頼に対して「YES」と言いがちです。無理していないか注意することが大切です。
コミュニケーションのポイント
- 寄り添うような労いの言葉や感謝の気持ちを伝える
- なにか依頼するときは無理がないか確認する
- 失敗に対するフィートバックをするときは先に話を聞くなど丁寧な対応する
アナライザー
アナライザーは分析や戦略を立てて物事を進めたい理論派タイプです。正しさを重視するため漠然として抽象的な依頼は苦手です。物事を取り組むときは事前準備の時間を設けることを意識しましょう。
コミュニケーションのポイント
- 質問は具体的に答えやすいクローズクエスチョンにする
- 質問の回答は急かさず待つ(熟考してから答えるため)
- なにか依頼するときは、依頼の根拠を伝える


タイプ分け診断の留意点
タイプ分け診断を活用していくうえで留意点について説明していきます。
優劣をつけるものではない
「コントローラーだから優れている」などタイプに優劣はありません。あくまでもコミュニケーションの1つの切り口として、相手を理解するツールです。自己理解、他己理解のツールとして活用していきましょう。
100%鵜呑みにしない
100%アナライザーの人もいれば、2つのタイプを合わせてもつ人、状況や相手によって出るタイプが異なる人などさまざまです。単純にタイプを決めつけて鵜呑みにすることは避けましょう。


相手のタイプに適したコミュニケーションをとるためには
MBTI診断などさまざまな性格診断がある中で今回は「タイプ分け診断」について深堀りしてきました。留意点について念頭に入れながら、タイプ分け診断を活用し、相手の適性や得意なこと、コミュニケーション方法を知り、相手への理解を深めていきましょう。
より相手にタイプに適したアプローチを行うためには、管理職自身の無意識な癖や行動について理解すること、つまり自分自身のタイプ分け診断でのタイプがあり、自分自身も理解することが第一歩です。
忙しい管理職だからこそ、部下とのコミュニケーションの時間はとても貴重です。相手のタイプに合わせたコミュニケーション方法を模索していきましょう。
「管理職は悩ましい」シリーズのバックナンバーはこちら!
>>「部下育成」はどうしたらうまくいく?
【取材協力】
高田 直子 氏
and coach 代表 / 一財)生涯学習開発財団認定 マスターコーチ
- 記事をシェアする