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営業職の人手不足の現状と原因、解決方法を解説

公開日:2024.01.29

企業の課題

少子高齢化社会が進み日本の生産年齢人口が減少する中、営業職の人手不足は業界を問わず多くの企業が直面している課題の一つです。営業職は企業の売上や利益に直結する重要な業務であり、事業運営のためにも早急に対策を講じる必要があります。人手不足を解消する効果的な対策を立てるには、現状と原因を把握することが大切です。

今回は、営業職における人手不足の現状と原因を踏まえて解決方法を解説します。

営業職における人手不足の現状

人手不足の現状を知る上で重要な指数が「有効求人倍率」です。有効求人倍率とは有効求職者数に対する有効求人数の割合を示す指数で、倍率が1を上回ると求職者よりも求人数が多いことを表します。

厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和5年10月分)」において、「営業職業従事者」の有効求人倍率は2.14%でした。全体の有効求人倍率が1.19%だったことを踏まえると、営業職の現状は売り手市場であり、人手不足が進行していることが分かります。

人手不足が続けば対応できる業務量が限られてしまい、事業を縮小せざるを得ない企業が増えかねません。また、企業が限られた人材で利益を出し続けるために時間外労働や休日勤務を増やしてしまうと、社員のワーク・ライフ・バランスが崩れる恐れもあります。心身に負担がかかった状態ではパフォーマンスが下がるだけでなく、職場環境が悪化することで離職が進み、ますます人手不足になることが考えられるでしょう。

営業職が人手不足になる原因

営業職が人手不足になる主な原因は以下の3点です。それぞれの原因について解説します。

生産年齢人口の減少

営業職が人手不足になる大きな原因の一つが、生産年齢人口の減少です。総務省の「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」によると、年々進行する少子高齢化に伴い、労働に従事できる年齢とされる「生産年齢人口(15~64歳)」も、1995年を境に減少し続けています。

内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、2022年の生産年齢人口は7,421万人でした。予測では2032年に6,971万人と7,000万人を下回り、2070年には4,535万人まで減少するといわれています。これにより営業職はもとより、労働力全体の不足や国内需要の減少、経済規模の縮小など大きな問題が懸念されます。

離職の増加

日本における営業職の離職率は、一般的に高い傾向にあるといわれています。そのため多くの企業では、営業職の安定確保が難しい状況にあるかもしれません。高い離職率は、営業職の特性や業界の要求、個人のキャリア志向など多くの要因によると考えられます。

企業は営業職の離職率が高い原因を知り、人材確保と定着のため、労働環境や福利厚生の改善に取り組むことが求められています。

営業の離職率が高い原因については、こちらでさらに詳しくご説明しています。
>>営業職の離職率が高い原因と低下させる対策を解説

多様なはたらき方に伴う人材の流動化

従来の企業では、定年まではたらき続ける終身雇用が一般的でした。しかし、近年はライフスタイルが大きく変化し、はたらき方の多様化も顕著になっています。

例えば、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、テレワークや在宅勤務が広く浸透しました。また、育児や介護との並行やワーク・ライフ・バランスを保つために、時短勤務を選ぶケースも増えています。

こうした多様なはたらき方に伴い、より自分のライフスタイルに合う企業に転職する人も少なくありません。

営業職の人手不足を解消する方法

営業職の人手不足を解消するためには、以下に挙げる方法が効果的です。それぞれの方法について詳しく解説します。

教育体制を整える

営業職に憧れを持って入社する人材がいたとしても、思うような成果が出せなければモチベーションが下がり、離職する可能性があります。また、人手不足で一部社員の成果に依存している企業の場合、当該社員が退職した際に全体の業績に影響が出ることも考えられるでしょう。

人手不足を解消し、社員がスキルを存分に発揮するためには、教育体制の整備が重要です。しかし、計画性のない教育体制では効果的な人材育成につながりません。営業に関する体系的な流れを伝えるほか、日頃から定期的にフィードバックの機会を設けて、部署・組織全体の教育体制を整備することが大切です。

離職率を下げる

長時間労働や時間外労働の発生、数字目標の厳しさからストレスを感じやすい点も、離職率の高さにつながる要因の一つです。

営業職の人手不足を解消するには、離職率を下げるための対策を講じる必要があります。例えば、ワーク・ライフ・バランスを踏まえた労働時間の管理を徹底し、社員に過度な負担がかからないように留意することが大切です。

また、数字だけに重点を置いた評価制度を見直し、業務に取り組む姿勢や保持している知識、スキルなども踏まえて評価すると社員のモチベーション維持につながるでしょう。

その他、営業社員同士でコミュニケーションが取れる環境の構築も欠かせません。互いに課題や悩みを相談しやすい関係性を構築できれば、精神的な負担が軽減されて離職率低下が期待できます。

営業の離職率を下げる方法については、こちらで詳しくご説明しています。
>>営業職の離職率が高い原因と低下させる対策を解説

ツールを活用する

営業効率化に役立つツールの活用も、営業職の人手不足解消につながります。

例えば、MA(マーケティング・オートメーション)を活用すると、営業活動における情報管理やアクセス解析、キャンペーンの配信など、マーケティングにかかわるさまざまな業務の自動化が可能です。従来は手動で行うケースが一般的で、人為的ミスが発生しやすい点が問題でした。自動化によって人為的ミスを減らせるだけでなく、作業効率が上がることで社員の負担も軽減できます。

また、営業支援ツールであるSFA(セールス・フォース・オートメーション)も、営業職の人手不足に役立つツールです。案件管理や顧客管理に役立ち、進捗情報の可視化ができます。社員同士がリアルタイムでお互いの状況を把握できるため、トラブルや課題が発生しても迅速な対応が可能です。また、SFAによって蓄積された営業プロセスやノウハウは、営業スキルの向上にも活用できるでしょう。

そのほか、顧客管理に特化したCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)やデータ入力、レポート作成などの定型的な作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も、営業効率化に役立つツールです。

営業職の仕事は多岐にわたり、顧客対応以外の業務で労力を削がれるケースは少なくありません。これらのツールを活用することで生産性が上がれば、顧客対応に時間を割きやすくなります。

営業効率化に役立つツールについては、こちらで詳しくご説明しています。
>>営業効率化における課題と解決方法、役立つツールをご紹介

人材派遣を活用する

営業効率化に役立つツールの活用に加えて、人材派遣の活用も営業職の人手不足解消につながります。知識に長けた外部の人材に委託することで、高い成果を発揮しやすくなるほか、経験や実績が豊富な人材を自社で探す労力や教育コストの削減も可能です。

例えば、営業社員が育児や介護で休暇を取得した際に、営業職の人材派遣を活用すれば代替要員を確保できます。また、重要顧客以外への定期訪問を派遣スタッフに任せることで、社員の負荷軽減も期待できるでしょう。営業経験が豊富な派遣スタッフに既存顧客のフォローを託し、社員は新規顧客や重要顧客への提案営業に専念できる体制が整えば、取引拡大にもつながります。

パーソルテンプスタッフでは営業職の人材派遣に対応しています。営業職の人手不足にお悩みの方はぜひご相談ください。

その他、見積書や契約書といった書類作成やプレゼンテーションで活用する資料作成、顧客管理などの営業事務業務にも派遣スタッフを活用するとよいでしょう。営業職がスムーズに業務を進める上で事務作業の円滑化が求められますが、各社員が事務作業を兼務すると、本来注力したい業務に時間を割けなくなる恐れがあります。人材派遣を活用して営業事務を任せられれば、社員は営業活動やスキルアップに専念できるようになり、生産性やパフォーマンスの向上が期待できます。

パーソルテンプスタッフでは営業事務の人材派遣に対応しています。営業事務の人手不足にお悩みの方はぜひご相談ください。

アウトソーシングを活用する

社内業務の一部を外部委託するアウトソーシングの活用もおすすめです。人材派遣は自社の指示を受けて派遣スタッフが業務を担います。一方でアウトソーシングは、受託会社の責任者や管理者に業務の進め方や人員配置、育成などを一括して委託する方法です。

営業職に関するノウハウや最新の知識を持った受託会社に依頼すると、生産性や品質の向上が期待できます。また、状況に合わせて委託量を調整できるため、繁忙期のみ依頼することでコスト軽減も可能です。

営業アウトソーシングについては、こちらで詳しくご説明しています。
>>営業アウトソーシングとは?メリットや注意点をご紹介

パーソルテンプスタッフでは、営業業務に加えて受発注業務やシステム入力など営業事務のアウトソーシングにも対応しています。営業に関する業務をワンストップでお任せいただけるため、一貫したサポートが可能です。営業職のアウトソーシングを検討中の方はぜひご相談ください。

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人材派遣やアウトソーシングを活用して営業職の人手不足を解消した事例2選

営業職の人手不足を効率的に解消するには、他社の成功事例を把握することも大切です。ここでは、人材派遣やアウトソーシングの活用によって、営業職の人手不足を解消した事例を2つご紹介します。

経験豊富な派遣スタッフの活躍で、既存顧客と重要顧客のフォローを実現/食品メーカー 営業部門

ある食品メーカーの営業部門では、業績アップに向けて重要顧客の提案強化が必要となりました。しかし、既存顧客への対応も並行する必要があり、現行体制ではいずれも中途半端な対応になってしまうことが問題でした。

そこで、パーソルテンプスタッフでは担当顧客の振り分けを提案し、既存顧客の担当として営業経験が豊富な派遣スタッフをご紹介しました。商品陳列や販売企画の提案などを派遣スタッフが行うことで、既存顧客の満足度を保ったまま、注力するべき重要顧客への提案営業に専念できる体制の整備が実現しています。

営業職の人材派遣を活用したことにより、重要顧客だけでなく既存顧客に対するフォローを丁寧に行うことができ、双方の取引拡大に成功しました。

営業職の人材派遣の活用事例を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

業務の可視化と切り分けにより、業務量の増加と繁閑の差に対応/エプソン販売株式会社

複合機やプリンターなどの機器を販売するエプソン販売株式会社では、2014年からあらたなサービスとして、法人向けの複合機やプリンターの定額サービスをスタートしました。販売から契約までの業務を一括で担う窓口を開設し、社員と派遣スタッフで業務を行っていましたが、取り扱う商品パターンの増加に伴い、業務内容の複雑化や業務量の増加に加え繁忙期と閑散期で業務量に差が生まれ、効率的な人員配置も課題となっていました。

パーソルテンプスタッフのBPOを通して、まず実行したのが業務の可視化です。年度のはじめにご提出いただいた契約件数の予測をもとに見込みを立て、繁忙期に入る2~3ヶ月前からスタッフを増やし、「教育期間」として業務に慣れるための時間を設けました。次に、繁閑の差に対応するために立てた対策が業務の切り分けです。短時間でも覚えられる業務を切り分けることで、繁忙期に入社したスタッフでも対応可能な業務を用意。そのほか、時間帯によっても業務の種類は異なります。全員がフルタイムではたらくのではなく各業務に特化したスタッフがパートタイム勤務するなど、時間帯や時期によって調整することで、繁閑の差に柔軟に対応できるようになりました。

BPOの活用により業務が拡大したことや、初のサービス契約更新時期を迎えたことにより2019年に入ると業務が急増しましたが、パーソルテンプスタッフでは、こうした転機においてもお客さまと細やかな連携を取り、状況に適した業務の構築につなげています。

営業職を円滑に進めるためには、それに伴う事務業務が必要です。現状の業務を可視化し、事務業務を切り分けてアウトソーシング化すると、営業社員の負担が軽減され離職率の低下につながります。

営業職の人手不足の現状と解決策を理解する

少子高齢化社会に伴う生産人口の減少が懸念される中、人手不足を解消することは業界を問わず大きな課題となっています。特に営業職は売上や利益に直結する業務であり、早急に解決策を講じなければ事業運営に影響を及ぼすでしょう。

営業職の人手不足が起こる原因の一つとして、離職の増加や多様なはたらき方に伴う人材の流動化が挙げられます。課題を解決するには職場環境や教育体制を整備して、離職率の低下を図ることが大切です。また、営業効率化につながるツールや人材派遣、アウトソーシングの活用も人手不足の解消に役立ちます。まずは、現場の声に耳を傾けた上で自社の現状を把握し、状況に合った手段を検討するとよいでしょう。

パーソルテンプスタッフは人材派遣やBPOなど、貴社の課題に沿ったソリューションを提供しています。人手不足の解決に向けた最適な対策をご提案しますので、お困りのことやご相談がありましたらぜひお気軽にお問い合わせください。

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