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アウトソーシングとは?活用メリットや導入時のポイントをご紹介
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人材不足の解消や企業の生産性向上の実現において、アウトソーシング(業務委託)は有力な選択肢ですが、「はじめて利用するため導入イメージが持てない」「自社にアウトソーシングが最適なのか判断しづらい」といった悩みを抱える方もいるでしょう。
この記事では、アウトソーシングの導入を検討中の企業向けに、アウトソーシングの内容や種類、導入のメリットや注意点について分かりやすく解説します。 また、人事・経理・総務・営業・技術・物流・情報システムなど、部署別の依頼例、導入時のポイント、人材派遣との違いについてもご紹介します。
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アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、外部(アウト)からの調達(ソーシング)を意味しており、一般的には、自社の業務に必要な人的資源やサービスを契約によって調達し、生産性向上や競争力強化などを目指す経営手法を指します。
自社業務の一部を外部に委託すること
アウトソーシングは、企業の慢性的な人材不足や業務量の繁閑差に対応するための手段です。業務工数・コスト削減などを目的に定型的な業務の一部を外部企業に委託する方法と、組織構築や業務標準化を目的とした業務プロセスごと外部企業に委託する方法(プロセスアウトソーシング)があります。
3つの契約形態
アウトソーシングには、請負・委任・準委任の3種類の契約形態があり、委託する業務内容や納品物などによって契約形態が変わります。
| 契約種別 | アウトソーシング | ||
|---|---|---|---|
| 請負契約 | 委任契約 | 準委任契約 | |
| 法律 | 民法632条 | 民法643条 | 民法656条 |
| 契約の目的 | 仕事の完成 契約不適合責任がある |
法律行為となる事務処理 | 法律行為以外の業務の遂行 |
| 社員の雇用元 | 受託会社 | 受託会社 | 受託会社 |
| 指揮命令権 | 受託会社(発注側に直接の指揮命令なし) | 受託会社(発注側に直接の指揮命令なし) | 受託会社(発注側に直接の指揮命令なし) |
| 料金の対象 | 成果物 | 業務の遂行 | 業務の遂行 |
契約締結後は、受託会社に業務遂行を一任するため、自社が受託会社の労働者に直接指示を行ったり、雇用関係が発生したりすることはありません。労働者の雇用や業務の指揮命令は受託会社が行います。
請負契約と委任契約(準委任契約含む)は内容が似ており間違えやすいため、アウトソーシングを導入する際は、契約ごとの内容を理解しておきましょう。
また委託する業務内容によって、自社内で業務を遂行する「オンサイト運用」、委託先の社内で業務をする「オフサイト運用」と呼ばれる運用方法があります。
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業務プロセスごと外部委託する「プロセスアウトソーシング」
昨今のアウトソーシングでは、業務プロセスごと外部に委託する「プロセスアウトソーシング」が注目されています。なぜなら、近年の急速な社会変化に対応する人材育成や組織体制の構築が、一つの企業だけでは難しくなってきているからです。マニュアル作業や定型業務の委託だけでなく、業務プロセスごとのアウトソーシングを選択することで、こうした変化に対応する企業が増えています。
なお、プロセスアウトソーシングには業務ごとに名称や内容が異なります。ここでは、代表される4つのプロセスアウトソーシングについてご紹介します。
| BPO | ITO | KPO | SPO | |
|---|---|---|---|---|
| 名称 | ビジネス・プロセス・アウトソーシング | インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング | ナレッジ・プロセス・アウトソーシング | セールス・プロセス・アウトソーシング |
| 契約形態 | 請負・準委任 | |||
| 導入部門 | 間接部門 (総務・人事・経理・法務など) | IT部門 | 部門を問わない | 営業部門 |
| アウトソーシングする業務 | 間接部門の業務から業務プロセスまで | IT部門の業務から業務プロセスまで | データ収集・分析・加工など知的処理を必要とする業務 | 営業部門の業務から業務プロセスまで |
| 導入のメリット |
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事務業務を委託する「BPO」
BPOはBusiness Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略で、業務の一部を切り出し外部企業に発注することを指します。業務単体のアウトソーシングだけでなく、対象業務の前後のプロセスや周辺業務も含め、広範囲の業務をアウトソーシングします。
BPOは、総務や人事、経理などの間接部門への導入が一般的です。例えば経理業務では、仕訳処理、経費精算、給与計算などの業務における処理や管理のプロセスを切り出してアウトソーシングできます。
このようにBPOでは、業務の遂行と合わせて、業務プロセスの課題の洗い出し・改善・運用までを外部企業が担います。
BPOについての詳細は、以下のページもご覧ください。
>>BPOとは?アウトソーシングとの違いや導入メリット、業務の例を紹介
情報システム業務を委託する「ITO」
ITOとはInformation Technology Outsourcing(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)の略で、IT分野にかかわる業務を外部企業に発注することを指します。パソコン管理やヘルプデスクなどの情報システム部門の委託から、サーバー管理やセキュリティ運用などのシステム運用業務まで、IT系に関する業務を幅広く委託可能です。
IT技術の発展はめざましく、それらの専門的な知識や経験を自社内でまかなうにはコストも時間も必要となるため、ITOの導入は今後ますます加速すると考えられます。
知的処理業務を委託する「KPO」
KPOとはKnowledge Process Outsourcing(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)の略で、情報の収集や分析などの知的処理業務を外部企業に発注します。
KPOは、マニュアル化が難しい情報収集やデータ加工・分析などが主な業務です。具体的には、株式のリサーチや金融商品の取引手法、リスク管理手法の開発などがあります。
営業業務を委託する「SPO」
SPOとはSales Process Outsourcing(セールス・プロセス・アウトソーシング)の略で、営業プロセスを外部企業のリソースと分業・協業しながら業務を行うことです。
SPOでは、営業業務の遂行と併せて、営業部門や営業プロセスの課題の洗い出し・提案・改善までを外部企業が担います。営業成果を上げるだけではなく、営業プロセスの構築を検討している企業に活用されています。
アウトソーシングが注目されるようになった背景
アウトソーシング市場は拡大を続けており、今後も成長することが予想されます。その主な要因としては、労働人口の減少と働き方改革・多様化が挙げられます。
労働人口減少による人材不足
少子高齢化が進む日本では、15歳~64歳までの労働人口の減少によりさまざまな社会課題が発生しています。
※引用:パーソル総合研究所×中央大学労働市場の未来推計 2030
労働人口が減少すると人材の確保が難しくなるため、企業にとって大きなリスクとなります。業務量は増えるが人材は減っていく、リソース不足のため事業拡大や新規事業ができないなど、成長を続けるほど課題が増えていくことが想定されます。
こうした課題の解決のために、アウトソーシングは有効な手段の一つとなります。
業務の最適化や効率化の重要性の高まり
働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大によるテレワークの普及など、多様なはたらき方を実現するためには、業務の最適化や効率化、時代背景に合わせた組織づくりなどが必要となります。
しかし、人的リソースに対して仕事量が多いことや、体制を整えるためのツール導入やシステム構築が追いついていない企業も少なくないでしょう。働き方改革では、「残業はできないが業務量は減らない」という現場の声や、テレワークを普及させるにはペーパーレス化やセキュリティ対策など社内のツール・システム構築が必要という課題もあります。
そうした課題を解決し、自社内の業務量を軽減する目的でも、アウトソーシングが注目されています。
アウトソーシングを活用するメリット
続いて、アウトソーシングを活用することにはどのようなメリットがあるのかを具体的に解説します。
強化したい部門や業務へリソースを集中できる
アウトソーシングを活用すると、新規事業や強化すべき部門にリソースを集中させることができ、経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最適化できます。
変化が激しいこの時代に対応するためには、新規事業の立ち上げや新しい業務によって経営を強化する必要性が生じます。しかし、そのために一から社員を確保することは企業にとってリスクが大きく、体制を確保するうちに機会を損失してしまう恐れもあります。
また、成果や利益への直接的な影響が低い定型業務に追われて企画提案を考える時間が確保できないなど、強化したい業務に集中できないこともあるのではないでしょうか。
企業には、事業成長に必要な判断を迅速かつ柔軟に下すことが求められます。それらを実現するためにもアウトソーシングを活用することで、自社で強化したい部門や業務にリソースを集中することが可能になります。
品質の向上や安定的な運用につながる
専門性に特化した外部企業を活用できることも、アウトソーシングのメリットの一つです。
例えば顧客対応などは、専門の部署がない場合、対応がなかなか定型化できず、顧客満足度が低下するリスクもあります。その点、コールセンターやコンタクトセンターの運用を行っている専門の企業に委託すれば、社内リソースの確保ができると同時に質の高い顧客対応が実現し、顧客満足度の向上につながり、設備投資を自社で行う必要もなくなります。
このように、専門性の高い外部企業に業務を委託することで、外部企業の知見やノウハウを活用した品質の向上や安定的な業務の運用が実現します。
採用や教育業務の手間やコストを軽減できる
アウトソーシングを活用することで、社員の採用・教育にかかる手間やコストを軽減できます。
自社で採用活動をする場合には、募集から書類選考、面接、採用、さらに採用した社員に対する教育業務などが発生します。一方、アウトソーシングを利用すれば、外部企業が最適な運用体制や業務フローで業務を遂行してくれるため、採用業務や教育業務の手間や労力を抑えられます。
業務フローやオペレーションを改善できる
社員が日々の業務に追われていると、業務内容のマニュアル化や分かりづらい業務フローの改善、体制の構築などまで手が回らず、あと回しになってしまうことが想定されます。
アウトソーシングを導入すれば、委託する外部企業によっては業務調査から業務の可視化・マニュアル化まで行ってくれる場合があります。それにより煩雑だった業務フローやオペレーションが改善し、業務の標準化が実現します。
アウトソーシングを活用する際の注意点
多くのメリットがあるアウトソーシングですが、活用にあたっては気を付けたい注意点もあります。あらかじめ注意点を押さえて、よりスムーズにアウトソーシングを活用しましょう。
社内にノウハウが蓄積されづらい
アウトソーシングを導入すると自社の社員がその業務に携わる機会が減るため、ノウハウが蓄積されにくくなります。そのため、会社の方針転換やアウトソーシングを提供する外部企業の撤退などの際に自社で運用をしようと思っても、対応が難しくなる恐れがあります。
アウトソーシングは外部企業の高度な技術や長年培った知見などを吸収できる機会でもあるため、任せきりにするのではなく、定期的な運用報告を受ける中でノウハウを共有してもらうとよいでしょう。
情報漏えいの恐れがある
企業は、社員、取引先、顧客などの情報を数多く保有しています。アウトソーシングを委託する業務の内容によっては、これらの情報を外部企業に提供しなくてはいけないケースもあるでしょう。しかし、万が一これらの情報が流出した場合、大きな責任が問われることになります。
情報漏えいのリスクを払拭するためには、プライバシーマークやISO認証を取得しているなど、セキュリティ対策に力を入れている外部企業に依頼することが重要です。さらに、どういった情報をどのように扱うか、業務を委託する前にしっかりと取り決めておきましょう。
業務コントロールが難しい
業務を社外に委託すると、社内業務のように日々の進め方や優先順位を直接コントロールできません。また、委託する業務範囲や求める品質水準をしっかりと決めておかないと、期待していた成果物と違ったり品質が低かったりする恐れもあり、手戻りや遅延の原因となります。
以下のような項目を事前に文書で伝えておき、受託会社と合意しておけば、業務をコントロールしやすくなるでしょう。
- 業務範囲
- 対象外の定義(追加作業の扱いを含む)
- 成果物の受入基準と検収手順
- 品質基準とSLA(サービス水準合意)
- 変更管理の手順とエスカレーション経路
- 進捗報告の頻度と項目、責任分担など
コストが高くなる場合がある
アウトソーシングを活用すれば、採用や教育にかかる手間を抑えられますが、運用次第では総コストが上がる場合があります。例えば、業務の仕様変更や範囲拡大のたびに追加料金が発生する、緊急対応に割増料金が付く、専用ツールの利用料が別途必要になる、などといったケースです。
加えて、委託先を管理するための工数(定例会の運営、進捗確認、検収、品質確認、情報セキュリティ対応など)が増え、結果として人件費が膨らんでしまう恐れもあります。
これらを回避するためには、見積もりと実際の請求額を毎月見比べ、差があった場合にはその都度原因と対応を確認する運用体制にすることで、想定外の追加費用や管理コストの増加を抑えやすくなるでしょう。
アウトソーシングで依頼できる業務内容例
アウトソーシングを活用したいものの具体的にどのような業務を依頼すればよいか分からないという方向けに、アウトソーシングできる業務の例を部署別にまとめました。それぞれどのような課題があり、実際にどのような業務を依頼することが可能なのかをご紹介します。
人事部
人事部では毎月の定型作業が多く、法改正への対応も欠かせないため、労務管理の外部委託が適しています。
具体的には、勤怠データの集計、残業代や各種手当、税金・保険料の控除額の計算、給与明細の発行、年末調整の事務、社会保険・労働保険の各種手続きなどです。こうした作業を専門性のある受託会社に委ねれば、処理の正確性と運用の安定性を両立しやすくなるでしょう。
また採用活動では、事務作業を中心とした業務の委託が有効です。採用計画の立案サポート、募集要項の整備、応募者データの管理、書類選考の進行管理、連絡や日程調整、入社手続きの案内、必要書類の回収といった工程を外部委託化すれば、社内は面接や配置の判断などのコア業務に注力できます。
加えて教育・研修の分野も、社内に企画リソースが不足している場合や運営の手が足りない場合に活用しやすい領域です。研修プログラムの企画支援や教材作成の補助、受講者管理や当日の運営、受講履歴の管理まで一体で任せることで、計画的な人材育成につなげやすくなるでしょう。
経理部
経理部では、日次・週次のオペレーション業務を中心に、外部委託しやすい領域が多くあります。領収書や請求書、通帳の写しなどの資料をもとに会計ソフトへ仕訳データを入力する作業、従業員の経費精算、請求書の作成・発行や発送代行を含む入金管理、取引先から届いた請求書の取りまとめや支払い予定表の作成といった支払い管理などがあります。
また月次業務では、月次決算に向けた締め作業をはじめ、請求書の作成・発行の最終確認、従業員の給与データに関する経理処理、源泉所得税や社会保険料の預り金に関する計上・整理などを依頼できます。締め期日が集中する月末月初の負荷を外部委託で平準化できるため、社内は数値の分析や改善提案といったコア業務に時間を充てやすくなります。
総務部
総務部では、オフィスの物理的な環境維持に関する業務を外部委託できます。
具体的には、日常の清掃業務、空調や照明の点検・保守、来客の受付・案内や会議室への誘導、レイアウト変更の企画やパーテーション設置などの工事手配を任せることで、オフィスの環境維持に伴う細かな手配や突発的な対応から解放されます。
また、オフィスサービスの運営も委託対象です。郵便物や宅配便の受け取り・仕分け・各部署への配送、文房具・コピー用紙・名刺などの発注と在庫管理、補充といった日常業務を外部化すれば、総務は制度の設計や施策の推進といったコア業務に時間を充てられるようになるでしょう。
営業部
営業部では、見込み客(リード)獲得を目的としたインサイドセールスを外部委託できます。
具体的には、ターゲットリストに基づいて電話で商品やサービスを紹介して商談のアポイントを得るテレマーケティング、メール・電話・Web会議などを活用して非対面で見込み客を育成し関係を構築するインサイドセールス、問い合わせフォームなどを通じて入る顧客からの連絡への一次対応などを任せられます。専門の外部業者に委ねることで、見込み客との接点づくりからアポイント獲得までの流れを安定的に運用しやすくなります。
また、営業のサポートやアシスタント業務も委託の対象です。営業提案書や見積書、契約書の作成支援、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)へのデータ入力、名刺管理、リスト作成などの顧客データ管理を外部化すれば、営業部は商談や提案といった業務に集中できます。あらかじめ社内ルールやフォーマットを共有しておけば、資料の品質やデータの整合性を保ちながら日々の事務負担を抑えられるでしょう。
技術部
技術部では、分野に応じて委託しやすい領域が明確です。
情報技術の分野では、業務システムの設計からプログラミング、テストなどの開発工程に加え、既存システムのバグ修正や小規模改修、バージョンアップ対応、データバックアップ、ジョブ(バッチ処理)の監視・実行といった保守・運用までを一体で任せられます。開発と運用を切り分けて委託する、あるいは継続的に運用保守のみを委託することも可能です。
製造・開発の分野では、設計プロセスの一部を外部化できます。例えば、設計者の指示(ラフスケッチや赤入れ図)に基づき、AutoCADやSOLIDWORKSなどのCADソフトで2D図面や3Dモデルを作成・修正する定型的なCADオペレーション、解析(CAE)の実務を委託できます。
加えて、開発した製品や部品の耐久試験や性能評価、データ収集までを外部委託することで、評価工程の負荷を平準化し、社内は開発そのものや設計といったコア業務に集中しやすくなります。
物流部
物流部では、倉庫(物流センター)における入荷から出荷までの実務を外部委託できます。例えば、仕入れ先から届いた商品の受け入れと納品書との照合による品目・数量の確認、破損や汚損の有無を確かめる検品、倉庫内の最適なロケーションへの格納、在庫数の管理や棚卸、出荷に向けたピッキングと梱包などを一連で任せることが可能です。
また、輸送・配送についても委託対象です。工場から物流センターへの輸送、物流センター間の幹線輸送の手配・管理に加え、物流センターから最終顧客へ届けるための配送業者の手配・管理までを依頼することができます。
加えて、倉庫管理システムの運用や、伝票・帳票の発行と保管、照合作業といった事務処理も委託可能です。これにより、社内は物流戦略や在庫の見直しなどのコア業務に十分な時間を確保できるようになります。
情報システム部
情報システム部では、社内ヘルプデスクやパソコンサポートを外部委託できます。
従業員からの「パソコンが起動しない」「パスワードを失念した」「ソフトの使い方が分からない」といった問い合わせ対応に加え、新規入社・退職した従業員の端末交換や初期化、必要な業務ソフトのインストールと配布、アカウントの発行や権限付与、IT資産管理台帳の運用・保守、機器の棚卸やライセンス管理といった業務まで依頼が可能です。
また、インフラやセキュリティの運用・保守も委託の対象です。サーバーやネットワークの監視、データバックアップの実行と検証、障害の一次対応や定例メンテナンス、パッチ適用の計画と実施を外部で継続運用できます。併せて、SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)によるログ監視やインシデントの検知・エスカレーション、サーバーやパソコンの脆弱性診断と対応、マルウェア対策ソフトのポリシー運用なども委託が可能です。
日々のシステム監視や迅速な対応を外部に回すことで、トラブルを未然に防ぎつつ、情報漏えいリスクの低減も図りやすくなります。
アウトソーシングを利用すべき企業の特徴
ここまではアウトソーシングや契約形態の種類について解説してきました。アウトソーシングの概要については理解できたものの、貴社の業務改善にアウトソーシングが最適なのか、また導入後に上手に活用できるのかなど、より具体的に検討されたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、人事課題や運営課題を軸に、どのような悩みを持った企業がアウトソーシングを利用すべきなのかについて、4つの特徴にまとめてご紹介します。
標準化や効率化などの改善、社内の体制の整備が必要な企業
1つ目は、標準化や効率化などの改善、社内の体制の整備が必要な企業です。
社内体制の整備が追いついていない企業の場合、人によってやり方が異なり、効率が悪い、ミスが発生しやすい、担当者に問い合わせが集中してしまう、担当者がいないと業務が回らないなど、さまざまな課題があります。
このような状況に陥っている場合はアウトソーシングを活用し、課題の洗い出しや業務フロー、マニュアル化などで業務を標準化して、社内の体制整備を行うとよいでしょう。
採用、教育、管理の手間や工数を抑えたい企業
新たに社員を雇用する場合、募集から書類選考、面接、採用、教育を行う必要があります。しかし、採用から教育には手間や工数がかかるため、スムーズに業務を遂行できるまでには時間が必要です。
また、誰がそれを担当するのか、採用した社員が定着するかどうかなど、悩みが尽きません。人材派遣や紹介予定派遣、人材紹介であっても、教育と業務管理、マネジメントなどを行う必要があり、時間と労力がかかります。
これらの採用、教育、管理などの手間や労力の負担を軽減したい場合は、アウトソーシングを活用するとよいでしょう。
業務ごとに担当者の配置が難しい人材不足の企業
スタートアップ企業やベンチャー企業などの場合、少数精鋭でチームを動かしている場合が多く、1人の社員が総務や経理業務など複数の業務を行っていることが多いのではないでしょうか。
しかし、企業の規模が大きくなるにつれ、1人の社員が複数の業務に対応することが難しくなります。かといって業務を専任する担当者を置くことが企業の経営フェーズとして難しいことも少なくありません。このような場合は、社員の業務量を抑えるためにアウトソーシングの活用をおすすめします。
企業の成長過程でさまざまなリソースが不足している企業
事業の好調や新規事業展開などで成長過程にある企業は、多方面で課題が発生し、リソースが不足することが考えられます。このような多方面でのリソース不足を解消するためには、アウトソーシングの活用が効果的です。
自社採用や派遣ではなくアウトソーシングを活用すると、採用や教育にかかる手間や労力、コストを抑えられます。人材派遣と比較しても、管理やマネジメントをする担当者の配置が不要というメリットがあります。
また、アウトソーシングを活用し、企業に利益をもたらす人材、事業を拡大するための資金、企業で保有するモノなど、経営資源(ヒト・カネ・モノ)を最適化すれば、組織体制の構築や組織の強化につながります。
アウトソーシング導入時の5つのポイント
ここまで、企業にとってアウトソーシングの導入はさまざまなメリットがあるとお伝えしましたが、導入する前に知っておくとよい注意点もあります。ここからは、アウトソーシングを導入する際に押さえておくべき5つのポイントをご紹介します。
導入前の費用比較や業務切り分けが重要
コスト軽減や業務効率化など、アウトソーシングによる効果を得るには、事前の費用の比較と、適切な業務の切り分けが必要です。
費用の比較とは、アウトソーシングする業務を自社で行った場合と外部企業へ委託した場合のコストを比較することです。委託する規模や業務内容によっては、自社内での運用よりもコストがかかる場合があります。
また、アウトソーシングする業務としない業務を適切に切り分けておかなければ、逆に業務が非効率になるなど、得られる効果が低くなってしまう場合があります。ただし、業務の切り分けは自社だけで行うのは難しいため、外部企業と相談しながら進めるとよいでしょう。
導入までの準備期間が必要
業務負荷が高くなっている場合、少しでも早くアウトソーシングしたいと考えるのが一般的ですが、アウトソーシングの導入は問い合わせをして明日からすぐに利用できるようなものではありません。
業務内容の確認や業務体制、業務フローの構築などには時間が必要です。委託する業務内容によってはすぐ運用開始できるものもありますが、半年~1年後にようやく運用が開始できるケースもあります。長いと感じるかもしれませんが、自社で採用や教育を行うよりも労力やコストが軽減できることのメリットは大きいでしょう。
導入準備に業務が発生
業務をアウトソーシングする場合、どのような業務を委託するのかを洗い出し、その業務をこれまでどのように行っていたかを確認する必要があります。それらを確認した上で、委託したい業務内容を受託会社に引き継ぐためのマニュアルや業務フローを作成しなければなりません。
これまでの業務でイレギュラーが発生しやすかったり、業務フローが煩雑になったりしている場合は、効率的に業務を行うために業務フローの変更が必要な場合もあります。これらの業務に対応するための工数確保が必要です。
信頼できる外部企業の選定が重要
アウトソーシングを成功させるためには、信頼できる外部企業の選定が重要です。セキュリティの脆弱性から機密情報の漏えいリスクが増大したり、品質の低下やスケジュールの遅延などにより製品やサービスの提供に問題が生じたりする恐れもあります。信頼できる外部企業を選定するためには、事前の調査や検討が不可欠です。
信頼できるパートナーを選ぶ際には、まず、信頼性を評価するために事前の調査を行いましょう。企業の実績や業界での評判を確認し、顧客の満足度や成功事例を調査します。
次に過去にサービスを提供した顧客の意見やフィードバックを参照することで、パートナーの信頼性を判断します。さらに、企業の安定性や経験も重要です。長期的なパートナーシップを築くために安定した経営基盤や専門知識を持つ企業を選んでください。
また、契約条件や約款を詳細に検討し、サービス品質や保証についても確認しましょう。信頼性の高いパートナーを選ぶことで、アウトソーシングの成功率と安心感の向上が期待できます。
受託会社と定期的な情報共有を行う仕組みが必要
例えば経理業務をアウトソーシングすると、自社で経理業務の経験を積む機会が失われ、社内での経験やノウハウの蓄積が難しくなります。アウトソーシング先の企業を選ぶ際には、受託会社との定期的な情報共有が重要です。定期的に受託会社との面談や確認を行い、受託会社が何をやっているか分からない状態を防ぐことが重要です。
以下に情報共有のポイントを説明します。
| 目標や要件の明確化 | 初めに双方の目標やプロジェクトの要件を明確に共有しましょう。期待する成果や納期、品質基準などを明確にすることで、意図の一致が図れるでしょう。 |
|---|---|
| 定期的な進捗報告 | プロジェクトの進捗状況や成果物について、定期的に報告を受ける仕組みをつくります。進捗報告は定期的なミーティング、メール、チャットツールなどを通じて行うのがよいでしょう。進捗状況の共有により、問題や遅延があれば早期に対処できます。 |
| コミュニケーションの活性化 | 定期的な情報共有のためには、アウトソーシング先とのコミュニケーションの活性化が不可欠です。定期的なミーティングやビデオ会議、チャットツールの活用など、目的に合ったコミュニケーション手段を選んでください。意見交換や質問応答を通じて円滑なコミュニケーションを確保しましょう。 |
| 問題の共有と解決 | 問題が発生した場合は即座に受託会社と共有し、共同で解決策を見つけましょう。透明性と相互の信頼関係が重要です。問題を共有することで、改善策を検討し、プロジェクトの進行を円滑化できます。 |
| フィードバックの提供 | 受託会社に対して定期的なフィードバックを提供します。成果物の品質やパフォーマンスについて具体的な評価を行い、改善点や認められた点を共有してください。適切なフィードバックにより、双方の成長とパフォーマンス向上が期待できます。 以上のポイントを踏まえて、アウトソーシング先の企業との情報共有を行えば、円滑なプロジェクト進行と効果的な業務委託が実現するでしょう。 |
アウトソーシングと人材派遣の違い
アウトソーシングとよく比較されるのが、派遣社員を受け入れる人材派遣です。外部人材の活用を検討している場合、自社にとってアウトソーシングと人材派遣のどちらが最適なのか迷うことも多いのではないでしょうか。
アウトソーシングも人材派遣も外部企業から人的資源を調達する点では共通していますが、主に契約形態や利用目的、マネジメントが必要かなどの違いがあります。それぞれの違いを解説します。
| 業務委託 | 人材派遣 | |||
|---|---|---|---|---|
| 請負 | 準委任 | 委任 | ||
| 契約形態 | 業務委託契約 | 業務委託契約 | 業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
| 利用目的 | 業務の遂行・納品 | 業務の遂行・納品 | 業務の遂行・納品 | 労働力の確保 |
| 指揮命令権 | 受託会社 | 受託会社 | 受託会社 | 自社 |
| 適した利用方法 | サイト制作・システム制作など成果物を求める場合 ※成果物の内容によっては責任を問う |
マニュアル業務・定型業務を依頼したい場合 ※成果に対する責任を問わない |
法律業務を依頼したい場合 ※成果に対する責任を問わない |
自社に人員を追加したい場合 ※一時的な人材不足を補う(社員の休職や繁忙期など) |
契約形態の違い
アウトソーシングと人材派遣の大きな違いは、契約形態です。人材派遣は自社(派遣先)と人材派遣会社(派遣元)で労働派遣契約を結びます。この労働者派遣契約は、派遣会社が雇用している派遣社員を自社で就業させるという内容です。契約を締結することで、自社で派遣社員を受け入れることができるようになります。
アウトソーシングの場合は、自社と受託会社で業務委託契約(請負・委任・準委任)を締結します。この業務委託契約は、受託会社に納品物の制作または業務の遂行を一任するという内容です。
利用目的の違い
人材派遣の利用目的は、労働力の確保です。人材派遣は主に、急に発生した業務への対応、繁忙期の限定的な活用、急な欠員による業務対応、産育休・介護休など、代替要員の補充が必要なシーンで活用されます。
一方、アウトソーシングの利用目的は、依頼した業務の遂行・納品です。自社にノウハウがなく製品やサービスなどの提供が難しい場合や、定型化された業務を一括で外部に委託したい場合などに適しています。また、依頼したい業務に精通している外部企業に委託することで品質の向上にもつながります。
指揮命令権の違い
人材派遣の場合、派遣社員は派遣先の社内で業務を行います(業務内容や、派遣先企業によってはテレワークを取り入れている場合があるなど、その限りではありません)。その際の派遣社員への業務指示は派遣先企業が行います。そのため、頻繁なルール変更やイレギュラーが多い業務では、柔軟な対応がとれる人材派遣が適しています。
一方、アウトソーシングの場合は、受託会社へ納品物の制作または業務の遂行を委託します。契約内容により、成果物の納品または業務の遂行は受託会社が行います。
アウトソーシングと人材派遣の違いについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
>>アウトソーシングと人材派遣の違いは?利用シーンや留意点を解説
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生産性向上や競争力強化にはアウトソーシングの活用を
人材不足が社会的な課題となる中、限られた人材と時間で成果を最大化するには、業務の効率化と生産性の向上が欠かせません。アウトソーシングを導入すれば、専門性の高い外部リソースを活用しながら、自社のコア業務に人材と時間を集中させることができます。
一方、委託範囲や成果物の定義が曖昧なまま導入してしまうと、品質のばらつきやコスト増加といったリスクが生じます。導入前には自社の課題や目的を明確にし、信頼できる委託先を慎重に選ぶことが大切です。
外部に任せるべき業務を見極め、長期的な視点でアウトソーシングを取り入れることが、安定した発展や競争力の向上につながるでしょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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