HRナレッジライン

カテゴリ一覧

オンサイトとオフサイトの違いは?BPO運営形態を分かりやすく解説

公開日:2024.01.29

企業の課題

コスト削減や業務効率化によるコア業務への注力につなげる手段の一つとして、BPOが挙げられます。近年、労働人口減少による人材不足やデジタル化、グローバル化といった経営環境の変化、多様なはたらき方の浸透などに伴ってBPOを含むアウトソーシングを活用するケースが増えてきました。

BPOには「オンサイト」と「オフサイト」の2つの運営形態があり、それぞれ特徴が異なるため依頼する業務内容に合わせて選ぶことが大切です。今回は、BPOにおけるオンサイト・オフサイトの概要や適している業務、メリット、注意点などを解説します。

オンサイトとは?

事業を進める上で必要な業務とそれに伴うプロセス、周辺業務を一括して外部に委託し、効率化や業務改善を図る経営手法をBPO(Business Process Outsourcing)といいます。経理や人事、ヘルプデスクなどさまざまな業務で活用されており、業務効率化やコスト削減を図る際に役立つ戦略の一つです。BPOは業務プロセス全体を委託する点が特徴であり、売上に直結する業務を任せることもあります。

BPOについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【簡単に解説】BPOとは?アウトソーシングとの違いやメリット・事例

同じように業務を外注することを「アウトソーシング」とも呼びます。アウトソーシングとは自社の業務に必要な人的リソースやサービスを外部から調達することを意味し、BPOはアウトソーシングにおける手法の一つです。いずれも、生産性向上や競争力アップを目指します。

業界を問わず人材不足が顕在化する中、自社内で労働力を確保できない企業が増えています。また、テクノロジーの進化に伴うデジタル化に対応しきれず、課題を抱えているケースも少なくありません。BPOは、これらの課題解決を目指す組織から重宝されています。

オンサイトとはBPO運用形態の一つであり、「現地で」「現場で」といった意味を持ちます。オンサイト型は、BPOを提供する事業者が発注者のオフィスに常駐して業務を遂行する点が特徴です。

オフサイト型との違い

オンサイト運用とオフサイト運用

BPOには「オフサイト」という運営形態もあります。オンサイト型が発注先に常駐する形態である一方で、オフサイト型ではBPO事業者が発注者のオフィスに常駐することはありません。オフサイトには「遠隔地」という意味があり、発注先オフィスから離れた場所で業務にあたります。自社とは別の場所に拠点を確保できるため、万が一、自社が災害やトラブルに遭った場合でも業務の継続や早期回復が可能です。

ただし、オンサイト型とは異なり、運用現場の状況を直接確認できません。そのため、自社とBPO事業者との綿密な連携が重要です。

その他に似た用語

オフサイトとよく似た用語に「オフショア」と「ニアショア」があります。それぞれの概要を詳しく解説します。

オフショアとの違い

「オフショア」とは、業務の全部もしくは一部を海外の企業に外注し、海外の拠点で運用することです。オフサイトと同様に、発注者と外注先が対面して業務を担うことはほとんどありません。基本的にはオンラインで日本と海外をつなぎ、業務を進めます。

特にシステム開発を担うIT領域で多く活用されており、「オフショア開発」として海外の企業に開発を依頼することが多いです。新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、あらゆる業種でリモート体制が整備されました。その結果、システム開発以外でもオフショアを取り入れるケースが増えています。

オフショアの大きなメリットは、物価や人件費が安いエリアに業務を移すことでコスト削減を図れる点です。一方で、円滑に業務を進めるためには言語や文化の違いに対処しなければなりません。日本では常識だと捉えられていることも、海外では通用しないケースが多々あります。

ニアショアとの違い

オフショアに対して、国内に別の拠点を設けることを「ニアショア」といいます。

ニアショアの対象となるエリアは、東京や大阪などの大都市よりも物価や人件費が安い地方都市です。コスト削減はもちろん、オフショアで課題となる言語の壁や文化の違いに対処する必要がないため、コミュニケーションが取りやすく一定の品質を保てます。

こうした特徴から、緊密な連携が求められる案件や複数のプロジェクトを同時進行する際に選択されるケースが多いでしょう。また、地震が発生しやすい日本において、災害リスクを避けるためにBCP対応としてニアショアを活用している企業も見られます。

オンサイト型・オフサイト型に適している業務

BPOは業務によって運営形態を選ぶことが大切です。オンサイト型・オフサイト型のそれぞれに適した業務をご紹介します。

オンサイト型に適している業務

職種 委託できる業務例
総務 在庫管理、ファシリティマネジメント(オフィス・建物の管理)、予約業務(会議室・共有スペースの予約や使用後の整頓など)、メール室代行(郵便物の仕分けや送付、荷受けなど)
経理 経理・財務(決算など機密情報を扱う範囲)
受付 行政窓口、企業受付、入管カード貸出
人事労務 採用面接・研修など対面が必要な業務
営業 営業事務(営業とコミュニケーションが必要な業務)
その他バックオフィス業務 エンドユーザーの個人情報を扱う申請審査業務、社内の機密情報を扱う業務

オンサイト型は進捗情報を把握しやすく、突発的な事態が発生した場合も速やかな対応が可能です。そのため、社内で作業する必要がある場合や、社員・来訪者と直接コミュニケーションを取る必要がある場合に適しています。

例えば、社内に保管された商品の在庫管理やファシリティマネジメント、行政窓口業務などが該当します。また、社外に流出させてはいけない機密情報を扱う業務にも適しています。

オフサイト型に適している業務

職種 委託できる業務例
受付 コールセンター、ヘルプデスク、コンタクトセンター、カスタマーサポート
経理 経費精算など軽微な経理業務
人事労務 年末調整・証明書発行業務
営業 インサイドセールス、マーケティング

必ずしも自社施設内で行う必要がない場合や、社員・エンドユーザーと直接コミュニケーションを取る必要がない業務はオフサイト型に適しています。

例えば、インターネット環境とパソコンがあれば対応できるコールセンターやヘルプデスクなどに、オフサイト型のBPOを活用するケースが多いでしょう。また、一定のルールに沿って処理を進められる経理業務もオフサイト型に適しています。

なお、ナレッジ共有システムが必要なコールセンターやコンタクトセンターなどは、アウトソーシングの施設を活用することでより効果的かつコスト削減が期待できます。

オンサイト型BPOの2つのメリット

BPOにおけるオンサイト型の主なメリットは以下の2点です。各メリットについて解説します。

ITガバナンスの強化

オンサイト型のメリットは、ITガバナンスの強化に役立つ点です。ITガバナンスとは社員や顧客、取引先のニーズに基づいて、組織の価値を高めるためにITを適切に管理、運用することを指します。

オンサイト型は居室やパソコン、システム、ツール、ネットワークなどを自社の環境下で管理する点が特徴で、情報漏えいや流出リスクを軽減できます。また、IT技術や知識に長けたBPO事業者に業務を任せられるため、外部スタッフに情報セキュリティ教育を行い管理するだけで、ITガバナンスが強化される点がメリットです。

柔軟な対応

オンサイト型は、BPOサービスを提供する事業者が自社内に常駐して業務を遂行します。そのため、発注者が運営状況を把握しやすい点もメリットの一つです。

特に緊密な連携が必要となる業務は、オフサイト型だと対応が遅れる可能性があります。オンサイト型であれば、トラブルや突発的な業務が発生しても迅速かつ柔軟な対応が可能です。

オンサイト型BPOの注意点

オンサイト型を活用する際の注意点は以下の2つです。各注意点について解説します。

作業スペースの確保やインフラ整備が必要

オンサイト型では、自社内に外部のスタッフが常駐することになるため、その分の作業スペースを確保しなければなりません。オフィスが狭くスペースを確保しづらい場合は、レイアウトを見直す必要があります。

また、ITシステムやネットワークなどのインフラ整備も重要です。パソコンやスマートフォンなどのハードウェアの用意はもちろん、ネットワークやOSの整備も必要となり手間がかかります。

情報漏えいを防止するセキュリティ対策が必要

基本的にオンサイト型のBPOは、自社のネット環境やシステムなどを活用して業務を行います。そのため外部に情報を伝える必要がない分、情報漏えいのリスクが軽減される点がメリットです。しかし、自社内とはいえ外部のスタッフを受け入れるため、スタッフに対するセキュリティ対策を行う必要があります。例えば、セキュリティ研修・教育の実施や機密データへのアクセス権限の管理、入館ゲートのチェックなどが必要です。

併せて、BPOサービスを提供する事業者のセキュリティルールを確認しておくと、安心して業務を任せられます。認証資格やセキュリティ品質基準の他、個人情報を適切に管理できる事業者に与えられる「プライバシーマーク」の有無も確認するべきポイントです。

オフサイト型BPOの2つのメリット

BPOにおけるオフサイト型の主なメリットは以下の2つです。各メリットについて解説します。

運営コストの削減

オンサイト型は委託に向けて自社スペースの拡張やハードウェアの補充などに費用がかかりますが、オフサイト型の場合はその必要がなく、BPO化に関する移行コストをさらに抑えられます。

特にコールシステムやナレッジシステムなどを要するコールセンター業務では、オフサイト型BPOの活用により自社でシステムを用意する必要がありません。メンテナンスにかかる費用も抑えられるため、長期的に見ても大幅なコスト削減が可能です。

BCP対策

万が一、自然災害やテロ攻撃といった緊急事態が発生した場合に、事業を継続もしくは速やかに復旧させるための手段をBCP(Business Continuity Plan)といいます。日本語では「事業継続計画」といい、2011年に発生した東日本大震災以来、さらに重視されるようになりました。

自社と離れた場所に拠点を確保するオフサイト型では、自社が位置するエリアで災害が起こった場合でも業務を継続しやすい点がメリットです。特にコールセンターやヘルプセンターなどで、オフサイトを活用するケースが多く見られます。

オフサイト型BPOの注意点

オフサイト型を活用する際の注意点は以下の2つです。各注意点について解説します。

確認に時間がかかる場合がある

オンサイト型とは異なり、オフサイトは拠点を別の場所に設けるため現場の状況を確認しづらいです。トラブルや早急に対応するべき業務が発生した場合に、速やかな対応ができない可能性があります。

こうした問題を解決するために、自社とBPO事業者とのコミュニケーション手段を工夫することが大切です。情報共有ツールをうまく活用してオンタイムで状況を把握できるようにする他、定期的なミーティングを実施して課題や目的をすり合わせる必要があります。

社員と対面コミュニケーションが必要な業務には適していない

近年、オンラインを活用した業務を取り入れる企業が増加しました。しかし、業務によっては対面コミュニケーションが必要になるケースも少なくありません。

非対面とは異なり、対面コミュニケーションは表情やリアクションから細かな情報を読み取れます。例えば、顧客の状況を細かく把握する必要がある営業事務では、営業社員と対面でやり取りした方が業務をスムーズに進められるでしょう。また、採用面接や研修などの業務も対面コミュニケーションが求められる傾向にあります。

オフサイト型は基本的にオンラインでやり取りするため、こうした対面コミュニケーションが必要な業務には適していません。

パーソルテンプスタッフはオンサイト・オフサイト型アウトソーシングで業務を支援します

BPOの運営形態は「オンサイト」と「オフサイト」の2つがあり、それぞれにメリットや注意点が異なるため、委託する業務内容に合わせて選択する必要があります。

社員や顧客と対面するオンサイトは営業事務や行政窓口業務、採用面接、研修など相手の表情から意図を汲み取りながら対応する業務に最適です。自社のスペースやシステム、ハードウェアを活用するため、セキュリティリスクが軽減される上に、外部スタッフに情報セキュリティ教育をして管理することでITガバナンスが強化されることから、社内の機密情報を扱う業務にも適しています。

一方、運営コストの削減やBCP対策を検討している方は、オフサイト型を活用するとよいでしょう。災害リスクを考慮して拠点を分散させることは、安定して事業を運営する上で有効な対策です。

パーソルテンプスタッフのアウトソーシングやBPOではオンサイト・オフサイト型、オン・オフ並行稼働に対応しており、状況に合わせた柔軟なサポートが可能です。総務や経理業務、コールセンター 、物流などさまざまな分野において豊富な実績があり、多くのお客さまにご利用いただいています。

パーソルテンプスタッフのオンサイト型BPO用
パーソルテンプスタッフのオフサイト型BPO運用

コンプライアンスに基づき適切な体制を構築すると共に、人材への教育も徹底して行うことで法令に準拠した運用が可能です。アウトソーシングやBPOの活用をご検討中の方は、ぜひパーソルテンプスタッフへご相談ください。

オフサイト型を活用した事例もございます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

おすすめの記事