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コールセンター人手不足の解決方法や成功事例をご紹介

公開日:2023.09.14

企業の課題

コールセンター業務は自社のお客さまと直接やりとりする重要な業務です。お客さまと直接やりとりするからこそ、その対応によって自社の印象を大きく左右する重要なポジションと言えるでしょう。しかし、コールセンターの人手不足が深刻になっている企業も少なくありません。

  • コールセンターが人手不足に陥る原因
  • 自社に与える影響
  • コールセンター人手不足の解決事例や方法

本記事では、コールセンター人手不足に陥らないためにはどうすればよいのか、事例なども踏まえて詳しくご紹介します。

コールセンター人手不足の現状

コールセンターはお客さまに直接応対する窓口の一つとして、企業内で重要な役割を果たしています。お客さまのニーズは多岐に渡るため、コールセンターの社員も覚える内容や対応すべき業務が多くなり、高度なスキルが求められます。

人材育成に時間がかかる仕事であることに加え、厚生労働省が発表した「令和4年上半期雇用動向調査結果の概況」を見てもわかるように、コールセンターが含まれる「サービス業(他に分類されないもの)」は、全業種のうち3番目に離職率が高いことが分かります。人材育成に時間がかかることに加え、採用難・離職率の高さから、コールセンター業界は人手不足に陥っていると見てとれます。

※引用:厚生労働省|令和4年上半期雇用動向調査結果の概況

コールセンターが人手不足になる原因

上記で述べたように、コールセンターは人材がなかなか定着しないことが原因となり深刻な人手不足に陥っています。コールセンターにおいて人材が定着しにくい4つの理由を解説します。

業務量・覚えることが多い

コールセンターでは、取り扱っている商品やサービスの知識を正しく身につける必要があります。商品やサービスを正しく把握せずに対応すると、質問に回答することができず、お客さまからの信頼を失ってしまう恐れがあるからです。

しかし、複雑化している料金体系やキャンペーンの特典、解約条件、トラブル対応など、対応範囲は多岐に渡り、すべてを把握することは容易ではありません。お客さまごとに問い合わせ内容が異なるケースもあり、社員は継続してインプットを続けていく必要があります。

扱う商材によっては研修に半年近くかかる場合もあり、覚えることが膨大で、業務を続けることを難しいと感じる社員もいるようです。ですが、正しい知識をつけた上で業務に臨むことで、お客さまからの大きな信頼を得ることにつながり、企業にとっても大きなメリットとなります。

はたらく時間が不規則

コールセンターは一人でも多くのお客さまからのお問い合わせに対応するために、年中無休や長い営業時間で対応している企業が多く見受けられます。はたらいている社員はシフト制の場合が多く、はたらく時間が不規則になる場合があります。

一方で、コールセンターの営業時間を長く設けることで、お客さまの安心感や企業への信頼につながります。

スキル・キャリアが身に付きにくい

コールセンターは未経験でチャレンジできる機会も多く、一般的にはスキルを活かしてはたらくことや、キャリアアップをする機会が少ない職種というイメージがあるかもしれません。しかし、顔の見えない会話で培われたコミュニケーション力、わかりやすく説明する力などを身につけることができます。コールセンターでは、接客業や営業など、人と接する機会の多い職種でも広く求められるスキルが培われると言えるでしょう。

ストレスを感じやすい

対応する電話の中には、お問い合わせの他に、クレームの電話がかかってくることも少なからずあります。顔が見えない電話でのやりとりで、お客さまの感情を読み取り、要望に応えるのは簡単なことではありません。お客さまと直接接する大切な機会だからこそ、対応する社員が大きな負担を抱えてしまうことがあります。

コールセンターの人手不足がもたらす影響

コールセンターの人手不足が深刻化すると、どのような影響が発生するのでしょうか。コストや社員の負担はもちろん、お客さまにも大きく影響します。

採用・教育コストの増加

社員の採用には、求人掲載や採用管理ツールの利用費、採用担当者の人件費など、さまざまなコストがかかります。新しく採用した社員には研修を実施する必要があるため、長期間の研修が必要な商材を扱っている場合にはコストが増加することも考えられます。

特に離職率が高いコールセンターでは、たびたび人材を採用する必要に迫られるため、新しい人材の採用や教育に多くの費用がかかります。

お客さま満足度の低下

離職率が高いコールセンターでは、業務経験の浅い新人社員の割合が高く、応対品質が低下するリスクがあります。業務に慣れておらず、時間を要する社員では、1件あたりにかかる対応時間が長くなります。他の社員からのフォローが必要な場合、その社員の手も止めることになるでしょう。

すると、就業時間内で対応できる件数が少なくなり、電話がなかなかつながらないなど円滑に業務が進まない事態に陥ります。これはお客さま満足度が低下する要因となり、早急な改善が必要です。

社員のストレス増加や労働環境の悪化

人手不足になることで、社員一人当たりが対応しなければならない件数が増えたり、新しい社員のサポートをしなければならず、社員の負担は大きくなります。また、シフトに入らなければならないことも増え、労働環境に影響を与えることも考えられるでしょう。

コールセンター人手不足の解決方法

コールセンターの人手不足を解決する方法について、詳しく解説します。部署の中でできること、企業内でできること、社外の力を借りてできることなどさまざまな方法があります。

テクノロジーの活用

チャットボット、AI、自動応答やコールセンターシステムなど、さまざまなテクノロジーの技術を活用すれば、コールセンターの人手不足解消につなげることができます。

チャットボットはお客さまが電話をかける前の利用を想定しています。電話の前に、お客さまと自動チャットが会話をすることで、疑問を解決してくれるシステムです。

AIや自動応答は電話での応答や誘導を自動的に行ってくれるツールです。コールセンターシステムは、電話を受けた際にさまざまなシステム・機能と連携して、お客さまの情報や問い合わせ履歴などを表示するものです。これらを活用することで、コールセンターの社員の対応数削減が期待できます。

お問い合わせ窓口を増やす

現在のお問い合わせ窓口が電話のみの場合、メールやお問い合わせフォーム、チャットボットの導入など、マルチチャネル化を検討することも一つです。複数の問い合わせ方法があることによって、電話へのお問い合わせを別のチャネルに分散できるでしょう。

働き方改革を推進する

働き方改革の実施によって、多様な勤務体系を認めると、社員個々の事情に応じたはたらき方を選択できるようになります。これまで退職を選ばざるを得なかった社員が、業務を継続できるチャンスが広がります。

働き方改革では、業務の特性に応じて短時間勤務やリモートワーク、フレックスタイム制度を導入することが例として挙げられています。はたらき方の選択肢が増えることで、育児や介護など社員の状況に応じて仕事との両立がしやすくなり、社員の定着が期待できます。また、柔軟性のあるはたらき方ができる点は採用活動でのアピールポイントになり、応募数が増加する可能性もあります。

教育体制を整える

「スキルが身につかない」という印象を抱かれることもあるコールセンターでの業務ですが、教育体制を整えることで、お客さま対応の基本スキルが身につきます。まずは基本の「初期研修」で社員に必要な「話し方」「聞き方」などを学び、問題解決へのツールの使い方を学びます。

次に「フォローアップ研修」です。実際に社員として業務をしてみて、得意、不得意なことが見えてきたところで、一人ひとりにあった研修を用意します。

最後に「スキルアップ研修」です。より高度な対応、リーダーになるために必要な考え方や部下との接し方を学んだり、コールセンターの業務におけるマネジメントのスキルなどを身に着けることが可能です。さらなるキャリアアップを目指せるような体制を整えましょう。

人材派遣を活用する

コールセンター業務の人材派遣サービスの利用も可能です。コールセンター業務を派遣スタッフが対応することは、必要な期間に即戦力となるスキルを持った人材活用ができるという大きなメリットがあります。人材派遣サービスは、派遣スタッフに業務の切り出しをした上で自社内で就業してもらえるため、社内の業務効率化にもつながることが特徴です。

人材派遣サービスの活用をご検討の方はぜひパーソルテンプスタッフにご相談ください。

アウトソーシングを活用する

コールセンターのアウトソーシングサービスを利用すると、専門知識を持ったプロに、一元化してコールセンター業務を委託することができます。人手不足を解消できるのはもちろん、応対品質が向上しお客さま満足度のアップも期待できるでしょう。煩雑な問い合わせ対応を外部委託すると、人手不足でこれまで手がつけられなかった改善業務や教育など、コア業務に専念できることが大きなメリットです。

コールセンターのアウトソーシングについてはこちらで詳しく説明しています。
>>コールセンターをアウトソーシングするメリットと委託先の選び方を解説

BPO(コールセンター・ヘルプデスク)サービスの活用をご検討の方はぜひパーソルテンプスタッフにご相談ください。

人材派遣とアウトソーシング活用によるコールセンター人手不足の解決事例2選

実際に、コールセンター人手不足解消につながったパーソルテンプスタッフの人材派遣とBPOの導入事例を2つご紹介します。

食品会社のコールセンターに、営業経験をもつ人材を派遣し活用することでお客さま満足度を向上/食品業界 コールセンター

若年層を中心に商品展開していた食品会社では、高齢者向けのサプリメントを新しく発売。同商品に関する問い合わせを受けるコールセンターを立ち上げたものの、高齢者の対応に長けている人材が社内におらず、回答が滞るケースが発生。パーソルテンプスタッフにご相談をいただきました。

新設したコールセンターの対応状況を確認したところ、マニュアルに定められた内容だけではなく、お客さまに寄り添った対応が必要であることがわかりました。営業業務での折衝経験が活かせると判断したパーソルテンプスタッフでは、営業経験をもつ人材をご紹介。折衝経験を活かした臨機応変な対応ができる体制を構築し、お客さまからも、問い合わせにより疑問を解消でき、安心してサプリメントを愛用できるという声が多く寄せられました。

コールセンターの活用事例を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

大量の申請、繁閑の差。問題解決に向けて試行錯誤を重ねて「円滑な業務」を実現/大阪市福祉局様

大阪市福祉局様では、年間で約16万件という全国でもトップクラスの申請数の「要介護認定」の申請を処理しています。しかし申請の受付は月初や月末に集中する繁閑の差があり、また市民から電話がつながりにくいという問題を抱えていましたが、アウトソーシングで解決した事例です。

2012年、大阪市では、市内24区それぞれで行っていた「要介護認定」業務を、「大阪市認定事務センター」を開設し集約します。その結果、これまで窓口で対応していた申請業務は郵送で行われるようになり、その受付業務を含めた認定業務をパーソルテンプスタッフが受託しました。一方、要介護度を判定する「審査会」の結果通知や契約関係の支払いは、これまでどおり市の職員が対応します。

月初や月末の申請ラッシュなど、繁閑の差が激しい業務だったため、チームごとに分業しながらも他のチームが忙しいときに応援できるような体制を構築。具体的には、専門的な業務は専門チームのスタッフが対応しながら、簡単な業務は他のチームが応援できるように一人ひとりが幅広い業務を行えるようにしたのです。

またアウトソーシング導入前から「電話がつながりにくい」というクレームを多くいただくものの、どのくらいの数の電話がかかってきているかの把握ができていなかったため、コールセンターシステムを導入。受電数と応答率が可視化され、お問い合わせの電話は月に1万件にものぼると判明したため、回線を適切に増やしながら、高い水準の応答率を維持できるようになりました。

AIや人材派遣、アウトソーシングを活用して人手不足の課題を解決する

コールセンターにおける人手不足の現状や背景、課題解決に向けた方法をご紹介しました。AIで問い合わせ数を削減する、人材派遣サービスを利用して自社社員の負担を軽減する、アウトソーシングを委託し、部署全体がコア業務に集中できるようにするといった、多様な解決方法があります。自社のコールセンターの規模や問い合わせ内容を鑑み、どの解決方法が最も適切かを検討するようにしましょう。

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