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コールセンターをアウトソーシングするメリットと委託先の選び方を解説

公開日:2023.05.29

更新日:2024.04.26

人事ナレッジ

各業界で人材不足が叫ばれる中、多くの社員を必要とするコールセンターは、特に人材採用に悩まされる部門と言えます。人材不足を解決するために、コールセンターの外注を検討している企業も多いでしょう。

この記事ではコールセンターに関するアウトソーシングの概要や運用形態、メリットを解説します。注意点や業務委託会社の選び方もご紹介しますので、これからアウトソーシングの活用を考えている方はぜひ参考にしてください。

コールセンターのアウトソーシングとは

コールセンターとは、お客さまからの電話応対をメインに行う部門です。お問い合わせや受注、クレーム処理などさまざまな内容を取り扱い、重要な役割を担っています。

従来は、自社内にコールセンターを設けるケースが一般的でしたが、人材不足の解決やコスト削減を目指して外注するケースも増えてきました。このように、コールセンター業務を専門性の高い外部の企業に委託することを「コールセンターのアウトソーシング」と言います。

アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【わかりやすく解説】アウトソーシングとは?活用方法と派遣との違い

コールセンターの3つの運用形態

設備 管理者 オペレーター
インハウス 自社準備 自社社員 自社社員
人材派遣 自社準備 自社社員 外部スタッフ
アウトソーシング(業務委託) 自社準備または外注 外注 外注

コールセンターの運用体系は、上記表の3つに分類されます。「インハウス」とは、自社の社員のみでコールセンターを運営する方法です。インハウスの場合、人材だけでなくコールセンター業務に必要な設備も自社で用意します。また、コールセンターに特化した子会社も「インハウス」に分類される運用形態です。

インハウスと同様に設備と管理者を自社で用意して、オペレーターのみ「人材派遣」サービスの利用により外部スタッフを活用する方法があります。

今回ご紹介する「アウトソーシング」は、設備に関しては自社で用意する、または外注する方法がありますが、管理者・オペレーターは共に外注になります。こちらの記事では、設備・管理者・オペレーターのすべてを外注するアウトソーシングにフォーカスしていきます。

コールセンターの運用形態

コールセンターのアウトソーシングで依頼できる業務

コールセンターのアウトソーシングで依頼できる業務

コールセンターの業務は、以下の3種類に大別されます。それぞれの業務について詳しく解説します。

インバウンド業務

コールセンターのインバウンド業務

コールセンター業務のうち、お客さまからのお問い合わせやクレームなどを受信する業務を「インバウンド業務」と言います。基本的に受け身であり、コールセンター側から発信することはほとんどありません。

インバウンド業務では、お客さまからのさまざまな要望や質問に対して、円滑に答える必要があります。そのため、接客スキルだけでなく商品・サービスに関する高い知識や、問題を解決に導くスキルなどが重要です。


アウトバウンド業務

コールセンターのアウトバウンド業務

受信をメインとするインバウンド業務とは逆に、コールセンター側からお客さまに対して発信する業務を「アウトバウンド業務」と言います。主なアウトバウンド業務として挙げられるのが「テレアポ(テレフォンアポイント)」や「テレマ(テレフォンマーケティング)」です。

テレアポでは、新規のお客さまに対して商品やサービスを提案します。テレマは、既存のお客さまに電話して商品やサービスの感想を聞いたり、アンケート調査などを行います。


フルフィルメント業務

コールセンターのフルフィルメント業務

フルフィルメント業務とは、ECサービスにおける注文からお客さまの手元に届くまでの業務全体を意味します。ECサービスとは、「Electronic Commerce(電子商取引)」の略称で、インターネットを介して商品やサービスを売買することです。ECサービスに関する主なフルフィルメント業務は、以下の通りです。

  1. お問い合わせ対応
  2. 受注処理
  3. 在庫管理
  4. 梱包作業
  5. 出荷手配
  6. 配送
  7. 代金回収
  8. クレーム処理
  9. 返品対応

コールセンターのアウトソーシングでは、フルフィルメント業務の一部を代行することも可能です。例えば、以下の業務はコールセンターで請け負えます。

  1. お問い合わせ対応
  2. お客さまに対するアフターフォロー
  3. メールやチャットの返信
  4. 配送手配
  5. 在庫管理


コールセンターをアウトソーシングする企業が増えている背景

株式会社矢野経済研究所「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査(2022年)」

出典:株式会社矢野経済研究所「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査(2022年)」(2022年11月15日発表)

2021年度の国内コールセンターサービス市場規模は、前年度より8.0%増の1兆1,259億円という結果でした。この背景には、新型コロナウイルス感染症に起因する公共分野や官公庁の単発的な案件発生もありますが、人材不足を解決するためにコールセンターをアウトソーシングする需要が民間企業で高まっている点も拡大の要因となっています。

非接触・非対面が浸透する中で、コールセンターはお客さまとコミュニケーションを取る重要なツールとなっています。顧客満足度を上げるためにも、自社内でコールセンターを設けるのではなく、専門性の高い業務委託会社に依頼する方がメリットも多いでしょう。今後も益々、アウトソーシングの普及が予想されます。

コールセンターをアウトソーシングする4つのメリット

コールセンターをアウトソーシングする4つのメリット

コールセンターをアウトソーシングすると、以下に挙げる4つのメリットが得られます。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1.コストを削減できる

コールセンターを自社で用意すると、設備や教育など、さまざまなコストがかかります。一方、アウトソーシングでは、コールセンターに必要なコストの削減が可能です。それぞれのコストについて、どのように削減できるのかを解説します。



電話などの設備や教育コスト

コールセンターをインハウスで内製化する場合、電話やパソコン、システム、インカムなど設備の用意が必要です。自社とは別の場所にコールセンター専用のスペースを設けるのであれば、不動産関連のコストもかかるでしょう。また、オペレーターの品質を保つためには、商品やサービスに関する知識や接客スキル、問題解決力を高める教育が必要です。

一方、コールセンターをアウトソーシングすると、設備の用意から外注することが可能な上、オペレーターへの教育や管理も委託できます。そのため、内製化するよりも設備費や教育コストを抑えることが可能です。


インターネット工事などの初期費用

コールセンターを自社内に設ける場合、設備だけでなくインターネット回線も必要です。円滑に運用するためには安定した通信インフラの確保が重要になり、速度や容量に優れた回線が求められます。そのため、一般的なインターネット回線と比べて、初期費用が高くなる可能性も考えられます。

コールセンターのアウトソーシングを活用することで、こうしたインターネット工事の初期費用も抑えられます。


毎月の維持費や人件費

コールセンターを運営するためには、初期費用だけでなく毎月の維持費もかかります。例えば、電話料金やインターネット利用料金、家賃などが維持費として挙げられるでしょう。特に電話料金は、通話が長くなったり、携帯電話や国際電話などを利用したりすると、さらに費用が嵩みます。

また、オペレーターや管理スタッフに対する人件費も必要です。コールセンターの規模が大きくなれば、雇用する社員の数も増えるため人件費が増加します。

こうした毎月の維持費や人件費も、コールセンターのアウトソーシングによって抑えられるコストの一つです。

2.お客さまへの応対品質向上につながる

コールセンターではお客さまからの相談や質問、クレームなどに対して適切な応対が求められます。自社でコールセンターを設ける場合、オペレーターによってスキルが異なる可能性が高く、一定の応対品質を保てません。

一方、コールセンターのアウトソーシングであれば、経験豊富な専門のオペレーターが応対にあたるため、高い応対品質が期待でき顧客満足度向上にもつながります。


3.生産性が向上する

自社でコールセンター業務を並行する場合、電話対応と本来の業務の両方を担う必要があるため、重要な業務に集中できません。コールセンターをアウトソーシングすると、電話応対やマーケティング、新規のお客さまへのアポイントなどさまざまな業務を委託できます。その結果、自社の社員は本来の業務に専念でき、生産性が向上する点も大きなメリットです。


4.BCP対策につながる

BCPとは事業継続計画(Business Continuity Plan)の略称で、地震や異常気象、感染症などの有事が起こった場合でも、重要な業務を継続するための方策をまとめた計画を指します。コールセンターは、お客さまからのお問い合わせ窓口の役目も持っており、緊急時においても非常に重要な存在です。商品やサービスによっては、有事のときこそ役立つ可能性もあるでしょう。

コールセンターのBCP対策として基本となるのが分散化です。例えば一ヶ所のコールセンターが被害に遭ったとしても、拠点が複数あれば対応を継続できます。しかし自社で複数のコールセンターを持つことは、コストや人材の面から見ても現実的ではありません。コールセンターをアウトソーシングすると自社とは別に窓口を設けるため、BCP対策としても役立ちます。


コールセンターをアウトソーシングする際の3つの注意点

コールセンターをアウトソーシングする際の3つの注意点

コールセンターのアウトソーシングは多くのメリットが期待できる一方で、利用上の注意点もあります。それぞれの注意点について詳しく解説します。

社内にノウハウが蓄積されづらい

コールセンター業務をアウトソーシングすると、その業務に携わる機会が減るので、自社にノウハウが蓄積されにくくなります。自社が保有するノウハウが古いままで止まってしまうため、定期的に受託会社にノウハウをフィードバックしてもらい、状況を正しく把握しておくことが大切です。


受託会社と情報管理の取り決めが必要になる

アウトソーシングは受託会社に従業員の個人情報を提供するので、情報漏えいのリスクが生まれます。ひとたび発生すると悪影響は回避できないことから、事前に情報管理に関する取り決めや検証などを受託会社と確認しましょう。

また、受託会社を選定する際は、セキュリティ対策の姿勢やプライバシーマークの取得について確認し、慎重に検討する必要があります。


イレギュラーな事態に対してスムーズに対応できないことがある

コールセンターをアウトソーシングする場合、自社とは別の場所で業務を行うため、緊急事態が発生した際にスムーズな対応ができない可能性があります。いくら密に連携を取っていたとしても、質問の内容によってはタイムラグが生じることもあるでしょう。特に素早い対応が求められるトラブルやクレームの対処は、返答が遅れると顧客満足度を下げる要因になります。


コールセンターを導入するタイミング

コールセンターを導入するタイミング

コールセンターの必要性は理解しているものの、実際にどのタイミングで導入すればよいか悩む方も多いでしょう。続いてはコールセンターの導入に適したタイミングについて解説していきます。

オフィスを移転するとき

オフィスを移転する計画がある場合、移転と合わせてコールセンターを導入するとよいでしょう。特に、業務効率の向上やコスト削減を目的として移転するのであれば、コールセンターの導入はおすすめです。

移転時は搬入作業に時間を取られ、自社の電話工事が間に合わないことがあります。移転時に会社への電話が通じないと、お客さまに迷惑がかかってしまうでしょう。コールセンターのアウトソーシングを活用することで、移転時の繁忙やイレギュラーをカバーする機能として、電話応対のアウトソーシングが役立ちます。


自社の社員だけでは対応が難しいと感じたとき

自社の電話窓口でお客さまからのお問い合わせや相談、クレームなどを受けていると、本来の業務が疎かになりかねません。専門の担当者がいれば対応できますが、多くの企業では他の業務を対応しながら手の空いている社員が電話に出るケースが見受けられます。

企業の規模が大きくなり、自社で電話応対が難しくなった場合は、コールセンターのアウトソーシングを活用するタイミングと言えます。アウトソーシング会社に業務を依頼することで、社員の手間が省けて本来の業務に集中することが可能です。


委託するコールセンターの選び方

委託するコールセンターの選び方

コールセンターをアウトソーシングする際は、業務委託会社を慎重に選ぶ必要があります。費用だけを見て安易に選ぶと、自社の課題に対応できないことが考えられます。お客さまが安心してコールセンターを活用するためにも、自社に適した業務委託会社を選ぶことが大切です。続いては、委託するコールセンターの選び方を詳しく解説します。

必要な業務を確認する

コールセンターの業務は「インバウンド」「アウトバウンド」「フルフィルメント」の3つに大別されます。それぞれ業務内容が異なり、業務委託会社によって得意とする業務はさまざまです。

例えば、既存のお客さまに対するマーケティングは、発注をメインとするアウトバウンド業務ですが、主にインバウンド業務を手がけている業務委託会社と契約すると、思うような効果が得られない可能性があります。

ミスマッチを防ぐためにも、コールセンターをアウトソーシングする前に、自社が求める対応を整理することが大切です。


セキュリティレベルを確認する

アウトソーシングは外部に業務を委託することであり、その分情報漏えいのリスクも高くなります。万が一、お客さまの情報が漏えいしてしまえば大きな責任を問われるだけでなく、企業の信頼を損ねる要因にもなりかねません。

安心してコールセンターのアウトソーシングを活用するためには、セキュリティレベルを確認することが大切です。例えば、以下を取得している業務委託会社であれば、セキュリティ対策や個人情報の取り扱いを適正に行っていると判断できます。

  1. プライバシーマーク:個人情報の保護体制を適切に整備している事業者に付与されるマーク
  2. ISO27001(ISMS):情報を守り有効活用する情報セキュリティマネジメントシステムに関連する国際規格


オペレーターの対応力を確認する

コールセンターは企業にとっての窓口であり、応対品質が問われます。そのため、アウトソーシングを依頼する際は、オペレーターの対応力を確認することが大切です。

オペレーターの教育に力を入れている業務委託会社であれば、質の高い応対が期待できるでしょう。一方でオペレーターの人数が少ない業務委託会社は、各オペレーターの負担が大きくなるため、品質に悪影響を及ぼす危険性も高まります。

オペレーターの対応力が分からないときは、事例や口コミなどを参考にするとイメージがしやすくなります。


BCP対策につながるかを確認する

コールセンターの活用はBCP対策にもつながります。しかし、業務委託会社がBCP対策に長けていなければ、思うような効果が得られない可能性が高いです。

コールセンターのアウトソーシングを活用する場合は、複数のセンターを設けている業務委託会社や在宅型のサービスを展開している業務委託会社など、BCP対策に強い業務委託会社を選ぶことが大切です。


コールセンターをアウトソーシングして自社の課題を解決する

コールセンターをアウトソーシングして自社の課題を解決する

今回は、コールセンターをアウトソーシングする場合のメリットや注意点、業務委託会社の選び方などを解説しました。コールセンターは、自社内で立ち上げることもできますが、業務効率化や顧客満足度の向上を踏まえると、アウトソーシング化も一つの選択肢です。

コールセンターのアウトソーシングサービスを行う企業は多数あり、それぞれに得意とする分野が異なります。コールセンターを活用する目的を整理して、自社に適した業務委託会社を選ぶことが大切です。

パーソルテンプスタッフでは、コールセンターのアウトソーシングを承っています。コールセンターに加えて、ヘルプデスクや顧客管理など幅広い業務にも対応しているので、アウトソーシングをご検討中の方は以下のページをご覧ください。

またパーソルテンプスタッフは多くのお客様に選ばれています。電話対応を含む営業や受発注業務を、実際にBPOサービスとして導入した事例もご紹介いたします。併せてご覧いただければ幸いです。

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