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【データから分析】派遣社員はすぐやめる?退職理由からみる企業ができることとは

公開日:2025.08.07

企業の課題

「派遣社員を受け入れたが、すぐに辞めてしまった」、「派遣社員とのコミュニケーションの取り方が分からない」などのお悩みはございませんか?この記事ではパーソルテンプスタッフの経験やノウハウについてデータを基にご紹介し、派遣社員が早期に辞める原因と対策を解説いたします。

派遣社員が辞める理由とは

パーソルテンプスタッフが集計した派遣社員の退職理由の上位5つです。こちらの退職理由から、派遣社員の退職を防ぐポイントや安定就業つながるポイントを紐解いていきます。

  • ※データ元:当社基幹システムデータベース
  • ※こちらのデータは、派遣社員の契約終了時の理由を集計したデータです。(2024年1年間の統計データ)

1位:職場の人間関係や風土とのミスマッチ(36%)
2位:仕事内容とのミスマッチ(32%)
3位:契約条件の変更(17%)
4位:産休育休(9%)
5位:社内設備(6%)

1位:職場環境や風土とのミスマッチ

職場の人間関係や風土とのミスマッチが最も多い退職理由です。派遣社員の希望と業務内容が一致していても、既存社員とのコミュニケーションがスムーズにいかないといった職場の環境に関する悩みは大きなストレスになります。特に派遣社員は既存社員と異なり、周囲と十分に打ち解ける前に業務に取りかかる場合が多く、孤立感を抱えやすい傾向があります。
業務の引継ぎの場面にて、派遣社員が「マニュアルを渡されるだけで業務の説明の場がなかった」、「業務について質問できる雰囲気ではなかった」と悩むケースがあります。どのような業務でも説明の時間を設け、慣れるまでサポートをすることが派遣社員の長期就業をするポイントとなるでしょう。

派遣社員への声かけが少ない

コミュニケーション不足から生じる孤立感や上司や同僚のフォローが少ないと職場環境や風土と合わないと感じやすくなります。
経験豊富な派遣社員でも、就業開始直後は業務の進め方や社内設備などを伝える必要があります。派遣社員が話しかけやすい環境を整えるだけでなく既存社員から積極的に声をかけ、定期的に1on1を設定するなど、派遣社員の意見をキャッチアップできる機会を設けましょう。声かけを行うことで、派遣社員がスムーズに就業することにつながります。

声かけに対するポイントについてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>声かけでメンバーのモチベーションをあげる!効果的な言い換えや声かけのポイントを解説

2位:仕事内容とのミスマッチ

実際の業務内容や労働条件に対する不満は、2番目に多い退職理由となっています。
仕事内容の不一致は、人材派遣会社とのすり合わせ不足や事前に依頼する業務の範囲やプロセスが整理ができていないことから発生しがちです。多くの派遣社員は、職場見学時に伝えていた内容と異なる場合、イメージとのギャップにより業務に対する失望が生まれやすくなります。特に幅広い業務を任せる場合やOAスキルを使った業務の場合、業務の見込み時間や業務頻度、業務難易度などについて具体性に欠いた説明であると発生しやすくなります。お互いに事前の情報や契約条件を正確かつ具体的に認識することが、早期の退職を防ぐ上で極めて大切です。

3位:契約条件の変更

3番目に多かった「契約条件の変更」とは、派遣依頼時に伝えていなかった業務が発生し、退職に至ることです。唐突な追加業務の依頼や予定していなかった業務の依頼で派遣社員が戸惑い、退職につながるケースが多いです。原則、契約内容に記載されていない業務は依頼することができません。そのため依頼業務に付随して発生する業務や今後依頼する可能性のある業務は職場見学の時などに、任せる業務をなるべく伝えるようにしましょう。
ただし予定していなかった業務を依頼する場合は、新たに契約を結び直すことで派遣社員に依頼することが可能です。ただ唐突な追加業務の依頼に派遣社員が戸惑う場合もあります。そのため、契約内容を変更する場合は、前もって派遣社員に相談する前に、先に人材派遣会社に相談する必要があります。

依頼業務に対して認識齟齬が発生

依頼する業務内容が、自社の想定している難易度と異なる場合があります。派遣社員に任せる業務を難易度が低いと決め付けてしまうと、紹介を受けた派遣社員の業務遂行能力と業務レベルに認識齟齬が起きる場合があります。また、派遣社員へ業務を任せる際に、説明が抽象的な場合もミスマッチが起こりやすくなります。このような業務内容の認識齟齬を防ぐためにも業務の依頼を行う際に、任せる業務を細かく伝えることで、業務レベルの認識を正しく行うことができ、依頼する業務に適性のある派遣社員の紹介を受けることができます。

人材派遣会社への依頼のポイントについてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>人材派遣を依頼する方法とは?流れやポイントをご紹介
>>企業が人材派遣会社に依頼メールを送る際のポイント【メールフォーマットあり】

過度に多すぎる業務量

強くストレスを感じてしまうほどの過度な仕事量は精神的負担から早々に退職を検討するケースとなります。また就業直後から任せたい業務を一度に多く任せると、派遣社員に混乱を招く可能性あります。派遣社員が職場環境に慣れるまで、余裕をもって業務を依頼しましょう。また任せる業務量の全体感を派遣社員に伝えることで、派遣社員も業務に対する全容のイメージを想定することができます。

退職を防ぐための対策・工夫

派遣社員の早期退職を防ぎ、定着率を高めるために有効な取り組みはさまざまありますが、一番のポイントは派遣社員とのコミュニケーションを取る機会を設けることです。退職理由である職場環境とのミスマッチはコミュニケーションの取りづらさや意思疎通がうまくいかないことが要因となるケースが多いです。そのため企業は派遣社員の気持ちや考えを汲み取るコミュニケーションや機会を設けることが大切です。

派遣社員と業務の進捗確認や振り返り

派遣社員と指揮命令者、派遣社員と人材派遣会社の担当社員のコミュニケーションにおいて、派遣社員の業務に対するフィードバックが大切です。話す内容としては、業務の進捗確認・悩み相談などが挙げられます。日々の業務のフィードバックを行うことで派遣社員は自身の業務を振り返ることができ、就業先が自分の業務状況を把握してくれているという安心感につながります。またフィードバックのタイミングとして週1回~月1回程度定期的にコミュニケーションを取る機会を設けましょう。

人間関係を良好にする職場づくりとコミュニケーション手法

日頃から何気ない会話や相談、フィードバックの場を設けるなど、相談しやすい雰囲気をつくることが大切です。社内チャットツールやオンライン会議システムの活用で情報共有を円滑に進めるなど、さまざまな工夫が可能です。こうした取り組みによって、派遣社員の孤立感を減らし、定着率を高める効果が期待できます。

また、対話をする際の注意点として一方的に派遣社員への評価を話すのではなく、派遣社員の考えや気持ちを確認しながら進めることが重要です。特に「はい・いいえ」を求める限定質問ではなく、相手の気持ちの尊重や考えの理解を深めることができる「拡大質問と肯定質問」を組み合わせて対話することが効果的となります。

賞賛の言葉を伝える

派遣社員を含めたあらゆるメンバーが尊重される組織文化を醸成することで、風通しの良い職場環境が築かれやすくなります。表彰制度や声かけなど、承認欲求を満たす小さな施策でも、はたらきやすさは格段に向上するでしょう。小さなことから、派遣社員の良かった点に対して賞賛の言葉を伝えましょう。こうした文化が根付いている職場では、エンゲージメントが高まり意欲的に取り組む派遣社員が増え、生産性の向上や業務品質の改善といったはたらくことに対してモチベーションを高める効果を生みます。

派遣社員のはたらきぶりについてフィードバックをする

定期的に派遣社員のはたらきぶりについてフィードバックを行いましょう。感謝の言葉以外でも、仕事に対するフィードバックを求めている派遣社員は多くいます。
派遣社員にとって仕事に対するフィードバックをもらうことは、自分の仕事の向き合い方を振り返る機会にもなります。
特に業務に対する正確さやスピードは、派遣社員がはたらいている中でつかみづらいものです。はたらきぶりについて振り返ることによって、自身の業務の評価への納得感や今後の就業に対する指針にもなります。

派遣社員へのフィードバックの重要性について

パーソルテンプスタッフが実施した「派遣社員に関する調査」から派遣社員が派遣先からの仕事ぶりや今後の期待に関するフィードバックを重視する傾向があることが分かりました。この調査の結果から「派遣先からの仕事ぶりや今後の期待に関するフィードバックを重視する」39.5%となっています。重視するかどうかの理由として「モチベーションアップにつながるから」「自分の仕事の質やパフォーマンスを客観的に評価してもらえるから」「同じ派遣先で就業継続したいかどうかの参考になるから」といった回答が上位に上がっています。

※参照:「派遣社員に関する調査」

パーソルテンプスタッフが大切にしている派遣社員へのサポート

パーソルテンプスタッフでは、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の基、担当社員による直接のサポートやデジタルツールを活用しさまざまな方法で派遣社員をサポートしています。

定期的な派遣社員との面談

パーソルテンプスタッフでは、担当社員が派遣先企業への訪問や電話を通じて、派遣社員との面談を定期的に実施しています。この面談では、派遣社員の就業状況を確認するとともに、就業に関する不安や問題を早期に発見し、安定した就業環境を提供することを目指しています。面談のタイミングは、就業開始時、就業開始後1週間、そして1ヶ月後など、必要に応じて計画的に実施しています。

派遣社員と円滑なコミュニケーションのためアプリでサポート

派遣社員が派遣先企業で安定的かつ、円滑な業務遂行を実現するために、派遣社員が迅速に連絡できるように専用のアプリをご用意しています。こちらはお仕事サポートアプリとなっており、悩みが発生した際に連絡しやすいという点が特徴です。チャット形式で仕事の状況や気持ちをスタンプで気軽に回答することができ、担当社員にすぐに相談できます。そのため派遣社員の悩みや緊急時のトラブルなど迅速に受け答えることができ、派遣社員の不安を解消できるツールとなっています。

困ったら人材派遣会社に相談する

本記事では派遣社員の退職理由から企業が取り組むべきポイントを解説してきました。 本記事ポイントを実践し未然に派遣社員との認識相違を防ぐことも重要ですが、実際に派遣社員とのトラブルが起きた場合や派遣社員に対してのコミュニケーションの取り方について分からない場合は人材派遣会社に相談することも重要です。小さな悩みから、複雑なトラブルまで人材派遣のプロである人材派遣会社に相談することが最適な解決方法である時もあります。

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監修者

HRナレッジライン編集部

HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。

編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。

法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。

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