【セミナーレポート】
人、カルチャー、組織を強化する ー 中期経営計画実現の基盤となる新たな「人材戦略」ー　

コカ･コーラ ボトラーズジャパン株式会社 執行役員
最高人事責任者 兼 人事・総務本部長
東 由紀 氏

経営戦略を実現する人事戦略と推進の仕組みづくり

当社は全国にある12のボトラーの統合を経て、2017年4月に14,000人規模の企業として誕生しました。売上高はアジア最大級となり、さまざまなチャレンジを行うなか、組織の最適化や人材の採用、能力開発、育成、定着に向けた基盤を構築してきました。
2024年からは「未来に向けて活動の浸透と徹底」をテーマに掲げ、中期経営計画の実現と持続的なビジネスの成長に対し、人的資本の観点から貢献するという戦略を図っています。ここでは「人事戦略と経営戦略をどう結びつけるのか」というストーリーづくりに重点的に取り組みました。
その結果、「人材」「カルチャー」「組織」のあるべき姿を実現することを通じて持続的なビジネスの成長に貢献することで、中期経営計画を実現に導くことを目指しました。さらにビジネスが直面する人的資本の課題を人事戦略の５つの重点エリアとして「事業継続に必要な現場の人手確保」「人材の採用・育成・定着促進」「パフォーマンスを重視するカルチャーの浸透」「変革のためのケイパビリティ強化」「個々人の主なキャリア構築」を目標に開示しました。中期経営計画に「人的資本の強化」というKPIを設定することは、経営層が人事戦略の実現にコミットし、確実に遂行するというメリットがあります。

人材、カルチャー、組織の目指す姿を実現する施策

人事戦略の重点エリアの一つ「変革のためのケイパビリティ強化」では、事業の変革を主導するスキルの強化を行いました。その一環として、変革を導き牽引していく次世代リーダーの育成を目指すため、選抜制のコカ･コーラユニバーシティジャパン（CCUJ）を2020年に設立しました。キー人材は各部門の人材会議にて選定し、パフォーマンスと共にイノベーションや戦略的思考など5つの「Leadership Capabilities」でポテンシャルを評価します。CCUJの共通のテーマは「変革をリードする！」とし、インプットとアウトプットを反復し、経験学習サイクルを回すことで、変革リーダーとしての知見やマインドセット、経験を習得していきます。
また、「個々人の主体的なキャリア構築」では、目指す人材の姿「自身の能力開発とキャリアへの強い自律性」などへの支援として、キャリアプラン（CP）と能力開発プラン（DP）を用意しています。CPでは短期、中期的に目指すキャリアを検討し、DPでは自身の強みや改善点を把握し、アクションプランを策定します。さらに上司との定期ミーティングを通じ、自律的なキャリアの実現を支援していくのが特徴です。

まとめ

人材、カルチャー、組織を変革するためには、まず経営戦略と人事戦略をつなげるストーリーを構築することが重要です。また、成果と進捗を測るためにKPIを設定することで、定期的に進捗を確認できるうえ、遅れている場合には解決策を検討する実行サイクルを回すこともできます。これにより、人事戦略の実現に対し、経営のコミットメントを得ることが可能となります。人事戦略に取り組むうえでは、新たな挑戦と成長を楽しむことが理想的です。会社の成功への貢献と自身の成長を通じて楽しむことができれば、人事としての大きなやりがいを得られるでしょう。

Profile

コカ･コーラ ボトラーズジャパン株式会社
執行役員 最高人事責任者 兼 人事・総務本部長
東 由紀 氏

金融機関でセールスやマーケティングの業務に従事。2013年に人事へとキャリアチェンジ後、グローバル部門の人財開発、評価昇格制度、ダイバーシティ＆インクルーションを統括。2020年にコカ･コーラ ボトラーズジャパン入社後、人財開発部長として人財育成と採用、評価制度を担当。その後、社長補佐を経て、2023年4月より人事･総務本部 ピープル･エクスペリエンス＆リレーション統括部長。9月より現職。

スペシャルコンテンツ一覧を見る