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リーダーシップとマネジメントの違いは?事例やスキルを育むポイントも解説
公開日:2025.01.29
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リーダーシップとは、組織を目標達成に導く力を指します。また、マネジメントとは、組織に成果を上げさせるための理論のことです。
本記事では両者の違いや共通点のほか、企業の取り組み事例を紹介します。
また、リーダーや管理職に必要なスキルや、スキルを育むポイントも解説します。
リーダーシップとマネジメントは異なるもの
リーダーシップとマネジメントは、どちらもビジネスにおいてよく使われる言葉です。この2つは混同されることも多いですが、互いに異なる意味を持っています。
ここでは2つの言葉の定義と、相違点・共通点を紹介します。
リーダーシップとは?
リーダーシップとは、仕事やスポーツなどで、チームを目標達成に向けて導く力のことです。指導力または統率力と表現されることもあります。
リーダーシップに明確な定義はないものの、「ビジネスコンサルタントの創始者」とも呼ばれるピーター・ドラッカーが提唱するリーダーシップ論が有名でしょう。ドラッカーはリーダーシップを「信頼から従う人がいること」と定義しています。また、その一方で「リーダーシップとは、持って生まれたカリスマ性ではなく、やるべき『仕事』だ」といった主張もしています。
これはつまり、組織の目標達成のために仕事として課題解決やメンバーの支援に真摯に取り組み、その結果として、周囲からの信頼を獲得していくという考え方です。
なお、自分の倫理観や、大事にしている価値観に根ざした「オーセンティック・リーダーシップ」という考え方も存在します。
「オーセンティック・リーダーシップ」については、以下の記事で詳しく紹介しています。
>>自分らしさで人を導く「オーセンティック・リーダーシップ」
マネジメントとは?
マネジメントとは、組織を管理することを意味する言葉です。管理する対象は、社員を含めた企業の資産・資源・リスク・計画など多岐に渡ります。
なお、前項で述べたドラッカーは、マネジメントをより具体的に「組織に成果を上げさせるための機能」と定義しています。例えば、「会社の強みを活かして利益を生み出すための仕組み」がマネジメントに該当するといえるでしょう。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップは、チームの目標に向けてメンバーを導く力です。これは、管理職に限らず必要なスキルだといえます。チームの目標に向けて動き、周囲からの信頼を獲得する人物が多いほど、チームの生産性が向上すると考えられるためです。
一方、マネジメントは、管理職にとって必須業務です。チームが目標達成に向けてパフォーマンスを発揮できるような仕組みを構築し、課題があれば改善するなど「管理・運用」を行うことが、管理職に求められる役割だからです。
リーダーシップとマネジメントの共通点
リーダーシップとマネジメントの両者の間には、共通点もあります。具体的には、以下のようなポイントが挙げられるでしょう。
- チーム・組織の目標を適切に理解すること
- 目標達成に向けて、日々どのように行動したら良いかを考えて、実践に移すこと
- 周囲のメンバーと積極的にコミュニケーションを取ること
- チーム・組織全体で成長できるよう、行動の改善を日々積み重ねていくこと
どちらも、組織の利益を追求して周囲にはたらきかける点は同じだといえます。
リーダーシップやマネジメントの重要性
企業は、リーダーシップとマネジメント能力の双方を身につけた人材を確保するべきです。その主な2つの理由について解説します。
労働力不足問題への対応
今、多くの企業で人材不足が課題となっています。厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」によると、さまざまな産業において2011年から人材不足の状況が続いていることがうかがえます。その対策として、生産性の向上が求められているのです。
生産性を向上させるためには、社員一人ひとりが目標に対して主体的・自律的に考えて行動することが重要です。ここで役立つのが、「リーダーシップ」と「マネジメント」の能力だといえます。
社員一人ひとりがリーダーシップを身に付けていれば、少人数でも組織全体として目標達成に向けて進んでいく力は強くなっていくと考えられます。
また、メンバーのパフォーマンスを俯瞰で見渡して管理・運用するマネジメントの役割を持った人材も、組織全体で生産性を上げるためには必要だといえるでしょう。
成果主義の導入
昨今は、年功序列ではなく成果を重視する企業が増えています。
成果主義を導入している場合は特に、リーダーシップとマネジメント能力が役立つといえるでしょう。
リーダーシップもマネジメントも、目標を達成するために周りを巻き込みながら自主的に行動する能力です。成果主義にはこの2つの要素が問われるため、リーダーシップやマネジメント能力が重要なのです。
リーダーシップとマネジメントに求められるスキル
リーダーシップとマネジメントの両者には共通点もあり、いずれも組織の利益を追求して周囲にはたらきかける点は同じだといえます。
ここからは、リーダーシップとマネジメントに求められるスキルをそれぞれ紹介します。
リーダーシップに必要とされるスキル
リーダーシップを発揮するために必要とされるスキルとして、主に以下3点が挙げられます。
コミュニケーション力
リーダーシップは周囲を巻き込み、目標達成に取り組む能力です。周囲を巻き込むためには、コミュニケーション力が必須となります。
例えば、周りのモチベーションを上げる声かけや、悩んでいるメンバーに対して、悩みを解消するきっかけづくりなどが挙げられます。周囲から信頼を得ることは、ピーター・ドラッカーのリーダーシップの定義にも当てはまります。
部下とのコミュニケーションについてはこちらのコラムをご覧ください。
>>なぜ伝わらない?タイプ別に攻略!「部下とのコミュニケーション」
目的を理解する力
ビジネスの目標達成に向けて「KPI(Key Performance Indicator)」を設定し、その達成度合いを追跡し、ゴールを目指している企業も多いでしょう。
KPIについて「何を達成すべきなのか?」「なぜ達成を目指すことが重要なのか?」を理解し、日々の行動に落とし込める力が、リーダーシップを発揮するために必要です。目標達成に向けて、どう行動したらよいか一人ひとりが考えて、自発的・自律的に行動できなければ、チーム・組織全体で生産性は上がらないからです。
決断力
リーダーにとって決断力は非常に重要なスキルとなります。チーム・組織内のメンバーと日々協力して業務を推進し、成果の達成度合いを確認するプロセスも重要です。成果を率直に評価して「このまま取り組みを続けるか、やめるか」あるいは、「少し改善を加えて行動をアップデートするか」など、決断しなくてはなりません。
さらに、「取り組みに改善を加えて、行動をアップデートしていく」と決めたならば、改善策を迅速にアクションに落とし込む、実行力も不可欠だといえるでしょう。
マネジメントに必要とされるスキル
マネジメントに必要とされる主なスキルとして、以下の3つを紹介します。
目標設定と計画立案力
管理職には、チームが進むべきゴールを定め、具体的な目標を設定する能力が求められます。これには、長期的なビジョンを短期的な目標に落とし込み、それを達成するための実行可能な計画を立案する力も含まれます。
目標は明確で、数値によって測定可能であり、なおかつ、メンバーがその意義を理解でき、モチベーションを維持・向上させられるものでなければなりません。
状況を把握する力
管理職はビジネスの進捗状況を管理し、パフォーマンスを改善していくことが役割です。 その大前提として、チーム・組織の状況を常に正しく把握している必要があります。
もし、現状の認識が誤っていると、何か取り組みを進めようとしても誤った道筋を描いてしまったり、行動にムダが出たりして、効率よくゴールに向かうことができないでしょう。
よって管理職には「まずは自らが、チーム・組織の状況を正しく理解し、なおかつ、状況に応じた指示を出す力」が必要だといえます。
人材育成力
優れた管理職は、メンバーの能力を引き出し、成長を後押しする能力を持っています。具体的には、メンバーの一人ひとりの強みと弱みを理解し、適切な指導やフィードバックを提供する取り組みが重要です。
また、メンバーにあらたな目標へ挑戦する機会を与え、彼らのスキルと自信を向上させることも重要です。
「部下育成」については、こちらのコラムをご覧ください。
>>管理職は悩ましい…!「部下育成」はどうしたらうまくいく?
スキルを育む上で有効な研修の実施
リーダーシップやマネジメントスキルを育むために、社員に研修に参加してもらうことは有効な策です。研修の実施方法として「社外研修」「社内研修」「オンライン研修」の3つが考えられます。
社外研修
「社外研修」とは、リーダーシップやマネジメントのノウハウをレクチャーしている会社が主催するセミナーなどに参加することです。ビジネスパーソン向けのセミナーは、日中など業務時間内の開催が多い傾向があります。
社内研修
「社内研修」とは、社員が登壇し、他の社員の前でキャリアに関する体験談などを講演してもらうことなどが考えられます。
管理職が、通常業務と並行して担当することになるため、発表内容の準備に時間や手間がかかる可能性があります。しかし、身近な人から体験談を聞けることは、社員にとって参考になる側面も大きいでしょう。
また、自社に社外講師を招いて講演してもらう場合も考えられます。その場合、講演内容の準備はアウトソースできますが、講師との予定調整の手間や、依頼料が必要となります。
オンライン研修
「オンライン研修」は、社員にオンライン上で研修動画などを各自視聴する研修方法です。ビジネスパーソン向けのe-ラーニングなどを会社で契約して、社員の好きな時間に動画を見て学ぶことができます。
サービスの契約コストはある程度かかるものの、比較的迅速に学習体制を導入できて、なおかつ社員の都合に合わせて視聴できるため、時間を有効活用できるメリットもあるでしょう。
リーダーシップやマネジメント能力を持つ人材の採用には「人材紹介」がおすすめ
「管理職が退職してしまい、リーダーや管理職に就ける即戦力を求めている」という場合には、「人材紹介」のサービス活用も検討してみるとよいでしょう。
人材紹介とは、人材会社の紹介を通して自社の採用を行うサービスのことです。例えば、「経理スキルとリーダーシップを兼ね備えている」など、企業が希望する要件に合う人材を紹介してもらうことが可能です。通常の人材派遣では、派遣社員を自社で採用することができませんが、人材紹介の場合は企業とその人材の間で雇用契約を結び、自社の社員として迎え入れられます。
人材紹介を利用することにより、採用活動の効率が向上し、採用にかかる経費も軽減できると期待できます。
人材派遣と人材紹介の違いについて以下の記事でも解説していますので、あわせてお読みください。
>>人材派遣と人材紹介の違い|特徴とメリット、利用シーンを分かりやすく解説
まとめ:リーダー、管理職人材確保は生産性向上のために重要
本記事では、組織内におけるリーダーシップとマネジメントの重要性について解説しました。
リーダーシップおよびマネジメント力を持った人材確保は、組織の生産性を上げるためにとても重要な取り組みだといえます。
もし、リーダーや管理職が務まる人材の不足や教育に時間をかけられないことに悩んでいる場合、ぜひ「人材紹介」のサービス活用なども検討してみてください。パーソルテンプスタッフでは、人材紹介のサービスもご提供しており、「管理職として即戦力を発揮できる人材を求めている」といったニーズにも対応可能です。人材に関するお困りごとは、お気軽にご相談ください。
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