HRナレッジライン

カテゴリ一覧

職場環境とは?社員のストレス原因と要素ごとに改善方法をご紹介

公開日:2023.09.14

更新日:2024.01.29

企業の課題

企業において社員を取り巻く環境を「職場環境」と言います。照明や空調、レイアウトなどの物理的な環境だけでなく、人間関係のような精神的な環境も職場環境の一つです。良好な職場環境は生産性の向上や離職率の低下などにつながるため、整備を検討している方も多いでしょう。

そこで今回は職場環境を構成する要素やストレスの原因について解説すると共に、改善方法もご紹介します。職場環境の整備を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

職場環境とははたらく人が仕事を行う環境のこと

職場環境とは「就業環境」「仕事環境」とも呼ばれ、社員が携わるあらゆる環境を意味します。職場の照明や空調の具合、騒音、清潔さなどの室内環境に加えて、同僚や上司との人間関係も職場環境の一つです。

一般的に、多くの社員は職場で大半の時間を過ごすため、職場環境が整っていないと心身ともに健やかな日々を送れません。一方で良好な職場環境の中で業務を遂行できれば、生産性向上や離職率の低下につながるでしょう。

このように、職場環境は社員が快適にはたらく上で重要な要素です。業績不振やコミュニケーション不足などの課題を抱えている企業は、職場環境を見直すことで課題解決につながる可能性があります。

事業者に求められる職場環境に関する配慮義務

事業者に求められることは「職場環境配慮義務」に対応することです。職場環境配慮義務は、労働契約法で定められている「安全配慮義務」に含まれており、違反すれば損害賠償請求を受ける可能性があります。こうしたリスクを回避することはもちろん、社員が心身ともに安心して健康的にはたらくためにも、事業者は職場環境に関する配慮義務を理解しておくことが大切です。

快適な職場環境形成のための措置

厚生労働省では「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」において、快適な職場環境を形成するための措置として、以下の4つの柱を設けています。

  1. 作業環境の管理
  2. 作業方法の改善
  3. 心身の疲労回復を図るための施設・設備の設置と整備
  4. その他の施設・設備の維持管理

事業者はこれらの指針をもとに、職場環境を整えることが望ましいとされています。特に近年はテレワークの浸透により、職場環境に対する意識が希薄になりがちです。しかし、社員同士の心の距離ができやすい状況だからこそ、より一層職場環境を整えて、コミュニケーション不足の解消やモチベーション低下の防止を目指す必要があります。

作業環境の管理

気温や湿度、照度、騒音が影響する作業環境は、社員の疲労やストレスに直結する要素です。

例えば真夏にもかかわらず空調を稼働させていない場合、熱中症を引き起こす原因になりかねません。また、適切な湿度が保たれていないと不快感が増す他、カビの発生や体調不良につながるでしょう。

社員が快適にはたらくためには、温度や湿度の管理を徹底して行う必要があります。その他、細かい作業を行う際に照度が不十分だと、視力に影響を与える可能性が考えられるため、作業レベルに合わせた照明を活用することも重要です。

このように、作業環境において社員が不快に感じる要素がある場合は、適切に管理することが求められます。

作業方法の改善

職場環境を整えるためには、作業環境の管理に加えて作業方法の改善も重要なポイントです。

例えばデスクワークを主に行う社員は、一日の大半を椅子に座って過ごします。同じ体勢を長時間続けると、心身に負担がかかる可能性があり注意が必要です。そのため定期的にストレッチしたり、立ちながら仕事ができるタイプのデスクを採用したりするなど、作業方法を見直す必要があります。

心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置と整備

誰でも毎日業務を遂行していれば心身の疲労が溜まるものですが、疲れた状態ではたらいても効率よく作業ができません。そのため、事業者は社員の心身の疲労を回復させるための取り組みを実施する必要があります。

こうした中で、近年注目を集めている設備がリフレッシュルームです。社員の作業効率や満足度の向上を目指して、休憩できるスペースを設ける企業が増えています。例えばリラックスできる椅子やソファーを設けたり、カフェのような什器を用いたりするなど、レイアウトを大幅に変更しなくても小さな工夫でリフレッシュルームを取り入れることが可能です。

その他の施設・設備の維持管理

社員が活用するスペースは、業務のための部屋だけではありません。例えばトイレや更衣室、食事する休憩スペースなども挙げられます。こうした業務に直結しない施設や設備の維持管理も、事業者に求められる配慮義務の一つです。

例えば、社員数に対してトイレが極端に少ないと不便が生じるでしょう。社員がストレスなく快適に過ごすためには、社員数に応じたトイレを設けたり、清潔感に配慮したりする必要があります。

また社員の利便性を考えて給湯室や談話室などを設けると、より快適な職場環境の構築が可能です。

社員のストレスチェック

2015年12月1日に、厚生労働省により「ストレスチェック」が制度化され、社員が50人以上の企業は毎年1回すべての社員に、この検査を実施することが義務付けられました。ストレスチェックとは、社員に対してストレスに関連したアンケートを出し、実施者が行う集計・分析によって状態を調べる簡易的な検査です。

ストレスチェックを通して社員自身のストレスへの気づきを促すだけでなく、事業者は提供された情報をもとに、職場環境の改善に向けた施策を取れます。ストレスチェックを活用した速やかな対処ができれば、精神的な不調を未然に防止することが可能です。

職場環境を構成する要素とストレスの原因

職場環境を構成する主な要素は4つです。この要素を良好な状態に保てなければ、社員のストレスにつながるため注意が必要です。それぞれの要素について詳しく解説します。

室内・作業環境

快適に業務を遂行するためには、室内や作業環境の整備が大切です。例えば動線が確保されていないスペースでは、効率よく作業できないため生産性が下がるでしょう。加えて、物があふれた状態だと作業できるスペースが狭くなり、閉塞感からストレスにつながることも考えられます。

また、定期的に換気することもポイントです。換気が行われていない空間は空気が停滞しやすく、健康被害を及ぼす要因となります。

その他、作業環境だけでなくパソコンやインターネット環境、什器などの設備・整備も重要です。

仕事の負荷

社員がスムーズに作業を進めるためには、本人のスキルや力量を考慮した仕事量に調整する必要があります。経験値をはるかに超えた仕事や、一人では対応しきれないほどの仕事量を任せてしまえば、社員に大きな負荷がかかりストレスの原因になりかねません。一方であまりにも負荷が軽い業務も、社員のやりがいを削ぐ可能性があるため注意が必要です。

職場環境を整備する際は社員の力量を正しく把握し、適した役割を任せるとよいでしょう。

人間関係

職場環境の中でも、社員のストレスに大きく影響する要素が人間関係です。上司や同僚との関係性が良好に保たれている職場では社員の帰属意識が高く、活発な意見が交わされるため、生産性の向上が期待できます。一方で人間関係が構築できていない状況では、コミュニケーション不足が発生しやすく、強いストレスを感じる社員が増えるでしょう。

仕事の自由度・裁量権

業務に関する意思決定がある程度自由にできることも、職場環境を整える上で重要な要素です。従来の企業では、上司の指示に従って業務を遂行するケースが一般的でした。そのため「やらされている」と感じる社員が多く、モチベーションの向上が維持できないという課題を抱える企業も多く見られました。

働き方改革が進み、個人の価値観が重視される昨今、仕事の自由度や裁量権にも留意する必要があります。適度な裁量権があり、個人の価値観が尊重される職場環境が整備されると、社員の自主性が芽生えて生産性向上が期待できるでしょう。

このように職場環境の整備は社員のストレスに大きく影響します。職場環境が悪く社員のストレスが溜まれば、生産性の低下や社員の離職につながりかねません。不利益を被らないためにも、職場環境は適切な状態に保つことが大切です。

職場環境を改善する方法

社員が快適にはたらける環境を保ち、生産性向上や離職率の低下を目指すのであれば、職場環境を整える必要があります。職場環境を整える方法は多岐にわたりますが、状況に合わせた手段を選ぶことが大切です。主な方法として、以下の4つを解説します。

室内・作業環境への施策

オフィスは社員が長時間過ごす場所であるため、いかに快適な状態に保つかが重要です。例えば社員の業務内容を踏まえて適切な動線を確保し、効率的に動けるレイアウトを検討する必要があります。また空調や照明などにも留意し、適度な温度や湿度、明るさを保つとよいでしょう。

加えて、設備や備品の管理も適切に行うことが大切です。単純にパソコンや什器などを用意するだけでなく、定期的にメンテナンスを実施し、いつでも快適に作業できる状態に整える必要があります。

ファシリティマネジメントを行う

経営資源を最適化させることをファシリティマネジメントと言います。「ファシリティ」とは企業活動において欠かせない施設や財産を意味し、「人材」「資金」「情報」に次いで重要な経営資源です。具体的には土地や建物、環境などを指し、これらを適切に管理することで社員が安心してはたらける環境づくりを行います。

例えば定期的に施設を点検し、必要に応じて修理や修繕をすることもファシリティマネジメントの一環です。施設や設備が破損した状態では、社員の業務にも影響が出てしまいます。ファシリティマネジメントによって職場環境が適正な状態に保たれると、業務の遅延や事故の発生などを未然に防ぐことが可能です。

ファシリティマネジメントについてはこちらで詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
>>ファシリティマネジメントの必要性と具体例を分かりやすくご紹介

仕事の負荷への施策

社員に必要以上の負荷がかかっていると感じる場合は、以下のような施策を実施する必要があります。

社内育成制度を強化する

企業が成長する上でスキルの高い人材は重宝しますが、力量が伴わない状態で負荷の高い仕事を任せると、強いストレスを与えかねません。

力量に合わせた仕事を任せるためにも、社員のキャリアパスに沿って専門知識を深める研修や資格取得、キャリアアップに向けた研修などを実施することが大切です。社員のスキルが向上すれば、これまで負担に感じていた業務でも円滑に対応できるようになります。

良好な職場環境の構築に向けて、社内育成制度を強化することが大切です。

ICTを活用し業務を効率化する

市場が著しく変化し、多様なはたらき方が重視される昨今、企業が成長を続けるためには効率化を目的とした職場環境の改善が欠かせません。そこで活用できる手段として、Web会議システムやチャットツール、ナレッジ共有ツールに代表されるICT(Information and Communication Technology)が挙げられます。

近年、同じ空間で顔を合わせてはたらく形態ではなく、テレワークを採用する企業が増加しました。こうした中でタイムリーに情報共有が行えるICTツールは、生産性を向上させる上でも重要な手段です。

サポートデスクを活用する

社内外からのお問い合わせに対応するサポートデスクを活用する手段も、職場環境の改善につながります。

社外向けのサポートデスクは、お客さまからの疑問や不明点を速やかに解決する役目があり、設置することで顧客満足度の向上が可能です。社外向けのサポートデスクが設置されていない状態では、お問い合わせごとに内容を精査した上で、専門部署と連携を図りながら対処する必要があります。その場合、本来の業務との並行対応だけでなく、回答できる社員が限定されれば属人化にもつながるでしょう。

社外サポートデスクを設置することで、あらゆるお問い合わせをサポートデスクの担当者でカバーできるため、社員は本来の業務に注力することが可能です。

また、社内向けのサポートデスクは、日々の業務の中で社員が抱える課題を解決に導きます。社内向けのサポートデスクがなければ突発的なトラブルに対処できず、業務が滞るケースも少なくありません。窓口がないことで、どこに相談すればよいか分からず、ストレスを抱える社員も多いでしょう。

一方で社内向けのサポートデスクは総務コンシェルジュとしての役割も果たしており、窓口が一本化されることで社員が相談しやすくなります。トラブルが円滑に解決されれば、業務に支障をきたすこともなく社員の負担も軽減されるでしょう。

サポートデスクについては、こちらでさらに詳しくご説明しています。
>>サポートデスクとは?メリットや業務効率化に役立つポイントをご紹介

人間関係への施策

職場環境を改善するにあたって、大きなウェイトを占める点が人間関係です。人間関係を改善することで、職場環境の改善にもつながります。人間関係への施策として2つ解説します。

メンタルヘルスケアを実施する

職場環境において、社員が受けるストレスの原因は物理的な環境によるものや人間関係など多岐にわたります。精神面を整えるためには、まず社員自身がストレスを感じていることを自覚し、対処することが重要です。

なお仕事量や労働時間、企業から課せられる責任など、社員だけでは対処できない原因も少なくありません。そこで事業者に求められる取り組みが社員のメンタルヘルスケアです。

日常的な観察や社員からのヒアリングをもとに、ストレスの要因を具体的に把握した上で、改善計画を立てる必要があります。計画を実践した結果、改善が見られない場合は再度見直すことが大切です。

こうした丁寧なメンタルヘルスケアの取り組みによって、社員の心身の不調を未然に回避しやすくなります。

社内アンケートを実施する

社員の本音を知り、職場環境の改善に活かすために役立つ手法が社内アンケートの実施です。「従業員満足度調査」や「エンゲージメントサーベイ」とも呼ばれ、定期的な実施により、職場環境の改善に必要な項目を選定しやすくなります。

社内アンケートを実施する際は、目的を明確にすることが大切です。目的が不明瞭なままアンケートを実施しても、効果的な改善策が立てられません。また質問数が多過ぎると、社員が面倒に感じる可能性があるため、重要性の高い質問のみに絞るとよいでしょう。

紙媒体によるアンケートは匿名性が確保されにくく、抵抗を感じる方も少なくありません。回答率を上げるためにもICTツールをうまく活用して、回答しやすい工夫をする必要があります。

仕事の自由度・裁量権への施策

従来の企業では上層部が裁量権を持っており、社員は上司の指示に従って業務を遂行するケースが一般的でした。しかし、はたらき方の多様性が重視される昨今は、自由度の高さや裁量権の柔軟さが、就職先を選ぶ際の判断材料の一つとなっています。

産業ストレスの研究者であるロバート・カラセックは、裁量権の低さが社員のストレスにつながると提唱しました。つまりストレスの軽減を図るには、裁量権を柔軟に拡大できる職場環境の整備が肝要です。

仕事の自由度と裁量権に関する施策として、以下の2パターンが挙げられます。

個人の意見や考えを活かせる体制をつくる

仕事の自由度を高めて裁量権を拡大させるには、個人の意見や考えを尊重することが大切です。役職や年齢を問わず、自分の意見を発表できる環境が構築されると、さまざまなアイデアが飛び交うようになります。

例えば現場で起きている課題は、上層部だけの意見を取り入れても解決できません。現場を担当する社員の意見や考えを活かすことで、より柔軟な対応ができるでしょう。また社員の意見がきっかけで課題解決につながれば、自律性向上が期待できる他、仕事に対する達成感を得やすくなります。

主体性や独自性を引き出すマネジメントを実施する

多様な人材が集まる企業において、各社員が自分のスキルや個性を存分に発揮できる環境の整備は、事業を円滑に進める上で重要なポイントです。こうした環境を整えるためには、事業者が社員の主体性や独自性を引き出すマネジメントを実施する必要があります。

AIやテクノロジーの進化に伴い、将来を予測することが困難な今、事業主や管理職だけに判断を任せていては迅速な対応ができません。現場を守る社員にとって速やかな対応ができない状況は、ストレスに直結するでしょう。一方で事業主が社員を信頼して任せられる環境が整い、社員自身が主体性や独自性を持って行動できれば、予期せぬ出来事が起こった場合でも対応しやすくなります。

またさまざまな経歴やスキル、背景などを持つ社員の独自性を引き出すことで、これまでには思いつかなかったようなアイデアや視点が生まれ、生産性の向上も期待できるでしょう。

職場環境を整えることで社員が快適にはたらける会社を目指す

職場環境の整備は、社員がストレスなく快適にはたらく上で必要な取り組みです。また、社員が心身ともに健やかな状態ではたらくことで、企業全体の生産性向上にもつながります。

職場環境が整わず、社員のモチベーション低下が課題となっている場合、早急な環境整備が急がれます。しかし、従来の職場環境が浸透しきっている状態では、何から始めればよいか分からない方も多いでしょう。スムーズに職場環境を整備するためには、アウトソーシングの活用もおすすめです。

パーソルテンプスタッフでは、室内・作業環境への施策として行うファシリティマネジメントの一部である、施設・備品管理を総務アウトソーシング・BPOとしてお引き受けしており、多くのお客さまにご選択いただいています。その理由として、緻密な業務調査・設計をした上で、お客さまに合わせた運営体制を構築し、継続的な業務改善に取り組む点が挙げられます。また、業界最大のビジネススケールと対応力によって、業務分野に沿った提案が可能です。総務アウトソーシング・BPOサービスの活用をご検討の方は、ぜひパーソルテンプスタッフにご相談ください。

以下のページには、総務アウトソーシングの詳しいご説明や、実際にパーソルテンプスタッフのサービスを導入された企業様の事例を載せております。併せてご覧いただければ幸いです。

おすすめの記事