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派遣社員の契約終了時に派遣先がすべきことは?契約終了の伝え方や期日などをご紹介
公開日:2025.04.11
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人材派遣の契約が終了となる場合には、契約期間が満了し更新されないことや、派遣可能期間の制限に達するなど、いくつかのパターンがあります。
また、派遣契約を終了する際は、派遣先企業は契約を更新しない旨の通知や、派遣社員の評価の報告などの対応が必要です。
この記事では、派遣契約終了までの流れや派遣先企業がすべきこと、留意点などについて解説します。
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人材派遣の契約終了までの流れ
一般的に、派遣契約は3ヶ月単位など一定の期間ごとに更新されます。人材派遣会社は派遣期間終了の1ヶ月以上前までに、派遣先企業に当初の契約通りの期間で終了するか、もしくは更新するかを確認します。
同時に、人材派遣会社は派遣社員にも契約の継続について意思を確認します。派遣先企業と派遣社員の双方が更新を希望すれば、同じ派遣先企業での派遣契約が継続し、契約を更新しない場合は、派遣期間の最終日をもって満了となります。
派遣社員の勤務開始から契約終了までの一連の流れは、以下の通りです。
- 派遣先企業での就業開始
- 派遣期間の終了
- 派遣先企業と派遣社員の双方どちらかが、契約延長を希望しない場合契約終了
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人材派遣が契約終了となるケース
派遣スタッフが契約終了となるケースとして、主に以下の3つがあります。
- 契約期間の終了
- 派遣社員の都合
- 派遣先企業の都合
それぞれについて解説します。
契約期間の終了
契約期間の終了には、2つのパターンがあります。1つは、契約当初に定められていた期間が満了となるケースです。例えば、契約期間が4月1日~6月30日と設定されていて、契約が更新されなかった場合、そのまま契約は終了となります。
もう1つは、派遣可能期間の制限に達した場合です。労働者派遣法では、同一の派遣先において継続して派遣社員を受け入れることができる期間(派遣可能期間)は原則3年までと定められています。2015年年9月30日に「労働者派遣法改正法」が施行されて、この期間制限が設けられました。
派遣先企業と派遣スタッフが契約更新を望んでいたとしても、派遣可能期間を超えて就業し続けることはできません。
ただし、以下の例に当てはまる場合は期間制限の対象外となります。
- 期限の設けられた有期プロジェクトに従事し、仕事の終了日が定められている
- 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下である)
- 出産前後、育児、介護により休業している社員の代わりとして派遣されている
- 派遣元で無期雇用されている
- 60歳以上である
派遣可能期間の制限についての詳しい内容は、こちらの記事でご参照ください。
>>派遣法の3年ルールとは?概要や対象外となるパターンなどを解説
派遣社員の都合
派遣社員が契約の更新を希望しない場合は、契約終了となります。例えば、出産や子育て、介護といった家庭の事情や、自身の健康状態によって、勤務が難しくなったなどのやむを得ない理由が考えられるでしょう。
派遣先企業の都合
派遣先企業の都合により契約が終了するケースもあります。派遣先企業があらたに社員を採用した、繁忙期が落ち着いて社員だけで業務に対応できるようになった、などの事情が考えられます。
契約終了時に派遣先がすべきこと
ここでは、人材派遣の契約終了時に派遣先企業がすべきことについて、契約期間満了の場合と途中解除の場合に分けて解説します。
契約期間満了の場合
契約期間満了の場合に派遣先企業がすべきことは以下の2つです。
- 人材派遣会社に派遣社員の評価を報告
- 派遣スタッフへの感謝を伝える
それぞれについて、解説します。
人材派遣会社に派遣社員の評価を報告
派遣社員と雇用契約を締結しているのは人材派遣会社ですが、派遣先企業に派遣社員の評価に関する協力が求められることがあります。
厚生労働省は2020年4月に労働者派遣法を改正し、「同一労働同一賃金」の原則を施行しました。これは非正規労働者の労働条件を改善し、不合理な待遇差をなくすことを目指したものです。
この改正により、派遣社員に対しても、派遣先企業の社員との賃金などの差をなくし、公平な待遇を確保することが求められました。そのため人材派遣会社が派遣社員を評価し、賃金を決定することが義務付けられています。
ただし、派遣社員を公正に評価するためには、実際に派遣社員が就業している派遣先企業からの情報提供が必要です。また、派遣先企業には人材派遣会社からの派遣社員の業務遂行状況などの情報提供の求めに応じる配慮義務が課せられています。
※参考:厚生労働省|派遣先の皆さまへ
派遣社員への感謝を伝える
派遣契約終了を告知する際には、伝え方も重要です。雇用主は人材派遣会社のため、契約終了については人材派遣会社から派遣社員に告知します。
人材派遣会社から派遣社員に契約終了の旨が伝えられたことを確認してから、派遣先企業からも派遣社員に直接感謝の気持ちを伝えましょう。「これまで本当にありがとうございました」「最後までよろしくお願いします」などと声をかけることで、引継ぎもスムーズに進めることができるでしょう。
契約を途中解除する場合
原則として、派遣先企業が契約期間の途中で契約を解除することはできません。しかし、経営難による事業縮小や倒産リスクなどのやむを得ない事情がある場合は、以下の条件を満たすことで途中解約の申し入れができます。
- 契約内容に従って人材派遣会社との合意を得ること
- 相当の猶予期間をもって、人材派遣会社に解除の申し入れを行うこと
派遣契約を途中解約する際は、厚生労働省が定める「派遣先が講ずべき措置に関する指針」に基づき、派遣先企業にはさまざまな措置を講じる義務が生じます。
契約終了の告知
派遣先企業が派遣契約の途中解除をする場合、人材派遣会社に相当の猶予期間(30日前まで)をもって途中解除の申し入れをし、了承を得る必要があります。この申し入れが遅れた場合、その間の賃金相当額を人材派遣会社に賠償する義務が生じます。
「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6(2)では、派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を、当該派遣元事業主に対し明らかにすることと定められています。
「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は法律上の義務ではないものの、違反すると都道府県の労働局からの指導監督の対象となります。
契約解除理由の明示
契約の途中解除の理由を人材派遣会社から求められた場合、派遣先企業には説明の義務が生じます。
「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6(5)では、派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うことと定められています。
あらたな就業先の確保などの対応
労働者派遣法において、派遣先企業は派遣契約を途中解除する場合、自社の関連会社といった代わりの就業先をあっせんするなど、あらたな就業先を確保することが求められます(労働者派遣法第29条の2)。
あらたな就業先が確保できない場合は、契約終了の少なくとも30日前までに人材派遣会社に途中解除の申し入れをすることが求められます。この申し入れが遅れた場合、派遣社員の30日分以上の賃金に相当する額を、損害賠償として人材派遣会社に支払う義務が生じます(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6(4))。
人材派遣の契約終了時の留意点
人材派遣の契約終了時の留意点として、以下の2つがあります。
- 契約更新しない旨を通知する期日を守るく
- 業務の引継ぎ準備などをしておく
それぞれについて解説します。
契約更新しない旨を通知する期日を守る
派遣契約を更新せず終了することは、契約の途中解除にはあたりません。しかし、「労働基準法第14条第2項」に基づき、契約を3回以上更新、もしくは勤務が1年以上継続した派遣社員の契約を終了する場合、契約終了の旨を30日以上前に伝えなければなりません。
つまり、派遣契約を更新するか否かは、遅くとも派遣期間終了の30日以上前には確定しておくよう配慮する必要があります。
業務の引継ぎ準備などをしておく
業務の引継ぎ準備は、以下のような流れで進めます。
- 引継ぎ事項を整理する
- 後任を手配する
- 引継ぎのスケジュールを立てる
- 引継ぎの資料を作成する
引継ぎ事項を整理する
まずは、現職の派遣社員が担当している業務の棚卸しを実施します。引継ぐべき内容の整理と説明を行います。
後任を手配する
引継ぎ事項を整理したら、誰に引継ぐかを決めます。すべての業務をそのまま後任に引継ぐのではなく、内容や量によっては一部を別の社員へ振り分けるなど調整しましょう。
引継ぎのスケジュールを立てる
現職の派遣社員から後任に直接引継ぎを行ってもらう場合は、現職と後任の派遣期間が重なるように調整することが必要です。
引継ぎの資料を作成する
現職の派遣社員が退職したあとに後任が見返すために、引継ぎの資料(マニュアル)を用意しておきます。引継ぎの資料の作成にあたっては、はじめてその業務を担当する人の視点で、誰が見ても分かるようにまとめることが大事です。
人材派遣の契約終了についてよくある質問
1.人材派遣の契約終了は何日前までに通知すべき?
労働者派遣法により、人材派遣会社は派遣社員に対して少なくとも30日以上前までに派遣契約の終了について通知する必要があります。そのため、派遣先企業から人材派遣会社に対する契約終了の申し入れは、遅くとも30日よりも前に余裕をもって行うことが求められます。
パーソルテンプスタッフでは、労働者派遣法の違反例をご紹介する資料をご用意しております。労働者派遣法に違反した場合の行政処分と注意が必要な事例にも触れています。ぜひご活用ください。
>>知っておきたい!労働者派遣法の違反例について分かりやすくご紹介
2.人材派遣の契約終了の伝え方は?
派遣先企業から人材派遣会社に対して契約終了を伝える方法は、書面での通知が一般的です。ただし、契約終了の通知に関する書式などは、法律で定められていません。一般的な契約解除の際に伝えるべき項目と同様に、以下のような項目を含めた書面を作成し、人材派遣会社に通知しましょう。
- 解約の対象となる労働者派遣契約の契約日
- 解約の対象となる労働者派遣契約の契約内容
- 契約解除日
- 契約解除理由
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人材派遣の契約終了時に派遣先企業がすべきことについて理解する
人材派遣の契約終了時には、派遣先企業は適切な対応を行う必要があります。契約期間が満了し、契約を更新しない場合には、人材派遣会社に対する派遣社員の評価の報告や、派遣社員に感謝を伝えることなどが必要です。
また、やむを得ない理由で派遣契約を途中解除する場合は、途中解除の申し入れや契約解除理由の明示、あらたな就業先の確保などが求められます。
派遣先企業がすべきことについて理解した上で、派遣契約の終了に必要な作業を滞りなく進めましょう。
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パーソルテンプスタッフは、約半世紀にわたり人材ビジネスに携わってきました。長年培ってきた経験やスキルを活かし、幅広い職種やニーズに対応した人材派遣サービスを提供しております。
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