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キャリアデザインの目的やメリットは?企業の取り組み方をご紹介

公開日:2024.07.29

企業の課題

はたらき方の多様化で、「なりたい自分」も多様化しています。
社員一人ひとりが、仕事上の将来目指す姿や目標を自分自身で設計していく考え方をキャリアデザインといいます。モチベーションや生産性の向上のメリットもあり、企業としてもぜひ促進したい取り組みです。
企業が社員一人ひとりのキャリアデザインに対しどのように取り組むかは、社員の満足度の観点からも非常に重要となっています。企業におけるキャリアデザインの必要性や目的について解説していきます。

キャリアデザインとは

自分の人生や、仕事上の将来目指す姿や目標を自分自身で設計していく考え方を、キャリアデザインといいます。昇進や昇給などのキャリアを目的とするのではなく、現在在籍している企業や、転職や独立も含め、将来どのような仕事やはたらき方をするかに焦点を当てるのがポイントです。

キャリアデザインは、理想のキャリア像や目標を定め、実現させるための計画や行動指針を設計します。その計画については、職種や役職、給料などはもちろん、自分自身のスキルや価値観、結婚や出産などのライフスタイルまで含めて計画しましょう。はたらき方が多様になり、今まで当たり前だった終身雇用のあり方が変わり、人材の流動性が高まっています。将来自分がどうなりたいか、どうしたいかといった長期的なキャリアを自分で計画する必要があります。

キャリア形成との違い

キャリア形成は、一連の経験や職務経歴に基づいて、自身のキャリアを作ることを指します。一方でキャリアデザインはそのプロセスをより自身で意識的に管理し、自らのキャリアに対するビジョンや目標を持つこと重視しています。キャリア形成は、仕事の目標達成に必要な資格やスキルを習得するための行動です。

キャリアパスとの違い

キャリアパスとは、組織によって定義された職務や役職の道筋です。通常、組織全体の標準化された枠組みに基づいて作られます。
対してキャリアデザインは自らのキャリアを意識的に設計し管理するプロセスであり、柔軟性が高く個々の能力や興味に合わせてキャリアを設計します。企業内での昇格や昇進を目標に定め、実現させるまでの道筋を指します。キャリアパスは、企業側が社員に提示するもので、個人単体で設計するものではないのが特徴です。

キャリアプランとの違い

キャリアプランは通常、企業内における特定の役職や職務の将来に焦点を当てた計画を指します。キャリアデザインは自己成長と適応性を重視し、より柔軟で個別化されたアプローチを検討するため、転職や独立を含めた人生のキャリア計画といえます。

企業におけるキャリアデザインの必要性と目的

企業において、社員のキャリアデザインの設計はなぜ必要になってくるのでしょうか?企業にとっても社員がキャリアデザインに向き合うことはメリットがあるのです。キャリアデザインの必要性と目的について解説します。

社員のモチベーション向上

社員が自らのキャリアを意識的に考え、人生における目標を持ち、仕事へのやる気や満足度の向上が期待できます。目的意識を持つことにより人材の定着率も高まるでしょう。

キャリアデザインを行っている社員の傾向として、日々の業務に対して積極的で、主体的に取り組む傾向にあります。自分が行うべきステップが明確になっており、業務を通してなりたい自分を実現させる目標があるためです。モチベーションを高く持ち業務に取り組めば、周りの社員や業績に好影響を与えるでしょう。

社員のスキル向上

社員が自らのキャリアを意識して管理し、成長の機会を得続ければ、自己啓発の促進やスキルの獲得ができます。それにより、社員、会社全体における生産性向上が期待できるでしょう。

多様な人材の確保につながる

キャリアデザインに関する取り組みを進めることで、一人ひとりのニーズや目標に応じたはたらき方を選択できるようになります。こうした環境の提供により、さまざまなバックグラウンドやライフスタイルを待つ人材を確保しやすくなります。

ダイバーシティについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>ダイバーシティとは?必要性や取り組み事例などをご紹介

キャリアデザインの設計方法

キャリアデザイン導入に関して、何から取り組めばいいのでしょうか?導入するための流れとその具体的な方法について解説します。

STEP1.自己分析をする

はじめに行うのは、自己分析です。自己分析はキャリアデザインの基盤です。自身の強みや成長の余地の把握が重要です。はじめに現在のスキル、能力、興味関心、およびキャリア目標を明確にします。その後、自分の強みや改善の余地を洗い出し、自己分析を行いましょう。

STEP2.フィードバックをもらう

自己分析の次は、第三者からのフィードバックを受けるようにしましょう。これにより自己認識を深め、成長のための指針を得ることができます。方法としては、上司や同僚に積極的にフィードバックをもらう、メンターやキャリアコーチからの指導やアドバイスをうけるなどがあります。

STEP3.目標やなりたい像を描く

具体的な目標を設定すれば、キャリアの方向性を明確にし、モチベーションを維持できます。まずは短期および長期のキャリア目標を明確にし、自分のキャリアにおける理想の状態を描きます。続いて、なりたい職種や役割、組織文化について具体的にイメージします。

STEP4.キャリアステップを考える

続いては、キャリアの段階的な計画を立てましょう。目標への道筋を明確にし、焦点を絞ります。重要なのは小さな目標を段階的に設定することです。大きな目標を設定すると、自身がその目標に近づき、ステップを進めていると実感しにくいため、着実に達成できる目標を設定してください。続いて、それぞれの目標について、「いつまでに資格を取る」など目標達成までの期限を設定します。

STEP5.実際に必要な行動をとる

目標達成のためには、具体的な行動が重要です。それまでに立てた計画に沿って実際に行動することで、成長と進展が期待できるでしょう。セミナーやトレーニングプログラム、プロジェクトに参加するなど、目標達成に向けて積極的に行動することが重要です。

企業が社員のキャリアデザインに対してできる具体例

企業は社員のキャリアデザインに対して、どんな取り組みができるでしょうか。それぞれの具体例について解説します。

キャリア面談の実施

まずはキャリア面談の実施です。社員のキャリアについて把握するためです。下記のような面談内容や研修が例として挙げられます。

  • 目標設定と計画立案:社員と共に短期・長期のキャリア目標を設定。そのための具体的な計画を策定
  • フィードバックの提供:強みや成長の余地に関するフィードバックを提供。個々のニーズや関心を理解する

キャリアデザインのために研修制度の導入も対応策のひとつです。例えば以下のような研修が考えられます。

  • スキルアップ研修:プレゼンテーションやリーダーシップスキルの研修など必要なスキルや知識を向上させるための研修
  • キャリア開発プログラム:ローテーションプログラムやマネジメントトレーニングなど、キャリア目標に向けて必要なスキルや経験を獲得できるような研修
  • オンライン学習プラットフォーム:社員が自ら学びたい領域にアクセスし、自己学習を行う研修

パーソルテンプスタッフでは、社員の成長支援の一環として、企業内大学「Temp University」を運営しています。「Temp University」について詳しくはこちらをご覧ください。

キャリアコーチングプログラムの導入

コーチングプログラム導入も、社員が自分自身を成長させるために有効な手段です。下記のようなコーチングプログラムの導入の事例があります。

  • 外部コーチへの依頼:専門のキャリアコーチへ依頼し、目標設定やキャリアプランの策定、成長の障害を克服する方法について助言やサポートを受けられるようにする
  • 内部コーチングプログラムの設計:経験豊富な先輩社員やリーダーを内部コーチとして指名し、社員がメンタリングやコーチングを受けるプログラムを作成する

より専門性の高いアドバイスを得るため、キャリアコンサルタントの活用も一つの手段です。仕事の悩みやキャリアプランについて気軽に相談するための相談室を企業内に設置するのもいいでしょう。

パーソルキャリアコンサルティングでは、キャリア開発を目的とした個別キャリアカウンセリングサービスを提供しております。詳しくはこちらをご覧ください。

キャリアデザインの目的や必要性について知る

キャリアデザインについてその目的や実施方法について解説しました。企業にとっても、社員のキャリアデザインのサポートを行うことで、社員のモチベーション、スキルが高まり生産性の向上につながります。また、その取り組みをメリットと感じる人材の新規採用や社員定着率の向上も期待できるでしょう。社員のモチベーションや生産性を高めるためのマネジメントや評価を行う担当者にとって、キャリアデザインの支援はとても重要なのです。

コンピテンシー評価については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>コンピテンシー評価とは?4つのメリットと留意点を解説

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