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離職後1年以内の派遣社員を受け入れると違法?罰則と例外を徹底解説
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派遣先企業は、自社を離職してから1年以内の労働者を派遣社員として受け入れることができません。ただし、60歳以上の定年退職者については例外とされています。
これは、賃金や労働条件の切り下げといった不利益を防ぐために設けられたもので、違反した場合は労働局の指導・勧告や企業名の公表などの行政処分を受ける可能性があります。
本記事では、この禁止規定の背景や適用範囲、違反時のリスク、よくある質問について分かりやすく解説します。
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目次
離職後1年以内の労働者の派遣受け入れは禁止されている
労働者派遣法第40条の9第1項により、派遣先企業は、自社を離職してから1年以内の労働者を、派遣社員として受け入れることができません。人材派遣会社がそのような労働者を元の勤務先に派遣することも禁止されています(労働者派遣法第35条の5)。
労働者派遣法については、こちらでさらに詳しくご説明しています。
>>【最新版】労働者派遣法の概要や改正、違反例や企業の注意点を解説
受け入れが禁止されている背景
受け入れが禁止されているのは、労働者の待遇が悪化することを防ぐ目的があります。直接雇用をしていた労働者を派遣社員として受け入れることで、労働者の賃金が下がったり、その他の労働条件が悪くなることを防ぐためです。
受け入れ禁止の対象
企業との直接雇用の関係にあった労働者が対象となり、正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用期間・雇用契約も問いません。なお、60歳以上の定年退職者に関しては、雇用機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続などを図る必要があると認められることから、禁止対象から除外されています。
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離職後1年以内の労働者の派遣受け入れてしまった場合の罰則
離職後1年以内の労働者を派遣社員として受け入れている場合は、その違反を是正するよう勧告され、この勧告に従わないときは、企業名が公表されることがあります。
企業名が公表されると、信頼を失ったり、ブランドイメージが低下したりするリスクを招き、企業にとって大きなダメージとなります。
離職後1年以内の派遣社員受け入れを防ぐための実務対応
離職後1年以内の労働者を誤って派遣社員として受け入れないためには、派遣先企業と派遣元の双方で確認体制を整えることが重要です。具体的には以下のような対応が考えられます。
- 派遣開始前に派遣通知書で氏名や経歴を必ず確認する
- 自社の退職者リストと照合し、該当者がいないかチェックする
- 人材派遣会社に対しても、事前確認の徹底を依頼する
- 記録が残る方法(書面・メール・ファックスなど)でやり取りを行い、万一に備える
このように事前確認を仕組み化しておくことで、禁止規定に違反するリスクを未然に防ぐことができます。
離職後1年以内の労働者の派遣受け入れ禁止に関するよくある質問
人事や派遣社員を受け入れている担当者が疑問に感じる、離職後1年以内の労働者の派遣受け入れに関する3つの質問に回答します。
Q1.雇用期間が1ヶ月未満でした。この場合も禁止の対象となりますか?
対象です。1週間でも1日でも、直接雇用の関係にあった労働者は対象となります。
Q2. 離職後1年以内の労働者かどうか確認する方法はありますか?
派遣就業開始前に派遣通知書で派遣社員の氏名が通知されます。その氏名で確認します。
Q3. 派遣社員を受け入れた後に、離職後1年以内だと分かった場合どうすればよいですか?
すみやかに人材派遣会社に通知します。また、電話など口頭で伝えるのではなく、書面を交付する、ファックスなどで書面を交付する、メールで書面を添付し送付するなど、記録が残る方法で通知するよう定められています。
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いかなる場合でも労働者の派遣受け入れは禁止されている
直接雇用の期間が短くても、雇用形態がいかなる形態であっても、直接雇用の関係にあった労働者(60歳以上の定年退職者除く)を離職後1年以内に、派遣社員として受け入れることは禁止されています。
違反した企業には罰則もあることや、労働者の労働条件が悪化することを防ぐためにも、受け入れ前にしっかりと確認を行うようにしましょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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