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離職後1年以内の労働者の派遣受け入れ禁止ルールとは

公開日:2024.01.16

法律

派遣先は、自社を離職してから1年以内の労働者を、派遣スタッフとして受け入れることができません。なぜ禁止されているのでしょうか?背景には労働者派遣の元となる考え方が影響しています。労働者を守るための大切なルールであり、違反した企業には罰則もあるため、受け入れる際には注意をしなければなりません。

  • 離職後1年以内の労働者の派遣受け入れが禁止されている背景
  • 離職後1年以内の労働者を派遣スタッフとして受け入れてしまった場合の罰則
  • 離職後1年以内の労働者の派遣受け入れ禁止に関するよくある質問

本記事では、労働者の派遣受け入れに関する知っておくべき事項を解説します。

離職後1年以内の労働者の派遣受け入れは禁止されている

労働者派遣法第40条の第40条の9第1項により、派遣先は、自社を離職してから1年以内の労働者を、派遣スタッフとして受け入れることができません。派遣元がそのような労働者を元の勤務先に派遣することも禁止されています(労働者派遣法第35条の5)。

離職労働者の1年以内受け入れ禁止

労働者派遣法については、こちらでさらに詳しくご説明しています。
>>【最新版】 労働者派遣法とは?詳しい内容や歴史、違反例を分かりやすく解説

受け入れが禁止されている背景

受け入れが禁止されているのは、労働者の待遇が悪化することを防ぐ目的があります。直接雇用をしていた労働者を派遣スタッフとして受け入れることで、労働者の賃金が下がったり、その他の労働条件が悪くなることを防ぐためです。

受け入れ禁止の対象

企業との直接雇用の関係にあった労働者が対象となり、正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用期間・雇用契約も問いません。なお、60歳以上の定年退職者に関しては、雇用機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続などを図る必要があると認められることから、禁止対象から除外されています。

離職後1年以内の労働者の派遣受け入れてしまった場合の罰則

離職後1年以内の労働者を派遣スタッフとして受け入れている場合は、その違反を是正するよう勧告され、この勧告に従わないときは、企業名が公表されることがあります。
企業名が公表されると、信頼を失ったり、ブランドイメージが低下したりするリスクを招き、企業にとって大きなダメージとなります。

離職後1年以内の労働者の派遣受け入れ禁止に関するよくあるご質問

人事や派遣スタッフを受け入れている担当者が疑問に感じる、離職後1年以内の労働者の派遣受け入れに関する3つの質問に回答します。

Q.雇用期間が1ヶ月未満でした。この場合も禁止の対象となりますか?

A.対象です。1週間でも1日でも、直接雇用の関係にあった労働者は対象となります。

Q.離職後1年以内の労働者かどうか確認する方法はありますか?

A.派遣就業開始前に派遣通知書にて、派遣スタッフの氏名が通知されます。その氏名で確認します。

Q.派遣スタッフを受け入れた後に、離職後1年以内だと分かった場合どうすればよいですか?

A.すみやかに派遣元に通知します。また、電話など口頭で伝えるのではなく、書面を交付する、ファックスなどで書面を交付する、メールで書面を添付し送付するなど、記録が残る方法で通知するよう定められています。

いかなる場合でも労働者の派遣受け入れは禁止されている

直接雇用の期間が短くても、雇用形態がいかなる形態であっても、直接雇用の関係にあった労働者(60歳以上の定年退職者除く)を離職後1年以内に、派遣スタッフとして受け入れることは禁止されています。

違反した企業には罰則もあることや、労働者の労働条件が悪化することを防ぐためにも、受け入れ前にしっかりと確認を行うようにしましょう。

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