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コールセンターの離職率が高いのはなぜ?原因と対策をご紹介

公開日:2023.12.11

企業の課題

コールセンターは企業において電話を通してお客さまをサポートすることで、お客さまのニーズに応えるという重要な役割を担っています。しかし、コールセンター業務は離職率が高い職種の一つであり、人手不足が続くと、サービスの品質低下や社員の負担増につながります。また、離職率が高まると採用コストや教育コストも増え、企業にも大きな負担が発生します。
悪循環に陥らないために、なぜコールセンターで離職が発生するのかを理解し、自社でその原因を解決する・防ぐための対策を立てなければなりません。コールセンターを自社で運営するのか、アウトソーシングするのかなども含め、自社にとって一番よい方法を検討していくことが大切です。

コールセンターの離職率の現状

コールセンターはお問い合わせへの対応など、お客さまサポートをすることで、お客さまのニーズに応えるという役割を担っています。
厚生労働省が発表した「令和4年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、コールセンターが含まれる「サービス業(他に分類されないもの)」の離職率は全産業の中でも3番目に高く、離職率の高さがうかがえます。
労働者数に対する未充足求人数の割合を指すものを欠員率といい、産業別の欠員率では、「サービス業(他に分類されないもの)」は4番目に高い状況です。
入職率と離職率の差もわずかとなっています。

引用:厚生労働省|令和4年上半期雇用動向調査結果の概況

コールセンターの離職率が高い理由

上記で述べたように、コールセンターは人材がなかなか定着しないことが原因となり深刻な人手不足に陥っています。コールセンターにおいて人材が定着しにくい4つの理由を解説します。

業務量・覚えることが多い

コールセンターでは、取り扱っている商品やサービスの知識を正しく身につける必要があります。商品やサービスを正しく把握せずに対応すると、質問に回答することができず、お客さまからの信頼を失ってしまう恐れがあるからです。

しかし、複雑化している料金体系やキャンペーンの特典、解約条件、トラブル対応など、対応範囲は多岐に渡り、すべてを把握することは容易ではありません。お客さまごとに問い合わせ内容が異なるケースもあり、社員は継続してインプットを続けていく必要があります。

扱う商材によっては研修に半年近くかかる場合もあり、覚えることが膨大で、業務を続けることを難しいと感じる社員もいるようです。ですが、正しい知識をつけた上で業務に臨むことで、お客さまからの大きな信頼を得ることにつながり、企業にとっても大きなメリットとなります。

はたらく時間が不規則

コールセンターは一人でも多くのお客さまからのお問い合わせに対応するために、年中無休や長い営業時間で対応している企業が多く見受けられます。はたらいている社員はシフト制の場合が多く、はたらく時間が不規則になる場合があります。

一方で、コールセンターの営業時間を長く設けることで、お客さまの安心感や企業への信頼につながります。

スキル・キャリアが身に付きにくい

コールセンターは未経験でチャレンジできる機会も多く、一般的にはスキルを活かしてはたらくことや、キャリアアップしづらい職種というイメージがあるかもしれません。しかし、顔の見えない会話で培われたコミュニケーション力、わかりやすく説明する力などを身につけることができます。コールセンターでは、接客業や営業など、人と接する機会の多い職種でも広く求められるスキルが培われると言えるでしょう。

ストレスを感じやすい

対応する電話の中には、お問い合わせの他に、クレームの電話がかかってくることも少なからずあります。顔が見えない電話でのやりとりで、お客さまの感情を読み取り、要望に応えるのは簡単なことではありません。お客さまと直接接する大切な機会だからこそ、対応する社員が大きな負担を抱えてしまうことがあります。

コールセンターの離職率の高さがもたらす影響

コールセンターの離職率が増加すると、どのような影響が発生するのでしょうか。コストや社員の負担増はもちろん、お客さまにも大きく影響します。

採用・教育コストの増加

社員の採用には、求人掲載や採用管理ツールの利用費、採用担当者の人件費など、さまざまなコストがかかります。新しく採用した社員には研修を実施する必要があるため、長期間の研修が必要な商材を扱っている場合にはコストが増加することも考えられます。

特に離職率が高いコールセンターでは、たびたび人材を採用する必要に迫られるため、新しい人材の採用や教育に多くの費用がかかります。

お客さま満足度の低下

離職率が高いコールセンターでは、業務経験の浅い新人社員の割合が高く、応対品質が低下するリスクがあります。業務に慣れておらず、時間を要する社員では、1件あたりにかかる対応時間が長くなります。他の社員からのフォローが必要な場合、その社員の手も止めることになるでしょう。

すると、就業時間内で対応できる件数が少なくなり、電話がなかなかつながらないなど円滑に業務が進まない事態に陥ります。これはお客さま満足度が低下する要因となり、早急な改善が必要です。

社員のストレス増加や労働環境の悪化

人手不足になることで、社員一人当たりが対応しなければならない件数が増えたり、新しい社員のサポートをしなければならず、社員の負担は大きくなります。また、シフトに入らなければならないことも増え、労働環境に影響を与えることも考えられるでしょう。

コールセンターの離職率を下げる対策

コールセンターの高い離職率を下げるために、企業が取れる対策はどのようなものがあるでしょうか。5つの対策をご紹介します。

職場環境を見直す

コールセンターのはたらく環境を整えましょう。社員の環境が変わってもはたらき続けることができる環境を用意することで、離職を防げるでしょう。例えば、リモートワークを実施できるようにする、柔軟なワークシフトを提供するなどの工夫で、社員のはたらき方に選択肢を提供します。育児や介護で環境が変わってしまった社員がはたらきやすくなり、満足度が向上することで離職率の低下につながります。

給与や待遇を見直す

社員のモチベーションが上がりやすい給与や待遇などを見直すことも視野に入れましょう。給与アップはもちろん、勤務時間の短縮や福利厚生の充実なども有効です。

教育体制を整える

コールセンターの業務は覚えることが多く、通話以外にも入力作業など、幅広い業務を行わなくてはなりません。膨大な作業を少しでも円滑に行えるようにするには、教育体制の整備が重要なカギを握ります。まずは業務を始める前に、基本的な業務の知識を正しく素早く覚えてもらうための工夫が必要です。さらにこまめな研修の実施や、わからないことをすぐに相談・解決できるシステムや窓口の設置などで、社員がストレスなく業務を行うためのサポート体制を整えましょう。

適切な評価やフィードバックをする

適切な評価を行うことも重要です。自身の評価に納得できず社員が離職するというパターンも考えられます。評価を行ったあとは、なぜこの評価なのか、今後どのようなことを期待しているかなどをきちんとフィードバックすることが重要です。

明確なキャリアパスの提示

社員に、コールセンター内での昇進や異動の機会について明確な情報を提供することも必要です。社員が長期的な目標を持てるようにすることで、離職の防止が期待できます。

コールセンターの離職率の現状を理解し、離職率を下げる対策をとる

コールセンターは他の産業と比較しても離職率が高い業種です。企業はコールセンターの離職率を下げるための対策を求められます。社員の満足度の向上や、スムーズに業務を行えるよう工夫をするほか、「長くはたらきたい」と思ってもらえるような体制・環境を整えることが重要です。

しかし中には採用や離職防止対策まで手が回らない場合もあるかもしれません。そういった場合、コールセンター業務を外注する選択肢もあります。委託先も多数あるので、自社に合った委託先を選ぶようにしましょう。

コールセンターのアウトソーシングについては、こちらでさらに詳しくご説明しています。
>>コールセンターをアウトソーシングするメリットと委託先の選び方を解説

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