HRナレッジライン

カテゴリ一覧

社内ナレッジを蓄積する方法と業務に活用する際の注意点を解説

公開日:2023.10.10

更新日:2024.02.13

企業の課題

企業において業務の属人化を防ぎ、効率化を図る上でナレッジの蓄積が重要です。「ナレッジ」はビジネスシーンでもよく耳にする言葉ですが、蓄積する理由やメリットを把握していない方も多いでしょう。また、蓄積することの重要性は理解していても、効果的な蓄積方法は分からないという方も少なくありません。

ナレッジを正しく蓄積して業務に活かすには、具体的な方法やメリットを知ることが大切です。

今回はナレッジの概要について解説すると共に、蓄積するメリットや方法を解説します。社員が持つ有益な情報や知識をうまく活用して、社内全体の業務効率化のヒントにご覧ください。

ナレッジとは

ナレッジとは英語で知識を意味する「knowledge」が語源となった和製英語です。一般的には書籍や新聞など、文章に起こされた情報から得られる知識をナレッジと言います。

なお、企業における業務ナレッジには、文章から得られる知識だけでなく「有益な情報」「事例」「付加価値のある経験や知識」など、経営や生産性の向上に役立つ要素も含まれます。情報源は文章に限らず、習得したスキルや経験から得られる知恵もナレッジの一つです。

ナレッジに関連する用語として「ナレッジマネジメント」「ナレッジベース」「ナレッジワーカー」が挙げられます。それぞれの意味は以下の通りです。

ナレッジマネジメント 社員個人が持つナレッジを企業内で共有し、有効活用する経営手法がナレッジマネジメントです。例えば、業務を効率的に進めるためのマニュアル作成や、業務に必要な情報を速やかに検索できるツールの活用などがナレッジマネジメントの一例として挙げられます。
ナレッジベース 知識を意味する「ナレッジ」と、情報を一つにまとめた「データベース」を組み合わせた言葉がナレッジベースです。「知識ベース」や「データベース」と言われることもあります。これまでに企業や社員が得た知識、経験、スキルなどがまとめられたものであり、企業にとって重要な知的資産と言えるでしょう。基本的には社内のみで共有され、社外秘として大切に扱われます。
ナレッジワーカー ナレッジに労働者を意味する「ワーカー」を合わせたビジネス用語が、ナレッジワーカーです。自分の知識やスキルを活用して、企業の価値を高める人材に対して使われます。

社内ナレッジとは

企業全体に共有され、社員が活用しやすい状態に整備されている知識や情報を「社内ナレッジ」と言います。各社員が知識や経験値を持っていたとしても、社内で共有されなければ「個人ナレッジ」となり、企業全体で業務に活かせません。貴重な知識や経験を社内で役立てるためには、社内にナレッジを共有して、蓄積することが重要です。

社内でナレッジを活かすために共有すべき内容として、「暗黙知」と「形式知」の2つが挙げられます。「暗黙知」とは個人の経験によって得られた知識やコツ、その人にしか分からない勘などがもとになっている情報です。その他、感覚的な要素が多いことから他人に伝えづらく、マニュアル化ができていないものも含まれます。

ナレッジの暗黙知と形式知

一方で「形式知」とは、マニュアルのように文章化してまとめられた知識を意味する言葉です。暗黙知も言語化した上で形式知に変換し、記録・蓄積・共有して有効活用することが、社内ナレッジにおける重要なポイントと言えます。

ナレッジとノウハウの違い

ナレッジに類似した言葉として「ノウハウ」が挙げられます。ノウハウは英語で「know-how」と表され、ナレッジと同様に「経験」や「情報」を指しますが、「体験を通して得た知識」という意味合いが強いです。習得するためには同じ作業を何度も繰り返し、感覚や勘をつかむ必要があります。

一方、ナレッジは企業の経営活動において有益な情報や知識を意味し、文章化して伝えられる点が大きな特徴です。ナレッジが正しく蓄積・共有されることで、業務に必要なノウハウもスムーズに伝えられるようになります。

社内ナレッジを蓄積する5つのメリット

企業経営に重要なナレッジをためると、以下に挙げる5つのメリットが得られます。どのようなメリットがあるかを理解しておくことで、より社内ナレッジを蓄積する重要性がイメージできるでしょう。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化を実現できる

社内ナレッジが蓄積されると、業務効率化を実現できます。例えば、見積書や請求書など頻繁に作成する書類の書き方をナレッジベースに蓄積しておくと、次に作成する際の手間を省くことが可能です。

また、各社員が体験して得た経験や知識を自分だけのものにせず、社内全体で共有できれば社員全体の成長につながり、より効率的に業務を進められるようになるでしょう。

このように社内ナレッジの蓄積により、これまで手間や時間をかけてきた業務の効率化を図ることで、本来注力したい業務に労力や人材を配分できるようになります。

業務の属人化を防止できる

蓄積された社内ナレッジを活用すると、業務の属人化が避けられる点もメリットの一つです。

はたらき方の多様化や人材の流動性が高まる中、特定の業務が属人化してしまうと、担当者が退職・異動した際に支障が出る可能性があります。特に一部の社員の感覚に頼っていた業務がある場合、形式知に変えて共有しなければ引継ぎの際に余分な労力やコストがかかることも考えられるでしょう。

一方で、社内ナレッジが適切に共有されている企業では、担当者に限らず誰でも状況を把握することが可能であり、引継ぎもスムーズに進められます。万が一、病気や事故などが原因で急遽担当者を変更する事態になっても、知識やノウハウが周知されていれば慌てることなく対応できます。

過去の失敗を活かして対策できる

業務を遂行する上で、失敗は誰にでも起こり得ることです。一度起こった失敗やそのときに行った対処法に関するナレッジを共有しておくことで、事前にミスを回避できる可能性が高まります。また、トラブルが起こったとしてもナレッジをもとに対応できれば、速やかな軌道修正が図れます。

このように、過去の失敗も今後の業務に活かせるため、一つの知的財産として蓄積することが肝要です。プラス要素だけに着目するのではなく、マイナス要素も活かして対策を施す上でも、ナレッジの蓄積・共有が役立ちます。

教育の負担を削減できる

ナレッジの蓄積は、人材育成においてもメリットがあります。例えば、新入社員を教育する際にナレッジが正しく蓄積されていると、案件の概要や業務の進め方、注意するべきポイントなどを円滑に伝えることが可能です。

さらに、ナレッジには業務効率化を図る上で重要な情報が集約されています。例えば、失敗や成功を繰り返しながら整備された業務フローは、新入社員はもちろん異動してきた社員にとっても非常に役立つ情報と言えるでしょう。また、ナレッジが蓄積されていれば都度資料を作成する必要がないため、教育する側の負担削減にもつながります。

安定してサービスや製品を提供できる

社内ナレッジは個々のケースに合わせたマニュアルでもあります。サービスや製品を提供する際、社員ごとに対応が異なると顧客に不信感を与えることになりかねません。一方でナレッジの蓄積と共有が正しくできていれば、担当者が変わっても安定したサービスや製品を提供できます。万が一不良品が発生した場合でも、ナレッジを活用することで適切な対応が可能です。

社内ナレッジの蓄積がうまくいかないケースと解決方法

社内ナレッジの蓄積を遂行しているけれど、なかなかうまくいかないと悩む方も少なくありません。よくあるケースとして主に3パターンが挙げられます。それぞれの解決方法について詳しく解説します。

ナレッジを蓄積する目的が浸透していない

ナレッジの蓄積は、全社員が意識して情報や知識を共有しなければうまくいきません。また、蓄積を始めた当初は積極的だった社員も、時間が経過すると共有頻度が下がってしまうケースも多いです。こうした課題の要因として、ナレッジを蓄積する目的が浸透していない点が挙げられます。

    <解決方法>

  1. 定期的にナレッジ共有の目的や重要性を伝える機会を設ける
  2. 蓄積されたナレッジを可視化できるようにする
  3. ナレッジ共有によって成功した事例を周知する

社員が主体的にナレッジを共有する環境をつくるためには、事前に目的やメリットを理解してもらうことが肝要です。また、誰がどのようなナレッジを共有したのか、蓄積されたナレッジでどのようなプロジェクトが立ち上がったのかなど状況が可視化されると、ナレッジをためる重要性が伝わりやすくなるでしょう。

どのようなナレッジを蓄積すべきか不明瞭になっている

ナレッジを蓄積すると言っても、何を蓄積するべきか分からない方も少なくありません。そのためナレッジの蓄積を始める前に、共有するナレッジを決めて周知しておくことが肝要です。

    <解決方法>

  1. 共有するナレッジを決める
  2. ナレッジリーダーの役割を設ける
  3. 情報を共有しやすい環境に整える

ナレッジの範囲が明確になれば、社員も情報を共有しやすくなります。またナレッジリーダーという役割を設けることで、自社に必要なナレッジを定義したり蓄積を促進したりする手段も有効です。

ナレッジを蓄積する仕組みや習慣が根付いていない

ナレッジ蓄積の仕組みや習慣が根付いていなければ、社内全体に浸透しにくいです。まずは誰もがナレッジを蓄積しやすい簡単なツールを導入して、少しずつ浸透させることが肝要です。

    <解決方法>

  1. ナレッジを蓄積しやすい仕組みを構築する
  2. ナレッジを共有したことに対する「感謝」を伝える機能を設ける
  3. 最初は管理者が主体的にナレッジを共有する

ナレッジを共有してもらった際に「ありがとう」や「いいね」など感謝を伝えられる機能があると、共有する側のモチベーションアップにもつながります。なお、ナレッジの蓄積を始めたばかりは、情報共有を躊躇する社員も少なくありません。そのため、最初は管理者が主体的にナレッジを共有する必要があります。ある程度ナレッジがたまると別の社員も情報を共有しやすくなり、習慣としてナレッジの蓄積が社内全体に根付くでしょう。

社内ナレッジを蓄積する際に注意すべきこと

社内ナレッジを蓄積する際に注意すべきこと

社内ナレッジの蓄積をスムーズに行うためには、以下に挙げる3つのポイントを押さえておくことが大切です。それぞれのポイントについて詳しく解説します。

誰でも更新できるマニュアルを整備する

業務において有益な情報やスキルを持っていてもナレッジの共有方法が複雑だと、共有自体を諦める社員も少なくありません。これらの知的財産が全体に共有されなければ無駄になってしまうため、社内ナレッジを蓄積する際は誰でも簡単に情報更新ができるように、マニュアルを整備する必要があります。

マニュアルを作成する際は特定の人物だけで進めるのではなく、複数の社員が確認した上で、スキルや知識に関係なく誰でも理解できる内容にまとめることが大切です。

ナレッジを見つけやすいように蓄積する場所を考慮する

各社員からさまざまなナレッジが共有されたとしても、活用する際に検索しづらければ効果を期待できません。必要なときに求めている情報を見つけられるように、あらかじめ蓄積する場所を考慮することが大切です。なお、蓄積されたナレッジの活用方法をイメージすると、どのように整理すべきか判断しやすくなります。

蓄積だけでなく社内ナレッジを共有することも心がける

社内ナレッジは単に蓄積するだけでなく、共有・活用できてこそ効果を発揮します。そのため、蓄積方法に加えて共有方法についても留意することが大切です。例えば、ナレッジ共有専用のツールを活用して、誰でも気軽に蓄積できる環境を整えると積極的に利用する社員が増えるでしょう。

また、プロジェクトを遂行する際は、社内ナレッジの事前確認をフローに組み込むことで、ナレッジの活用を社内全体に浸透させやすくなります。

社内ナレッジを蓄積する方法

社内ナレッジや業務ナレッジを蓄積する際は、効率的な方法を取り入れると円滑に進められます。蓄積方法として4つをご紹介します。

社内wikiの構築

社員が自由に自分の知識やスキル、経験を書き込んで共有するツールを「社内wiki」と言います。社内wikiでは、部署単位や施策単位でツリーを作成できるため、ナレッジ管理がしやすい点が特徴です。また、閲覧権限の設定に対応したサービスも多く、社内のみで共有する資料を作成する際にも役立ちます。

オンラインストレージの活用

GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメント、Googleスライドなどオンラインストレージを活用する方法も、社内ナレッジを蓄積する際に重宝します。オンラインストレージは、インターネット環境があれば場所や時間を問わず更新できるため、タイムリーに情報を共有することが可能です。テレワークにおいても、社内ナレッジを蓄積する上で役立つでしょう。

また、オンラインストレージの多くは無料で活用できる点もポイントです。導入コストを気にせず社内ナレッジを蓄積したい場合に適しています。

ナレッジ共有ツールの活用

社内ナレッジを蓄積する上で役立つツールが「ナレッジ共有ツール」です。

従来は社員が得た知識や情報の他、マニュアルや仕様書、議事録など機密性の高い文書も、紙媒体で管理・共有するケースが一般的でした。また、メールやチャットツールを活用して、共有の効率性アップを図っていた企業も多いでしょう。こうした手段では過去の情報が埋もれて見つけづらい上に手間がかかるため、ナレッジの蓄積自体が滞ってしまう恐れがあります。

一方でナレッジ共有ツールは管理しやすく、検索性が高い点が特徴です。また、ナレッジ共有に対する感謝を可視化する機能を使えば、社員のモチベーションアップも期待できるでしょう。

アウトソーシングの活用

ナレッジの蓄積や共有を考えているけれど、日頃の業務に追われて思うように進められないというケースも少なくありません。その際はアウトソーシングを活用すると、専門スタッフによるサポートを通して業務内容に沿ったナレッジを円滑に蓄積できます。その結果、注力したい業務に集中できたり業務効率化が図れたりと、自社だけでナレッジを蓄積する場合と比べて、より多くのメリットを得られる可能性があるでしょう。

例えば、営業事務は個々の経験値やスキルが顕著に影響されやすい業務であり、「暗黙知」が多くなる傾向にあります。その結果、属人化しやすい上にナレッジが共有されにくいといった課題を抱える企業も多いでしょう。営業事務に関するナレッジを蓄積するためには、誰もが理解できる「形式知」として可視化できる環境を整えることが大切です。そこで営業事務のアウトソーシングを活用すると、暗黙知に偏りやすい営業事務の課題を解決できます。

パーソルテンプスタッフでも、営業事務のアウトソーシングに対応しています。メーカー建設業、マスコミ、ITなどさまざまな業種に対応しており、特性に合わせたサポートが可能です。

業務効率化のご相談はパーソルテンプスタッフへ

働き方改革が浸透し、多様な人材が集まって業務を遂行するケースが増えています。こうした中、各社員が得た知識やスキルを蓄積して互いに共有することは、企業を発展させる上で重要です。しかし、通常の業務を行いながら、あらたにナレッジを蓄積する仕組みを構築する時間や手間が割けず困っている方は多いでしょう。

ナレッジ共有ツールを使う手段もありますが、この場合自社で運用体制を整えなければなりません。その点、アウトソーシングを活用すると運用体制の構築に関するサポートも受けられるため、社内ナレッジの蓄積について不安を抱えている方でも安心です。

パーソルテンプスタッフの営業事務アウトソーシングでも社内ナレッジの蓄積が可能であり、多くのお客さまにご選択いただいています。その理由として、豊富な実績や業種の特性に合わせたノウハウがある点が挙げられます。

営業事務アウトソーシングの活用をご検討の方は、ぜひパーソルテンプスタッフにご相談ください。

営業事務アウトソーシングに関する事例もございます。詳しくは、以下のページをご覧ください。

おすすめの記事