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【ナレッジインタビュー】
core words 佐藤氏
採用ブランディングから読み解く人事の「原点」【後編】

公開日:2023.08.08

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【ナレッジインタビュー】 core words 佐藤氏 採用ブランディングから読み解く人事の「原点」【後編】

core words株式会社 CEO/Creative Director
佐藤 タカトシ 氏

ナレッジインタビューvol.005は、のDAY4にて「これからの採用の肝!今さら聞けない採用ブランディング」をテーマに講演いただくcore words株式会社 CEOの佐藤タカトシ氏です。【前編】では「採用ブランディング」の意味や目的、伝えるべきことについてお聞きしました。【後編】では認識の言語化・共有と原点となる視点について伺います。

― 現場で人事に関わる方にも、欲しい人材が採用できない、定着しないなど、人事と同様の課題感を持っている方が多くいらっしゃいます。人事に採用を依頼する際にどのように伝えればよいのかなどの悩みもあると思います。また、人事の方との認識がズレてしまうこともあるようです。

著書の中でもお伝えしていますが、まず組織のミッションがあり、「それを達成するためにこういう人材が欲しい」と言語化するのが大切です。「そういう人はこういうところに魅力を感じる」「でもうちの部署の仕事にはこういう魅力がある」「このような対象に伝えて欲しい」とか。こういったことを言葉にして伝えるということだと思います。自分の組織の現在と未来を言葉にすることですね。

― 現場でも、組織ミッションを達成するためにどのような人材が欲しいのか、考え整理して言語化しなければならないですね。また、自社ではたらく魅力をどこで感じるのか、ターゲットとなる人材と自分たちにズレが発生しないようにはどのようにしたらよいでしょうか。

そのズレがどのようなところなのかを知るためには、取り巻く外部環境やその変化などに人事部門でなくてもアンテナを張り、その後は人事も現場で採用に携わる方も “やりながら磨いていく”ことです。例えば「こういう魅力を伝えたい」ということを、エージェントなりターゲットに伝えてみて、伝わらない場合は変えてみることです。採用活動を成功させるために、どのようなことを伝え、どのような言葉で伝えたほうがよいのかの試行錯誤を繰り返すことは、採用マーケットに対して投げかけながらフィードバックをもらい改善するということになり、大事であると思います。

採用マーケットに対して投げかけながら改善していくという視点で、採用活動をするというのは難しいことかもしれませんが、月1くらいで振り返りをすればよいと思っています。「メッセージを掲げてやりました。1ヶ月やってこれくらい反響がありました。じゃあ続けましょう」と。目標や目安をもち、常に自問自答と改善を重ねることです。

当たり前のことではありますが、1回だけで伝わるものでもないので、何回も続ける中で勝ち筋を見つけて、それを展開することが重要だと思います。何かを社外に発信し、反応をちゃんと捉えて、それに対して打ち手を打っていくことです。その中で発信することが違ったり、ブレてしまうと検証ができないので、発信側では認識を揃えないといけない。
何人採用できた、できなかったとか、何人退職した、しなかったという目に見える結果はもちろん大事です。1回1回細かく検証する部分と、長い目で見る部分と両面が重要です。試行錯誤の時間軸を明確に定義できれば、発信するメッセージは間違いなくブラッシュアップされます。

― ズレという意味では、同じ言葉でも認識や解釈がズレていることで、それぞれが一生懸命やってもうまくいかないことも多いように思います。

人事の中で、また人それぞれの認識は、違っていい部分もあると思っています。しかし、ターゲットってこうだよねとか、いいところってこうだよねというポイントについて、チームの中ですり合わせる機会を持つことが必要です。今回のプロジェクトをこうしましょうとか、今年の新卒はこう採用しましょうとか、すり合わせというか合意が必要だと思います。「こういう人を採用しましょう」というところで終わってしまうのではなく「“こういう人”とは、自分はこういう人だと思うよ」とそれぞれの認識を掘り下げて、共有していくところまではなかなかやっていない。よくあるのはみんなで付箋に書いていったりすることがありますが、そういった作業はとても大事だと思います。人に関することを言葉にするのは難しいですよね。それを言語化することは、採用上の強みに直結します。

人的資本の考え方も最近ありますが、目に見えることではないので、“こういう人”とはどのような人なのかという言語化や共有認識が影響するところは大きいです。「こういう人を採用しましょう」と言っても、その解釈が揃っていることにこそ価値があると思っています。私はこういう解釈をしていますとか、私はこう思いますというのをアウトプットして、より解像度高い認識をみんなで磨き上げるイメージです。時間がないかもしれませんが、解像度高い認識は大事です。人を1人採用するということは、その人の人生がかかっています。物とかお金とは違うと思うのです。ですので、そのための対話、機会を作ることはとても重要だと思っています。

― お話を伺っていると、対話をして具体的に言葉にする、人やはたらくことに興味を持つなど、アップデートし変化していく半面、基本的な部分の大切さを改めて感じました。

そう思います。結局、企業のアイデンティティーと個人のアイデンティティーをどう重ねるかだと思います。採用って自社のことをわかっていなければいけないですよね。会社はこうだよ、これが欲しいんだよというように。それが言語化されている会社は強いなと思いますね。言語化は難しいことですが、社内外にどう伝えていくのかが本当に肝となります。言葉で定義された何かに人は共感しますし、そこに強い想いを乗せられる。ミッションやビジョンの言語化と同じですね。

その根っ子にあるのは、人事の人に対する興味だと思います。人やはたらくことに対して、何らかのまっすぐな想いを持っていることが大前提かなという気がします。なぜ自社の社員が生き生きとはたらいているのだろうか、なぜそうでなぜそうではないのかとか、どういうモチベーションではたらいているのだろうかとか。そういうことに興味を持つと、自然に現場に自ら話を聞きにいくようになりますし、その中でここはうちの会社のよいところだね、などを感じとれるようになる。採用ブランディングは、ひとりの人事の純粋な想いから始まる。そう思っています。

【前編】【後編】の2回に渡りお届けした、佐藤氏のインタビュー。採用の目的、解像度高い認識を皆で持つ大切さや方法、対話の重要性などについて採用ブランディングを軸にお伺いしました。
「人を1人採用するということは、その人の人生がかかっています。物とかお金とは違うと思う。」「人に興味がないとできないのではないか。人とかはたらくことに対しても興味がないとできない。そこが大前提。」など、人事の原点につながる言葉を心からお話されていたことが印象的です。9月13日(水)の講演ではさらに具体的な事例や奥深いお話を伺えることを楽しみにしています。

Profile

core words佐藤 タカトシ 氏

core words株式会社
CEO/Creative Director
佐藤 タカトシ 氏

2001年4月、リクルートコンピュータパブリシング(現リクルート)に入社。11年間に渡り、大手自動車メーカー、大手素材メーカー、インターネット関連企業、流通・小売企業などの採用ブランディング、採用コミュニケーションを支援。マネージャー、クリエイティブディレクターを務めたのち、2012年7月、DeNAに転職。採用チームに所属し、採用ブランディングとダイレクト・リクルーティングをメインミッションとして活動。 2015年7月、core wordsを設立。著書に『実践・採用ブランディング』『採用ブランディングのためのデザイン&コンテンツ』がある。
東京大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科修了。

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