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文書管理アウトソーシングとは?業務を効率化するための注意点を解説

公開日:2023.06.26

更新日:2024.04.26

人事ナレッジ

文書管理アウトソーシングは、煩雑になりがちな文書や書類の管理を効率的に進めるための手法です。ペーパーレス化が進む昨今、事務所内にあふれる紙媒体をどのように管理したらよいか困っていらっしゃる企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、文書管理アウトソーシングの概要や対象となる業務の他、メリットや注意点を解説します。アウトソーシングとシステムのどちらを選べばよいか悩んでいらっしゃる方のために、目的に合う最適な方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

文書管理アウトソーシングとは契約書などの重要文書の管理を代行すること

企業では、顧客情報や契約書などさまざまな文書を扱います。重要な書類も多く、厳重な管理が必要です。紙媒体だと次第に膨大な量になり、業務効率が下がるケースが少なくありません。また、紛失や盗難のリスクも考えられるでしょう。文書管理アウトソーシングとは、こうした煩雑になりがちな文書管理業務を外部に委託することを指します。

アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【わかりやすく解説】アウトソーシングとは?活用方法と派遣との違い

文書管理とは

文書管理とは、企業内にあるさまざまな文書を管理する業務です。取り扱う文書の中には、顧客情報や社員の個人情報の他に、契約書や財務諸表などの機密文書も含まれます。文書管理にかかわる業務は、これらの文書を保管するだけではありません。作成や共有、破棄に至るまで一元的に管理する必要があります。


文書管理の目的と重要性

文書管理の大きな目的は、各文書の所在を明確にすることです。文書管理をおろそかにしてしまうと、文書を探す際に手間取ってしまい業務効率が悪くなるでしょう。一方、適切な文書管理ができていれば、膨大な量の中からでも必要な情報をスムーズに見つけられます。

守秘義務のある重要文書を管理する上でも、文書管理が欠かせません。万が一、重要文書が外部に漏れてしまえば、大きな問題に発展する可能性があります。文書管理によって所在を明らかにしておくことで、情報漏えいやデータの改ざんなどのリスクを避けられるでしょう。このように、文書管理はセキュリティー対策にも役立ち、コンプライアンス強化においても重要な業務です。


文書管理アウトソーシングで対応できる業務内容

文書管理アウトソーシングで対応できる主な業務は以下の6つです。それぞれについて詳しく解説します。

データ化

文書管理をスムーズに進めるためには、書類のデータ化が必要です。文書管理アウトソーシングでは、データ化されていない書類のスキャニングやデータ入力を依頼できます。

例えば、名簿や契約書、アンケートなど膨大な情報の入力は、大変な手間や時間がかかります。アウトソーシングの活用によって外部に作業を委託することで、自社の労力を大幅に削減することが可能です。入力後のチェックや校正もサポートしてもらうことができるため、精度の高いデータ作成が期待できます。


書類保管

文書管理アウトソーシングでは、データ化された情報の保管にも対応しています。原本は、セキュリティー対策が施されたシステム上に保管されるため、情報漏えいや紛失、破損のリスクを心配する必要がありません。

ハードディスクやDVDなどの記録媒体で納品してもらうことも可能で、業務に合わせてデータを活用できます。


機密性が高い書類の安全な管理

紙媒体を使った文書管理では、紛失や盗難、破損のリスクがありました。厳重に管理したとしても紙媒体は劣化する可能性が否めない他、外部に持ち出した際に失くすことも考えられます。

一方、文書管理アウトソーシングでは、高いセキュリティーのもとでデータ管理を任せることが可能です。特に、個人情報や社内の重要文書など、機密性の高い書類を管理する際に役立ちます。


書類の発送や回収

文書の発送や記入・返送された書類の回収も、文書管理アウトソーシングで対応できる業務です。紙媒体だとお客さまとのやり取りだけでなく、支店や部署間の稟議書や申請書の回覧・承認の際に、手間や時間がかかります。人の手を介して発送や回収を行うと、人為的ミスが生じる可能性もあります。

一方、文書管理アウトソーシングを活用すると、あらかじめ用意されたリストと照合した上で、未回収があった場合でも電話やメールを使ってフォローすることが可能です。さらに、記入ミスや漏れをチェックできるため、不備の対策にも役立ちます。


プライバシー保護対策

企業では、顧客情報や社員の個人情報などプライバシーに関する文書を扱うケースが多々あります。文書管理アウトソーシングでは、重要な情報を保護しながら管理することが可能です。

多くのアウトソーシング会社はプライバシーマークを取得しており、万全なセキュリティー体制の中で管理業務を行っています。自社で管理する場合、プライバシー保護に課題を抱える企業が多く見られますが、文書管理アウトソーシングを活用すれば安心です。また、抹消処理にも対応しているため、不要になった個人情報も適切に処理されます。


アーカイブ管理

膨大な量の情報管理を任せられるのも、文書管理アウトソーシングの特徴です。文書管理では、過去のデータが必要となるケースがありますが、紙媒体だと検索に手間がかかり、必要な情報を得るのに時間を要するという留意点があります。

一方、文書管理アウトソーシングでは、情報がデジタル化されてクラウド上で管理されるため、スムーズな検索が可能です。加えて、複数人で同時に閲覧できるようになり、業務効率アップにつながります。


文書管理をアウトソーシングする3つのメリット

文書管理をアウトソーシングする3つのメリット

文書管理のアウトソーシングで得られるメリットは主に3つです。続いては、それぞれのメリットを詳しくご紹介します。

紙媒体での書類保管コストが削減できる

紙媒体で文書管理を行うと、書類が必要になる度に印刷の工数が発生しがちです。その結果、コピー用紙やインク代などの消耗品にコストがかかります。一枚にかかる費用はさほど気にならないものの、枚数が増えればそれだけコストも増加します。社外に共有する情報がある場合は郵送費も必要になり、書類を保管するための場所代も軽視できません。

一方、文書管理アウトソーシングを活用すると、情報をデータで管理できるようになるため、紙媒体の文書管理にかかっていたコストが大幅に削減されます。書類保管のために確保していたスペースが空いて、他の用途に活用できる点もメリットといえるでしょう。


機密文書などをセキュリティーの高い状態で管理できる

文書管理をアウトソーシングすると、セキュリティー面のメリットも得られます。紙媒体の場合、いくら厳重に管理したとしても、紛失や破損する可能性は否定できません。外部に持ち出した際に、紛失したり盗難に遭ったりすることも考えられます。紙媒体はデータと比べて劣化しやすいため、機密文書の保管には適していません。その他、災害による消失も考えられるでしょう。

一方、文書管理アウトソーシングを活用すると、高いセキュリティーのもとで管理が可能であり、重要な書類も安心して保管できます。万が一災害に見舞われたとしても、データ上に情報が残っているため復旧することも可能です。ただし業務委託会社によって、セキュリティーの高さが異なる点に留意する必要があります。アウトソーシングを依頼する前に、セキュリティー対策が万全に施されているかどうかを確認することが大切です。


コア業務に集中できる

書類作成や管理は定期的に行うルーティン業務ですが、膨大な書類の管理となると煩雑化し、時間や手間がかかります。文書管理に人員が取られてしまうと、コア業務がおろそかになるケースも少なくありません。

文書管理をアウトソーシングすれば、ルーティン業務を任せられます。その結果、戦略の立案や商談など、専門性が高く利益に直結するコア業務に集中することが可能です。アウトソーシングにより徹底した文書管理が行われるため、コア業務に必要な情報の検索もスムーズにできるようになり、作業効率の向上が期待できるでしょう。


文書管理をアウトソーシングする際の3つの注意点

文書管理をアウトソーシングする際の3つの注意点

文書管理をアウトソーシングする際は、以下の3つの注意点を押さえることが大切です。それぞれの注意点について詳しく解説します。

受託会社と情報管理の取り決めが必要になる

アウトソーシングでは、受託会社に個人情報や法的な文書などの機密文書を提供する必要があります。業務効率化に役立つ便利なサービスですが、情報漏えいのリスクが生まれる点に留意しなければなりません。特に、文書管理では顧客情報や契約書など重要な書類を扱うため、慎重にアウトソーシングを検討することが大切です。

ひとたび事故が発生すると悪影響は回避できないことから、事前に情報管理に関する取り決めや、自社および顧客に起こり得る被害の検証などを受託会社と確認しましょう。

また、アウトソーシング先を選定する際は、セキュリティー対策の姿勢やプライバシーマークの取得について確認し、慎重に検討する必要があります。


依頼範囲を明確にする必要がある

企業ではさまざまな情報を管理しますが、すべての文書をアウトソーシングに依頼する必要はありません。例えば、社員が個人的にメモした備忘録は、データ化して管理しなくても問題ないでしょう。一方で、契約書や決算書類などの法的な文書や、個人情報が記載された機密文書などは厳重に管理する必要があります。その他、先にデータ化した上でアウトソーシングに管理を依頼するなど、依頼の仕方や範囲も明確にする必要があります。

また、依頼する業務も企業によって異なります。効率的にアウトソーシングを活用するためには、文書管理における課題を洗い出し、業務の効率化を図るにはどの業務をアウトソーシングした方がよいかを検討することが大切です。


改正電子帳簿保存法への対応も考慮する

デジタル化が進む状況を踏まえて、2022年1月1日に電子帳簿保存法が改正され、帳簿や書類を電子データで保存する際の手続きやルールの見直しがなされました。この改正により、電子データ保存が義務付けられています。これまでメールで受領した請求書やクレジット明細などの取引データを、プリントアウトして保存していた場合、電子データ保存に切り替える対応が必要です。

タイムスタンプの付与や訂正・削除をした場合に履歴が残るシステムの導入など、改ざん防止措置が求められる他、必要なデータを速やかに検索できる機能も確保する必要があります。

2023年12月31日までに行う取引に関しては、プリントアウトした書類を保存し、税務調査の際に提出すれば問題ありません。しかし、2024年1月1日からは、保存要件に沿った電子データの保存が義務化されています。そのため、文書管理をアウトソーシングする際は、改正電子帳簿保存法に対応した代行先を選ぶことが大切です。


文書管理アウトソーシングと文書管理システムどちらを選択するべきか

文書管理は、アウトソーシング以外にもシステムを活用する方法があります。どの方法が自社に適しているかわからない方も多いでしょう。続いては、文書管理アウトソーシングと文書管理システムのどちらが適しているかを解説します。

ワークフローの簡略化には文書管理システムがおすすめ

文書管理では、企業のルールに沿ったワークフロー通りに申請書や稟議書を回覧し、申請・承認を行います。紙媒体だと記入の手間が発生する他、回覧の途中で紛失する可能性もあるでしょう。こうした手間やトラブルは、企業全体の業務効率が下がる要因になります。記入ミスや承認漏れが起これば、内部統制の構築への影響や決済の遅れなども起こりかねません。

文書管理システムには、業務を効率化するためのワークフロー機能が備わっています。紙媒体では、責任者が不在で承認が受けられないケースがありますが、文書管理システムであれば社外でも確認ができるため、スムーズな運用が可能です。

文書管理システム上にあるデータは一元管理できるため、複数人で同時に閲覧・作業ができます。例えば、会議に必要な資料を参加者全員に一括送信しておけば、印刷して配布する必要がありません。パソコンで内容を確認できるため、業務効率化につながります。


文書の電子化や紙媒体の管理負担を減らすならアウトソーシングがおすすめ

文書管理システムを活用するためには、書類の電子化が必要です。一方、膨大な書類をスキャニングして電子化する場合、相当な時間がかかります。企業によっては、書類を電子化する時間や人員が確保できないケースも少なくありません。

文書管理アウトソーシングを活用すれば、煩雑な業務の代行が可能です。加えて、紙媒体の保管にかかるコストや、処分する手間の削減にも役立つでしょう。

文書管理システムの場合、効率的な運用方法を検討したり、社員に使い方をレクチャーしたりする手間がかかります。一方、アウトソーシングであれば、依頼した業務をすべて任せられるため、社内運用や教育にかかるコストを省くことが可能です。


文書管理アウトソーシングで効率的な管理が可能になる

手間やコストのかかる文書管理をアウトソーシングすると、業務効率化やコスト削減、セキュリティー対策などさまざまなメリットが期待できます。文書管理はどの企業においても非常に煩雑な業務であり、悩みを抱えていらっしゃる方も少なくありません。文書管理アウトソーシングによって専門性の低い業務を外部に委託できれば、コア業務に人員を割けるため、ますます活用する企業が増えるのではないでしょうか。

文書管理アウトソーシングを活用する際は、留意点も把握しておくことが大切です。セキュリティー対策の確認や依頼範囲の明確化など、業務委託会社を選ぶ前に確認する事項があります。安心して文書管理アウトソーシングを活用するためには、事前に自社の課題を洗い出すことも大切です。その上で、自社の業務効率化につながるサービスを提供する業務委託会社を選ぶとよいでしょう。

パーソルテンプスタッフでは、文書管理を含む総務や経理業務もアウトソーシング・BPOサービスにて提供しています。文書管理で困りごとやお悩みがある方は、以下のページをご覧ください。

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