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年末調整のアウトソーシングとは?業務委託できる内容やメリットをご紹介
公開日:2025.01.29
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年末はさまざまな業務が立て込む慌ただしい時期であり、年末調整に関する業務は多くの企業で大きな負担となっています。こうした負担を軽減できる方法の一つが、年末調整の代行業務です。
年末調整をアウトソーシングすると、年末調整業務担当者の負荷軽減やコスト削減につながります。また、最新の税制に対応し、年末調整を正しく行えることもアウトソーシングを利用するメリットです。
本記事では、年末調整をアウトソーシングできる業務内容や自社に合うサービス選びのポイントを説明します。さらに、料金相場、サービス利用の流れについても解説しています。年末調整に関する業務の負担を軽くしたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
年末調整に関する業務を外部に委託する年末調整アウトソーシング
年末調整のアウトソーシングとは、社員の年末調整に関する業務を外部に委託できるサービスです。アウトソーシングは、年末調整による残業時間の増加といった課題を解決する方法として効果的です。
年末調整に必要な書類の配布や回収、データ作成といったさまざまな業務を代できるため、社内の担当者の業務負担を軽減できます。また、経験豊富な専門家に業務を依頼し、ミスなく正確に年末調整を行うことが可能です。
アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【分かりやすく解説】アウトソーシングとは?活用方法と派遣との違い
年末調整業務とは
年末調整とは、企業が社員に支払った毎月の給与等から源泉徴収した所得税および復興特別所得税の合計額と、その人が1年間に納めなければならない所得税および復興特別所得税を比較して、その差額を精算する手続きのことです。
国税庁の「年末調整の対象となる人」に記載された以下2つの条件を満たす人が、年末調整の対象となります。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、年末調整を行う日までに会社へ提出している
- 年末時点で企業に在籍している
また、年末調整の対象となる条件は、年末調整を12月に行う場合と、年の中途で行う場合とで異なります。
■12月に行う年末調整の対象となる人
下記の条件に該当する人は、12月に行う年末調整の対象者です。
- 企業などに1年を通じて勤務している
- 年の途中から就職し年末まで勤務している
■年の中途で行う年末調整の対象となる人
一方、次の条件に該当する場合は、年の途中で年末調整が行われます。
- 年の途中で、海外勤務などの理由により非居住者となった人
- 年の途中で死亡により退職した人
- 著しい心身の障害のため退職し、本年中に再就職が見込めない人
- 12月に給与の支払いを受けた後に退職した人
- パートタイマーとしてはたらいている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が所得税における基礎控除と給与所得控除の合計金額以下の人(退職後、年末までに他の勤務先から給与を受け取る見込みがある人は除く)
したがって、年の途中で退職した人で上記にあてはまらない場合は、年末調整の手続きは不要です。基礎控除と給与所得控除の合計金額は2024年までは103万円でしたが、2025年からは123万円に引き上げられます。
年末調整をアウトソーシングできる業務内容
ここでは、年末調整をアウトソーシングできる主な業務内容についてご紹介します。
各申告書の発送
社員に各申告書を発送し、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や地震保険や生命保険の控除証明書などを回収します。
年末調整を行うために必要となる主な資料は次の通りです。
- 給与所得者の扶養控除等異動申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書、所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書)
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 生命保険料控除証明書などの詳細が分かる書類
年末調整のデータ作成
申告書と証明書をもとに個人ごとの所得税控除データを作成します。
申請書のチェック・修正
申告内容に問題がないかをチェックし、必要に応じて修正します。また、申告書に不備がある場合のやり取りや、申請書が未提出の社員への督促連絡なども、アウトソーシングできる業務です。
ファイリング
年末調整に必要な資料の原本管理を事業者に依頼する場合は、入力データや回収書類をファイリングした状態で事業者が保管します
問い合わせ対応
年末調整についての不明点など、従業員からの問い合わせに対してメールや電話で回答します。
データ加工
年末調整済みのデータを、給与計算システムにアップロードできる状態に加工して会社に納品します。

年末調整でよくある課題
年末調整に関して、経営者、年末調整業務の担当者、社員の各々の立場での課題があります。それぞれについて解説します。
経営者のお悩み
年末は給与の計算の他に賞与の計算や売上計上などがあり、加えて11~12月に発生する年末調整業務に追われるため、経営者は以下のようなお悩みを抱えていることが多いでしょう。
- 年末調整を効率化したい
- 年末調整を電子化したい
- 社員数の増加で作業が煩雑になる
- 法改正に適応できておらず、担当者の業務負担が増える
- 年末調整に関する教育コストを減らしたい
- 社員に年末調整を任せられない
- 年末調整業務担当者が退職してしまった
- 年末調整業務がブラックボックスになっている
年末調整業務担当者のお悩み
年末調整業務担当者は、以下のようなお悩みを抱えていることが多いです。
- 他の業務との兼ね合いで、本来の業務に時間が割けない
- 内容の確認作業が大変で、ミスが頻発してしまう
- 申告書類を全社員から回収することや、リマインドが大変
- 社員からの電話対応に追われる
- 年末時期だけ残業が増える
社員のお悩み
年末調整業務担当者が悩みを抱える一方、申請をする社員たちも以下のような悩みを抱えています。
- 用意する書類が多くて大変
- 控除額の計算が大変
- 申告のやり方が合っているか不安
- 紙で申請するので、記入や提出が面倒
- リモートワークなので、申請が面倒
年末調整業務担当者も、経営者も、申請する側の社員でさえ、年末調整に悩まされているのが現実です。年末調整アウトソーシングを活用すると、これらの課題の解決が期待できます。

年末調整をアウトソーシングする3つのメリット
年末調整をアウトソーシングすると、大きく分けて次の3つのメリットが得られます。
- 繁忙期の人件費を削減できる
- 業務負担を軽減できる
- 法令改正に対応できる
それぞれについて解説します。
繁忙期の人件費を削減できる
年末には、年末調整を担当する社員の残業が一時的に増加し、コストがかかる場合があります。また、年末調整を行うために追加の人員を雇用する場合にも、求人にかかる費用や、自社のワークフローを教える教育コストなどが必要です。
年末調整アウトソーシングを活用すると、これらのコストを抑えられる可能性があります。
業務負担を軽減できる
年末は賞与の計算や年内の売上計上などの業務が立て込む時期のため、担当部署に業務が集中し負担が大きくなります。
年末調整アウトソーシングを活用すれば、年末調整の業務を外部に委託できるため、業務負担の軽減が可能です。年末調整の業務負担が軽減されれば、本来の業務に集中して取り組むことができ、業務効率の向上や人的なミスの防止にもつながります。
法令改正に対応できる
年末調整は、たびたび行われる税法改正の影響を受けるため、最新の情報に基づいた対応が必要です。年末調整アウトソーシングを活用すると、法令改正に対応した正確な年末調整が行えます。
年末調整アウトソーシングのサービス選びのポイント
年末調整アウトソーシングのサービスは、提供会社によって対応できる業務範囲や料金などが異なります。そのため、自社に合うサービスを選ぶことが、年末調整をアウトソーシングする際に重要です。
ここでは、年末調整のアウトソーシング先を選ぶポイントについて解説します。
税理士資格の有無
年末調整をアウトソーシングする場合は、税理士資格のある事業者に依頼することが大切です。
年末調整の業務の中には税理士にしかできないものがあり、次のように定められています。
法第52条は、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。」と規定し、税理士又は税理士法人でない者が、原則として「税理士業務」を行うことを禁止しています。
年末調整と同様にアウトソーシングされることの多い給与計算は、税理士と社会保険労務士のどちらも行える業務です。ただし、年末調整に関しては税理士法第2条第1項に規定する業務に該当し、税理士のみが代行できる業務となります。
年末調整アウトソーシングを活用する際は、税理士資格のある事業者かどうかを確認しましょう。
対象の従業員規模
年末調整アウトソーシングの提供会社によって、依頼を受け付けている従業員規模が異なります。「10名~1,000名」や「800名以上」など、年末調整のアウトソーシングが可能な従業員数を確認した上で、依頼先を選ぶことが重要です。
アウトソーシングの提供会社の公式サイトなどを確認し、対象の従業員規模を把握しましょう。また、自社と同じような規模の企業からの依頼実績があるかを確認することもおすすめです。
代行を依頼できる業務範囲
どこまでの業務を代行してもらえるかも、年末調整のアウトソーシング先を選ぶ上で重要なポイントです。
例えば、年末調整に関する従業員からの問い合わせに対応しているか、必要な資料やデータを提供会社側で保管してもらえるかなどを確認しましょう。
対応している申告システムの種類
アウトソーシングの提供会社によって、年末調整のために自社で使用している申告システムのままで代行を依頼できる場合と、提供会社側の申告システムの導入が前提となっている場合があります。
すでにWEB申告システムを導入していて、乗り換えを検討していなければ、自社の使っているシステムで年末調整の代行を依頼できる業者を選びましょう。
情報漏えいリスクへの対策
年末調整アウトソーシングを活用する際は、社員のマイナンバーや住所などの個人情報を委託先に預ける必要があり、個人情報漏えいのリスクがあります。
そのため、プライバシーマークを取得しているかなど、情報管理やセキュリティ対策を講じているかどうかを事前に確認し、慎重に委託先を選ぶことが重要です。
料金プラン
年末調整アウトソーシングを依頼する際に、顧問契約が前提で、給与計算などの業務とセットという条件を提示するサービス提供会社もあります。そのため、年末調整だけを依頼したい場合は、料金プランについて事前に確認しておくことが重要です。
予算やアウトソーシングによって見込める人件費削減効果を踏まえて、自社に合った料金プランで依頼できるサービス提供会社を選びましょう。
なお、パーソルテンプスタッフのアウトソーシング・業務委託サービスについては以下でも詳しく説明しています。ぜひ、ご参照ください。 >> アウトソーシング・業務委託
年末調整アウトソーシングを利用する際の流れ
年末調整は提出期限が定められているため、アウトソーシングを利用する場合は余裕を持ったスケジュールで依頼を行うことが大切です。
ここでは、年末調整アウトソーシングを利用する際の基本的な流れをご紹介します。
アウトソーシングする業務を選定する
まずは、どのようなスケジュールで年末調整を進めるか、必要な配布資料は何かなど洗い出しましょう。その上で、アウトソーシングする業務を選定します。
年末調整の時期に間に合うようサービスを申し込む
アウトソーシング先を選定した上で、サービスの申し込みを行いましょう。申し込みの締め切り時期は、サービス提供会社によって異なります。年末調整に向けてアウトソーシングを導入する場合、遅くても3月ごろには申し込みを済ませておくと安心です。
アウトソーシング先とのやり取りを進める
サービス提供会社からのヒアリングを通じて、自社の現状のフローや書類などの情報を伝えましょう。
また、サービス提供会社のWEB申告システムを導入する場合は、設定や使い方のガイダンスなどの準備も行います。
年末調整業務を実施
年末調整の時期が近づいたら、従業員への連絡や年末調整に必要な書類の回収、データ作成などの代行が実際に行われます。進捗共有のやり取りを行い、年末調整の完了までに必要な業務を進めましょう。
自社に合うアウトソーシングサービスを選び年末調整の負担を減らしましょう
年末調整の時期は、膨大な業務量を処理しなければならず、年末調整業務担当者の負担が増えてしまいます。年末調整アウトソーシングを活用すれば、業務を外部に委託できるため、本来の業務に集中して取り組むことが可能です。
年末調整のアウトソーシングと人材派遣を依頼することの主な違いは、業務指示の仕方です。人材派遣を依頼する場合、派遣スタッフへの業務指示は自社で行う必要があります。一方、アウトソーシングでは年末調整の遂行を一任でき、自社からの指示は不要です。
そのため、年末調整アウトソーシングを活用すれば、年末調整に必要な書類の確認や控除額と源泉徴収所得の計算などを行ってもらえます。また、専門家に任せることにより、最新の法令改正に対応し、正確な手続きができることも、大きなメリットです。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ自社に合った年末調整アウトソーシングサービスをお選びください。
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