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人事労務をアウトソーシングする際の選び方や注意点をご紹介

公開日:2023.05.29

更新日:2024.06.14

人事ナレッジ

人事労務は、企業経営で大切な人材管理に関連する業務です。業務の手間やコストに悩み、運用・管理を外注したいと考えていらっしゃる企業も多いでしょう。人事管理や労務管理を円滑に進める上で役立つサービスが、人事労務アウトソーシングです。

今回は、人事労務アウトソーシングについて概要を説明すると共に、活用するメリットや注意点を解説します。

人事労務アウトソーシングとは人事労務の業務を外部に委託すること

人事労務とは、人事管理と労務管理の両方を行う業務です。人事管理では人材採用や育成について、規則や処遇を踏まえて管理し、社員が企業内で最大限の成果を発揮できるように体制を整えます。人事管理のうち給与計算や勤怠管理、社会保険、福利厚生に関する業務が労務管理です。人事管理・労務管理の業務を外部に委託することを「人事労務アウトソーシング」と言います。

人事労務アウトソーシングの領域

人事労務の仕事は範囲が広い上に、法規に沿った適切な対応が求められます。近年はワーク・ライフ・バランスが重要視され、はたらき方の多様化も進んでおり、人事管理や体制づくりが複雑になっています。働き方改革が浸透したことで、業務効率化やコスト削減に取り組む企業も増えてきました。

人事労務アウトソーシングを活用すると、より専門的な視点から人事労務を遂行できる他、社員の負担軽減を図ることが可能です。

アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【わかりやすく解説】アウトソーシングとは?活用方法と派遣との違い


人事労務アウトソーシングで依頼できる業務

人事労務は、システムで対応できる業務と、人材が必要になる業務の二つに分類されます。人事労務アウトソーシングを請け負う企業によっては、いずれの業務も対応することが可能です。続いては、一般的に人事労務アウトソーシングで依頼できる業務について具体的に解説します。

人事労務アウトソーシングで依頼できる業務

システムで対応できる業務

人事労務のうち、以下の業務はITツールやクラウドなどのシステムで管理できます。

  1. 給与計算
  2. 勤怠管理
  3. 年末調整
  4. 給与情報管理

人事労務アウトソーシングでは、システム管理と合わせて作業ミスや打刻漏れのチェックなども行います。自社の社員で管理や実作業を担うと、人為的なミスが起こりやすい業務です。これらの業務を委託することで煩雑な手間を省いたり、正確性を高めたりすることが期待できるでしょう。


人材が必要になる業務

以下に挙げる業務は、システムで対応できないため人材が必要となります。

  1. 労務関連の手続き・申請業務
  2. 書類回収・督促
  3. 給与計算のチェック
  4. 社員からの問い合わせ対応
  5. 採用支援
  6. 人材育成

人事労務のうち、労務管理にあたる社会保険や労働保険の手続き、申請業務は非常に手間がかかります。加えて、法改正があればその都度適切な対応が求められるため専門知識も必要です。さらに人事管理では、社員からの質問やトラブル解決のために、社内お問い合わせ窓口を用意するケースもあります。

小規模な企業であれば各担当者で対応することも可能ですが、規模が大きくなればその分業務が増えるため、人材の採用・育成が必要になります。人事労務アウトソーシングを活用すれば、このように高い専門性が求められる業務も依頼可能です。


人事労務をアウトソーシングする5つのメリット

人事労務をアウトソーシングする5つのメリット

人事労務をアウトソーシングするとさまざまなメリットが得られます。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化やリモートワークの促進につながる

人事労務は、給与計算や社会保険の手続き、人材育成などさまざまな業務を担うため大変手間がかかります。特に、従来は紙媒体を使って管理をするケースが多く、どうしても業務が煩雑になりがちでした。こうした効率の悪さを解消する上で、アウトソーシングが大いに役立ちます。

システムを提供している企業に人事労務業務をアウトソーシングすると、Web上で書類の回収や提出が可能になります。また、疑問点があれば、各社員が委託先の担当者とやり取りするため、これまで対応に追われていた担当部署の手間も省けます。人事労務のアウトソーシングは業務効率化に役立つ他、社員のリモートワーク促進にもつながります。

このように、人事労務をアウトソーシングすると業務の手順や時間、作業量、方法の見直しができます。働き方方改革の推進を図る際にも役立つ手段と言えるでしょう。


法令改正に対応できる

人事労務業務を受託会社などにアウトソーシングすると、専門家による対応がなされるため、法令改正による変更点の見落としや違反による罰則回避などが期待できます。

人事労務業務では、法令改正への対応が求められることが多いです。特に国を挙げて働き方改革が進められている近年は、社会保険関連法や労働基準法など関連法令の改正が頻繁に行われていることもあり、法令改正への適切な対応は企業としても意識したいところです。


属人化を防止する

より高い専門性が求められることから、人事労務業務は特定の社員への依存度が高まりやすい傾向があります。業務の属人化が進むと、業務の全容を把握しているのは担当者のみということになりかねません。万が一、担当者が病気などで急遽休暇に入ると、人事労務業務が滞る恐れもあります。

アウトソーシングを活用して人事労務業務を外部に委託すると、専門性の高い業務であっても属人化を予防できるでしょう。また、人事労務をアウトソーシングすることで業務プロセスが整理され、マニュアル化が行われるため、業務の属人化を防止できます。


人材不足への対策ができる

人事労務業務のなかから定型業務を外部に委託すると、人材不足の負担軽減にも貢献できるでしょう。今まで定型業務に従事していた社員が、コア業務など、より重要度の高い業務に専念できるためです。

少子高齢化の進行による労働人口減少は、社会的な課題として認識されています。多くの企業が求める人材は大企業に集中する傾向も相まって、即戦力の獲得は難しいと言えます。アウトソーシングを活用して社員に余裕ができれば、入社した社員に対して新人教育を実施するだけの時間的・人材的余裕を確保しやすくなるでしょう。


採用や教育のコストを削減できる

人事管理にあたる採用活動と入社後に実施する新人教育などを、まるごとアウトソーシングすることも可能です。

就職活動期間が長期化し、採用手法が多くなりました。そのため、全工程を社員のみで対応するのは難しいです。こうした事情から、アウトソーシングが認知され、採用活動や教育にかかるコストを考慮した上で実際に導入に踏み切る企業も増えてきました。


人事労務をアウトソーシングする際の3つの注意点

人事労務をアウトソーシングする際の3つの注意点

人事労務アウトソーシングの利用にあたって、注意しておきたい点を解説します。実際にはアウトソーシング会社に相談しながら具体的な運用方法を決めることになりますが、委託するメリットを最大限に受けるためにも予備知識を入れておきましょう。

社内にノウハウが蓄積されづらい

人事労務業務をアウトソーシングすると、その業務に携わる機会が減るので、自社にノウハウが蓄積されにくくなります。自社が保有するノウハウが古いままで止まってしまうため、定期的に受託会社にノウハウをフィードバックしてもらい、状況を正しく把握しておくことが大切です。


認識のずれなどが生じる場合がある

人事労務をアウトソーシングする場合、自社で作業できれば意思の疎通が図りやすく、問題が発生してもすぐに対応できますが、委託先で作業する場合は、自社と離れているため認識のずれが生じる可能性があります。

人事労務を円滑に進めるためにも、委託先に任せきりにするのではなく、適度にコミュニケーションを取りながら情報共有することが大切です。


情報漏えいの恐れがある

人事労務は社員や求人応募者などの個人情報を扱う業務です。委託先のセキュリティ管理がずさんだと、大切な情報が漏えいしてしまう危険性が高まります。情報漏えいが起きてしまった場合は、当然ながら委託元にも多大なブランド棄損や責任問題が発生してしまいます。

情報漏えいのリスクを防止するためにも、人事労務アウトソーシングを活用する場合は、委託先のセキュリティ体制について事前に確認する必要があります。


人事労務をアウトソーシングする際の料金相場

人事労務をアウトソーシングする際の料金相場

人事労務をアウトソーシングする際に気になるのが料金相場でしょう。人事労務アウトソーシングでは、月単位もしくは業務単位で料金が設定されるのが一般的です。続いては、月単位・業務単位それぞれの料金相場を解説します。

月単位

一般的に月単位とは「業務×人数」で計算した月額制のプランを指します。人事労務アウトソーシングにかかる費用の内訳は、企業の規模や委託先によってさまざまです。また、オペレーションに必要な人数や時給、業務内容の難易度などによって費用が上がります。

例えば、社員数50人前後の企業が勤怠管理や給与計算を依頼する場合、月額12万?14万円程度のコストが一般的です。

月単位の料金設定では、アウトソーシングにかかるコストが計算しやすいですが、業務内容によっては割高になる可能性があります。


業務単位

人事労務の業務すべてをアウトソーシングするのではなく一部を依頼する場合は、業務単位で料金設定されたプランを選ぶとよいでしょう。給与計算のみを依頼する場合は1件500円程度、社会保険や雇用保険は1件1,000円程度で請け負っているケースが一般的です。

ただし、業務内容によっては別途費用がかかる可能性がある他、初期費用を設定している委託先もあるため事前に確認する必要があります。また、業務量や難易度、必要スキルを踏まえて試算するケースも多く、委託先によって見積もり方法が異なるため、アウトソーシングにかかる費用は一概には言えません。


人事労務のアウトソーシング先を選ぶポイント

人事労務のアウトソーシング先を選ぶポイント

人事労務をアウトソーシングする際は、ポイントを押さえて委託先を選ぶことが大切です。続いては、人事労務のアウトソーシング先を選ぶポイントを4つ解説します。

自社の課題に対応できるか

人事労務のアウトソーシングと一括りにしても、委託先によって得意とする業務が異なります。例えば、人事管理に特化しているケースもあれば、労務をメインに請け負っているケースもあるでしょう。

十分に検討せずにパートナー企業選びをすると、思うようなサービスが受けられない可能性があります。委託先を選ぶ際は得意としている業務を確認した上で、自社の課題に対応できるかどうかで判断するとよいです。そのためには、事前に自社の課題を洗い出しておくことも大切になります。


実績が豊富か

人事労務をアウトソーシングした際に、コストに見合った成果を得るためには、委託先の実績を確認しておく必要があります。実績豊富な委託先は人事労務に関するノウハウを蓄積しており、イレギュラーな事態が起こったとしてもスムーズな対応が可能です。また、自社の課題に対して、より最適な手段の提案やサポートも受けられるでしょう。


こまめなコミュニケーションが取れるか

人事労務では個人の情報を取り扱うことから、普段からこまめなやり取りが発生します。いくら委託先の実績が豊富で高い専門性を持っていたとしても、コミュニケーション不足に陥ると認識のずれが生じてしまい、対応が遅れる可能性があるでしょう。

不測の事態が起きた場合でも速やかに情報を共有しスムーズに業務がこなせるように、普段からこまめなコミュニケーションが取れる委託先を選ぶことが大切です。


サポート体制が充実しているかどうか

人事労務をアウトソーシングする際は、サポート体制も押さえておきたいポイントです。特にはじめてアウトソーシングを活用する場合、分からないことをすぐに問い合わせられるような体制が整っていると安心でしょう。また、定期的にフィードバックが受けられる体制があれば、より効率的な業務改善が可能です。


アウトソーシングすることで人事労務業務が効率化できる

アウトソーシングすることで人事労務業務が効率化できる

今回は人事労務アウトソーシングのメリットや注意点、委託先を選ぶポイントを解説しました。人事労務はルーティンワークも多い業務ですが、経営において非常に重要な役割を担っています。また、法令とも関わりが大きいため、適切な対応が求められる業務です。

社内で対応することも可能ですが、アウトソーシングするとより効率的に業務を進められます。なお、安心して業務を委託するためには、信頼できる委託先を選ぶことが大切です。

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