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業務委託費の勘定科目は?仕訳例や人件費・外注費との違い、コストを抑えるポイントをご紹介
公開日:2025.03.13
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社内の業務の一部を外部に依頼する業務委託を行うにあたって、業務委託費の勘定科目や仕訳方法が気になっている経理担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、業務委託費にどのような費用が含まれるかについて解説します。また、業務委託費の支払いで押さえておきたい源泉徴収や消費税に関する知識、外注費・人件費との違い、業務委託費のコストを抑えるポイントもご紹介します。
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目次
業務委託費とは他社に委託する対価として支払う費用
業務委託費とは、雇用契約のない委託先に自社の業務を委託し、業務を行った対価として発生する費用を指します。業務の委託先には企業または個人事業主の場合があり、税金の扱いなどが異なるため、違いを理解しておくことが重要です。
原則として源泉徴収をする必要がない
業務委託費を支払う場合、支払者が所得税を天引きして納税する「源泉徴収」は、原則として必要ありません。雇用契約に基づく労務の対価である給与と異なり、業務委託費は業務委託契約に基づく労務の対価です。業務委託費は給与ではないため、源泉徴収は基本的に不要です。
しかし、所得税法204条により、委託先が法人ではなく個人事業主の場合、業務委託費の支払い時に源泉徴収が必要な場合があります。例えば、個人事業主に対する原稿料やデザイン料・講演料などの支払いでは、源泉徴収が必要です。そのため、業務委託費を支払う際には源泉徴収の必要性について確認しましょう。
源泉徴収が必要な場合の業務委託費の支払い方法
源泉徴収が必要となる相手に業務委託費を支払うときには、源泉徴収分を差し引いた金額で報酬を支払います。
源泉徴収額の計算方法は報酬や料金の区分によって異なります。例えば、報酬が100万円以下の場合は、報酬金額の10.21%が源泉徴収で差し引く金額です。報酬が100万円以上の場合、100万円を超えた分については、20.42%が源泉徴収の税率となります。
ただし、司法書士への登記費用の支払いなど、業務委託の内容によっては例外的な計算方法が適用される場合もあるため、事前に確認しましょう。
また、源泉徴収した金額は、原則として報酬を支払った翌月の10日までに税務署や金融機関で納付する必要があります。一定の条件を満たす場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を行うことで、年2回にまとめて納付することもできます。
参考:国税庁|源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
業務委託費に課される消費税について
業務委託費の支払い時には、消費税が課されることが一般的です。業務委託に対する報酬額に、消費税率をかけた分を加算した上で業務委託先に支払う必要があります。
消費税を含まない金額で業務委託を行った場合、税務調査によって後から追加で消費税の支払いが発生する可能性があるため、適切に処理しましょう。
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業務委託とは
業務委託とは、雇用関係のない他社または個人事業主に自社の業務を委託することです。

また、法律用語としては「業務委託」は定義されておらず、請負契約・準委任契約・委任契約という3つの契約の総称として業務委託という言葉が使用されています
業務委託における契約の種類
それぞれの契約にはどのような違いがあるのでしょうか。請負契約、準委任契約、委任契約の違いを下記の表にまとめました。
業務委託契約 | |||
---|---|---|---|
請負契約 | 準委任契約 | 委任契約 | |
目的 | 成果物 | 業務の遂行・納品 | 法令業務の遂行・納品 |
スタッフの雇用元 | 受託会社 | 受託会社 | 受託会社 |
指揮命令権 | 受託会社 | 受託会社 | 受託会社 |
報酬の対象 | 成果物 | 成果物または業務の遂行 | 成果物または業務の遂行 |
責任の所在 | 受託会社 | 自社 | 自社 |
請負契約は、成果物を対象として報酬が支払われる契約です。例えば、アプリやシステムの開発、広告のデザイン、住宅やビルの建設工事などが該当します。
準委任契約は、法律行為以外の業務に対して報酬が支払われる契約です。経営改善のコンサルティングやシステムの保守などは、準委任契約として扱われます。
委任契約は、法律行為の代行に対して報酬が支払われる契約です。弁護士業務や税理士業務、不動産仲介などが委任契約に該当します。
準委任契約については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>準委任契約とは?特徴や運用上の注意点、他の契約との違いをご紹介
業務委託・人材派遣との違い
業務委託・人材派遣の違いをまとめると、下記の表になります。
業務委託 | 人材派遣 | |
---|---|---|
自社と結ぶ契約 | 業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
契約期間 | 契約期間が終了するまで | 派遣可能期間は原則3年まで |
業務の指揮命令 | 不可 | 可 |
労働法の適用 | なし | あり |
社会保険の加入 | 不要 | 不要 |
年末調整 | 不要 | 不要 |
対価として支払うもの | 報酬 | 派遣料金 |
業務委託では、自社と委託先が業務委託契約を結びます。委託先に対する業務の指揮命令はできず、労働法は適用されません。また、業務委託で支払う対価は報酬として扱われます。

一方、人材派遣では、自社と人材派遣会社が労働派遣契約を結びます。派遣可能期間は原則3年までです。人材派遣では業務の指揮命令が可能で、労働法が適用されます。人材派遣の対価は、人材派遣会社に支払う派遣料金です。
業務委託と人材派遣は、いずれも社会保険の加入や年末調整を行う必要はありません。
人材派遣と業務委託の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>人材派遣と業務委託の違いとは?それぞれの特徴とメリット、活用方法を紹介
業務委託費として計上できる勘定科目
業務委託費として計上できる勘定科目の一例として、委託先に支払う「支払報酬料」や「業務委託料」、銀行手数料などの「支払手数料」などが挙げられます。
加工を依頼した際の加工賃や下請工事などを依頼したときの工賃も、業務委託費として計上できます。
(例)
- 業務委託やアウトソーシングを行うときの業務委託料
- 弁護士や税理士などの専門家への支払報酬料
- 外部のコンサルタントに支払う料金
- 下請や加工を依頼したときの下請費(下請工賃)や加工費(加工賃)
- 委託先に報酬を振り込むときの銀行手数料
業務委託費の仕訳例
以下では、業務委託費の仕訳例をご紹介します。今回は4つのパターンを想定して仕訳方法をご紹介しますので、ぜひ経理処理を行う際の参考にしてください。
メーカーに加工を依頼する場合
お菓子メーカーが製品パッケージの印刷・組み立てを印刷会社に業務委託(外注加工費)し、普通預金に振り込んだ場合の仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
業務委託費 | 2,000,000円 | 普通預金 | 2,200,000円 |
仮払消費税など | 200,000円 |
コンサルタントに依頼する場合
外部のコンサルタントに、コンサルタント費用として100万円を普通預金に振り込んだ場合の仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
業務委託(コンサルタント費用) | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,100,000円 |
仮払消費税など | 100,000円 |
エンジニアにシステム開発を依頼する場合
工場の工程管理用システム開発をエンジニアに依頼し、現金で支払いをした場合の仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
業務委託(システム開発費) | 500,000円 | 現金 | 550,000円 |
仮払消費税など | 50,000円 |
個人事業主のWEBデザイナーにサイト制作を依頼する場合
個人事業主のWEBデザイナーに、源泉徴収を差し引いたサイト制作費用を普通預金に振り込んだ場合の仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
業務委託(サイト制作費) | 300,000円 | 普通預金 | 299,370円 |
仮払消費税など | 30,000円 | 預り金 | 30,630円 |
こちらの例では、業務委託費300,000円に源泉徴収税率10.21%を掛けた30,630円が源泉所得税として、業務委託費と消費税の合計金額330,000円から差し引かれています。
業務委託費と外注費・人件費の違い
外注費とは
外注費は、自社以外の企業や個人事業主などに業務を発注する際の費用を指します。業務委託費と外注費の違いは、契約の有無です。外注費には、請負契約や準委任契約、委任契約などを結ばずに外部に発注した業務のコストも含まれます。
例えば、業務委託契約を結んでいない運送会社に対して商品の配送を依頼した際の費用は、外注費として扱われます。
人件費とは
人件費は、従業員に対して支払う給与や賞与、社会保険料などのコストのことです。業務委託費が外部の委託先に支払われることに対して、人件費は自社の従業員に対して支払われる点が異なります。
業務委託費コストを抑える5つのポイント
業務を委託するとコストがかかりますが、どのようにすれば費用を抑えられるのでしょうか。業務委託費のコストを抑えるポイントを解説します。
適正な報酬を設定
業務委託にかかるコストは、委託する業務の内容や、委託先の企業や個人事業主などによって異なります。
業務内容や委託先の能力、実績などを考慮し、適正な報酬金額を設定することが、コストを抑えるために重要です。
外注予定業務と付随する業務の適正化
コストを抑えて利益を最大化するためには、業務委託の必要性を見直す必要があります。
まずは、業務委託を検討する業務のフローチャートを作成し、関連する業務を書き出すことで業務プロセスを可視化しましょう。その上で、無駄を省けるポイントや自社で行える業務を明確にすると、業務委託費を最小限に抑えやすくなります。
依頼したい内容を明確化
業務委託をする際に、目的や依頼内容、委託先に求めるスキル、スケジュールなどを明確化し、委託先に伝えることも重要です。業務内容を事前に適切に伝えておくことで、適正な見積もり金額を提示してもらえます。
また、委託する業務をスムーズに進め、手戻りや修正による追加コストを抑えるためにも、依頼内容を明確にしておくことが必要です。
価格交渉をする
委託する業務内容を明確にした上で、必要に応じて価格交渉を行うと、コストを抑えられる可能性があります。複数の委託先に対して相見積もりを取ると、適正な金額を把握でき、価格交渉をしやすくなります。
ただし、単に価格が安ければよいというわけではありません。依頼できる内容や成果物の品質なども考慮した上で、委託先を選定しましょう。
無料トライアルを活用する
業務委託を受け入れる会社によっては無料のトライアル期間を設けている場合があります。
無料トライアルを活用すると、依頼できる業務内容や品質を実際に確認した上で、契約を結ぶかを検討できます。依頼後のミスマッチをなくすためにも、積極的に活用しましょう。
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業務委託費の勘定科目や仕訳方法を理解して正しく処理しましょう
今回ご紹介した仕訳例や源泉徴収・消費税の扱い、外注費や人件費との違いなどを参考に、ぜひ業務委託費の会計処理を適切に進めましょう。
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