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業務委託費の勘定科目は?仕訳例やコストを抑えるポイントをご紹介

公開日:2023.05.15

更新日:2024.01.29

人事ナレッジ

昨今、人材不足やはたらき方の変化により、社内の業務の一部を外部に依頼する業務委託を検討する企業も増えているのではないでしょうか。今回は「業務委託費」にどういったものが含まれるのかを解説し、勘定科目や仕訳例などもご紹介します。

業務委託費とは他社に委託する対価として支払う費用

業務委託費とは、雇用契約のない他社に自社の業務を委託し業務を行った対価として発生する費用を指します。外部の企業に委託することもあれば個人に委託することもあります。

原則として源泉徴収をする必要がない

雇用契約に基づく労務の対価である給与と異なり、業務委託費は業務委託契約に基づく労務の対価です。給与として報酬を支払う際には源泉徴収する必要がありますが、業務委託費の場合は原則として源泉徴収する必要がありません。

しかし所得税法204条により、委託先が法人ではなく個人の場合、源泉徴収が必要な場合があります。原稿料やデザイン料・講演料などは、源泉徴収が必要です。源泉徴収が必要なものと不要なものがあるので、報酬を支払う際にはあらかじめ確認してください。


業務委託とは

業務委託とは、雇用関係のない他社または個人事業主に自社の業務を委託することです。派遣スタッフによる業務の場合は、指揮命令関係が派遣先と派遣スタッフに間に発生しますが、業務委託の場合は、委託者である自社と業務従事者との間に指揮命令関係は発生しません。

また、「業務委託」という法律用語は存在しませんが、業務委託は、「請負」「準委任」「委任」の3つの契約の総称として使用されています。

業務委託の3つの契約種類(請負・準委任・委任)

業務委託における契約の種類

それぞれの契約にはどのような違いがあるのでしょうか。請負契約、準委任契約、委任契約の違いを下記の表にまとめました。

業務委託契約
請負契約 準委任契約 委任契約
目的 成果物 業務の遂行・納品 法令業務の遂行・納品
スタッフの雇用元 受託会社 受託会社 受託会社
指揮命令権 受託会社 受託会社 受託会社
報酬の対象 成果物 成果物または業務の遂行 成果物または業務の遂行
責任の所在 受託会社 自社 自社

準委任契約については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
>>準委任契約とは?特徴や運用上の注意点、他の契約との違いをご紹介


業務委託・人材派遣との違い

業務委託・人材派遣の違いをまとめると、下記の表になります。

業務委託 人材派遣
自社と結ぶ契約 業務委託契約 労働者派遣契約
契約期間 契約期間が終了するまで 派遣可能期間は原則3年まで
業務の指揮命令 不可
労働法の適用 なし あり
社会保険の加入 不要 不要
年末調整 不要 不要
対価として支払うもの 報酬 派遣料金

業務委託費として計上できる勘定科目

業務委託費として計上できる勘定科目の一例として、委託先に支払う「支払報酬料」・「業務委託料」、銀行手数料などの「支払手数料」などが挙げられます。

加工を依頼した際の加工賃や下請工事などを依頼したときの工賃も、業務委託費として計上できます。

例)

  1. 業務委託やアウトソーシングを行うときの業務委託料
  2. 弁護士や税理士などの専門家への支払報酬料
  3. 外部のコンサルタントに支払う料金
  4. 下請や加工を依頼したときの下請費(下請工賃)や加工費(加工賃)
  5. 委託先に報酬を振り込むときの銀行手数料

業務委託費の仕訳例

業務委託費の仕訳例を解説します。今回は3つのパターンを想定して仕訳方法をご紹介しますので、ご参考ください。

メーカーに加工を依頼する場合

お菓子メーカーが製品パッケージの印刷・組み立てを印刷会社に業務委託(外注加工費)し、普通預金に振り込んだ場合の仕訳例です。

借方 金額 貸方 金額
業務委託費 2,000,000円 普通預金 2,200,000円
仮払消費税など 200,000円

コンサルタントに依頼する場合

外部のコンサルタントに、コンサルタント費用として100万円を普通預金に振り込んだ場合の仕訳例です。

借方 金額 貸方 金額
業務委託(コンサルタント費用) 1,000,000円 普通預金 1,100,000円
仮払消費税など 100,000円

エンジニアにシステム開発を依頼する場合

工場の工程管理用システム開発をエンジニアに依頼し、現金で支払いをした場合の仕訳例です。

借方 金額 貸方 金額
業務委託(システム開発費) 500,000円 現金 550,000円
仮払消費税など 50,000円

業務委託費コストを抑える5つのポイント

業務を委託するとコストがかかりますが、どのようにすれば費用を抑えられるのでしょうか。業務委託費のコストを抑えるポイントを解説します。

適正な報酬を設定

フリーランスや副業人材の多くが個人で業務を請け負っており、能力や実績がそれぞれ異なります。業務内容、能力、実績を考慮し、適正な報酬金額を設定することが肝心です。


外注予定業務と付随する業務の適正化

企業が利益を得るために、本当に業務委託が必要かを見直してください。まずは当該業務に関するフローチャートなどを作成します。関連する業務なども書き出し、業務プロセスを可視化します。それをもとに無駄なプロセスを除くことで、さらなる効率アップが実現し、業務委託の必要性に関しても検討しやすくなるでしょう。


依頼したい内容を明確化

業務委託をする際に、委託する目的、内容、スキル、スケジュールなどを明確化し、委託先に正確に伝えることは欠かせないポイントです。委託開始後の業務のスムーズな進行はもちろん、業務内容を事前に適切に伝えておくことで正しい見積もり金額を提示してもらえるようになります。


価格交渉をする

委託したい業務内容が明確になったら、委託先の候補を選定します。相見積もりなどを取り、適正な価格を調べましょう。価格が安ければよいというわけではありません。中長期的な長い目で見てお互いの信頼関係を築くための適切な価格を知るために、相見積もりを取ることや交渉することが大切です。


無料トライアルを活用する

業務委託を受け入れる会社によっては無料のトライアル期間を設けている場合があります。求めたい内容と合致した業務を行ってくれるか、納得できるクオリティを提供してくれるのか、依頼後のミスマッチをなくすためにも無料トライアル期間があれば積極的に活用しましょう。


業務委託費の勘定科目や仕訳方法を理解する

業務委託費に関して解説しました。業務委託費として扱える費用には、業務委託料や弁護士や税理士への支払報酬料以外にも、加工賃や工賃なども含まれます。幅広い内容の業務に関わる費用が業務委託費に含まれるのです。

業務を委託を適切に活用できれば、組織の生産性や従業員エンゲージメントの向上が期待できます。一方で業務委託範囲を適切に判断しなければ、委託費が余計にかかってしまい、契約後の思わぬトラブルが多発してしまうでしょう。

現在外部リソースを活用しているものの疑問や不安を抱いている方や、はじめて委託を検討するため情報収集も兼ねて専門家へ相談したいとお考えの方は、お気軽にパーソルテンプスタッフへお声掛けください。参考情報として当社の業務委託サービスのご紹介や、実際に業務委託を活用されているお客さまの事例集を掲載していますので、併せてご覧いただければ幸いです。

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