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【担当者必見】再就職支援を活用する2つのメリットをご紹介

公開日:2023.03.10

更新日:2024.04.26

人事ナレッジ

組織の改変や業績の悪化などなんらかの事情があって社員に退職を促し、あらたなキャリアを歩んでもらうためには、再就職支援が有効な施策となります。再就職先が見つかりやすくなるため、退職者だけでなく、企業にとってもさまざまなメリットがあります。今回は再就職支援について、概要などの基礎知識から、メリットや留意点まで、わかりやすくご説明します。

再就職支援事業とは

再就職支援とは、どのような制度なのでしょうか。はじめに、再就職支援の概要や他のサービスとの違いについてご説明します。

再就職支援の内容

再就職支援とは、会社都合で退職する人材の再就職を支援する制度です。退職者・退職予定者は、ハローワーク、人材紹介会社などからキャリア面談、求人情報の紹介や履歴書の添削、模擬面接、応募先への仲介などサポートを受けながら応募企業を探し、応募・面接といった再就職活動をします。再就職支援に特化したサービスを提供している、再就職支援会社もあります。

再就職支援制度があることで、退職者・退職予定者にとっては収入が途絶えない、キャリアを継続させやすい、再就職先が見つかりやすいといったメリットがあります。また、キャリアカウンセラーの支援を受けることで、キャリアの棚卸など自分を客観的にみることができるため、応募準備がしやすい、適切な再就職先を見極めることができるといった利点もあります。

人材紹介との違い

人材紹介会社も再就職や転職のサポートをしていますが、人材紹介は求人をもとに事業を展開しています。人材紹介会社は求人に合った人材を企業に紹介するため、企業が求人を出さない限り、求職者は再就職や転職ができません。

一方、再就職支援は、求職者の希望や経験、スキルに合わせて再就職支援会社が求人を開拓するスタイルです。企業が求人を出している場合は、人材紹介と同様、担当者が求職者との相性を見極めた上で情報提供を行います。

再就職支援が広まった背景

再就職支援制度の発祥はアメリカです。実力主義で終身雇用という考え方のないアメリカでは、特に中高年の失業が社会問題となっていました。そこで、1960年代に再就職支援という取り組みが広まったのです。

日本において再就職支援が広まった背景には、バブル崩壊後の厳しい経済状況があります。1990~2000年代にかけて「リストラ」という言葉が話題になり、企業の業績悪化を理由に失業者が増加。景気が悪く、多くの企業が人材の採用を控えていたため、一旦失業してしまうと再就職が難しい状況が続きました。そこで、2004年に国が再就職支援に力を入れはじめたのです。当時は長期失業者が対象でしたが、今では企業を退職して間もない人、あるいは退職予定の人を支援し、失業者を出さない方向にシフトしています。

再就職支援の対象者とは

再就職支援の対象者は、定年退職前に会社都合で退職予定あるいは退職した人です。主に業績悪化による人員整理や災害・事故などの不可抗力によって企業が被害に遭ったなどの理由で企業から退職を促す代わりに、企業が再就職を支援します。

対象者の年齢に関しては特に定めはありませんが、年齢的に転職が難しくなる50~60代の方が再就職支援を活用して再就職するケースが多いようです。

再就職支援のニーズが高い企業とは

再就職支援は、特に不景気などの影響で業績が悪化している企業が、人員整理で退職を促す代わりに次の就職先を紹介するために活用するケースが多くみられます。子会社への出向や取引先、関連企業に紹介するケースもありますが、受け入れ先がない場合は再就職支援を活用し、再就職先が決定するまでサポートすることができます。

最近では、組織の若返りを図りたい企業からのニーズも高まっています。中高年社員を中心に、定年退職前に自主的に退職を選択できる「早期退職制度」を取り入れ、組織の改変に併せて再就職支援を活用する企業が増えてきました。

早期退職制度については、こちらで詳しくご説明しています。

再就職支援を活用することによる2つのメリット

再就職支援を活用することで、退職者にとっては収入が途切れない、キャリアが継続させられるといったメリットがありますが、企業側にも以下のようなメリットがあります。

退職者の不安や苦痛をケアできる

企業から退職を促す場合、社員は「収入が途絶えてしまう」「これからどうやって生きていけばいいんだろう」と将来に対して大きな不安を感じます。

再就職支援を活用し、将来の可能性を見出すことで、退職者の不安な気持ちや苦痛を和らげることにつながります。精神的に落ち込んでいる状況では、なかなか再就職活動のモチベーションは上がりませんが、退職者の支援を担当する再就職支援会社のキャリアカウンセラーが面談することで、退職者自身があたらしい可能性を見出すことにもつながります。
また、再就職支援という制度を企業が福利厚生として用意することで、「会社都合で退職する場合でも責任をもって再就職先が決定するまでサポートする」という姿勢を示すことができ、他の社員の安心感にもつながります。

退職者の次のキャリアを支援できる

企業を退職すると、その方のキャリアは途絶えてしまうことになります。現職と異なる業種・職種へ一からチャレンジする場合、再就職先が見つかるまでに長期的な期間を要する場合などの困難も想定されます。

再就職支援で退職者の経験やスキルを活かせる再就職先を見つけることで、キャリアを継続させることができます。また、他の企業や組織に対してあたらしい雇用の創出にもつながります。

再就職支援を活用する際の留意点

退職者・企業側、それぞれにメリットがある再就職支援ですが、制度を活用する場合は、以下のことに留意しておく必要があります。

コストがかかる

人材紹介の場合は、人材を採用する企業が人材紹介会社に対して料金を支払いますが、再就職支援会社を通じて再就職支援する場合、退職を促す企業が費用を負担する必要があります。

なお、再就職支援事業を職業紹介事業者(再就職支援会社)に委託する場合、「労働移動支援助成金」を受けることもあります。

就職先が見つからない場合のケアが必要

再就職支援を活用しても再就職先が見つからない場合があります。なかなか再就職先が見つからないと、退職者が将来に対して不安な気持ちを抱いてしまいます。再就職活動へのモチベーションの低下や、十分な検討をしないまま再就職先を選んでしまうことも考えられます。場合によっては企業とのわだかまりを残したまま退職するという事態にもなりかねません。

再就職支援会社でもサポートしてくれますが、企業としても相談に乗る、助言するなど退職者に寄り添ったケアが必要になることもあります。

再就職支援の流れ

ここまで再就職支援の概要やメリット、留意点についてご紹介してきました。最後に、再就職支援会社を通じて再就職するまでの流れについてみていきます。

事前確認

まずは再就職支援会社のキャリアカウンセラーが退職者へ面談を行い、本人の気持ちや要望をヒアリングします。併せて状況や本人の経験・スキルも確認します。退職者との関係を構築して最適な再就職先を探すための非常に重要な工程です。

自己理解

ヒアリングを踏まえた上で、本人の自己分析やこれから積んでいきたいキャリアの再確認、目標設定をサポートし、再就職活動の方向性を定めます。改めて自身を深く理解することで、より適切な再就職先の選定ができるようになり、この先の応募準備や面接対策にもつながります。

応募準備

再就職活動の方向性が決まったら、履歴書や職務経歴書の作成、面接対策などの準備を進めます。キャリアカウンセラーがこれらをサポートしますので、本人の負担を大きく軽減することが可能です。加えて履歴書や模擬面接などをすることで、選考に通過する可能性も高まります。

応募活動

再就職支援会社のキャリアカウンセラーが本人の希望やキャリア・経験・スキルにもとづき再就職の候補企業を探し、求人情報を提供します。本人は応募先を検討し、意思が固まったら応募、応募書類の送付、面接など、応募活動を進めます。

再就職決定

選考が終了し、内定したら再就職先への入社準備と現職の退職手続を進めます。その後、必要に応じてキャリアカウンセラーが本人や再就職先、退職した企業に対してアフターフォローします。

※参照:パーソルキャリアコンサルティング|再就職支援の流れ

再就職支援によって、あらたな雇用が生まれることを理解する

業績悪化などのやむを得ない事情で社員に退職を促す場合は、再就職支援を実施することで、退職者の生活の見通しが立ち、企業で培ったキャリアやスキルを活かすこともできます。また、あらたな雇用も創出でき、再就職先の企業の成長や社会貢献にもつながります。

再就職が必ずしも成功するとは限りません。退職者は、企業から退職を促されて不安や苦痛を感じているケースが少なくありません。再就職支援会社に相談するとともに、企業としてもしっかりと退職者に寄り添い、きめ細かくケアする必要があります。

当社のグループ会社であるパーソルキャリアコンサルティング株式会社では、再就職支援サービスを提供しています。経験豊富なキャリアカウンセラーが丁寧にフォローし、ご利用者さまからご納得いただける再就職を実現してきました。再就職支援の活用をご検討される際には、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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