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【人事ライン】
サイボウズ 青野氏
人事も変化していく!次へのチャレンジ

公開日:2022.12.23

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【人事ライン】 サイボウズ 青野氏 人事も変化していく!次へのチャレンジ

サイボウズ株式会社 人事本部 部長
青野 誠 氏

「他の会社の人事ってどうやっているんだろう」「同じような悩みを抱えているのかな」
ちょっと知りたい、知っておきたいさまざまな企業の人事インタビュー『人事ライン』。
今回は「100 人100通りの働き方」「公明正大」でおなじみ、“チームワークあふれる「社会」を創る”に共感する多様な個性あふれる 方々が集まる、サイボウズ株式会社 人事本部 部長の青野 誠さんをご紹介します。

― 青野さんのご経歴と人事本部の体制を教えてください。

入社時は営業でした。その後、マーケティングや新規事業の担当を経て、営業に加え採用など 人事を兼任した時期があり、今に至ります。早いもので人事になってから10年近くになります。

サイボウズ株式会社の人事本部は海外拠点も含め、約40チームで編成されており、兼務のメンバーも含めると100人規模になりました。私が担当しているところで特徴的なものとしては、「Talent Success部」「Teamwork Support部」があります。
「Talent Success部」は、個人のスキル向上の支援やキャリアの支援をする部門です。「Teamwork Support部」は、社内チームへの支援を行う部門で、さらにこの下に3つのチームがあります。社内の各チームがチームワークよく活動できるように支援する「チーム運営支援チーム」、多様性に対する理解を促進する「多様性理解促進チーム」、マネジメント層のトレーニングや問題解決の支援をする「マネジメント支援チーム」です。

実は、新しいチームを作ることやチームの名前はマネジャーだけで決めるわけではなく、チームのメンバーが自発的に決めることが多いです。これがやりたい、これがいいなど意見を出し合います。それが自然に出てくる社風ですね。私が知らない間にできているチームがあったりするくらいです。

― サイボウズという組織の中で大切にされている考え方があると伺っています。

制度を設けても活用しやすい雰囲気がないと意味がありません。サイボウズでは明文化されたCultureや、「説明責任・質問責任」の考え方を浸透させ、社員の意見を受け入れながら働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

サイボウズのCultureは以下4点です。

・理想への共感
多様な個性を持つメンバーが共に活動するためには、全員が同じ理想に共感していることが大切です。そこでサイボウズでは、チームの一員として活躍するための条件に「理想への共感」を設定しています。

・多様な個性を重視
「一人ひとりは違う個性を持つ存在である」という考え方のもと、メンバーに一律な平等を強いるのではなく、100人100通りの生き方・働き方ができる環境を大切にしています。

・公明正大
多様な個性を重視するチームで信頼関係を築いていくためには、お互いが正直でいなければなりません。そこで、社内では「アホはいいけど嘘はダメ」という言葉で表される、嘘をつかない・隠し事をしない姿勢をコミュニケーションの土台にしています。

・自立と議論
「説明責任・質問責任」の考え方に基づき、主体的に意見や質問を投げかけること、質問に誠実に回答することを大切にしています。

― この数年でサイボウズは、働き方やコミュニケーション、そして定着率、もちろんサービスについても世の中への認知がかなり広がったのではないかと思います。そうなったことによる社内の変化はありますか?

採用には影響が出ていると思いますね。社外にも積極的に情報を公開してることもあり、サイボウズの事を深く理解したうえで応募される方が多くなりました。人事としても、もっと情報公開をしていきたいと以前より思っていましたので、今年「人事広報チーム」を立ち上げ、”サイボウズの舞台裏”というnote を開始しました。さらに 発信頻度は高めていきたいと考えています。

また、事業拡大に伴い、さまざまな 役割が社内に出来ました。社内のキャリアパスもどんどん多様化しています。
キャリアについては、個々の成長の仕方もそれぞれなので、メンバー一人ひとりにあったキャリア支援をしていくことを大事にしています。
例えば、部署異動も強制的な異動は無くしています。タイミングもありますが、自分の希望を提案し異動をするという形がベースなので人事でコントロールすることができないんです。でも「じゃあ皆好き勝手に希望を言ってバランスが取れなくなり、偏ったり収拾がつかなくなるか?」といえば、そうでもないんですよ。
皆が「ここに行きたい、やりたい!」という意思を持っているわけではなく、前向きな意味で「いろいろ経験したいからジョブローテーションをしてほしい」「客観的に見て自分が活かせるように背中を押してほしい」というようなメンバーも多いです。特に若い世代のほうがそういうメンバーが多いかもしれません。

― 「サイボウズだからできるんだよね?」と言われることも、多いのではないでしょうか。

私たちも、いきなりこのようなカルチャーができたわけではありません。何年も…10年以上かけて積み上げてきたものです。
理想への共感を大事にすることや、社内ではプライバシー・インサイダー情報以外を役職に関わらず情報公開し、公正明大であること。多様な個性を重視し、議論をできる仕組みや 場を作っていくことをしてきました。
ですので、社員の意識や信頼感の醸成もあるでしょうし、発言、発信ができるカルチャーなんですよね。立場や部署による情報格差が少ないために、誰でも議論に参加することができます 。
他社から転職してきた方 は、この文化に戸惑うかもしれません。入社時には、「もやもや共有ワーク」という研修を実施しており、問題意識を持っている事を少人数で共有する練習もしています。人事もサポートして、出てきた問題意識を「事実」と「解釈」に分解するなど、ロジカルに解決して次のアクションを打つにはどうすればよいかアドバイスをしています。

― 人事として、青野さんがここ最近注力していることは何でしょうか。

3点ほどあります。
1点目は、個人向けの支援です。キャリアの支援、マネジャーになったばかりの人向けの知識のインプット。リモートワークで社内コミュニティに所属しづらくなった人向けの場作り、いろんな仕掛けをしています。

2点目は、社内の各チームの支援です。チームの状態を可視化する「Teamwork Survey」の開発や、チームビルディングをする際に旅費や飲食費を支給するチムビル制度の設計、リーダーの工夫をシェアする場「チームリーダーBAR」の運営、などがあります。

3点目は多様な人材の採用です。例えば、非日本語話者の採用にも今年から取り組んでいます。面接時には通訳の方を頼る時もありますが、なるべく英語でコミュニケーションをとるようにしています。入社後にも英語でのオンボーディングが必要ですので、社内のマニュアルや資料を英語化するプロジェクトが進行中です。

― 人事とは、サイボウズでの人事の役割・ミッションを、青野さんはどうお考えでしょうか。

サイボウズは目指すものが明確で、チームワークあふれる会社です。まず、それを支える存在であることが我々人事の役割です。自分たち自身も理想を体現したよい チームである必要があります。
自立した個人が楽しく働けること、そしてチームの生産性が高いこと、これらを 両立していく工夫をし続けたいです。
個人的にも管理的な人事は得意ではないですが、自分達なりの理想や組織のあり方を探求していくところにやりがいやおもしろさを感じます。グローバル化や企業規模が大きくなっていくことにより、これまでと同じようにできなくなってくることが出てくると思います。これまでやったことがないこと、それはチャレンジになりますが、自分たちも変わっていかなければなりません。

― 他の会社の人事の方に聞いてみたいことはありますか?

これからの人事の役割やあり方ですかね。
サイボウズでは自律(自立)分散が進み、各チームのマネジャーやリーダーにさまざまな権限が委譲されていますが、やはり人事がいたほうが効率がよかったり、チーム間の整合性がとれる側面もあると思います。分散と集中をどのように上手く両立するか、これから探求したいテーマでもあります。
また、以前から使ってきた「人事部」という単語では収まりきらないほどの多くの役割を担っている組織もあると思います。実際にサイボウズでも人事本部という名前が役割をうまく表現できてないように感じているので、名前を変えようという動きも出ています。
他社の方がどう考えているのかもぜひ聞いてみたいですね。

多様な働き方を実践し、情報がオープンでコミュニケーションが活発、社員一人ひとりが自立している印象のサイボウズさん。インタビューにもありましたが、コミュニケーションや情報の流れがフラットで活発、人事部門についても例外ではなくカルチャーを作るHUBになっているように感じました。
これからグローバルに、さらに規模を拡大される段階でもさまざまな変化がありそうですが、大切にしている価値観はそのままに柔軟に変化されていくことでしょう。

Profile

サイボウズ青野 誠 氏

サイボウズ株式会社
人事本部 部長
青野 誠 氏

2006年早稲田大学理工学部情報学科卒業後、サイボウズ株式会社に新卒で入社。営業やマーケティング、新規事業「かんたんSaaS」や「KUNAI」の事業立ち上げなどを経験後に人事部へ。現在は人事本部のマネジメントや採用・育成・制度企画などを推進。
2016年よりNPO法人フローレンスやベンチャー企業の人事部門で複業を経験。自ら多様な働き方を実践している。
著書(共著)『わがままがチームを強くする』(朝日新聞出版)。

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