HRナレッジライン

カテゴリ一覧

OFF-JTとは?OJTとの違いやメリット、効果的な具体例を解説

公開日:2026.10.26

企業の課題

企業を取り巻く環境が大きく変化する中、従業員に必要な知識やスキルを継続的に身に付けさせることは経営課題の一つといっても過言ではありません。こうした人材育成の手法として多くの企業で活用されているのがOFF-JTです。

OFF-JTは、通常の業務から離れ、研修や講義、eラーニングなどを通じて体系的に業務を学ぶ教育訓練を指します。この記事では、OFF-JTの基本的な意味やOJTとの違い、実施するメリットや注意点、具体的な研修手法、効果を高めるポイントまで分かりやすく解説します。

OFF-JTとは?基本概念と定義について

OFF-JT(Off-the-Job Training)では、実務だけでは習得しにくい理論や基本原則を体系的に学ぶことが可能です。まずはOFF-JTの基本的な意味と、比較されることの多いOJTとの違いを解説します。

OFF-JTの意味

OFF-JTとは、通常の業務から離れ、計画的・体系的に知識やスキルを習得する教育訓練のことです。

社内で実施する集合研修や座学のほか、外部研修、セミナー、eラーニングなどもOFF-JTに含まれます。必ずしも社外で実施する研修を指すわけではなく、社内の会議室やオンラインで行う場合でも、通常の業務から離れて計画的に学ぶものであればOFF-JTに該当します。

OFF-JTを取り入れると、実務だけではカバーしきれない知識を基礎から体系的に学ぶことができ、業務への理解が深まります。

OJTとの違い

OJT(On-the-Job Training)は、上司や先輩社員の指導を受けながら、実際の業務を通じて知識やスキルを身に付ける教育手法です。実務に直結した内容を、従業員の習熟度や担当業務に合わせて学べる点が特徴です。

一方、OFF-JTでは通常の業務から離れ、あらかじめ設計された研修プログラムに沿って学びます。OJTが実際の業務を通じて必要な知識やスキルを身に付けることを重視する一方、OFF-JTでは業務から離れた環境で、基礎知識や理論を体系的に学ぶ機会を提供できます。

また、OJTは上司や先輩社員が個別に指導することが多いため、対象者の状況に応じた教育を行いやすい反面、指導者によって内容や質に差が生じる可能性があります。一方、OFF-JTは複数の対象者に共通のカリキュラムを提供できるため、教育内容を標準化しやすい点が特徴です。

なぜ必要?OFF-JTの重要性と企業の実施状況

業務に必要な実践的スキルはOJTで身に付けられますが、最新の専門知識などを現場の指導だけで体系的に学ぶのは難しい場合もあります。また、OJTは指導を担当する上司や先輩社員の経験に左右されやすく、部署によって教育内容に差が生じることもあるでしょう。

変化の速いビジネス環境に対応するためには、目の前の業務を習得するだけでなく、将来必要となるであろう知識やスキルも計画的に身に付けることが重要です。

厚生労働省の「令和6年度 能力開発基本調査」によると、正社員に対してOFF-JTを実施した事業所の割合は71.6%でした。正社員に対するOFF-JT実施率は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた時期に低下しましたが、その後は回復傾向にあります。一方、正社員以外に対して実施した事業所の割合は、令和5年調査の28.3%から31.2%に上昇したものの、正社員に比べると低い水準です。

※出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 結果の概要」

この結果から、OFF-JTの実施状況は雇用形態によって違いがあることがうかがえます。OJTによる実践的な指導とOFF-JTによる体系的な学習を組み合わせながら、対象者を限定し過ぎず、継続的に人材を育成する仕組みを整えることが重要です。

OFF-JTを実施するメリット

OFF-JTにはさまざまなメリットがあります。ここでは、企業がコストや時間をかけてOFF-JTを実施することで得られる主な効果を解説します。

業務から離れて学習に集中できる

OFF-JTでは、電話対応などの目の前の業務やプレッシャーに追われることなく、集中して学習に打ち込めます。集中できる環境のもと、自身のスキルや課題と客観的に向き合うことで、新たな知識を効率よく吸収しやすくなり、今後身に付けるべきスキルについて考える機会にもなります。

体系的・理論的な知識を学べる

OJTでは実際の業務に必要な手順や方法が学べる一方、知識が断片的になりやすい点には注意が必要です。一方、OFF-JTでは、ロジカルシンキングやマネジメント理論など、業務の土台となる知識を基礎から体系的に学べます。

理論や基本原則への理解を深めることで、経験したことのない状況に置かれたときでも知識を応用しやすくなり、課題解決能力の向上にもつながるでしょう。

専門家からノウハウを吸収できる

外部の研修機関やコンサルタントを活用すれば、社内だけでは得にくい高度な専門知識や最新の業界トレンドを学べます。その分野の専門家から指導を受けることで、社内だけでは得にくい知識や新たな視点を得る機会になります。

また、自社とは異なる考え方や事例に触れることで、既存の方法を見直し、新たな視点を業務に取り入れるきっかけにもなります。

教育の質を均一化できる

OJTは、指導を担当する上司や先輩社員によって、教え方や内容に差が生じることがあります。一方、OFF-JTでは共通のカリキュラムや教材を用いるため、対象者に同じ水準の教育を提供しやすいメリットがあります。

例えば、同期入社の社員や同じ階層の従業員を集めて一度に研修を行えば、教育の質を均一化しながら効率的に育成を進められるでしょう。

参加者同士の交流や刺激につながる

集合研修では、普段は関わる機会の少ない他部署の従業員や同じ階層のメンバーが一緒に学びます。グループワークなどを通じて意見を交わすことで、部署を越えた横のつながりを作れる点もメリットとなります。

異なる価値観や業務経験に触れることは、新たな気付きや刺激につながります。参加者同士が課題や悩みを共有することで、学習意欲や仕事へのモチベーションが高まることも期待できます。

OFF-JTを実施する際の注意点

OFF-JTの効果を高めるためには、メリットだけでなく、実施に伴うコストや現場への影響も把握しておくことが重要です。ここでは、人事担当者や現場が直面しやすい主な注意点を解説します。

金銭的・時間的なコストがかかる

OFF-JTの実施には金銭的・時間的なコストがかかります。外部講師へ支払う登壇料や会場費、教材費のほか、eラーニングを導入する場合はシステムの利用料も必要です。

社内で研修を企画する場合も、プログラムの作成や講師の選定、対象者への案内、スケジュール調整などに人事担当者の工数がかかります。研修の目的や対象者を明確にし、予算と運用体制を事前に整えなければなりません。

現場の業務が停滞する可能性がある

研修に参加している間、従業員は一時的に通常業務から離れることになります。そのため、残されたメンバーのみで業務に対応することになり、負担が増えたり業務が遅れたりする恐れがあります。人員に余裕のない中小企業では影響が大きくなりやすいため注意が必要です。

研修を実施する場合は繁忙期を避け、研修日程を分散した上で業務を確実に引き継ぐなど、事前に調整をしておきましょう。

現場の業務との間にギャップが生まれる可能性がある

OFF-JTで学ぶ一般的な理論や事例が自社の業務フローや現場の実態にそのまま当てはまるとは限りません。そのため、受講者が内容を理解できたとしても、実際の業務でどのように活用すればよいか分からないという状況が生じることがあります。

研修で得た知識を実務に生かすには、自社の業務に置き換えて考える時間を設けることや、学んだことを実践した後に振り返る仕組みを設けることが大切です。OFF-JTによるインプットだけで終わらせず、OJTなどと組み合わせて実践していく必要があります。

OFF-JTの種類と研修手法

OFF-JTは対象者や目的によって研修の種類が異なり、研修手法も学ぶ内容に応じて変わります。ここでは、企業で取り入れられているOFF-JTを、対象・目的と学ぶスタイルの2つの切り口からご紹介します。

【対象・目的別】OFF-JTの主な種類

OFF-JTを企画する際は、誰に何を身に付けてもらうかを明確にすることが重要です。対象者の階層や職種、組織が抱える課題に応じて、主に次の3種類に分けて企画しましょう。

階層別研修

階層別研修は、新入社員や若手社員、中堅社員、管理職など、役職や階層ごとに求められる役割やスキルを学ぶ研修です。

例えば、新入社員にはビジネスマナーや仕事の進め方、中堅社員には後輩指導やリーダーシップ、管理職にはマネジメントや組織運営に関する研修を行います。キャリアの各段階で必要な知識を体系的に学べる点が特徴です。

職種・業務別研修

職種・業務別研修は、営業、人事、経理、エンジニアなど、特定の職種や業務ごとに必要な専門知識・スキルを身に付けるための研修です。

営業担当者向けの商談スキル研修やエンジニア向けの技術研修などが該当します。最新の業界知識や専門ツールの使い方を学ぶことで、現場でのパフォーマンス向上につなげられます。

テーマ・課題別研修

テーマ・課題別研修は、コンプライアンスやハラスメント防止、情報セキュリティ、DX推進など、組織が取り組むべき特定のテーマに焦点を当てた研修です。

特定の職種や階層だけでなく、全従業員を対象に実施するケースもあります。組織全体で共通認識を持ち、意識統一やリスク管理を図ることが主な目的です。

【学ぶスタイル別】具体的な研修手法

OFF-JTの研修手法は、知識のインプットを重視するのか、実践や対話を通じたアウトプットを重視するのかによって使い分ける必要があります。代表的な研修手法は次の4つです。

座学

座学とは、講師が受講者に対して知識や理論を伝える講義形式の研修手法です。一度に多くの受講者に同じ内容を伝えられるため、専門知識や制度、企業理念などをインプットするのに適しています。

一方通行の説明にならないよう、質疑応答や確認テストを取り入れると、受講者の理解を深めやすくなります。

ロールプレイング

ロールプレイングは、営業の商談や接客、クレーム対応などのシーンを想定し、参加者が顧客役と担当者役などに分かれて業務を疑似体験する研修手法です。

座学で学んだ知識を実際に使うことで、理解を実践的なスキルへとつなげられます。実施後に参加者同士で、また講師と参加者の間でフィードバックを行うと、改善点を把握でき、現場での対応力を高めやすくなります。

グループワーク

グループワークは、参加者が数名のグループに分かれ、与えられたテーマについて議論や共同作業を行う研修手法です。

他者の意見や考え方に触れることで、新たな視点や気付きを得られます。また、話し合いや共同作業を通じてコミュニケーション能力や協調性を養う効果も期待できます。

eラーニング・オンライン動画研修

eラーニング・オンライン動画研修は、パソコンやスマートフォンを使い、動画やデジタル教材で学ぶ研修手法です。

時間や場所を問わず受講できるため、複数拠点の従業員や勤務時間が異なる従業員にも研修を提供しやすくなります。受講者が自分のペースで反復学習できるほか、会場費や移動費などの削減も期待できます。学習履歴を記録できるシステムを活用すれば、受講状況や進捗の管理も効率化できるでしょう。

OFF-JTを企画・実施する具体的な流れ

OFF-JTの効果を高めるためには、研修を実施するだけでなく、課題の把握から効果測定までを一連の流れとして設計することが重要です。ここでは、人事担当者が押さえておきたい企画・実施の手順を4つのステップで解説します。

ステップ1:現状課題の把握と研修目的の明確化

まずは、現場へのヒアリングや人事データ、経営目標などをもとに、組織に不足している知識やスキルを洗い出します。課題を十分に把握しないまま研修を企画すると、現場のニーズと内容が合わず、期待する効果が得られにくくなります。

課題を整理したら、誰に・何を学んでもらい・どのような状態になってほしいのかを明確にしましょう。例えば、若手営業社員が自立して商談を進められるようにしたい、など、研修後に目指す状態を具体化することで、企画全体の軸がブレにくくなります。

ステップ2:対象者の選定とプログラムの策定

次に、研修目的に基づいて受講対象者を選定し、具体的なプログラムを策定します。対象者の役職や経験、現在のスキルを踏まえ、学ぶ内容や到達目標を設定しましょう。

プログラムを組む際は、研修の日程や時間配分だけでなく、座学とグループワーク、ロールプレイングなどのバランスも検討します。知識を一方的に伝えるだけではなく、受講者が考えたり実践したりする時間を設けると、集中力が保たれ、学習効果を高めやすくなります。

ステップ3:社内講師の選任・外部機関への手配

プログラムが決まったら、研修を担当する講師を選びます。自社の業務や社内事情に関する内容であれば、知識や経験が豊富なベテラン社員を社内講師に選任する方法も有効です。自社の具体的な事例を交えて説明しやすいのと同時に外部への支払いを抑えられる点がメリットです。

一方、高度な専門知識や最新の業界動向を学ぶ場合は、外部の研修会社やコンサルタントへの依頼が適しています。ただし、費用がかかるほか、一般的な研修内容が自社の実態に合わない場合もあります。目的や予算、社内の知見を踏まえ、適切な方法を選びましょう。

ステップ4:研修の実施と効果測定

研修当日は、会場やオンライン環境、教材などを事前に確認し、計画したプログラムに沿って運営します。受講者の反応や理解度を確認しながら、必要に応じて進め方を調整することも大切です。

研修後は、アンケートや理解度テストを実施し、内容への満足度や知識の習得度を確認します。ただし、受講直後の評価だけでは、OFF-JTの内容が実務にどの程度活かされているかを十分に把握することは難しいでしょう。数ヶ月後に本人や現場の上司へヒアリングを行い、研修前後で行動に変化があったか、業務上の成果につながったかを確認することが重要です。

また、効果測定の結果を次回の研修内容や運営方法に反映できれば、研修を実施して終わりにするのではなく、OFF-JTの継続的な改善につなげられます。

OFF-JTの効果を高めるポイントと成功のコツ

OFF-JTで得た知識を定着させ、現場での行動変容につなげるためには、研修後に知識を実践できる仕組みを整えることが重要です。最後に、OFF-JTの効果を高めるために人事担当者が押さえておきたいポイントを解説します。

OJTと連動させて実践への落とし込みを図る

OFF-JTで体系的な知識や理論を学んでも、実務で使う機会がなければ、時間の経過と共にその内容は定着しにくくなります。そのため、学んだ内容をOJTで実践できるよう、インプットとアウトプットを組み合わせて設計することが重要です。

例えば、OFF-JTで営業手法を学んだ後に実際の商談で試す機会を設け、上司や先輩社員からフィードバックを受ける方法があります。学習と実践を繰り返すことで知識の定着を促し、実務で活用できるスキルの習得や早期戦力化を支援することにつながります。

現場の管理職を巻き込み、実践をサポートする

OFF-JTの効果を高めるためには、人事部だけで研修を進めるのではなく、現場の管理職を巻き込むことも大切です。研修の目的や内容を事前に共有し、受講者が学んだスキルを現場で試せるよう、業務の割り振りや支援体制を整えてもらいましょう。

また、実践後には上司との面談や定期的な振り返りの機会を設け、課題を確認してもらいましょう。管理職が継続的にフィードバックを行うことで、受講者が学びを業務に活かしやすくなります。

OFF-JTとOJTの相乗効果で、変化に強い組織を作ろう

OFF-JTは、日常業務から離れて体系的な知識や専門的なスキルを学ぶ人材育成の手法です。通常の業務に邪魔されることなく学習できることや、教育の質を均一化しやすいことなど、多くのメリットがあります。

一方、研修内容が現場の実務と結びつかなければ、十分な効果は得にくくなります。OFF-JTで得た知識をOJTで実践し、現場の管理職が継続的にフォローする仕組みを整えることが重要です。

自社の課題や育成目標を明確にした上で、OFF-JTとOJTを効果的に組み合わせることができれば、環境の変化に柔軟に対応できる組織づくりが実現するでしょう。

「人材派遣」ならパーソルテンプスタッフ

人材に関するお困りごとはお気軽にご相談ください

メールマガジン登録いただいた方限定でお役立ち情報を配信中!

監修者

HRナレッジライン編集部

HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。

編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。

法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。

おすすめの記事