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若手や中堅が管理職になりたくない理由とは?企業に必要な対策やアプローチについて紹介

公開日:2026.08.28

企業の課題

近年、若手・中堅社員を中心に、「管理職になりたくない」と考える人が増えています。管理職の業務負担の大きさや責任の重さ、報酬とのバランス、ワークライフバランスへの不安などが主な理由です。しかし企業にとって、管理職を希望する人材の減少は、次世代リーダーの不足や組織力の低下につながる恐れがあるため、早めに対策を打たなければなりません。

この記事では、社員が管理職になりたくないと考える主な理由や企業側に生じるリスクを整理した上で、管理職への意欲を高めるための対策を解説します。社員が前向きにキャリアを考え、管理職にも挑戦しやすい組織づくりを進めたい場合は、ぜひ参考にしてください。

「管理職になりたくない」人は増えている?現状や背景について

若手・中堅社員の中には、管理職への昇進に前向きになれない人がいます。実際、若手社員の管理職意向や一般社員の昇進意欲に関する調査でも、管理職になりたくない、または昇進に積極的ではない層が一定数いることが示されています。

※参考:パーソル総合研究所「管理職になりたくない若者は約5割 なりたくない理由、意向に影響する要因とは

管理職を希望しない社員がいることは、企業の長期的な成長を図るうえで決して無視できない課題です。

こうした傾向の背景には、はたらき方やキャリアに対する価値観の多様化があります。従来は昇進して管理職を目指すことが一般的なキャリアアップの形とされてきましたが、現在では仕事だけでなくプライベートも重視したい、専門性を高めたい、自分に合ったはたらき方を選びたいと考える人が増えてきています。

社員が管理職になりたくない主な理由

次に、社員が管理職になりたくないと感じてしまう主な理由について解説します。

プレイングマネージャー化による管理職の負担が大きい

管理職になりたくないと感じる大きな理由として、プレイングマネージャー化による負担の大きさが挙げられます。

プレイングマネージャーとは、自分自身も担当業務を持ちながら、部下の育成や進捗管理、評価などのマネジメント業務を担う管理職のことです。現場業務と管理業務の両方を抱えるため業務量が増えやすく、常に忙しそうに見えるケースも少なくありません。

管理職が疲弊している姿は、社員にとって魅力的なキャリアに映りにくく、昇進への意欲を下げる要因となります。

責任や業務量に対して報酬が割に合わないと感じる

管理職になることで責任や業務量が増えるにも関わらず、報酬がその業務量に見合っていないと感じることも、昇進を敬遠する理由の一つです。

管理職になると、部下の成果やチーム全体の業績に対する責任を担うことになります。また、トラブル対応や人間関係の調整、経営層との連携など、プレイヤー時代にはなかった精神的なプレッシャーを感じやすくなります。

さらに、管理職になると残業代の支給対象から外れる場合もあり、業務負荷の増加に対して給与アップが十分ではないと感じる人も多いのです。

仕事とプライベートとの両立ができるのか不安

管理職になると、休日や就業時間外にも連絡が入るなど、仕事と私生活の境界が曖昧になるケースもあります。それにより仕事とプライベートを両立できるか不安に感じてしまうことも、管理職が敬遠される理由となっています。

近年は、仕事だけでなく、家庭や趣味、自己研さんの時間も大切にしたいと考える人が増えています。しかし、管理職には長時間労働が増えたりプライベートの時間が犠牲になったりするイメージがあり、昇進への前向きさを失ってしまうケースがあります。

マネジメントの適性やスキルがないと感じている

管理職には、業務を進める力だけでなく、部下の育成や評価、チーム内の人間関係の調整、モチベーション管理など、対人関係に関わるスキルが求められます。そうしたマネジメントスキルに対する自信のなさも、管理職を敬遠する理由の一つです。

これまでプレイヤーとして成果を出してきた人であっても、マネジメントに必要なスキルに不安を感じるのは無理もありません。特に、人に指示を出すことや、部下に厳しいフィードバックをすることに苦手意識がある場合、マネジメントを担うよりも、プレイヤーとして専門業務に集中した方が会社に貢献できると考える人も少なくないでしょう。

マネジメントよりも専門スキルを極めたい

キャリア観の変化により、マネジメントよりも専門スキルを高めたいと考える人も増えています。

従来は、一定の経験を積んだ後に管理職へ昇進することが一般的なキャリアアップの形とされてきました。しかし現在では、専門職としてスキルを磨いて自身の市場価値を高め、転職によって収入アップを図りたいと考える人が増えています。営業、マーケティング、エンジニア、経理、人事など、それぞれの専門領域で実務経験を積み、スペシャリストとして活躍したいと考えるケースです。

こうしたキャリア志向を持つ人にとって、昇進は必ずしも魅力的な選択肢となるとは限らないのです。

「管理職になりたくない」状態を放置する企業側のリスク

社員が管理職になりたくないと感じる状態を放置すると、将来的な組織運営に大きな影響を及ぼす恐れがあります。ここではその主なリスクを解説します。

次世代リーダーや経営幹部候補の不足

若手・中堅社員が管理職への昇進を避ける状態が続くと、マネジメント経験を積む人材が育ちにくくなり、次世代リーダーや経営幹部候補が不足する恐れがあります。

事業の継続や組織の成長を支えるためには、早い段階から管理職候補を育成し、マネジメントに挑戦しやすい環境を整えることが重要となります。

組織全体のモチベーション低下と優秀な人材の流出

管理職になりたくない社員が増えると、組織全体のモチベーション低下や優秀な人材の流出につながるリスクもあります。

社内に魅力的なキャリアパスが見えない場合、若手・中堅社員は、「この会社で成長できるのか」「将来の目標となるポジションがあるのか」と不安を感じやすくなります。管理職が過度に忙しく、報酬や裁量も十分に見えない状態では、昇進を前向きなキャリアとして捉えにくくなるでしょう。

また、成長意欲の高い社員ほど、より納得感のあるキャリアを求めて転職を検討する可能性があります。特に、専門性を高めたい人材やマネジメントに関心のある人材の社外への流出は、組織にとって大きな損失となります。

管理職への意欲を高めるために企業が取るべき対策

管理職を前向きなキャリアとして捉えてもらうには、本人の意欲に任せるだけでなく、企業側が不安や負担を取り除くための環境を整えることが大切です。ここでは、管理職への意欲を高めるために企業が取るべき対策をご紹介します。

マネジメントに専念できる環境づくりと役割の再定義

管理職への意欲を高めるには、管理職が本来担うべきマネジメント業務に専念できる環境を整えることが大切です。

組織によっては、管理職が自身の担当業務を抱えながら部下の育成や評価、進捗管理、トラブル対応まで担うプレイングマネージャーとなっているケースがあります。しかし、前述の通りプレイングマネージャーは負担が大きく、若手・中堅社員にとって魅力的なキャリアには映りにくい立場です。

まずは、管理職が抱える業務を棚卸しし、マネジメントとして担うべき業務と、他の人材や外部サービスに切り出せる業務を整理しましょう。定型業務やノンコア業務を切り出せば、管理職が部下の育成やチームづくり、業務改善などに時間を使いやすくなります。

管理職の負担軽減や組織全体の業務効率化を検討する際は、外部リソースの活用も視野に入れてみましょう。パーソルテンプスタッフでは、業務に必要な人員の採用・教育から運用管理までを一括で委託できるアウトソーシング・業務委託サービスや、必要な時に必要なスキルを持つ人材を必要な期間活用できる人材派遣サービスを提供しています。

評価制度と報酬体系の適切な見直し

管理職に対して「責任や業務量に対して報酬が見合わない」という印象がある場合は、評価制度や報酬体系の見直しが必要です。

管理職になると、部下の育成や評価、チーム目標の達成、トラブル対応など、プレイヤー時代とは異なる責任を担います。しかし、それにも関わらず役職手当や昇給幅が小さかったり、マネジメント業務そのものが十分に評価されていなかったりすると、社員は昇進に魅力を感じにくくなります。

身近で魅力的なロールモデルの提示とメンター制度の活用

管理職への不安を和らげるためには、身近で魅力的なロールモデルを提示することも効果的です。仕事とプライベートを両立しながらチームを率いている管理職や、メンバーの成長を支援しながら成果を出している管理職が身近にいれば、管理職というキャリアの魅力を具体的にイメージしやすくなります。

また、管理職候補に対してメンター制度を導入する方法もあります。先輩管理職や経験豊富な社員が相談役となり、昇進前の不安やキャリアの悩みを共有できる場があれば、管理職への心理的なハードルも下がるでしょう。

管理職になるメリットややりがいの言語化・共有

管理職になるメリットややりがいを企業側から積極的に発信することも重要です。

自分の判断でチームの業務改善を進められる、メンバーの成長を支援できる、部門を超えた意思決定に関われるといった点は、管理職ならではのやりがいにつながります。こうした魅力を言語化し、管理職本人の経験談や社内事例として共有すると、管理職を単なる負担の大きい役割ではなく、魅力ある役割として捉えられるようになるでしょう。

キャリアについて考える機会の提供

自分のキャリアを形成するのは自分自身だと捉え、会社や上司の指示待ちではなく、自らキャリアを切り拓こうとする姿勢を持つ考え方を、キャリアオーナーシップと言います。

日々の業務に追われていると、自分がどのようなはたらき方をしたいのか、将来どのような役割を担いたいのかを考える機会を持ちにくくなります。そのままでは、管理職への打診を受けても、「自分には向いていない」「今のままでよい」と判断しがちです。

そのため、社員が管理職を前向きな選択肢として捉えられるよう、キャリアオーナーシップの考え方のもと、自身のキャリア観や今後の展望を見つめ直す機会を提供することが大切です。

パーソルグループでは、キャリアオーナーシップを、
「“自らの原動力(BE)”を起点とし、はたらくことを通じて“自分らしく”生きるために、主体的に取り組み続けること」

と定義し、社員がキャリアについて考えるためのさまざまな制度を整えています。例えば、キャリアサポート面談やキャリアデザイン研修、人生(キャリア)の振り返りや今後の展望を考えるためのワークショップなどがあります。

さらに、階層別研修や、期間限定で現業務と並行させながらグループ内の異なる会社・部署の仕事を体験できる制度など、自身のキャリア展望について見直す機会を設けています。それにより、これからこの会社でどのようなはたらき方ができるかをイメージし、管理職になることも一つの選択肢として捉えられるようになります。

※参考:パーソルグループ「パーソル、社員のキャリアオーナーシップを支援する各種人事制度2024年度の利用実績を発表~グループ横断施策の年間利用者数はのべ1,800人以上、累計5,200人を突破~

管理職以外の多様なキャリアパスの構築

管理職への意欲を高める取り組みと併せて、管理職以外の多様なキャリアパスを整えることも重要です。

マネジメントの適性はすべての社員が持っている訳ではなく、専門性を高めることで組織に貢献したいと考える人もいます。そのため、管理職になることだけをキャリアアップの道として示すと、かえって不安や不満につながりかねません。専門性を極めるエキスパート職やスペシャリスト職など、複線型の人事制度を用意することが有効です。

多様なキャリアパスを整え、社員一人ひとりが納得感を持ってキャリアを描ける環境をつくれば、結果的に管理職を前向きに選ぶ人材が育ちやすくなるでしょう。

社内登用が難しい場合は「外部人材の採用・活用」も視野に

社内で適任者や希望者を確保するのが難しい場合は、次の一手として外部人材の採用・活用を検討することも一つの方法となります。マネジメント経験やリーダーシップを持つ人材を外部から迎えることで、組織運営の安定や次世代リーダー育成につなげやすくなるケースもあるでしょう。

マネジメント経験が豊富な即戦力を「人材紹介」で採用する

社内に管理職候補となる人材が不足している場合は、人材紹介サービスを活用し、マネジメント経験を持つ即戦力となる人材を採用する方法があります。

人材紹介サービスでは自社の募集要件に合った人材を紹介してもらえるため、マネジメント経験や業界知識、組織運営の実績などを持つ人材をピンポイントで探しやすくなります。早急に管理職ポジションを補いたい場合や、社内にない知見を取り入れたい場合には、有効な手段といえるでしょう。

パーソルテンプスタッフの人材紹介サービスでは、成功報酬型でコストを管理しつつ、求めるスキル・経験を持つ人材を豊富な求職者ベースからご紹介します。

将来のコア人材を「紹介予定派遣」で見極める

将来的に管理職やリーダー候補として活躍できる人材を採用したい場合は、紹介予定派遣を活用する方法もあります。

紹介予定派遣とは、一定期間の派遣就業を経て、企業と派遣社員の双方が合意した場合に直接雇用へと切り替える仕組みです。実際の業務を通じて、スキルや仕事への取り組み方、適性を確認できるため、採用後のミスマッチを防ぎやすい点がメリットです。

管理職候補の採用では、経験やスキルだけでなく、自社の組織風土に合うかどうかも見逃せません。その点、紹介予定派遣を活用すれば、派遣期間中に業務遂行力やコミュニケーション力、周囲との連携姿勢などを見極めた上で直接雇用すべきかを判断できます。

「管理職になりたくない」と言われた時の適切な対応

1on1や評価面談の場で部下から「管理職になりたくない」と言われた場合、まずは否定せず、理由を丁寧に聞き取ることが大切です。

管理職を避けたい理由は人それぞれ異なります。マネジメントスキルに自信がないのか、現在の管理職のはたらき方に不安を感じているのか、責任や報酬のバランスに納得できていないのか、専門職としてキャリアを築きたいのかなどの理由によって必要なフォローは変わります。

そのため、まずはどのような点に不安を感じているのか、管理職に対してどのようなイメージを持っているのか、今後どのようなキャリアを望んでいるのかを確認しましょう。本人の価値観やキャリア志向を把握することで、会社としてどのような解決策を提示すべきなのか判断しやすくなります。

大切なのは、管理職になる・ならないをその場で結論づけるのではなく、本人が納得してキャリアを考えられるよう支援することです。上司や人事が一方的に説得するのではなく、不安や希望を受け止めながら、必要な支援や選択肢を一緒に整理していく姿勢を心がけましょう。

社員が前向きに挑戦できる組織風土づくりを

「管理職になりたくない」と考える社員がいる背景には、管理職の負担の大きさや報酬とのバランス、ワークライフバランスへの不安などがあります。企業はこの声を、管理職の役割やはたらき方を見直すきっかけとして受け止めることが大切です。

管理職への意欲を高めるためには、マネジメントに専念できる環境づくりや、評価制度・報酬体系の見直し、キャリアについて考える機会の提供などが求められます。社員の価値観を尊重しつつ前向きに挑戦できる環境を整えていくことが、これからの組織づくりには欠かせません。

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監修者

HRナレッジライン編集部

HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。

編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。

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