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Will Can Mustとは?フレームワークの使い方やMBO面談での活用例・メリットを解説
公開日:2026.10.26
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従業員の自律や主体的な目標設定を支援する手法として、フレームワーク「Will Can Must」の活用が注目を集めています。従業員がやりたいこと、現在できること、会社から求められていることを整理することで、キャリアの方向性や今後取り組むべき課題が明確になるのが特徴です。
この記事では、Will Can Mustの基本的な意味、活用するメリットや具体的な使い方を解説します。また、より実践的な具体例として、MBO面談や1on1ミーティング、人事配置などでの活用例、社内に浸透させる方法などもご紹介します。
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目次
Will Can Mustとは?
Will Can Mustとは、仕事における「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「求められること(Must)」を整理し、自身のキャリア形成や目標設定を考える際に活用されるフレームワークです。
Will(やりたいこと・実現したいこと)
Willは、従業員本人が将来どのようになりたいか、仕事を通じて何を実現したいかの意思や価値観を指します。管理職になりたい、新規事業に携わりたいといった具体的な目標だけでなく、人の成長を支援したい、専門性を生かして社会に貢献したい、生活とのバランスを保ちながら長くはたらきたいなど、理想とする状態や内発的な動機も含まれます。
Willを明確にすると、本人が仕事に求めるやりがいや目指すべき方向性を整理しやすくなります。日々の業務と将来の理想像を結び付け、主体的にキャリアを選択するための出発点となる要素です。
Can(できること・強み・スキル)
Canは、従業員が現在持っている知識やスキル、これまでに培った経験、持ち味や強みを指します。本人にとっては当たり前にできていることでも、組織にとっては大きな価値や強みであるケースは少なくありません。専門的な知識や資格だけでなく、業務を正確かつ効率的に進める力、周囲と円滑に連携するコミュニケーション能力、課題を見つけて改善する力などもCanに含まれます。
これまでの業務経験や実績を客観的に棚卸しすれば、現在できることを把握しやすくなります。同時に、Willの実現に向けて不足している知識や経験も明確になり、今後伸ばすべき能力を検討する材料になるでしょう。
Must(会社から求められること・役割)
Mustは、組織や職務において求められる役割や責任、達成すべきことを指します。担当業務や役職に応じた成果、KPI、チーム内で果たすべき役割などが該当します。本人の希望だけで決まるものではなく、会社の事業戦略や組織目標、チームのミッションなどを踏まえて設定されるものです。
Mustでは、会社が従業員に対してどのような成果や行動を求めているのかを具体的に提示することが重要です。期待する役割が曖昧なままだと、従業員は何を優先すべきか判断しにくくなります。会社と本人がMustについて認識を共有した上でWillやCanとの接点を見つければ、組織への貢献と本人のキャリア形成を結び付けやすくなるでしょう。
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Will Can Mustのフレームワークを導入・活用するメリット
Will Can Mustを活用すると、従業員は自身のキャリアや仕事への向き合い方を整理しやすくなります。また企業にとっても、従業員の希望や強みを踏まえた目標設定や育成支援につなげやすくなるメリットがあります。
キャリアの悩みを客観的に整理できる
「今の仕事が自分に向いているか分からない」「将来どのようになりたいのか漠然としている」といったキャリアの悩みは、頭の中だけで考えていると整理しにくいものです。
Will・Can・Mustの3つに分けて紙やシートへ書き出すことで、本人が望んでいることや現在できること、会社から求められていることを客観的に捉えやすくなります。自身の現在地と目指すべき方向を可視化できるため、漠然とした不安や迷いの原因を整理するきっかけとなるでしょう。
次に取るべき「具体的なアクション」が明確になる
Will・Can・Mustを可視化すると、それぞれの間にあるギャップが見えやすくなります。例えば、Willを実現するには現在のCanが不足している、Mustを果たすには新しい知識や経験が必要、などといった課題を具体的に把握できます。
その結果、資格を取得する、特定のプロジェクトに参加する、プレゼンテーションの経験を積むなど、次に取るべき行動を可視化しやすくなります。漠然と努力するのではなく、成長に向けた具体的なアクションプランを設定できる点がメリットです。
自己理解を深めることができる
日々の業務に追われていると、自分が何を大切にしているのか、何を得意としているのかを振り返る機会が少なくなりがちですが、WillとCanを言語化することで、自身の価値観や興味、強みを見つめ直せるようになります。また、本人が当たり前だと感じている能力を、棚卸しを通じて強みとして認識できる場合もあります。
自己理解が深まれば、得意分野をさらに伸ばしたり、苦手な部分を補ったりでき、自身のキャリアに主体的に向き合えるようになるでしょう。
仕事に対する納得感・モチベーションが高まる
会社から求められるMustだけを意識して仕事をしていると、やらされている感覚にとらわれてしまいがちです。一方、Mustと本人のWill・Canとの重なりを見つけられれば、現在の業務を自身の目標や成長につながるものとして意味付けできます。
例えば、会社から求められている後輩の指導が本人の「将来はマネージャーになりたい」というWillと結び付けば、業務への受け止め方も変わります。仕事に取り組む理由への納得感が高まり、主体性やモチベーションの向上につながるでしょう。
上司との面談や目標設定の質が向上する
Will Can Mustは、1on1ミーティングや評価面談における上司と部下の共通言語としても活用可能です。同じシートを見ながら対話することで、本人の希望や強み、会社の期待を整理し、認識のずれを確認しやすくなります。
また、上司の感覚だけで指導したり、会社が求める目標を一方的に伝えたりするのではなく、WillやCanとのつながりを踏まえて目標を設定できます。本人が納得できる目標や育成方針を検討しやすくなり、面談を前向きな成長支援の場にできるでしょう。
Will Can Mustのフレームワークの使い方
Will Can Mustを活用する際は、Will・Can・Mustを順番に書き出し、それぞれの関係性を整理してみましょう。ここでは、従業員がフレームワークを埋めて具体的な目標を設定するまでの手順をご紹介します。
ステップ1:Will(やりたいこと)を書き出す
まずは、現時点のスキルや会社からの期待にとらわれず、本人が将来実現したいことや仕事で大切にしたい価値観を自由に書き出します。どのような仕事に挑戦したいか、どのような人材になりたいか、どのような状態ではたらきたいかといった視点で考えると、Willを整理しやすくなるでしょう。
本人が「特にやりたいことがない」と感じている場合は、マネージャーが問いかけて考えを引き出します。どのような作業が楽しいと感じるか、過去に充実感を得た仕事は何かなど、具体的な経験から振り返ってもらうことで、本人も気付いていないWillが見つかるケースも少なくありません。
ステップ2:Can(できること)を棚卸しする
次に、これまでの業務経験を振り返り、Can(できること)を棚卸しします。現在持っている知識やスキル、強みをCanとして書き出します。
担当した業務、成果を上げた経験、周囲から評価されたことなどを具体的に整理すると、Canを客観的に捉えやすくなります。専門知識や資格だけでなく、業務を正確に進める力、関係者を調整する力、後輩を支援する力などもCanに含まれます。上司や同僚からの意見を参考にすることも有効です。
また、現時点でできることに加え、Willの実現に向けて今後身に付けたいスキルも整理します。現在のCanと将来必要なCanを分けて考えることで、今後の成長課題が見えやすくなるでしょう。
ステップ3:Must(すべきこと)を整理する
続いて、会社や部署の目標と照らし合わせ、本人に求められている役割や責任、具体的な業務、達成すべき目標を整理します。これがMust(すべきこと)です。
Mustは本人の認識だけで決めるのではなく、直属の上司が会社やチームとして期待していることを明確に伝えることが重要です。担当業務、役職上の責任、KPI、今後期待する成長などを具体的に言語化し、本人との認識にずれがないか確認します。
上司が抽象的に「もっと成長してほしい」と伝えるだけでは、本人は何をすべきか判断できません。「新規顧客の獲得を担ってほしい」「後輩の育成に関わってほしい」など、客観的な事実や組織目標に基づいてMustを設定しましょう。
ステップ4:3つの輪の重なりを見つけ、目標を設定する
最後に、書き出したWill・Can・Mustを見比べ、3つが重なる部分を探します。この重なりは、本人の希望や強みを生かしながら、組織への貢献につなげやすい領域と考えられます。
例えば、「将来はマネージャーになりたい」というWill、「後輩への指導が得意」というCan、「若手社員の育成を担ってほしい」というMustが重なる場合、後輩育成を担当することが本人の成長と組織への貢献の両方につながります。
3つの重なりが小さい場合は、不足している要素をどのように広げるかを本人と上司で話し合います。Willの実現に必要なCanを身に付ける、現在のCanを生かせる役割を検討するなど、重なりを増やす方法を考えましょう。その上で、半年以内に後輩指導を経験する、1年以内に必要な資格を取得する、などといった具体的なアクションプランや短期・中長期の目標に落とし込みます。
Will Can Mustを導入するタイミングや具体的な活用例
Will Can Mustは、研修や面談、人材配置など、さまざまな人事施策に活用可能です。ここでは、効果的に取り入れやすい代表的な場面と具体的な活用方法をご紹介します。
新入社員・若手社員のキャリアデザイン研修で活用する
Will Can Mustは、新入社員や入社2〜3年目の若手社員を対象としたキャリアデザイン研修に活用できます。
若手社員は業務経験が浅く、Canを十分に蓄積できていないこともあります。そのため、将来やりたいことを意味するWillと会社から期待されるMustとの間にギャップを感じ、自信を失ったり、今後の成長イメージを持てなかったりする場合があります。
研修でWill・Can・Mustを可視化できれば、自身の現在地と今後身に付けるべきスキルを整理しやすくなるでしょう。現時点で3つが重なっていなくても、経験や学習を通じてCanを増やす道筋を示せば、将来への見通しを持ちやすくなり、仕事への理解や納得感を高めることにつながります。その結果、早期離職の防止につながる可能性もあります。
MBO面談や定期的な1on1ミーティングで活用する
半期に一度の評価面談・MBO(目標管理)面談や、月に1回の定期的な1on1ミーティングなどにWill・Can・Mustを取り入れるのも効果的です。例えば、期初のMBO面談で目標を設定する際、会社から求められる「Must」だけでなく、本人の「Will」「Can」とすり合わせることで、より納得感があり、従業員自身が意欲を持って取り組める目標設定につながります。
また、定期的な面談でシートを更新しながら対話することで、業務の進捗だけでなく、「以前より興味のある分野が変わった」「新しい業務を通じて強み(Can)が見つかった」といった変化にも気付きやすくなるでしょう。従業員の希望や成長課題を早期に把握できれば、必要なフィードバックや学習機会の提供、本人の強みを生かせる業務のアサインなど、状況に応じた柔軟な支援にもつなげられます。
人事異動・配置転換の検討時に盛り込む
従業員のモチベーション低下や組織のパフォーマンス停滞が見られる場合には、人事異動や配置転換を検討する際の材料としても活用できます。
現在の部署でMustばかりが先行し本人のWillやCanを生かせていない場合は、本人の希望や適性と各部署で求められる役割を改めて整理することが重要です。例えば、顧客との関係構築を得意とする従業員が、対人業務の少ない職務で力を発揮できていない場合は、そのCanを生かせる部署への異動を検討します。
Will・Can・Mustの重なりがより大きくなるポジションへ配置すれば、本人の納得感や意欲を高めながら、持っている能力を組織の成果にスムーズにつなげやすくなります。
Will Can Mustを活用する際のポイントや注意点
Will Can Mustを有効に活用するためには、シートを作成するだけでなく、面談での対話や継続的な運用が重要です。ここでは、マネージャーや人事担当者が押さえておきたいポイントと注意点を解説します。
Mustを押し付けず、本人のWillを尊重する
Will Can Mustを活用する際に避けたいのが、会社側のMustを従業員に受け入れさせるための説得ツールにしてしまうことです。
会社の都合や目標を一方的に押し付けると、従業員は本音のWillを話しにくくなり、フレームワークを活用する意味が薄れてしまいます。会社が求める役割を伝えることは必要ですが、まずは本人が何を実現したいのか、どのような価値観を大切にしているのかを丁寧に確認しましょう。その上で、本人のWillと会社のMustを対話によってすり合わせ、双方が納得できる目標や役割を検討することが重要です。
他者の客観的な視点を取り入れる
Canを本人の自己評価だけで整理すると、過大評価や過小評価といった主観的な偏りが生じる場合があります。本人が強みだと考えている能力が実際の業務では十分に発揮されていなかったり、本人が当たり前だと思っている行動が周囲から高く評価されていたりすることもあります。
そうしたことを避けるために、上司や同僚、人事担当者などからの客観的なフィードバックを取り入れましょう。具体的な業務実績や周囲から評価された行動をもとにCanを整理すれば本人も納得しやすくなり、より実態に即した目標設定や育成計画につなげられます。
定期的に見直し、変化を許容する
WillやCanは、一度整理したら変わらないものではありません。新しい業務を経験して興味の対象が変わったり、スキルが身に付いてCanが増えたり、結婚や育児などのライフステージの変化によって大切にしたい価値観が変わったりすることがあります。Mustも異動や組織方針の変更に伴って変化していくものです。
そのため、一度作成したシートを固定的に扱ったり、以前に記載したWillに本人を縛り付けたりすることは避けるべきです。半年ごとや1年ごと、あるいは評価面談や1on1ミーティングの機会に内容を見直し、現在の状況に合わせて柔軟に更新することが大切です。変化を前向きに受け入れながら運用することで、実態に合ったキャリア支援を継続できます。
Will Can Mustを社内に浸透させるためにできること
Will Can Mustを企業文化として根付かせるには、単発の研修や面談で終わらせず、既存の人事制度や日常的なコミュニケーションに組み込むことが重要です。その具体的な方法を解説します。
目標設定のフォーマットに組み込む
Will Can Mustを継続的に活用するためには、既存の人事評価や目標設定のフォーマットにWill・Can・Mustを記入する項目を設ける方法が有効です。評価プロセスの一部として仕組み化することで、全社で継続的に運用しやすくなるでしょう。
独立した新しいフレームワークとしてWill Can Mustを導入してしまうと、従業員や管理職の負担が増え、次第に使われなくなる恐れがあります。普段から利用している評価シートの一部に組み込めば、目標設定や振り返りの際に自然と3つの要素を確認できるようになります。
管理職向けのOFF-JTを実施する
Will Can Mustを適切に運用できるかどうかは、面談を担当する管理職の傾聴力やコーチングスキルにも左右されます。そのため、導入時には管理職を対象としたOFF-JTを実施することが重要です。
OFF-JTとは、通常の職場や実務から離れて行う研修を指します。従業員のWillをどのような質問で引き出すか、会社のMustを本人の成長とどのように結び付けて伝えるか、など、面談に必要な対話スキルを体系的に学ぶ機会をOFF-JTで設けましょう。管理職による対応のばらつきが抑えられ、現場での運用力が高まります。
OFF-JTについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
>> OFF-JTとは?OJTとの違いやメリット、効果的な具体例を解説
1on1ミーティングの共通言語として定着させる
Will Can Mustは、定期的な1on1ミーティングの共通言語として活用することで日常的に意識されやすくなります。例えば、現在の業務はあなたのWillにどうつながっているか、この課題を乗り越えるとどのようなCanが増えるか、といった問いかけが有効です。
上司と部下がWill・Can・Mustという共通の枠組みで対話を続ければ、従業員が日々の仕事と自身のキャリアを関連付けて考えやすくなります。特別な面談時だけではなく、普段から使う言葉として定着させることがポイントです。
経営層や人事がストーリーとして発信する
経営層や人事部門が、自身のWill Can Mustやこれまでのキャリアの変遷を社内報や全体ミーティングの場で発信する方法もあります。当初描いていたWillが経験を通じて変化したことや、不足していたCanをどのように身に付けたのかを具体的に語れば、従業員も自身のキャリアをイメージしやすくなります。
また、リーダーが率先して自己開示すれば、Willは途中で変わってもよい、キャリアについて率直に話してもよい、といった安心感も生まれます。従業員が自身の希望を語りやすい組織風土を作ることが、Will Can Mustの浸透につながるのです。
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自社に合ったキャリア支援で従業員のエンゲージメントを高めよう
Will Can Mustは、従業員が自らのキャリアを考え、必要な行動を選択する「キャリア自律」を支援する際にも活用できるフレームワークです。3つの要素を可視化することで、本人は現在地や今後取るべき行動を把握しやすくなり、企業も一人ひとりに合った育成や配置を検討できるようになります。
ただし、会社側のMustを一方的に押し付けると、従業員は本音のWillを話しにくくなります。本人の価値観や意思を尊重し、上司との対話を通じてWill・Can・Mustの重なりを探ることを心がけてください。従業員が自身の仕事と将来の理想像とのつながりを実感できる環境を整えることができれば、主体性やエンゲージメントの向上につながるでしょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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