HRナレッジライン
カテゴリ一覧
要員計画とは?人員計画との違いや目的、具体的な作り方・手順を解説
公開日:2026.09.29
- 記事をシェアする
人材不足や人材の流動化が進む中、企業が事業目標を達成するためには、必要な人材を必要なタイミングで確保し、適切に配置することが重要です。そのために欠かせないのが、経営戦略や事業計画に基づいて必要な人員数やスキルを整理する要員計画です。
この記事では、要員計画の意味、人員計画や採用計画との違い、策定する目的、適正人数の算出方法、具体的な作り方などを解説します。要員計画を見直して自社の経営戦略に合った人材活用を進めたい際はぜひ参考にしてください。
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
目次
要員計画とは
要員計画とは、企業の経営戦略や事業計画を実現するために必要な人材の人数・スキル・配置を中長期的な視点で整理する計画のことです。単に何人採用するかを決めるものではなく、どの部門に、どのようなスキルを持つ人材が、いつ、どれだけ必要なのかを明確にし、組織全体の人材配置を最適化します。
例えば、新規事業の立ち上げや既存事業の拡大に際しては、現在の人員だけでは対応できない業務や不足する専門スキルが出てくる可能性があります。要員計画では、こうした将来の人材ニーズを事前に予測し、採用、育成、異動、外部人材の活用などの必要な施策を検討します。
適切な要員計画を立てることができれば、人材不足や人員過剰を防ぎつつ事業成長に必要な体制を整えやすくなるでしょう。
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
混同されがちな用語との違い
要員計画は、人員計画や採用計画と混同されることがあります。いずれも人材にまつわる計画ですが、対象とする範囲や視点、具体化する内容は異なります。
ここでは、それぞれの用語の意味と要員計画との関係を解説します。
人員計画との違い
人員計画とは、要員計画で定めた大枠をもとに、具体的な人材の配置や異動を検討する計画です。企業によっては要員計画と人員計画をほぼ同じ意味で使うこともありますが、整理して考える場合は、要員計画がマクロな視点(組織全体)の計画、人員計画がミクロな視点(個人単位)の計画といえるでしょう。
具体的には、要員計画では経営戦略や事業計画を踏まえ、どの部門にどのようなスキルを持つ人材がどれだけ必要か、人件費をどの程度見込めるか、といった組織全体の枠組みを定めます。一方、人員計画では、その枠組みの中で、誰をどの部署に配置するか、どの人材を異動・育成するかなど、個人単位の配置や活用を具体化します。
つまり、要員計画という土台があり、その上で人員計画によって具体的な人材配置を決めていく、といった関係です。
採用計画との違い
採用計画とは、要員計画や人員計画によって明らかになった不足人材を外部からどのように確保するかを具体化する計画です。
要員計画では、必要な人材を確保する方法を、採用だけでなく、社内の配置転換、既存社員の育成、外部人材の活用なども含めて検討します。組織全体の人材配置を最適化するための計画であり、社内外のさまざまな選択肢を考える点が特徴です。
一方、採用計画は外部からの人材調達に焦点を当てます。採用人数、求める人物像やスキル、採用チャネル、募集開始時期、選考スケジュールなど、採用活動を実行するための具体的なアクションを定めます。
要員計画を策定する目的と重要性
要員計画は、単に必要な人数を見積もるためのものではありません。経営戦略の実現に必要な人材を計画的に確保・配置し、人件費や労働生産性を適切に管理するための取り組みです。
ここでは、要員計画を策定する主な目的と重要性を3つの観点から解説します。
経営戦略・事業目標の達成
要員計画の大きな目的は、経営戦略や事業目標の達成を人の側面から支えることです。
どれほど優れた事業計画を立てても、それを実行する人材が不足していれば、計画どおりに事業を進めることは難しいでしょう。例えば、新規事業を立ち上げる場合は、その領域に詳しい人材や立ち上げを推進できるマネジメント人材が必要です。既存事業を拡大する場合も、営業、マーケティング、管理など、各部門で必要となる人員やスキルを事前に見極めなければなりません。
そうした際に事業計画と連動した要員計画を策定すれば、必要なタイミングで必要な人材を過不足なく配置しやすくなります。結果として組織全体の実行力が高まり、経営戦略や事業目標の達成にも近づけるでしょう。
適正な人件費の管理と労働生産性の向上
要員計画には、企業の大きなコストである人件費を適切に管理する目的もあります。
人員が過剰になると人件費が膨らみ、利益率を圧迫する恐れがあります。一方、人員が不足すると、受注機会の損失や業務遅延、残業代の増加につながる恐れがあります。そのため、売上目標や予算に対し、どの部門にどれだけ人員を配置すべきか、可能な限り正しく見極めなければなりません。業務量や必要なスキルを踏まえて人員を配置できれば、コストを抑えつつ、限られた人材で成果を出しやすくなります。
また、適切な人員配置は労働生産性の向上にもつながります。必要な場所に必要なスキルを持つ人材を配置すれば、業務の停滞や属人化を防ぎながら組織全体のパフォーマンスを高められます。
従業員のモチベーション向上と離職防止
要員計画は、企業側だけでなく従業員にとっても重要です。業務量に対して人員が不足している状態が続くと、現場の負担が大きくなり、長時間労働や疲弊につながりやすくなります。従業員のモチベーション低下や離職リスクが高まる恐れもあるでしょう。
一方、適切な要員計画を立てられれば、業務量と人員のバランスを保ちやすくなり、特定の部署や個人に負荷が集中する状況を防ぎやすくなります。従業員のスキルやキャリア志向も踏まえて配置を検討できれば、本人がより力を発揮しやすくなり、仕事への納得感や成長実感にもつながります。
要員計画は人材の定着率向上にもかかわる取り組みです。現場が無理なく成果を出せる体制を整えることは、従業員のモチベーション維持や離職防止を図る上でも欠かせません。
要員計画における適正人数の算出方法
要員計画を策定する際は、組織に本当に必要な人員数をどのように算出するかが重要です。適正人数の算出方法には、経営目標や人件費予算から逆算するトップダウン方式と、現場の業務量から積み上げるボトムアップ方式があります。それぞれの考え方と特徴を解説します。
経営目標から逆算する「トップダウン方式」
トップダウン方式とは、経営目標や売上目標、人件費予算などをもとに全社または部門ごとの適正人数を逆算する方法です。経営視点から必要人数を導き出すマクロ的な手法であり、人件費を一定の範囲に抑えながら要員数を管理したい場合に適しています。
代表的な算出方式としては、労働分配率方式や売上高基準方式、KPIベースでの算出、モデル人員構成(標準人員モデル)などがあります。 例えば、労働分配率方式では、企業が生み出す付加価値(粗利など)に対して人件費をどの程度に抑えるかを設定し、そこから確保可能な総人員数を逆算します。売上高基準方式では、売上目標や1人あたり売上高をもとに必要な人数を算出します。
トップダウン方式は、経営計画や人件費予算との整合性を取りやすい点がメリットです。一方、現場の実際の業務量や業務負荷が十分に反映されない場合もあるため、現場の状況も確認しながら調整することが大切です。
現場の作業量から積み上げる「ボトムアップ方式」
ボトムアップ方式では、現場の業務量や作業時間をもとに必要な人数を積み上げて算出します。現場の実態に即して必要人数を把握できるミクロ的な手法であり、業務負荷や繁忙期の状況を反映しやすい点が特徴です。
具体的には、まず業務プロセスを細かく分解し、それぞれのタスクにかかる時間と処理件数を確認します。その上で、1タスクあたりの所要時間×処理件数から必要工数を算出し、合計した工数を1人あたりの労働時間で割ることで必要人数を導き出します。
(1タスクあたりの所要時間 × 処理件数)÷ 1人あたりの労働時間 = 必要人数
例えば、ある業務に月400時間の工数が必要で、かつ1人あたり月160時間対応できる場合、計算は以下のようになります。
400時間(必要工数) ÷ 160時間(1人あたりの労働時間) = 2.5人(必要人数)
単純計算では2.5人分の人員が必要ということになります。このように業務量を数値化することで、現場に必要な人数を具体的に把握しやすくなります。
ただし、各部門の要望をそのまま積み上げると人件費が膨らみやすい点に注意が必要です。また、業務の効率化や自動化によって削減できる工数がないかを確認せずに算出すると、必要以上の人員計画になる恐れもあります。現場の実態を踏まえつつ、経営目標や予算とのバランスを見ながら調整しなければなりません。
要員計画の具体的な作り方
要員計画は、現状の人員を把握するだけでなく、経営戦略に基づいて将来必要となる人材を予測し、現状とのギャップを埋める施策まで設計することが重要です。ここでは、要員計画を作成する基本的な流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:経営戦略・事業計画の確認
要員計画は事業を実行するために必要な人材を整理する計画ですから、経営の方向性が曖昧なままでは正しい要員ニーズを導き出せません。まずは自社の経営戦略や事業計画を正確に把握しましょう。
例えば、今後数年でどの事業分野を伸ばすのか、新規事業を立ち上げる予定があるのか、反対に縮小・撤退を検討している領域があるのかによって、必要な人材の人数やスキルは大きく変わります。経営層や各事業部門にヒアリングを行い、売上目標、事業拡大の方針、組織体制の変更予定、重点的に強化したい部門などを確認します。
計画の前提となるゴールや方針を明確にすることで、要員計画の方向性が定まりやすくなります。
ステップ2:現状の人員数・スキルの可視化と把握
次に、現在の組織にどのような人材がいるのかを可視化します。単に従業員数を把握するだけでなく、年齢構成、雇用形態、所属部門、職種、保有スキル、資格、経験年数、離職率などを整理し、現状の人材リソースを客観的に確認します。
この段階では、部門ごとの人数やスキルの偏り、特定の業務が一部の従業員に依存していないか、管理職や専門人材が不足していないかなども確認します。数年後に定年退職や異動による人員減少が見込まれる場合は、その影響も踏まえておく必要があるでしょう。
現状を定量的に把握すると、組織の強みと弱みが見えやすくなります。将来必要な人材を考える前提として、今どのような人材がどの部門にいるのかを正確に把握しなければなりません。
ステップ3:将来の必要要員の予測
現状を把握したら、経営戦略や事業計画に基づき、将来的に必要となる要員を予測します。人数だけでなく、必要なスキルや経験、役割まで具体化することが重要です。
例えば、既存事業を維持するために必要な営業、事務、管理の人員に加え、新規事業の立ち上げに必要な専門人材、DX推進に必要なデジタル人材、管理職候補などを洗い出します。その上で、いつまでに、どの部門に、どのような専門性を持つ人材が何人必要なのかを整理してみましょう。
将来必要な要員を予測する際は、事業の成長見込みや業務量の変化、組織再編の予定なども踏まえる必要があります。短期的な欠員補充だけでなく、中長期の組織づくりを見据えて人材ニーズを定義することがポイントです。
ステップ4:現状と理想のギャップ分析
次に、ステップ2で把握した「現状の人員」と、ステップ3で予測した「将来必要な人員」を比較し、ギャップを洗い出します。
ここで確認するのは、単なる人数の不足だけではありません。人数は足りているが特定の専門スキルを持つ人材が不足している、若手は多いが次世代の管理職候補が少ない、特定の部門に人員が偏っている、将来的に退職が見込まれる層が多いなど、質的なギャップも分析する必要があります。
ギャップ分析を行うと、どの部門に、どのような人材課題があるのかが明確になります。課題を具体的に把握できれば、採用で補うべきなのか、社内育成や配置転換で対応できるのかといった施策の方向性も判断しやすくなるでしょう。
ステップ5:ギャップを解消する施策の策定
最後に、明らかになった人材のギャップを解消するための具体的な施策を策定します。外部から採用するのか、既存社員の育成やリスキリングで対応するのか、社内異動や配置転換で補うのかを検討し、自社に合った方法を選びます。
即戦力が必要な場合は中途採用や人材派遣の活用、数年後を見据えた組織の若返りやコア人材の確保には新卒採用、将来的な管理職候補を育てたい場合は研修や育成計画の強化が有効です。業務量の増加に一時的に対応したい場合はアウトソーシングや業務委託を活用する選択肢もあります。
施策を決める際は、実行時期、必要な予算、担当部門、優先順位まで具体化することが大切です。計画を立てるだけで終わらせず、実行可能なアクションプランに落とし込むことで、要員計画を事業成長につながる取り組みとして運用しやすくなります。
要員計画を運用するポイントや注意点
要員計画は、計画と現場の実態にズレがあると人員不足や人件費の増加につながり、結果として事業運営に支障が出る恐れがあります。ここでは、要員計画を運用する際のポイントや注意点について解説します。
現場の意見と経営側の意向をすり合わせる
要員計画を運用する際は、経営側の意向と現場の実態をすり合わせることが重要です。経営目標や人件費予算だけをもとにトップダウンで人数を決めてしまうと、現場に必要な人員が不足し、業務負荷の増大や生産性の低下につながる恐れがあります。
一方、現場からの要望をそのまま積み上げるだけでは、人員数が過剰となり、人件費が膨らみやすくなります。現場としては必要に見える人員でも、全社の収益性や事業計画とのバランスを踏まえると別の対応がふさわしいケースもあるでしょう。
そのため、経営視点のマクロ的手法と現場視点のミクロ的手法の両方で人数を算出し、比較検討することが大切です。経営層、人事部門、各部門の管理職が情報を共有し、現実的で納得感のある落としどころを見つけることで、実行しやすい要員計画に近づけられます。
多様な人材調達手段を検討する
要員不足を解消する方法は正社員の採用だけではありません。必要な人材をすべて採用で補おうとすると、採用難や教育期間の長期化により計画どおりに人員を確保できない場合があります。
要員計画の実現性を高めるには、社内の配置転換や育成に加え、外部リソースの活用も選択肢に入れてみましょう。
例えば、一時的に業務量が増える場合、特定のスキルを持つ人材を短期間だけ確保したい場合などは、人材派遣を活用する方法があります。また、定型業務やノンコア業務を外部化したい場合は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や業務委託を活用するのも有効です。社内人材をより重要度の高い業務に集中させやすくなるメリットがあります。
多様な人材調達手段を組み合わせれば、必要なタイミングで必要な人材・スキルを確保しやすくなり、組織の柔軟性も高まります。自社の業務内容や人材課題に応じて最適な手段を検討しましょう。
▼人材派遣サービス
必要な時に、必要なスキルを持つ人材を必要な期間活用できるサービス
▼業務委託・アウトソーシングサービス
業務に必要な人員の採用・教育から運用管理まで、一括で委託できるサービス
定期的な見直しと柔軟な軌道修正を行う
要員計画は、一度策定した内容に固執せず、定期的に見直すことが大切です。
ビジネス環境の変化や市場動向、事業計画の変更、予期せぬ従業員の離職などにより、当初想定していた人員数や必要スキルが変わることは少なくありません。半期や四半期ごとに計画と実績のズレを確認する仕組みを整え、採用の進捗、配置後の業務負荷、部門ごとの人員過不足、離職状況などをモニタリングし、必要に応じて採用人数や配置計画、外部リソースの活用方針などを見直しましょう。
要員計画は、事業の変化に合わせて運用するものです。計画どおりに進めることだけを目的にするのではなく、現状に応じて柔軟に軌道修正を行うことで、事業成長を支える実効性の高い計画として機能しやすくなります。
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
人事担当者必見!
お役立ち資料を無料ダウンロード
自社の経営戦略に基づく要員計画で、組織の成長を加速させよう
要員計画は、経営戦略や事業計画を実現するために必要な人材の人数、スキル、配置を整理する取り組みです。適切に策定・運用することで、人材不足や人員過剰を防ぎながら組織全体の生産性の向上や従業員の定着につなげられます。
ただし、要員計画は一度作って終わりではありません。経営側と現場の実態をすり合わせながら、事業環境や人材状況の変化に応じて見直しを行うことが大切です。
自社の経営戦略に基づいた要員計画を策定し、採用、育成、配置、外部リソースの活用を組み合わせながら、組織の成長を支える強い組織づくりを進めていきましょう。
メールマガジン登録いただいた方限定でお役立ち情報を配信中!
監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
- 記事をシェアする