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【人事ライン】
日本航空 江尻氏
変革期のJALで、人が輝く環境をつくる

公開日:2026.03.26

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日本航空株式会社
人財本部 副本部長
江尻 祐子 氏

「他の会社の人事ってどうやっているんだろう」「同じような悩みを抱えているのかな」さまざまな企業の人事パーソンインタビュー『人事ライン』。今回は、日本航空株式会社 人財本部 副本部長 江尻 祐子さんです。
入社時は運行管理を10年担当されていた江尻さん。そこから、他の業務も経験し、現在は人事を担当されているそのキャリアは、どのように歩まれているのでしょうか。

― JALに入社されたきっかけについて教えてください。

出発点は「大きな飛行機が空を飛ぶ」ということ自体への強い魅力でした。多くの乗客を乗せながら、長い距離を安全に飛行し続ける航空機の仕組みに興味があり、就職活動中に“運航管理”という職務の存在を知ったことが、JALを目指すきっかけになりました。運航管理は空港や航路上の天候や機材情報、お客さまや搭載貨物など、膨大な情報をもとにパイロットと共に飛行計画を作成し、航空機を安全で効率的に、かつ快適に運航するための重要な役割を担っています。その奥深い世界に触れ、「ぜひこの仕事に挑戦したい」と強く感じたことが入社の決め手でした。

― 実際に運航管理として10年間勤務されたそうですが、この期間で特に印象に残っていることは何でしょうか。

運航管理は国家資格と社内資格が必要で、入社後は資格を取得しながら実務経験を積んでいきました。私が担当したのは、新千歳空港、24時間365日稼働するフライトオペレーションセンター(以下、FOC)、そしてパリのシャルル・ド・ゴール空港の3ヵ所です。特にFOCでの勤務は、飛行機の離陸前から着陸までの全行程を継続的に監視し、無線やデータ通信で状況を把握し続けるという、高い緊張感と責任を伴うものでした。気象条件の急変や機材トラブルによる判断など、瞬時の決断が求められる場面も多く、非常に鍛えられる10年間でした。

― その後、客室乗務員のスケジュール管理業務へと異動されたとのことですが、異なる領域での経験はいかがでしたか。

まったく別の世界に飛び込むような異動でしたが、実は運航管理の経験が大変役立ちました。客室乗務員(CA)のスケジュール管理業務は、日々の運航状況に大きく左右され、遅延や欠航が発生すると勤務スケジュールが大きく変わります。どの便に何名のCAを配置し、どの資格を持つCAが必要なのかを瞬時に判断する必要があります。運航管理時代に身に付けた「運航全体の流れを俯瞰する力」が、この業務に活かされました。
その後は生産計画を担当し、約7,000人規模のCAの短期・中期人員計画策定に携わりました。路線や使用機材によって必要なサービスや人員構成が大きく異なるため、現場経験者や各部門と緊密に連携しながら進めます。機材や路線ごとの特性に応じた最適な人員配置を精緻に算出する業務は困難も伴いましたが大きなやりがいを感じるものでした。新機材導入に伴う訓練計画や育成計画の策定も並行して行いました。安全と効率の両面から、多角的な視点で計画を練り上げるプロセスに非常にやりがいを感じていました。

― 大規模なCA計画を担当された中で、特に難しさを感じた点は何でしょうか。

難しさは大きく二つありました。一つは「現場で実際に働く感覚と机上計算とのギャップ」です。CA経験を持たない私にとって、「この人数で対応可能」と思えても、実際に現場の方に伺うと「その条件では非常に負担が大きい」といったことが多々あります。数値上での人員算出と現場の負担感のギャップを埋めることは大きな挑戦でした。もう一つは、スケジュールは乗務員にとって生活基盤そのものです。CAの勤務は生活リズムや家庭の予定にも深く関わるため、1つの調整がその人の生活に大きな影響を与える可能性があります。勤務形態が個人の生活に与える影響の大きさを自覚し、その責任の重さを常に感じていました。

― 育休を経て空港企画部に戻られたそうですが、そこでの業務について教えてください。

空港企画部では、空港の安全、保安、定時性、そしてDXによる働き方改革に関わりました。まず安全の領域では、お客さまのお怪我防止や、旅客スタッフ・グランドハンドリングスタッフが関わる事故の未然防止など現場で起こり得る不安全事象を減らすためのセーフティマネジメントが主な業務の一つでした。
保安業務では、空港での保安検査に加え、機内持ち込み手荷物や受託手荷物に含まれる危険物の管理が重要です。リチウムイオン電池や新しい電子機器の登場に応じてルールをアップデートする必要があり、航空保安のために迅速な判断と対応を図る難しさがありました。

定時性に関しては、乗務員、整備、清掃、ケータリングなど、多くの職種が連携する必要があります。わずか数分の遅れの積み重なりが大きな遅延につながるため、実際の現場に足を運び、関連する部門との連携を通じて作業を最適化することが求められました。

― 人事部門に異動されてから、どのような役割を担われているのでしょうか。

人事ではまず人事評価や異動といった人事運用業務に従事し、その後、採用や教育へと担当業務を広げてきました。現在は人財戦略・人事・意識改革・ウェルネス推進を担う人財本部の副本部長を務めています。JALグループは全社員4万人のうち約3万人が航空機に直接関わる現場を支えており、航空事業は当社のまさに根幹です。私は現場経験が長かったからこそ、「現場の想いや課題」を深く想像しながら人事施策を検討することを大切にしています。
また、航空事業は感染症や災害などのイベントリスクの影響を受けやすいため、現在は航空事業以外の領域への事業展開も加速しています。その変革の中で、多様な価値観とスキルを持つ人財が組織に新しい価値をもたらすことに、大きな可能性を感じています。

― 今の仕事で最も大変だと感じる点はどこですか。

私たちが直面している大きな課題、それは労働人口の減少です。空港の仕事は人の手を介する業務の積み重ねであり、暑さや寒さ、重量物の取り扱いといった厳しい環境下で成り立っています。こうした状況で、どう効率化を推進し、「楽に・楽しく・お客さまの笑顔につながる仕事」を実現できるかが問われています。
また、生産性向上というと「今以上に頑張らなくてはならない」という受動的なイメージを持たれがちですが、その本質は「没頭できる環境づくり」にあると考えています。人は「やりたいこと」に没頭したときに最大のパフォーマンスを発揮し、創造性が育まれます。組織全体がその状態に近づくことこそが、生産性向上の本質だと思っています。

― JALの魅力や今後のイメージについて、どのような考えをお持ちですか。

JALは今、大きな変革期にあります。これまでは「飛行機を飛ばす会社」というイメージが強かったかもしれませんが、これからは航空領域でも、航空領域以外でも価値を生む“新しいJAL”へと進化していくはずです。そのためにも、社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、自身の価値を実感できる環境を整えることが不可欠です。私は、人が働くうえでの魅力や価値を正しく伝える役割を大切にしたいと考えています。

― 最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

人事を担う者としては、社員一人ひとりが自分の価値を理解し、自分の力を最大限に発揮できる場所を自ら選択できるような世界をつくりたいと考えています。そのために、仕事そのものの魅力を高め、新しい挑戦を後押しする環境をさらに整えていきたいです。
また個人としては、JALグループには多種多様なフィールドがあるため、人事に限らずさまざまな分野に挑戦し、経験の幅を広げたいという思いもあります。「人を理解し、支える力」はどの職場でも活かせるはずですし、今後も働く人々がやりがいを持ち、新しい一歩を踏み出せるような支援を続けていきたいと考えています。

江尻さんにこの仕事のやりがいを伺ったときに真っ先に出てきた言葉は「お客さま」についてでした。
「毎日のフライトで、たくさんの、いろいろなお客さまの声をいただきます。もちろん厳しい声もあります。そういったお客さまの声につながるようなサービスをしてくださる乗務員の生活を支えていると思うとすごくやりがいを感じます。」
「あまり、考えていなかったです」と江尻さんは笑いますが、彼女の仕事の先には常にお客さまがいるということが第一に無意識に沁みついている、そんな江尻さんはとても素敵でした。

Profile

日本航空 江尻 祐子 氏

日本航空株式会社
人財本部 副本部長
江尻 祐子 氏

1996年入社。空港・オペレーションの現場経験を経て、客室本部、空港本部では企画業務に従事。2017年より人事部にて人事運用を担当。
2022年からは人事部長として自律的キャリア制度、年功序列を配した人事制度、高度専門人財に関する人事制度、シニア社員の活躍領域の拡大など、多様な人財が多様な領域で活躍できる制度改革に注力。2024年4月より現職。

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