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「2026年の採用はどうなる?!」
採用のプロ、人材研究所 曽和氏に聞いてみた

公開日:2026.03.12

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気になる2026年の採用について、HRナレッジライン編集部がレポート!
採用といえばこの方!人材研究所 代表取締役社長 曽和利光氏に2026年の採用についてお話を伺いました。
曽和氏は「2026年は、採用において、振り返ったときに“あのとき”と言われる年になるのではないか」と語ります。一体どのようなことなのでしょうか・・・。

中途採用市場の現状と変化

現在、中途採用の求人倍率は新卒より高く、採用難が続いています。有効求人倍率は1.2倍程度と一見すると低く見えるものの、ハローワークには非正規の求人が多く含まれているため、実態とは異なります。民間の転職データ、たとえばdodaの転職求人倍率などを見ると、3倍前後を記録する時期もあり、依然として「採りにくい」状況と言えます。
特にエンジニア、人材業界、コンサルティング業界などは相変わらず採用が難しい。
2020年前後は中途採用の難易度が一時的に下がった時期もありましたが、現在は再び厳しくなっており、この傾向はしばらく続くと見ています。この背景には、生成AIの普及によって職種構造が大きく変化しつつあることが影響していると感じます。

アメリカでは、AIによって代替可能な領域——たとえばエンジニア、コンサルタント、バックオフィス、管理職など——で大規模なリストラが進んでいます。またエントリークラス(新人層)の採用を控える企業が増え、若年層の失業率が急上昇しています。
日本は人口動態が異なりますが、構造は似ているため、規模は緩やかでも似た現象が起こる可能性があります。

「今、採りすぎてしまうこと」への警戒

これまでの10年ほど、多くの企業は「人が採れない」「とにかく採用しなければ」という考えのもと、採用活動を続けてきました。しかし今後は逆に、「AIの導入で生産性が大きく向上する」「特にコモディティ業務(多くの人が従事してきた仕事)が代替されやすい」「エントリークラスの仕事が消えていく」といった状況が想定されています。
そのため一部の企業はすでに「今のうちから“将来いらなくなる人”を増やさないよう採用数を絞る」という方向に舵を切り始めています。実際、300人採用していた企業が100人に減らすなど、コア人材だけ確保し、オペレーション領域は最初から人を採らないという動きも見られます。

AIの活用が進む中で、ある識者は次のように語っています。
「上位2%の人がAIを使いこなせば、残り98%の知的労働者は不要になる」
知的労働の世界ほど、AIの影響は強烈に出てきています。そのため、企業は“上位2%の超ハイパフォーマー層”の獲得競争を激化させています。実際、大企業が新卒初任給を大幅に引き上げ、初月に70万円を支給するなど、報酬インセンティブ競争が始まっています。その一方で、トップ層以外は急に就職難に陥る可能性もあります。これは、かなり極端ですが、それくらいのことが言われるようにもなってきている、ということです。

2026年に劇的な変化はまだ起きない、が。

2026年に大きな転換が起こるかというと、実際の採用計画を見る限り、「2026年中に劇的な変化は起きない。ただし“折り返し点”に入る可能性は高い」というのが現実的な見立てです。企業の多くはこれまでと同じように採用を続けるでしょうが、後から振り返ると、「あの年は“本来なら採用を減らすべき年”だったのに、なぜあんなに採ったのか」と語られる可能性がある、ということです。

ここ10年ほど、売り手市場の中で採用担当者の最重要テーマは「動機付け(動機形成)」でした。「候補者が動かない」「募集しても応募が来ない」「“選ぶ”より“選んでもらう”が重要」という背景があり、スカウト型採用や動機形成の強化が主流となっていました。
しかし今後、採用市場が折り返しに入り、買い手市場に戻るとすれば、再び「選抜の強化」が重視されていきます。特に企業が求めるのは「自社が求める基準での“トップ2%の人材”」であり、採用数の母数そのものが小さくなるため、「100人→2人でいい」など、極端に厳選された採用になる可能性があります

トップ層採用は価値がさらに高まり、企業は選抜の精度向上に投資する。採用支援会社の役割も高度化します。
AI代替が進むと、一般的・標準的な業務を担う人の採用は、数が必要なくなる/離職コストを気にしなくなる/そもそも採らない、という方向に進むと予想しています。
このため、「採用市場全体は縮小するが、トップ層の採用支援は逆に伸びる」という二極化が起きる可能性が高いと予想します。

面接の妥当性が低いという“共有された認識”と構造化面接・適性検査・AI

すでに多くの会社で明らかになっていますが、従来の「面接」という選考手法は妥当性が極めて低いことがわかっています。たとえば、同じ候補者の面接動画を同じ基準で評価してもらう。面接官50人の評価が「正規分布」のようにバラける、という現象が頻繁に起こります。これにより、面接官の相性・主観によって合否が大きく左右されてしまうことが課題だと明確になりました。

この課題への対策として広まってきたのが構造化面接(Structured Interview)です。
「質問内容を固定」「得られる情報量を均質化」「ルーブリックで評価基準を明確化」することで、評価のブレを減らす狙いがあります。
さらに最近では、「適性検査の全社員実施によるハイパフォーマー分析」「AIを活用した非言語データ(表情筋、声のトーン、反応速度など)の解析」が進みつつあります。
これまでは初期選考の負担軽減に使われていた検査が、今後はむしろ「最後の1人を選び抜くための“人間ドックのような”高精細分析」として使われるようになると考えています。

この流れが進むと、将来的には、血液検査レベルのスクリーニング(比喩)、さまざまな心理・能力検査、行動特性分析(言語+非言語)、構造化面接、総合的AI解析、最終的な人間判断のような、非常に厳密で多角的な評価プロセスになる未来も見えています。
曽和氏はこれを「トップ2%を選抜するための“超・厳選採用”」と表現していました。

「求める人物像」も科学的に再構築される時代へ

従来、多くの会社の「求める人物像」は、優秀な社員や上司にヒアリングする“こういうタイプが活躍する”という意見ベース、事実より“語り”が中心で作られていました。しかし、「できる人が語る“理想像”と、実際のデータで見る“活躍人材の特徴”は一致しない」というケースが非常に多いことがわかってきています。
たとえば、
上司:「素直な人が良い」
データ:「ハイパフォーマーは“生意気”と分類される特性を持つことが多い」
といったズレが実際によく起きています。
今後は、「実際の社員データ」「ハイパフォーマーの特性分析」「AIによるパターン抽出」によって、より科学的に「求める人物像」を設計する潮流が強まります

人材ポートフォリオは「10年スパン」で動く

企業が今後の採用・人材戦略を考える際、最も重要になるのが“人材ポートフォリオの再設計”です。採用は「今必要だから採る」という短期的思考に陥りがちですが、本来は、「10年後に必要な人材構造(AI/ロボット/外部リソース含む)」「現在の人材構造」「そのギャップを埋めるために必要なフロー(採用・配置・育成・退出)」という長期的視点が欠かせません。そして、次の理由で早めに動き出す必要があります。「解雇できない日本の制度では調整に時間がかかる」「人材の『入れ替わり』には長期的な移行が必要」「採用は“後戻りできない施策”になりがち」。つまり、2026年から「未来のポートフォリオ」を見据えた調整を始めないと間に合わなくなる、という危機感です。

新卒から中途へのシフトは合理的だが、全社がやると成立しない

新卒採用は「後戻りしづらい」ため、企業は今後、「新卒採用を絞る」「中途採用で必要な時にピンポイント補充」「業務委託・外部化で柔軟にリソース調整」といった方向が合理的です。しかし、この戦略には矛盾があります。
みんなが中途採用にシフトすれば、中途市場の競争が激化し、結局“採れない”状態になる。
その結果、「新卒採用を維持し『育成力』を強みとする企業」「中途でハイレベル人材だけを採りに行く企業」という二極化が進むと考えられます。
特に中小企業・ベンチャーは、新卒採用で優秀層の一部を採り、育てたうちの何割かが残る受け皿となる可能性があります

多くの人事は“要員計画の根拠”を持っていない

曽和氏によると、多くの採用担当者に「なぜ新卒が200人必要なのか?」と聞いても答えられない場合が多いと言います。要因は、採用数は経営企画側が大枠を決めていて、人事は“埋めるタスク”になりがち、戦略思考に基づく人材計画がそもそも存在しないという構造にあります。
そのため、採用担当は“現場作業者”、人材戦略は“経営企画の外部問題”のように扱われているというギャップが起きています。

日本企業は「対岸の火事」として見がち

アメリカで起きているAIによる大規模リストラや新卒採用減少を、日本企業の多くはまだ“自分ごと化”できていません。曽和氏自身も、「かつては自分も危機感を持たず採用数を増減していた」と述べています。しかし、後から振り返ると、バブル期に大量採用した世代、氷河期にほとんど採用しなかった歪みなど、長期的な採用判断の歪みが今も尾を引いていることが明らかです。そして、今回の変化はそれ以上に急激かつ構造的だと捉えています

「明日の仕事」と「10年後の仕事」のジレンマ

人事は常に「二重の時間軸」を扱う必要があります。「明日の仕事:今の売上・事業を支える人材」「10年後の仕事:AIを前提とした未来の組織」。短期に寄りすぎると長期が崩れ、長期に寄りすぎると事業が立ち行かなくなります。特に採用は後戻りしづらいため、「新卒採用を増やす」「大量にオンボーディングする」「配置が固定化してしまう」などの影響が10年単位で残ってしまうのです。

人事の“種まき”はすぐには成果が見えない

曽和氏が繰り返し語った人事の本質は、「未来のために、今から見えない種を蒔く仕事」だという点です。
10年後の人材構造、10年後の事業構造、10年後の競争環境に合わせ、今日から少しずつ人材ポートフォリオを作り替える必要がある。
しかし、人事は短期業績に左右されがちで、“見えない未来への投資”が後回しになりやすいため、結果として、「気づいたら取り返しがつかない」「大量リストラしか手段がなくなる」という未来が繰り返される危険性があると警鐘を鳴らしています

人事は「後戻りできる施策」と「後戻りできない施策」を区別すべき

曽和氏は、人事が戦略設計を行う際に必要な視点として、“後戻りできる施策”と“後戻りできない施策”を分けることを強調しています。

<後戻りできない例>

  • 大量の新卒採用
  • 人件費の固定化
  • 年功・ポスト固定化につながる制度
  • 一度作ると維持が前提になる組織構造

こうした施策は、影響が10年〜20年単位で残るため、軽々しく踏み込むべきではありません。

<後戻りできる例>

  • 外部委託(業務委託)や外部人材の活用
  • AI・RPA導入
  • 中途採用の調整
  • プロジェクトベースの雇用

これらは状況を見ながら柔軟にやめたり変えたりできます。
曽和氏は、“人を正社員で大量に抱える”ことが、最も後戻りしづらい行為であり、AI時代には特に慎重になる必要があると述べています。

「業務委託化」「外部リソース活用」は戦略的選択に

今後の人材戦略は、正社員中心→正社員(コア)+外部・AI(フレキシブル)構造へとシフトする可能性が高いと見ています。
たとえば、今の段階で将来不要になりそうな領域は、外部委託で回す、コアコンピタンスは内部に蓄積。それ以外は“可変コスト化”する、といった方法です。
これにより、将来リストラをしなくて済む、組織が硬直化しない、成長領域に投資しやすくなる、というメリットが生まれます。

組織の流動性を高める(アップ・オア・アウトの考え方)と、AIとロボットによる“超・筋肉質な組織”への移行

曽和氏は、リクルート時代のように「自立心が強い人材を採用する」「組織全体を“流動性の高い”構造にする」「優秀層は残り、そうでない人は外へ広がっていく」という流動型人材ポートフォリオの有効性を指摘します。これは、「AI時代に必要な“筋肉質組織”へ移行するには、流動性が不可欠」という前提に基づいています。

今後の企業競争は、「生産性」「効率性」「創造性」をいかに低コストで実現するかの勝負になります。かつての「リストラクチャリング」「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」の流れが、AI・ロボットを伴って、さらに強烈な形で再来すると考えられます。

AI・ロボットを導入し筋肉質化した組織は、実験的取り組みに時間を使えるようになり創造性も向上します。逆に、旧来のやり方に固執し人手を前提に業務運営を続ける企業は、生産性の差が何十倍にも広がり、競争に敗れていく可能性があるとしています。
ただし、社会保障制度を考えると、この変化を無制限に進めることには無理があり、「失業率90%」のような世界は反乱・社会不安を引き起こすため、政治的な制御が入ると考えられます。

企業は“採用数減+超厳選採用”へ静かに移行し始めている

一部の先進企業はすでに、採用数を大幅に絞り、その代わり超優秀層には高待遇を提示、組織全体を小さく筋肉質に保つ、という方針に移りつつあります。これが表面化していないのは、まだ水面下で進行しているからです。「大手/中小」という区分より、「未来を見据えている企業かどうか」が分岐点。大手でも時代に対応できない企業は多く、逆にスタートアップでも最初から最適化を図るところは時代に合致しています。特にベンチャーでは、人数を増やさず、10人規模のまま売上だけが伸び、そのまま上場という未来も十分にあり得ると述べています。

人事の仕事そのものも再定義される

これまで人事に求められていたのは、「コミュニケーション活性化」「離職防止」「大量採用・大量育成」といった“人が多い組織”ならではの課題解決でした。
しかし、AI時代の筋肉質な組織では、多くの業務が消滅し、残るのは「絶対に辞めてほしくない少数精鋭」「それ以外は流動性を前提とした人材設計」という世界。
そのため、「多くの人を維持するための人事」から「少数精鋭の戦略人事」へ大きく役割が変わる可能性があります

採用の量は減るが、トップ層採用は“激化”する

AIが普及すると、「普通の仕事をこなす人材→代替される」「トップ層→AIを使いこなし、生産性を10倍にする」という二層構造が生まれます。
そのため、「一般層の採用難→逆に“楽になる”可能性」「トップ層の採用難→さらに激しくなる」という逆転現象が起きると見ています。「外国人労働者を入れる議論」が吹き飛ぶくらい、人手自体が不要になる未来も十分にあり得る、と述べています。

5年以内に大きな変化が“顕在化”する可能性

曽和氏は、劇的変化のタイミングについてこう述べています。「10年後を待たず、5年以内に明確な変化が表面化する可能性が高い」。AIの進化速度は、企業が対応できるスピードを遥かに上回っています。
そのため、多くの企業は“明日の仕事”に追われ、気づいた頃には“10年後の必須構造”に大きく遅れている、という事態が予想されます。

人材ポートフォリオの「動的運用」が必須~未来の事業構造がわからないと、人材計画は立てられない

曽和氏が最も強調していたのは、未来の人材ポートフォリオを“動的”に更新し続けることが必要という点でした。
人材計画は人事だけでは成立しません。
曽和氏は、「これは人事単体の仕事ではなく、事業や経営企画と共同で作るべき領域だ」と強調しています。
「どの事業がAIで置き換わるのか」「次の収益源はどこか」「どのプロセスが機械化されるのか」「新規事業の芽は何か」こうした前提条件が固まらない限り、人事は「何人必要なのか/どんなスキルが要るのか」を判断できません。そのため、曽和氏は、「未来像の議論は、半分SFでもいい。とにかく“仮説を出すこと”が重要」と語っています。

動的人材ポートフォリオの運用方法

曽和氏が理想とする運用手法は次の通りです。

  • 未来(10年後)のポートフォリオを作る
  • AI活用前提
  • 業務プロセスの変化を織り込む
  • 現在のポートフォリオと比較する
  • ギャップを定量化する
  • 採用・配置・育成・退出の計画に落とし込む
  • 四半期〜半年ごとに更新し続ける
  • 未来は変わる前提
  • 計画もアップデートを続ける

この「動かし続ける」という思想が、静的な要員計画と決定的に異なる点です

多くの企業はまだ“明日分の人手”だけ見ている

現状、多くの企業は「来期の売上目標」「必要人数の算出」「新卒・中途の比率調整」「採用活動の実施」という“1年単位の短期視点”で動いています。
しかし曽和氏は「それでは10年後に必ずしわ寄せがくる」と警鐘を鳴らしています。
実際、過去の採用の歪み(バブル期・氷河期)は、今でも企業の人材構造に影響を与え続けています。AI時代の変化はその比ではなく、“より急激で、より広範囲”になる可能性があります

静的な計画では機能しない理由

「事業環境が急激に変わる」「AI導入速度が読めない」「新たな業務や職種が突如生まれる」、逆に、「昨日まで重要だった仕事が突然なくなる」ため、「3年計画」「5年計画」のような静的な設計では対応できません

求められるのは“常時モニタリング”

たとえば、現状の人材構成、未来の理想ポートフォリオ、両者のギャップ、採用・配置・育成・退出の調整結果を半年ごと、あるいは四半期ごとに見直すレベルの“動的運用”が求められるようになります

採用数のコントロールを“機動的”におこなう

未来を見据えると、採用数も次のように調整が必要です。

今年は新卒200人採る計画。しかし下半期の市場状況を見て「やばい」と判断
翌年度新卒を50人に即時変更→同時に中途採用比率も変える

こうしたクイックなハンドリングが今後は必須になります。「採用は一年に一度の儀式」と考える会社は、構造変化に適応できなくなる可能性が高いといえます。

「市場全体の歪み」は人事の危機意識を鈍らせる

合理的に考えると、新卒大量採用は後戻りがしづらく、中途採用で必要な時だけ補うほうが効率的です。
しかし曽和氏は、次の問題を指摘しています。「みんなが中途採用にシフトしたら市場がパンクする」

今でも中途求人倍率は高く、AI時代のスキル要求が上がるため、欲しい層はますます取りにくくなるからです。そのため、各社は独自の戦略で分岐していくはずです。「育成力を武器に新卒重視へ舵を切る会社」「スキル前提で中途ピンポイント採用する会社」「そもそも採用せず“外部人材+AI”」で代替する会社という多様化が生まれると考えられます

現在は多くの企業が「とりあえず採用する」「とりあえず人事に“人数確保”を依頼する」「なぜその人数が必要か明確な根拠がない」という状態になっています。この“思考停止の慣習”が長く続いているため、日本企業の多くは「数年後の採用崩壊が迫っている」という危機をまだ感じていません。「市場全体の歪み」は人事の危機意識を鈍らせます

人事は「明日」と「10年後」を同時に見なければならない

曽和氏が繰り返し強調したのは「人事は“二つの時間軸”を同時に扱う職種である」ということでした。「明日の売上を支えるために採用や配置を行う」「しかしそれに最適化しすぎると、10年後の組織は崩壊する」「一方、10年後だけ見ていると今日の仕事が回らない」このジレンマを乗りこなす必要があります
特に、「新卒大量採用」「配置の固定化」「育成の長期投資」などは“後戻りできない施策”になりやすく、10年単位の影響を生みかねません。

曽和氏は、リクルート的な発想として「アップ・オア・アウト」的な流動性を組織に埋め込むことが機能する場合があると語っています。
「自立心の高い人材を採用」「高い基準に合わせて成長」「マッチしない人は外にポジティブに移動する」「組織は常にフレッシュな状態を維持」という仕組みは、AI時代の変化速度に合致している面があります。

<曽和さんトークおさらい「企業が取り組むべき具体的ステップ」>

  1. 未来の事業の姿を“SFレベルでもいいので”描く
    「10年後、どの仕事がAIに置き換わるか」「どの業務がロボット化されるか」「どこに収益源が残るのか」「どの職種が消え、新たに生まれるのか」これを経営企画・事業・人事が三位一体で議論する。
    曽和氏曰く、「SFと思っていたことが普通に実現しているのが今」だからこそ、“非現実的に見える未来”を前提に考える必要がある。


  2. 未来の人材ポートフォリオを作る
    未来の事業構造を前提に、正社員、外部人材、AI、ロボット、海外リソースを含む、新しい人材ポートフォリオを設計する。これは、従来のような「職種ごとの人数計算」ではなく、“事業を回すための総合リソース構造”を定義する作業。


  3. 現在のポートフォリオと比較し、ギャップを特定
    過剰な領域、不足する領域、AI導入の余地、外部化すべき業務を洗い出す。
    ここではExcel1枚でも十分始められる、と曽和氏は述べています。


  4. ギャップを埋めるための“人材フロー”を設計
    「新卒採用は何人か」「中途採用はどのスキルを取るか」「どの仕事をAI化するか」「どこを外部委託に切り替えるか」「どの程度の離職率を前提にするか」
    こうした要素を「流れるように」設計する。これを動的人材ポートフォリオと呼んでいます。


  5. 四半期〜半年ごとに“アップデートし続ける”
    これは静的な計画ではなく、未来の変化に合わせて更新し続ける“運動体”です。
    曽和氏は「計画とは、作ることより“更新し続ける仕組み”を作ることが重要」と述べています。
  1. 大量採用→AI代替→人件費の重荷
    新卒・中途を例年通り採用してしまい、後からAI導入が追いつくと、「人を減らしたいのに減らせない」「給与総額が利益を圧迫する」という状態に陥る。


  2. 苦しいリストラしか選択肢がなくなる
    「日本は解雇が難しい」「退職勧奨にも時間とコストがかかる」「社内の心理的安全性が低下する」結果として、“悪いリストラ”をせざるを得ない状態が来る、と言います。


  3. 組織は筋肉質化できず、競争力が低下
    AI・ロボットを積極利用して筋肉質化した企業との差が、「生産性」「利益率」「新規事業の余力」「研究開発のスピード」で“何十倍”に開き、多くの日本企業が競争から脱落する未来も想定されます。

まとめ

曽和氏は、2026年を「折り返し地点に入る年」と表現しています。

今までは、売り手市場/採用すれば会社は回る/採用力の強さが競争力/であったが、これからは、AI・ロボットによる構造変化/採用数の最適化/トップ層の超厳選採用/外部化・機械化を含めた柔軟なポートフォリオ/人が“いらない”領域が増える/という、真逆の世界へ向かう可能性が高い。

そして曽和氏はこう締めくくっています。
「未来は誰にも確実には読めない。だからこそ“早めに小さく動き始める企業”だけが、変化に適応できる。」

Profile

人材研究所 曽和 利光 氏

株式会社人材研究所
代表取締役社長
曽和 利光 氏

リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。『人と組織のマネジメントバイアス』『コミュ障のための面接戦略』など、著書多数。

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