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【保存版】採用面接の質問例80選|ミスマッチを防ぐ構造化面接ガイド
公開日:2025.09.30
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採用面接において、どのような質問が効果的なのかを特定しあぐねている面接官の方は多いのではないでしょうか。また、面接時の質問の選択肢を増やしたいとお考えの方も多いと思います。
従業員数が30名から100名規模の企業では、現場のマネージャーや部門長が面接を担当し、十分な面接経験や質問作成の知識がないまま対応しているケースも珍しくありません。その結果、質問内容にばらつきが生じ、採用の判断基準が曖昧になることがあります。
この記事では、すぐに活用できる採用の判断基準を明確にするための80の質問例と評価シートのサンプルをご紹介します。人材を見極める精度を高め、採用におけるミスマッチを防ぐための第一歩として、ぜひお役立てください。
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採用面接でミスマッチが起きてしまう3つの原因
なぜ採用面接がうまくいかないのか、その根本原因から掘り下げてみましょう。
「選考は順調に進んだのに、入社後に活躍しない」「良い候補者ほど辞退してしまう」といったギャップが生じるのは、面接の運用に構造的な問題が潜んでいるのかもしれません。
ここでは、その主な要因を3つに整理してご説明します。
1.質問の属人化
部署ごとに面接官が変わるケースにおいては、「話を深く掘り下げる人」や「雑談で終始する人」など、面接官の傾向が大きく異なることがあります。質問が統一されていないと、候補者同士を比較するのが難しくなり、データに基づいた評価ができません。
その結果、優秀な人材を不採用にしてしまったり、あるいは企業の文化に合わない人材を採用してしまったりといった、望まない結果につながることがあります。
2.評価軸の曖昧さ
共通の質問や評価シートといったツールが整備されておらず、面接官の主観に頼ってしまうケースは少なくありません。
「雰囲気が良かった」「すぐに活躍してくれそうだ」といった定性的で主観的な評価が中心になると、採用後にその人材がどれだけ活躍するかを正確に予測することは難しくなってしまいます。
3.応募者体験(CX)の低下
面接官ごとに話している内容にばらつきがあったりすると、応募者は「この会社は社内連携が取れていないな」という印象を受けやすくなります。
こうしたネガティブな印象は、口コミやSNSを通じて広がりやすく、結果として採用広報にかかるコストを押し上げる悪循環につながる可能性があります。
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採用ミスマッチを減らす解決策
面接ごとの質問や評価基準を統一することで、採用のミスマッチは大幅に減らせます。その鍵となるのが、構造化面接と共通フォーマットの導入です。
構造化面接|質問と評価を標準化してバイアスを防ぐ
構造化面接とは、あらかじめ決めた質問と評価基準に沿って面接を進め、面接官によるばらつきや主観的な偏り(バイアス)を抑えるための手法です。
主なポイントは次の3つです。
- 質問を事前に固定する:すべての応募者に同じ質問をすることで、回答を横並びで比較しやすくなります。
- 評価項目と採点基準を数値化する:スキルや行動特性、価値観などを5段階評価などに落とし込み、合否を客観的に判断できるようにします。
- 面接官で合議する:面接官同士で採点結果を共有し議論することで、個人の主観的な判断を打ち消します。
国内外の研究によれば、構造化面接は非構造化面接(その場の流れで自由に質問する面接)に比べて、職務への適性を1.5倍から2倍の精度で予測できることが示されています。
このように、質問と評価の方法をそろえるだけで、面接の精度は大きく向上します。導入に大きなコストはかからないにもかかわらず、得られる成果は非常に大きいです。
共通フォーマット|評価軸を揃えて精度アップ
質問をそろえるだけでは、面接官ごとの判断基準がばらつきがちです。そこで、共通フォーマット(評価シート)を用意し、次の5つの項目を横並びで評価する仕組みを整えることで、効果を最大化できます。
- スキル適合度:職務に必要な専門性や経験がどの程度あるか
- 行動特性:主体性、協調性、粘り強さなど、行動の傾向
- キャリア志向:中長期的な目標と自社の方向性の一致度
- 価値観・カルチャーフィット:企業理念や文化との親和性
- ポテンシャル:学習意欲や変化への対応力
運用ポイントとしては、5段階評価にコメント欄をセットで設計し、定量的・定性的な両方の情報を残すことが重要です。また、クラウドサービスで共有し、リアルタイムでの合議や履歴管理を行うとよいでしょう。
合否判定フローを明確にし、基準点に満たない場合の追加面談や保留のステップを明記しておくと、よりスムーズな運用が可能です。このフォーマットを導入することで、面接の精度と業務効率を同時に高めることができるため、導入効果は大きいと考えられます。
採用面接における評価軸別の質問例80選
評価軸別に質問例をご紹介します。自社の評価シートに合わせてご活用ください。
スキル適合度を確認する質問
職務に必要な専門性や経験がどの程度あるかを確認する質問群です。
No | 質問 | 評価ポイント |
---|---|---|
1 | これまでのキャリアで最大の成果と数値を教えてください | 成果/再現性 |
2 | 直近3年間で携わった案件数と平均受注(成果)規模を教えてください | リソース管理 |
3 | 月次売上(またはKPI)を改善した経験を教えてください | 数値根拠 |
4 | マネジメント経験がある場合、最大人数は何名でしたか | PM/育成スキル |
5 | 最も得意と感じる業界や職種領域はどこですか | 専門性の深さ |
6 | 現職の評価制度と、ご自身の評価ランクを教えてください | 実績信頼度 |
7 | 当社の職務説明を踏まえ、ご自身の強みが最も生きる業務は何ですか | 強み理解 |
8 | データを分析して意思決定した経験を教えてください | 論理的裏付け |
9 | プレゼンや資料作成で意識しているポイントは何ですか | プレゼンスキル |
10 | 新人育成/OJTを担当した経験と成果を教えてください | 育成実績 |
11 | 業務効率化を図った際、どの程度の時間削減ができましたか | 効果測定 |
12 | 当社の競合との差別化ポイントをどう捉えていますか | 市場視点 |
行動特性を確認する質問
主体性、協調性、粘り強さなど、行動の傾向を確認する質問群です。
No | 質問 | 評価ポイント |
---|---|---|
13 | 弊社までの道のりはいかがでしたか | 自然な会話力・簡潔さ |
14 | 今朝の通勤中に考えていたことを教えてください | 話の構造化・論理性 |
15 | (オンライン面接の場合)通信環境に問題はありませんか | 丁寧な対応姿勢 |
16 | 最も苦労したプロジェクトと工夫した点を教えてください | 問題分析・改善策 |
17 | 直近の上司からよく指摘された改善ポイントは何ですか | 学習意欲・客観性 |
18 | チームで達成した目標の中で、ご自身の役割は何でしたか | 役割認識・協働性 |
19 | 挑戦して失敗した経験を一つ教えてください | 教訓抽出力 |
20 | 業務改善のために提案し、採用されたアイデアは何ですか | 影響範囲 |
21 | 最近の勤務形態(出社/リモート比率)と成果への影響を教えてください | 自律性 |
22 | 苦手業務を任された場合、最初の24時間で何をしますか | 優先度設定 |
23 | 複数タスクが同時に発生した際、どのように優先順位を付けますか | タイムマネジメント |
24 | 顧客トラブル初動で重視するポイントは何ですか | 顧客志向 |
25 | 意思決定に迷った際、どのように情報収集しますか | 根拠思考 |
26 | 同僚と意見が対立したときの対処法を具体例で教えてください | 合意形成 |
27 | KPI達成が難しい局面でモチベーションを維持した方法は何ですか | 粘り強さ |
28 | ミスが起きたときのリカバリー手順を例示してください | 手順化 |
29 | 成果を最大化するために捨てた(やらないと決めた)仕事は何ですか | 取捨選択力 |
30 | チームの心理的安全性を高めたエピソードを教えてください | 関係構築力 |
31 | 最もストレスを感じた仕事と対処法を教えてください | 回復方法 |
32 | 多様なバックグラウンドのメンバーと協働した経験はありますか | 包括性 |
33 | ビジョンに共感できないとき、どう行動しますか | 調整力 |
34 | 理想のはたらき方が実現しない場合、どう調整しますか | 交渉力 |
35 | 本日の面接で解消されていない疑問はありますか | 質問内容の質 |
36 | 当社を判断する上で追加情報が必要な項目はありますか | 合理性 |
37 | 最後にアピールしたいことや補足があれば教えてください | 主体性 |
キャリア志向を確認する質問
中長期的な目標と自社の方向性の一致度を確認する質問群です。
No | 質問 | 評価ポイント |
---|---|---|
38 | 退職(転職)を決意した主な理由を教えてください | ロジック・誠実さ |
39 | 在籍期間が短い職歴について説明してください | 説明責任 |
40 | 入社後30・60・90日で達成したい目標を具体的に教えてください | 実行計画 |
41 | 挑戦より安定を選ぶ局面があるとしたら、どのような状況ですか | 判断基準 |
42 | 評価制度に対する理想と現実のギャップは何ですか | 期待値調整 |
43 | 5年後、どのようなプロとして評価されたいですか | キャリア設計力 |
44 | その実現に当社がどう貢献できると考えますか | 目標連動性 |
45 | キャリアで最も重視する指標は何ですか | 価値観合致 |
46 | 将来的にマネジメントと専門職どちらを重視しますか | 一貫性 |
47 | 海外勤務や長期出張に対するスタンスは何ですか | 柔軟性 |
48 | 30歳(40歳)時点で達成したいライフプランは何ですか | 長期計画性 |
49 | 副業や社外活動への考えを教えてください | バランス感覚 |
50 | 入社後1年で貢献できる成果を教えてください | 実行計画 |
51 | 当社の今後の展望で気になる点はありますか | 調査深度 |
52 | 入社前に確認しておきたい条件や体制はありますか | 誠実さ |
53 | 月20時間程度の残業が想定されますが問題ありませんか | ワークロード許容 |
54 | 休日出勤が発生した場合、どのように対応しますか | 対応可能性 |
55 | 早朝や深夜業務が必要なフェーズがありますが許容できますか | 体調管理意識 |
56 | 転勤の可能性についてどう捉えていますか | 家庭状況配慮 |
57 | リモート勤務比率が変更された場合、どのように対応しますか | 適応力 |
58 | 副業や兼業の有無と今後の予定を教えてください | スケジュール管理 |
59 | 転職活動を終了する期限や条件はありますか | 誠実さ |
60 | 健康上の配慮が必要な点があれば差し支えない範囲で教えてください | 共有姿勢 |
61 | 当社からの内定承諾に必要な検討期間はどれくらいですか | スケジュール感 |
62 | 入社可能時期を最短・最長で教えてください | 調整余地 |
価値観・カルチャーフィットを確認する質問
企業理念や文化との親和性を図る質問群です。
No | 質問 | 評価ポイント |
---|---|---|
63 | 今週、仕事以外でうれしかった出来事はありますか | 共感力・感情表現 |
64 | 理想の上司像を3つ挙げてください | 相性予測 |
65 | はたらく上で絶対に譲れない価値観は何ですか | 価値観一致度 |
66 | 最もワクワクした仕事と理由を教えてください | 熱量の源泉 |
67 | チームで成果を出すために大切なことは何ですか | 協働マインド |
68 | 仕事とプライベートのバランスをどう考えていますか | ライフバランス |
69 | 「合わない」と感じた企業文化の例を挙げてください | 自己分析力 |
70 | 当社のコアバリューに共感した点と懸念点を教えてください | 批判的思考 |
71 | リーダーとして発揮したい価値観は何ですか | 方向性 |
72 | ご自身の行動原則を3語で示してください | 自己認知 |
73 | キャリアの節目で影響を与えた人物・出来事は何ですか | 内省力 |
ポテンシャルを確認する質問
学習意欲や変化への対応力を確認する質問群です。
No | 質問 | 評価ポイント |
---|---|---|
74 | 最近読んだ業界ニュースで印象に残ったものは何ですか | 要約力・関心領域 |
75 | 好きなアプリを一つ挙げてください。その理由もお願いします | 説明力・デジタル親和性 |
76 | この1年間で学習したスキルや資格、その成果を教えてください | 成長速度 |
77 | 新しいツール導入時、どのようにキャッチアップしますか | 自走度 |
78 | 最近学んだ最新技術やトレンドを一つ紹介してください | アップデート習慣 |
79 | 今後不足すると感じる経験やスキルは何ですか | 自己課題認識 |
80 | 当社が提供できる学習機会として期待するものは何ですか | ギャップ充足 |
採用面接の流れとフェーズ別質問例
構造化面接をより効果的に運用するためには、評価軸だけでなく、面接の進行ステップごとに質問を整理する視点も重要です。
ここでは、導入からクロージングまでの流れを8つのフェーズに分け、それぞれに適した質問例と確認できる評価ポイントを紹介します。
アイスブレイク時の質問
緊張を和らげ、自然な会話を引き出すことが目的です。コミュニケーションの柔らかさや第一印象を意識しましょう。
【例】
「本日はご来社いただきありがとうございます。ここまでどのくらい時間かかりましたか?」
「最近すごく暑いですね…何か暑さ対策されていますか?」
自己紹介を求める質問
応募者の自己理解や表現力を確認するフェーズです。要点を押さえて簡潔に伝える力や、論理的な話の構成も見極めましょう。
【例】
「まずは自己紹介をお願いします。これまでのご経験や強みを含めて簡単にお話しください。」
「キャリアの中で最も成長を感じた経験を教えてください。」
履歴書や職務経歴書の内容を聞く質問
職務経験の具体性や成果の再現性を確認するフェーズです。数値や事実をもとに話せるかどうかが評価ポイントです。
【例】
「直近のお仕事で、担当していた業務内容や成果について教えてください。」
「職務経歴書に記載されたプロジェクトの中で、特に印象深かったものはありますか。」
志望動機を確認する質問
応募理由や企業理解度を探る場面です。応募の本気度や、調査の深さ、企業理念との親和性も見極めましょう。
【例】
「当社を志望された理由をお聞かせください。」
「他社と比較して、当社に魅力を感じた点はどこですか。」
仕事観を見極める質問
はたらき方や価値観に関する考え方を引き出すフェーズです。動機や姿勢、判断基準を確認し、企業風土との相性を探ります。
【例】
「仕事において、最も大切にしていることは何ですか。」
「どんなときに仕事のやりがいを感じますか。」
職務適性や人間性を見極める質問
行動特性やチームワーク、問題対応力など、実務に直結する能力を確認します。再現性や協調性の有無を意識して聞きましょう。
【例】
「これまでに直面した困難と、それをどう乗り越えたかを教えてください。」
「チームで目標を達成した経験と、ご自身の役割を教えてください。」
今後のキャリアプランを確認する質問
中長期的な目標や会社との成長ビジョンの一致度を確認します。本人の方向性と自社でのキャリアパスのすり合わせを行う場面です。
【例】
「5年後、どのような姿で活躍していたいとお考えですか。」
「将来的にマネジメントや専門職、どちらのキャリアを希望されますか。」
求職者からの逆質問
応募者の志望度や企業理解の深さを測る場面です。事前調査の質や、質問の切り口から価値観・関心軸を見極めましょう。
【例】
「当社について、気になっている点や事前に確認しておきたいことはありますか。」
「実際にはたらく上での不安や疑問点があれば、お聞かせください。」
採用面接における5つのアクション
採用面接当日は、応募者との対話だけでなく、質問の選定や評価の記録、面接官同士の合意形成など、多くの判断と対応が求められます。
ここでは、採用ミスマッチを防ぐために重要な5つのアクションをご紹介します。
1.採用面接の質問を80問リストから20〜30問に絞る
事前に用意した80問の質問リストから、募集ポジションの必須要件や企業のカルチャーに適した20〜30問を選定します。
質問内容が重複しないように注意し、「1つの質問で1つの評価ポイントが得られる」構成を意識しましょう。評価したい観点(例:職務遂行能力・行動特性・価値観)を明確にし、バランスよく質問を組み立てることが重要です。
2.採用面接を実施する
面接では、応募者の経験や行動を深掘りし、定量・定性の両面から情報を引き出す必要があります。そこで有効なのが、STARフレームワーク(状況・課題・行動・結果)とコンピテンシー評価(再現性のある行動特性)の組み合わせです。
【質問の深掘り例】
「大きな壁をどう乗り越えましたか。」という質問に対し、以下のように展開します。
- S(Situation/状況):「それはどのような状況でしたか。」
- T(Task/課題):「その中で、あなたに求められた課題は何でしたか。」
- A(Action/行動):「具体的にどのような行動を取りましたか。」
- R(Result/結果):「その行動によって、どのような結果につながりましたか。」
このように時系列で聞き取ることで、応募者の行動や考え方、その成果を客観的に評価できます。さらに評価をする際には、あらかじめ自社の成果を出している社員がどういった行動特性を持っているかを分析した上で定めた評価基準を作成し、それを基に評価を行うコンピテンシー評価を行うと効果的です。
3.採用面接の結果を面接中に記入する
面接中には、以下の評価項目に沿って5段階で仮点をメモしておきましょう。終了後5分以内に清書し、評価コメントも必ず記入します。これは合議の場で、点数のズレの背景を明らかにし、意思決定をスムーズに進めるために重要です。
評価項目 | 5段階評価の目安 | ||
---|---|---|---|
(低)1~2 | (平均)3 | (高)4~5 | |
スキル適合度 | 経験不足 | 一部一致 | 即戦力 |
行動特性 | 再現性不明 | 平均的 | 自走・成果再現 |
キャリア志向 | 短期のみ | 中期像 | 長期具体 |
価値観フィット | 大きなズレ | 許容範囲 | 完全共感 |
ポテンシャル | 受け身 | 平均 | 主体的に学習 |
評価コメントの記入を義務化し、「なぜこの点数にしたのか」を可視化することで、面接官間の基準のズレを減らせます。
4.結果について10分程度話し合う
面接終了後は、面接官が記入した評価シートをもとに、点差が2点以上開いた項目を中心に10分程度ディスカッションを行いましょう。
合意形成ができたら、最終点数は平均で確定し、その理由をコメントとして記録しておくと、将来の振り返りや改善に活かせます。
5.合否を決定するとともに合格ラインを統一する
最後に、合格基準を明文化し、面接官全員で共有します。
例えば、以下のような基準を設けると、判断に一貫性が生まれます。
- 総合点数が18点以上
- 「行動特性」「価値観フィット」の項目がそれぞれ4点以上
不足項目がある場合は、追加面談や追跡質問で補完し、そのやり取りの履歴をATS(応募者管理システム)や人材データベースに登録しましょう。
また、不合格者に関しても「落選理由」を具体的に記録しておくことで、次回の求人票や質問設計の改善に活かせます。
採用面接における90分でできる面接官トレーニング
短時間でも実施可能なトレーニングを通じて、面接官の質を高めることができます。
ステップ | 時間 | 内容 |
---|---|---|
1.レクチャー | 15分 | 構造化面接の目的と、5段階評価基準を確認します。 |
2.ロールプレイング | 45分 | 3名1組で面接官・応募者・観察者の役割を交代して実践します。 |
3.評価のすり合わせ | 20分 | 壁に貼り出した採点表で、点差が3点以上ある項目について議論します。 |
4.アクション設定 | 10分 | 各自が「改善する質問」を宣言し、1ヶ月後に再ロールプレイングを実施します。 |
面接官の質を高めることで、適切な評価が可能になり、属人化の防止にもつながります。
採用面接に関するよくある質問
以下では、採用面接の現場でよく寄せられる疑問と回答をまとめました。
Q1.質問と評価項目が対応しているのか分かりません。
質問リストと評価シートを別で管理していることが混乱の原因です。質問リストの中に「評価項目」列を追加し、〈スキル適合度〉〈行動特性〉などのタグを付けて色分けしておくと、一目で対応関係が分かります。
Q2.質問の順番や流れは自由でいいのでしょうか。
流れが面接官任せになっていると、評価の抜け漏れが起きやすくなります。「導入→評価項目別質問→クロージング」の3部構成に整理しておくのが理想です。例えば、「はじめに職歴の確認」「中盤で行動特性・価値観」「最後にキャリア志向・逆質問」などの質問順テンプレートを用意しましょう。
Q3.面接官によって面接時間がばらばらです。時間配分の目安はありますか。
質問ごとの配分が決まっていないと、雑談が長くなり、肝心の評価につながらないことがあります。あらかじめ「前半15分:質問→後半10分:逆質問+補足確認」などと枠を決めておくと、面接官によるばらつきを防げます。評価に必要な質問には、最低15分を確保しましょう。
Q4.面接官ごとに得点が違いすぎます。
基準の解釈にズレがあるケースがほとんどです。面接前に5分間の採点リハーサルを実施し、模擬回答を2〜3つ読み上げて点数をつけ、即座に比較することで、評価基準をすり合わせましょう。
Q5.コメント欄が空欄で合議が進みません。
記入時間を確保していないことが主な原因です。合議前に「コメント記入は必須」と明言し、面接終了後に3分間の記入タイムを設けましょう。「理由コメントがない点数は無効」とルール化することで、記入の徹底につながります。
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採用面接の質問を標準化し、採用のミスマッチをなくそう
採用面接でのミスマッチは、面接官ごとの質問のばらつきや評価の主観性に起因することが少なくありません。しかし、質問と評価の設計を少し見直すだけで、こうした課題は大きく改善できます。
本記事では、構造化面接の基本から、評価軸に沿った質問例80選、面接官の育成手順まで、実務に役立つノウハウをご紹介しました。特に、以下の3点がポイントです。
- 質問を標準化し、評価ポイントを明示すること
- 共通フォーマットを用いて、定量・定性的な評価を残すこと
- 面接官間で評価基準と合格ラインを共有すること
この3つを押さえれば、「誰が面接しても同じ判断に近づく」状態をつくることができます。
採用活動は、組織の未来を左右する重要なプロセスです。「なんとなくの面接」から脱却し、質問と評価をそろえることで、より納得感のある選考が可能になります。
まずは、既存の質問表に評価項目の列を追加することから始めてみてください。小さな一歩が、大きな成果につながります。
人材に関するお困りごとはお気軽にご相談ください
監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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