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【セミナーレポート】
自律型人材を育てるアジャイル組織の要諦
ー 成長企業 ゆめみが実現する“人と組織” ー
公開日:2025.05.28
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株式会社ゆめみ 代表取締役
片岡 俊行 氏
不確実性が高い外部環境において、組織が機動的に適用するためにはどうすべきなのでしょうか。多くの企業が抱える課題に対し、株式会社ゆめみは2018年からアジャイル組織、自律型組織の実践を行い、現在は約400名規模の日本でも最大規模となるティール組織を実現しています。本講演では同社代表取締役 片岡氏が、多くの企業で導入可能な実践的な方法や、組織の機動力を上げるポイントについて事例を交えながらお伝えしました。
社員が自主的に判断を行うには情報の透明性が不可欠
自律型人材を育成するにあたり、大きなカギとなるのは「徹底的な透明性」と「役割の流動性」の2つです。「徹底的な透明性」に関しては、まず社員が自主的に情報を判断する環境の整備が必要です。インターネット技術が発展した現代において、管理職を介さずに直接社員に情報を届けることが不可欠といえます。また、情報のドキュメント化を徹底することで、組織内の情報提供を統一でき、より効率的なコミュニケーションを図ることが可能です。情報のドキュメント化やコミュニケーションは新入社員のオンボーディングプロセスにおいて必要な情報を提供する貴重なツールであるうえ、企業カルチャーを共有するための重要な役割を果たします。
ゆめみにおいても、透明性の向上を図るため、社内情報をオープンハンドブックとしてインターネット上に公開しています。ハンドブックの作成にあたっては、個人を起点にして情報量を増やしていくこと、また正式な情報を確定させるフローの整備が肝心です。当社が実施しているように、レビュープロセスによりハンドブックの情報の信頼性を確保するのも選択肢の一つです。
役割定義を行なったうえで、役割を流動的に変更できる環境が理想
これまでの組織設計では役職に役割を紐付ける「役職主導」が一般的でした。責任者の所在が明確化できることがメリットである一方、意思決定が特定に依存することがデメリットでした。この課題を解決できるのが、役割を明確に定義し、複数の人を紐づける「役割主導」という組織設計です。これはPM(プロジェクト管理)、PF(売上利益予算管理)、PS(業務標準化・ルール決め)、PP(人事考課・目標設定・面談)といった具合に役割を明確にし、複数の人を紐づける方法です。この役割主導をさらに発展させたのが「マトリクス型組織」で、プロジェクトオーナーがプロジェクト管理と売上利益予算管理を、エンジニアリングマネージャーが業務標準化や人事考課を担います。さらに細分化したのが「ホラクラシー型組織」となります。当社ではマネジメントを分散しており、人材、教育、技術といった職能単位のグループを構築し“委員会方式”と称しています。これは学校の委員会運営に近しく、委員会業務に全員が貢献するという全員経営が前提となっているのが特徴です。この委員会方式は当社だけでなく、大企業においても採用することができる方法です。
まとめ
情報の透明性を図るにあたっては、組織全体の一貫性を確保し、混乱や誤解を招かないことが大切です。そのため情報のコピーを防ぎ、常にマスターデータを参照することが不可欠となります。さらに状況や部門によって情報が異なることがないよう留意することも求められます。また、役割の流動性を見据え、委員会方式を全社に浸透させるには、全員参画可能なスコープを網羅することが重要です。加えて、組織ごとの委員会活動について、知見や成果、課題共有を行いながら競争と協調を促すことが必要となります。
Profile

株式会社ゆめみ 代表取締役/Co-founder
片岡 俊行 氏
1976年生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中の2000年1月、株式会社ゆめみ設立・代表取締役就任。在学中に100万人規模のコミュニティサービスを立ち上げ、その後も1,000万人規模のモバイルコミュニティ・モバイルECサービスを成功させる。また、大手企業向けのデジタルマーケティングの立ち上げ支援を行い、共創型で関わったインターネットサービスの規模は6,000万人規模を誇り、スマートデバイスを活用したデジタル変革(DX)支援を行うリーディングカンパニーとしてゆめみグループを成長させた。
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