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(情報掲載日:2017年5月10日)

いまを勝ち抜く人間力

プラグマティズムについて知ろう

VOL.64


グローバル化や多様化が進む現在の社会において、自分の価値観や既存の価値観を絶対とはせずに修正を加えながら前進を目指す姿勢は大切です。このような柔軟性のある開放的な考え方を「プラグマティズム」と言います。変化する社会に生きるからこそ「過去のものが本当に今も正しいのだろうか」と立ち止まってみましょう、という考え方です。組織やコミュニティの中で、仕事の進め方や生き方において参考になるプラグマティズムについてご紹介します。

プラグマティズムとは何か

●プラグマティズムの語源と歴史背景

「プラグマティズム」とは、ギリシア語で「行動」や「実践」を意味する「プラグマ」に由来して生まれた言葉で、物事の真理を「理論や信念からはなく、行動の結果によって判断しよう」という思想です。日本語では、「実用主義」「実際主義」「行為主義」などと訳されています。

プラグマティズムが誕生したのは1870年代のアメリカで、その背景には、南北戦争やダーウィンの進化論があります。南北戦争では、奴隷制に賛成する南部と反対する北部の争いがあり、ダーウィンの進化論を巡っては、神が天地創造したと考える人と科学的な解釈をする人との間での論争がみられ、対立が深まった時代でした。このような異なる理論や信念による対立からの前進を目指して、プラグマティズムは生まれました。

アメリカは、もともと移民が多く歴史の浅い多民族国家で、土地に根ざした共通する価値観が強くありません。そんな特色により、お互いが共存していくためにも重要な思想としてプラグマティズムは発展していきました。


●簡単なポイント解説

プラグマティズムを唱えた代表的な哲学者は、次の3人です。活躍した順にそれぞれの考えに注目すると、この思想がより理解しやすくなります。

まずは、創始者、提唱者として位置づけられるチャールズ・サンダース・パースです。彼は、頭の中だけで考えた理論や信念を対立させている状態は無意味であり争いが終わることはないため、「行為やその結果に基づいて判断」するべきだと考えました。

パースの考えを発展させた継承者が、ウィリアム・ジェームスです。彼は、パースの言う「行為やその結果に基づいて判断」する際に、「実際に役立つか、意味があるのかどうか」という視点を持って判断すべきだと考えました。

プラグマティズムの適用範囲を広げ、世に知らしめた人物が、ジョン・デューイです。教育、芸術、心理、民主主義など、社会の中で思想を活用する場を拡大させました。彼は、大事なことは、探求や実践といった行動を重んじつつ、「行動によってその都度検証して修正を加えながら判断して進む姿勢」だと考えました。つまり、判断基準というのは、常に絶対的な一つがあるわけではなく、行動の結果次第で変化していくというのです。科学や道徳などに関する知識や概念は、問題を解決するため、よりよく生きるための手段や道具だと位置づけました。


注目されている理由

●時代に即している考え方

今の時代の傾向にプラグマティズムはマッチしているといえるでしょう。
たとえば、グローバル化や多様化が進む社会環境の中では、国や民族による文化や慣習がさまざまにみられます。その中で一つだけに絶対的な価値観があるわけではありませんし、一つに絞って全員が従うことには無理があるでしょう。自分の価値観を主張するのではなく、それぞれの価値観がバランスよく共存できるような行動が重要視されています。

地球全体の環境保全に関してもプラグマティズムは有効です。人間の生活環境を中心に置いた視点による開発というこれまでの行動の結果が、自然保護の必要に迫られる状況を生んだといえます。動植物の生活環境の視点も取り入れて、豊かな環境の継続を目指した行動や取り組みが各国で盛んです。

ほかにも、メンタルケアの領域では、「ナンバーワンよりオンリーワン」という言葉に代表されるような、一つの信念や既存の選択肢に偏らない柔軟な療法が取り入れられています。教育の領域では、教科書に書かれた考え方だけに頼らずに実践的で、実際の問題や現象から考えるケース学習や自主性を重んじたアクティブラーニングが実施されています。これらは、プラグマティズムの考え方が取り入れられて機能しています。


●時代に流されない考え方

プラグマティズムは、技術革新や変化が激しい今の時代に流されてしまわないためにも適した考えだといえます。
たとえば、ビッグデータによる情報分析技術が進化していますが、机上シミュレーションだけで適正な判断ができるとは言い切れません。ビッグデータでは認識されにくいような、感覚的なニュアンスや例外と判断し無視してしまうような事象にも着目し、よく考えたうえで行動する視点は大切です。

プラグマティズムが重視しているのは、自分自身の体を直接使うという「直接的」行動ですが、技術革新によってデジタル機器を通じた「間接的」行動が多くなってきた現代の行動スタイルに対して、この考えは注意を促してくれます。 たとえば、VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)は、画像を通じた「間接的」行動です。簡単に素晴らしい行動体験が得られますが、匂いや味や温度や手触りなどは「直接的」行動で得られるレベルには至っていません。自分の体を実際に直接使うリアルな行動だからこそ、得られる気づきや刺激があることは心に留めておきたい点です。

時代の流れの中で、新しいもの、進んだもの、便利なものを信頼して活用するのは決して悪いことではありませんが、それだけを絶対視すると、いつのまにか考え方に偏りが生じてしまったり、行動が減って感覚を磨く機会を手放しかねません。いつの時代にも、自分の身体を使って実際に行動して五感で確認し判断することは有効です。スタンダードな型や仕組みや常識さえもスピーディーに変動する今の時代において、プラグマティズムの重要性は増していると考えられます。

職場での実践方法

●よりよい仕事のための実践

プラグマティズムを仕事への取り組み方に活かすためのポイントは、以下のようになります。どのポイントにも共通しているのは、決断や実行をする際に、一定の考えや思い込みに囚われないようにすることです。

プラグマティズムを仕事への取り組み方に活かすためのポイント


●よりよいコミュニケーションのための実践

プラグマティズムをコミュニケーションに活かすためのポイントは、以下のようになります。常に相手を尊重するという姿勢を持ちながら接することの大切さが、それぞれのポイントの根底にあります。


プラグマティズムをコミュニケーションに活かすためのポイント

先人の教えや長年使われてきたルールには重みがあるため、私たちはそれに従いがちになりますが、「今もうまく機能するだろうか」「現状で実施しても問題はないだろうか」「他のやり方はないだろうか」と柔軟に考えて行動してみるプラグマティズムの視点は大切です。そのように考えて行動に移してみると、頭の中で想定していたこととの違いを発見できたり、新たな方法に気付けるため、これまでの教えやルールの改善にもつながります。ひいては、社会における前進や、仕事の進め方や生き方として自己成長にも結びつくといえるでしょう。

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