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経理が人手不足になる原因とは?人手不足の影響や解決策、人材派遣のメリットを解説

公開日:2025.02.14

人事ナレッジ

経理の人手不足で業務が回らないことは、多くの企業が抱える課題です。経理の人手不足が起きる背景として、以下のような理由が挙げられます。

  • 簿記の習得など、専門性の高い知識が必要で対応できる人がいない
  • 企業は営業やマーケティングといった売上に直結する部門への人材配置を優先し、経理の人手不足の解決を後回しにしてしまう

経理は企業の財務状況を把握し、適切な経営判断を下すために欠かせない業務です。経理の人手が不足すると資金繰りの悪化や経営判断ができない状況に陥る可能性もあるため、早急な対処が必要です。

本記事では、経理が人手不足になってしまう背景と企業にもたらす影響、その解決方法について詳しく解説します。

経理の人手不足の背景

経理における人手不足の原因としては、労働人口の減少や業務の複雑化など、さまざまな理由が考えられます。ここでは、経理が人手不足に陥る背景を3つ解説します。

労働人口の減少

経理の人手不足の1つ目の要因は、労働人口の減少です。総務省統計局のデータでは、2013年から2024年にかけて総人口が減少し、今後も減っていくという予測が示されています。

※引用:総務省統計局|「人口推計(2024年6月確定値、2024年11月概算値)」

また、内閣府が出したデータによると、令和4年10月1日時点の日本の総人口は1億2,495万人です。65歳以上人口は3,624万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)が30%近くを占めています。

これらのデータから、少子高齢化が進む日本では将来的に労働人口が減少し、経理の人手不足が深刻化していくと考えられます。

※参考:内閣府|「令和5年版高齢社会白書」

間接部門のため採用が後回しになりやすい

企業によっては、間接部門である経理に対して、人材の募集に消極的な場合もあります。

企業全体で人手不足に直面している場合、売上に貢献する営業やマーケティングといった直接部門の人材募集が優先され、経理の採用が後回しにされることが原因であることが多いです。

経理人材を採用することが難しい

経理に求められるスキルや対応力を持つ人材を採用する難易度が高く、人手不足の1つの要因となっています。

経理は簿記や会計の知識、税制に関する知識、法令に関する知識、労働基準法に関する知識が求められる専門性の高い部門です。会社規模によってはグループ会社の関係性までを考慮して経理業務を行うためのより高度なスキルが求められます。

さらに、会計法や税法の複雑化といった環境変化が定期的に起こるため、知識を更新し続けなければいけません。例えば、2022年には電子帳簿保存法の改正、2023年にはインボイス制度の新設があり、あらたなルールに適応した帳簿や請求書の管理が求められます。

また、日々の業務に追われるあまり、人材を採用しても教育する時間が取れない企業もあるかもしれません。これらのように経理の採用や育成活動が滞ることが、人手不足が解消されない背景となっています。

経理の人手不足がもたらす影響

経理が人手不足に陥ると、企業の経営にさまざまな問題や課題が発生します。ここでは、経理の人手不足がもたらす影響を4つご紹介します。

労働環境の悪化

経理の人手不足が慢性化すると、限られた社員で膨大な量の業務を対応し続けるため、労働環境の悪化を招きます。社員1人あたりの負担が増加し、長時間労働が常態化することで、疲労やストレスが蓄積されます。

加えて、残業や休憩が取れないと、健康への影響やモチベーションの低下を招きかねません。企業への帰属意識が薄れてしまい、経理人材が退職するリスクもあります。

誤った処理や不正行為のリスクが高まる

経理の人手不足が深刻化し、業務負荷が重くなると、経理上のミスが発生するリスクが高まります。経理業務でミスが起こり、大きなトラブルに発展すると、税務調査で厳しい指導が入る可能性もあります。

例えば、税金の申告漏れが発生した場合、多額の追徴金を支払う必要があり、企業の社会的信頼が落ちてしまうケースもあるでしょう。また、顧客データの漏えい・流出が起こると、多額の損害賠償を求められ、企業の存続にも大きな影響を与えます。

加えて、経理の人手不足は担当者による不正行為の発生リスクも高めます。業務が多忙な中で起きたミスを隠ぺいする、またはミスに気付かず処理をして無意識のうちに脱税をしてしまうなど、不正の原因にもなり得ます。

人材育成や研修の機会が失われる

あたらしい人材を採用しても、育成の時間が十分に取れないことも、人手不足による影響です。

経理の人手不足が続くと、業務が属人化するリスクがあります。急な長期休暇や退職で経理担当者が不在になった場合には、引継ぎが難しくなることもあるでしょう。マニュアルなどが整備されていない状態で経理担当者が退職すると、人材育成や研修を行うことが難しくなります。

企業パフォーマンスの低下

経理の人手不足が続くと労働環境の悪化を招き、企業全体のパフォーマンス低下につながります。例えば、月次決算など会社の業績にかかわる資料の作成が遅れてしまい、経営判断ができなくなるおそれがあります。また、場合によっては他部署の人材が経営業務を手伝うことになり、コア業務に時間を費やせなくなる可能性もあるでしょう。

経理の人手不足の解決方法

経理の人手不足を解決するためには、あらたな人材を募集・採用する以外にもいくつかの方法があります。ここでは、業務フローの見直しやツールの導入など、人手不足の解決方法を5つご紹介します。

経理人材を育成する

経理の人材が不足しているのであれば、社内の人材を育成することで問題が解決する可能性があります。あらたな人材を育成して経理業務ができるようにしたり、スキルが十分ではない社員を育成して経理業務を効率化したりすることが有効です。

あらたな人材を育成する場合はOJTによる実践的なトレーニング、また既存の社員には外部研修やセミナーへの参加などの手法が効果的です。

業務フローの見直し、マニュアルの作成をする

人手不足を解消するには、業務フローを改善して効率化を図る必要があります。そのためには、経理業務がどのように進められているかを洗い出し、削減可能な工数の確認をすると効果的です。

小口現金を例に挙げると、現金残高と出納帳に記載された金額が合わなければ、確認に手間がかかってしまいます。社員からの立替払い請求を月に1回にして給料でまとめて支払うようにすれば、小口現金を廃止できる可能性もあるでしょう。

また、二重作業を解消できないか確認することも重要です。具体的な例としては、預金通帳の金額を会計システムに入力すれば十分であるにもかかわらず、預金出納帳にも記入しているケースなどが挙げられます。預金出納帳への記入をせずに管理が可能であれば、業務効率化につながるでしょう。

さらに、経理業務をマニュアル化しておけば、担当者が突然の退職で不在になっても業務を引継ぎやすくなります。マニュアルを一度作成したら、定期的に内容を更新し、誰が見ても理解できるマニュアルへと改善していくことが大切です。

ITツールを活用する

経理の人手不足対策として、ITツールの導入も効果的です。ITツールを導入することで記帳や請求書発行などを自動化できます。加えて、ペーパーレスやオンライン化も推進できます。さらにデータの共有や管理が簡単になり、経理業務の正確性が向上します。

ITツールを導入して業務効率や正確性が向上すれば、経理担当者は今まで費やしていた時間をコア業務に割り当てることができるでしょう。

アウトソーシングを活用する

経理の人手不足を解決する方法として、アウトソーシングの活用も有効です。アウトソーシングとは、社内で行っている業務の一部を外部に委託することです。

アウトソーシングを活用すると、人手不足の解消だけでなく、プロに依頼することによる業務品質の向上も期待できます。また、経理の採用や教育にかかるコストが削減でき、離職の心配もありません。

経理アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてください。
>>経理アウトソーシングの代替可能な業務やメリットをご紹介

人材派遣を活用する

人材派遣は、人材派遣会社を通じて適切なスキルや経験を持つ人材を一定期間受け入れられるサービスです。派遣社員は人材派遣会社と雇用契約を結んでいて、派遣先企業の指示のもとで業務を行います。

人材派遣の活用は、経理の人手不足を解決する方法の一つです。派遣社員に経理業務を依頼することで、業務の負担を軽減できます。

経理の人手不足の解決に人材派遣を利用するメリット

経理の人材が不足しているときに人材派遣を利用すると、次のようなメリットが得られます。

経理業務に必要なスキルを持つ人材を受け入れられる

人材派遣では、派遣先企業の要望に応じて、必要なスキルを持った人材を受け入れられます。

例えば、簿記資格や会計ソフトの操作など、経理業務で活かせる専門スキルを持つ人材を受け入れられることが人材派遣を利用するメリットです。

業務量に合わせて受け入れ期間を調整できる

派遣社員を受け入れる期間は、発生する業務量に合わせて柔軟に調整できます。決算業務や年末調整が行われる時期や、突発的に経理業務が発生したときなど、タイミングや期間を柔軟に調整して派遣社員を受け入れられます。

採用や教育のコストを削減できる

人材派遣を利用する場合、あらたな人材を雇用・育成する場合と比べて、採用や教育のコストを削減できます。人材派遣では、求人募集や書類選考、面接などの採用業務は不要です。

また、すでに一定のスキルを持った派遣社員を受け入れられるため、教育業務は必要最小限に抑えられます。採用・教育のコストを削減できることが、人材派遣のメリットです。

人材派遣の活用をご検討の方はぜひパーソルテンプスタッフにご相談ください。

人材に関するお困りごとはお気軽にご相談ください

自社に合う方法で経理の人手不足を解決しましょう

経理業務は簿記などの専門知識が求められ、人材の確保が難しく、人手不足が生じやすい部門です。経理の人手不足が続くと人為的ミスや不正行為のリスクを高め、企業にさまざまな悪影響を与えるため、できるだけ早く解決しなければなりません。

社内のリソースで人手不足を解決したい場合は、人材育成や業務フローの見直し、ITツールの活用などを検討しましょう。また、自社での解決が難しい場合には、アウトソーシングや人材派遣の活用がおすすめです。

本記事を参考に、経理の人手不足の解決にお役立てください。

経理の人材に関するお悩みはパーソルテンプスタッフへ

企業が人材派遣や業務委託を活用することは、必要なときに必要なスキルをもった人材を受け入れられる、業務委託は人員配置のコストがかからず業務ごと任せられるといったメリットがあります。

人材派遣を活用することで、繁忙期に一時的に増員したり、突発的にボリュームが増加する業務であっても柔軟に対応したりできます。また、スキルや経験が豊富な派遣社員には、専門性の高い業務を依頼することも可能です。

パーソルテンプスタッフの人材派遣では、貴社のニーズに合わせた最適な人材派遣の活用方法をご提案いたします。

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