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飲食業界の人手不足の現状と背景、解決策をご紹介

公開日:2023.08.08

企業の課題

「飲食業界の人手不足」は、現代の大きな課題の一つであり、企業の事業運営に影響を及ぼすことは否めません。本記事では、人手不足が問題視される飲食業界の現状や、離職率が高い理由についてデータをもとに解説します。また人手不足を解消するためのツールや方法についても詳しくご紹介しています。
人手不足の原因を理解し、対策を行うことで解決につながる糸口を模索していきましょう。

飲食業界人手不足の現状

2022年10月の帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によると、人手不足と感じる企業は半数を上回りました。2022年9月時点における正社員の人手不足企業の割合は50.1%となり、2019年11月(50.1%)以来2年10カ月ぶりに5割を上回り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後としては最大となりました。

以下の図は、人手不足企業の割合上位10業種を示す動向調査結果です。人手不足企業で就業する非正社員の割合を見ると、飲食店は77.3%にのぼり、2位の旅館・ホテルの62.3%と比較しても群を抜いて人手不足が深刻であるということが分かります。

引用:帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査

飲食業界人手不足の理由と離職率が高い原因

華やかなイメージのある飲食業界ですが、どのような理由で人手不足が起こっているのでしょうか。主に5つの原因が考えられます。

業務内容にストレスや疲労を感じてしまう

飲食業界の業務内容はさまざまですが、厚生労働省の「令和4年版過労死等防止対策白書〔概要版〕」によると、業種別での比較で宿泊業・飲食サービス業の長時間労働者の割合が、14.0%(令和3年)と多いことが分かります。そのほか、接客業務でのストレスやシフト制・夜の時間帯の勤務などで疲労を感じることもあるでしょう。

引用:厚生労働省|令和4年版過労死等防止対策白書〔概要版〕

待遇面や給与面の不満

厚生労働省が発表している「外食産業における労働時間と働き方に関する調査」のヒアリングの結果では、低価格競争により売り上げが上がらず、処遇が改善できないという悪循環、深夜営業や24時間営業による長時間労働、店長クラスの役割の多さなど、待遇面の不満が見られました。

さらに厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、産業別の賃金は、男女計で「宿泊業,飲食サービス業」(257.4 千円)が最も低く、女性では「宿泊業,飲食サービス業」(216.1 千円)が最も低くなっています。こうした賃金の低さから、給与面の不満が生まれている可能性があります。待遇面・給与面の両面から、離職率の高さの原因となっていると考えられます。

引用:厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査の概況

はたらき方の多様化

在宅勤務やフレックス、フリーランスなど多様なはたらき方が浸透している中で、飲食業界をはじめとする「出勤を基本とするサービス業」、「労働時間の長い飲食業」は、自由なはたらき方を求める人材からは敬遠されることも少なくありません。

新型コロナウイルス感染症による影響

コロナ禍で飲食業界は大きな打撃を受けました。営業自粛や営業時間の短縮、酒類提供や人数の制限などがあり、売り上げが大きく落ち込んだ店舗も多くありました。

日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査 令和 4 年(2022 年)年間結果報告」によると、全体の売り上げは新型コロナウイルス感染症が流行し始めた2020年から徐々に回復しつつあるものの、飲酒業は2019年の半分にとどまるなど、いまだ影響を大きく残しているようです。

このような状況から、人件費の削減に舵を切った飲食店も少なくありません。そのタイミングで飲食業界を去った人材も多く、流出した人材がなかなか戻らないという影響も人手不足の大きな原因の一つです。

飲食業界人手不足により起こる問題

人手不足が続くと、どのような問題が起こるのでしょうか。考えられる問題を4つご紹介します。

ミスの増加やサービス品質の低下

人手不足により本来営業時に必要な人数が足りなくなってしまうことで、一人ひとりが本来よりも業務を多く担うことになり、ミスの増加やサービス品質の低下につながります。

利用者の待ち時間増加

人手不足によって料理の提供や片付けなどの時間が通常よりも時間がかかるようになります。それによって利用者の待ち時間が増加するという影響もあるでしょう。

採用コストの増加

人材が集まりにくいため、求人広告などの頻度や期間も長くなり、採用コストもこれまでと比べると増加することになります。

閉店する店舗の増加

人手不足によって通常の営業ができなくなれば、店舗の営業自体を断念しなければならないというケースも出てくるでしょう。閉店する店舗の増加という問題も発生します。

飲食業界人手不足の解決方法

人手不足の問題に対する、3つの解決方法をご紹介します。

業務内容・体制を見直す

備品のストックの確認や掃除を効率的に行っているか複数のスタッフで重複して過度に行っている業務がないかなど、業務の効率が最適化されているかを見直しましょう。キッチンに食洗器を導入したり、掃除ロボットを利用したりとオートメーション化できる部分を導入してみるのもよいでしょう。仕込み、混雑する時間帯、ホームページやSNSの更新作業など、業務を細かく切り分けることで、新しい人材が集まる可能性もあります。

雇用条件を見直す

前述のとおり、飲食業界では待遇面や給与面の不満について指摘されています。労働時間や休憩時間の見直し、休暇を取得しやすいようなシフトづくり、インセンティブの創設など、はたらき方や給与面のモチベーションアップの工夫を行ってみましょう。

ITツールを活用する

飲食業界で使用することのできるITツールは数多く用意されています。自社の店舗にはどんなツールが合うのかを確認し、導入を検討することも一つです。

飲食業界人手不足の解決に役立つITツール

飲食業界人手不足の解決に役立つITツールを詳しく紹介します。

スタッフ管理ツール

店舗の責任者の数多くの業務の中でも、システム化することで負担を軽減できるものは取り入れていきましょう。例えばスタッフ管理ツールは、勤怠の管理や給与計算などを自動で行うことができ、作業時間の短縮や、限られたスタッフの効率的な活用につながります。スタッフ管理ツールはさまざまな商品が発売されていますが、飲食店に特化したものを選ぶことがおすすめです。勤怠管理の側面から以下の要素があると使いやすいでしょう。

  • 出退勤管理
  • 給与の計算
  • 不正打刻防止の機能がある
  • スタッフのヘルプやシフト変更などに対応できる
  • 法改正に対応できる

そのほか、外国語に対応しているか、シフト作成ができるかなど店舗の状況によって自社に合うシステムを検討してみてください。

在庫管理ツール

過剰な食材の発注をしない、食材を無駄にしない、食品事故や食中毒を防ぐために行われる在庫管理ですが、多くの場合、店舗の営業時間外に行うことが多く、結果としてスタッフの長時間労働につながってしまうというケースもあります。在庫管理に特化したツールを導入し、業務の効率化を図りましょう。

スマートフォン・クラウドによる棚卸管理システムでは、資産を「見える化」し、棚卸にかかる工数・コストの削減につなげます。

キャッシュレス・セルフレジツール

キャッシュレス決済を導入すると、預かった現金を数えたり、釣銭の確認をしたりする作業の省略が可能です。会計に時間がかかると、店舗全体のオペレーションが乱れる原因にもなります。また、キャッシュレス決済は、効率化だけでなく衛生面においてもメリットがあるといえるでしょう。

飲食店に特化したツールもあり、会計だけでなく注文も同じシステムで行えるため、注文係とレジ係2人分の役割を担うことができます。

パーソルグループでは、業務効率化と売上アップを支援するクラウドPOSレジ「ポスタス」を展開しています。興味のある方はぜひご覧ください。

飲食業界人手不足の原因と解決方法を理解する

飲食業界は深刻な人手不足が続いています。処遇や採用条件を変更して人材を集めたり、ITツールを導入して少ない人材で運営をしたりするなど、解決するためのさまざまな工夫をご紹介しました。

またパーソルテンプスタッフではさまざまな業界の販売・セールスプロモーション業務や、小売店店舗向け売場メンテナンス業務に対応しています。人材派遣サービスの活用をご検討の方はぜひご相談ください。

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