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採用要件の決め方|具体例や採用ペルソナとの違いを解説

公開日:2025.04.11

企業の課題

採用要件とは、企業が人材の採用活動を進める際に、はたらく条件や求めるスキル・経験・人物像などを明確に記載したものです。また、人材要件と呼ばれる場合もあります。

本記事では、採用要件の作成が必要な理由や、具体例を紹介するとともに、作成手順・ポイントについて解説します。

採用要件とは

採用要件とは、企業ではたらく条件や、仕事に必要なスキル・経験・求める人物像などを明示したものです。また、人材要件と呼ばれることもあります。

採用要件と採用ペルソナの違い

採用要件と混同されやすい言葉として、採用ペルソナが挙げられます。採用要件は、条件や求めるものを、採用ペルソナは、自社ではたらく具体的な人物像について、架空のプロフィールを詳細に描き出したものです。

例えば、採用ペルソナでは、年齢・性別・出身大学・これまでの職歴・ライフスタイル・価値観・理想のはたらき方などをそれぞれ書き出し、自社ではたらく具体的な人物像について詳細なイメージを作成します。

採用ペルソナを作成しておくことで、採用活動を進める際に「ペルソナが共感できる内容かどうか」を基準に考えながら、募集要項における訴求ポイントなどを設定できるようになります。

採用要件の具体例

次に、採用要件の一例として総務のケースを具体的に紹介します。自社で採用要件を作成する際の参考にしてください。

総務部門の採用要件例

◯◯株式会社
募集職種 総務
期間の定めあり(2025年4月1日~2026年3月31日)
契約の更新有(〇〇により判断する)
更新上限有(通算契約期間の上限〇年)
試用期間あり(3ヶ月)
職務内容
  • 会社全体のバックオフィス業務を円滑に進めるためのサポート
  • 施設管理、備品管理、契約書の管理などの一般総務業務
  • 社内規定の整備および運用サポート
  • 各種社内イベントの企画・運営
必須スキル・経験
  • 総務またはバックオフィス業務の経験(2年以上)
  • 基本的なPCスキル(Microsoft Office: Excel、Word、PowerPoint)
  • 社内外の関係者とのコミュニケーションスキル
  • 課題解決力や業務改善の経験
歓迎スキル・経験
  • 社内規定や法令に関する知識(例:労働法、個人情報保護法)
  • ビジネスレベルの英語力
求める人物像
  • 変化に柔軟に対応し、業務効率化を積極的に進められる方
  • チームワークを重視し、周囲と協力して業務を遂行できる方
  • 社内外と信頼関係を構築することが得意な方
  • 誠実で責任感が強い方
勤務地 〇〇区
勤務時間 9:00~18:00(休憩1時間) ※フレックスタイム制度あり
土日祝休み(年末年始を含む)
給与 月給〇〇万円~〇〇万円(経験・スキルを考慮の上、決定します)
福利厚生
  • 各種社会保険完備
  • 交通費全額支給
  • 在宅勤務制度あり(週数回)
  • 研修・キャリアアップ支援制度

採用要件の作成が必要な理由

続いて、採用要件の作成が必要な理由について掘り下げます。例えば、ハローワーク・求人サイトなど、どこかに求人募集を掲載しようとする際には、採用要件を明確に定めておくことが欠かせません。理由として、大きく以下の2点が挙げられます。

採用のミスマッチ防止

1つ目の理由は、採用のミスマッチを防止するためです。

企業が人材をあらたに募集する際、日々の仕事に必要なスキル・経験などについてあらかじめ詳細に明示しておくことで、まったく条件に合致しない人からの応募を減らせると考えられます。

求める条件に基づき、ある程度絞り込んだ人の中から選考・面接を進めることになるので、採用のミスマッチを防止できるでしょう。

採用効率の向上

2つ目の理由は、採用効率を向上させるためです。

採用要件を決めることで、求めるスキル・経験・人物像などについて自社が譲れないポイントを明示できます。

また、面接官をはじめ採用に関わる社員も応募者も、互いに同じ条件を理解して採用活動に臨むことになるため、公正な採用活動の後押しになると考えられます。公正な採用活動を進めていくためには、選考・面接に携わる社員が皆、採用要件について深く理解し、「採用要件=選考基準」だと把握しておくことが大切です。

採用要件を作成する手順

ここからは、採用要件を作成する手順について4つのステップに沿って紹介します。

STEP1:企業理念や経営戦略から求める人物像を考える

まずは、自社の企業理念や経営戦略をあらためて確認・理解しましょう。

例えば、経営理念に基づいて、自社が求める人物像について改めて書き出してみるとよいでしょう。

また、現在の経営戦略を踏まえて考えるのもおすすめです。「現在は、主軸事業の拡大フェーズにあるため、課題を自ら見つけて主体的に行動できる営業職が必要」など、今どのような人材確保するべきか、できるだけ具体的に考えてみましょう。

STEP2:「人材要件フレームワーク」に当てはめて考える

STEP1で描き出したイメージを、さらに掘り下げながら求める人物像を定義していきます。

ここで、人物像の定義をする上で便利な人材要件フレームワークを紹介します。以下の4つのポイントを具体的に書き出してみましょう。

【人材要件フレームワーク】

  • MUST:必須スキル・経験
  • WANT:あると望ましいスキル・経験
  • BETTER:あると他の採用候補者との大きな差別化になるスキル・経験
  • NEGATIVE:マイナスとなる特性・経験

例えば、人材要件フレームワークを使って、求める「営業職」の人物像を定義すると以下のようになります。

フレームワーク 営業職に当てはめた例
MUST(必須スキル・経験) 「営業経験3年以上」「基本的なPCスキル」「コミュニケーション能力」「プレゼンテーション能力」
WANT(あると望ましいスキル・経験) 「特定業界の知識」「データ分析スキル」「外国語能力(英語など)」
BETTER(あると他の採用候補者との大きな差別化になるスキル・経験) 「リーダーやマネージャー経験」「複数の業界での営業経験」「関連資格(販売士など)」
NEGATIVE(マイナスとなる特性・経験) 「受動的な姿勢」「チームワークの欠如」

STEP3:「採用ペルソナ」を設定する

求める人物像が明確かつ具体的になったら、次は本記事の冒頭でも紹介した採用ペルソナについても決めましょう。

採用ペルソナを明確に決めておくことで、「どのような求職者に向けて」「どのようなメッセージ・訴求軸で採用募集をすべきか」「どの媒体で募集情報を掲載すべきか」など、採用活動でやるべきことが、より具体的に絞り込まれていきます。

STEP4:採用ターゲットに向けた訴求ポイントを考える

誰に向けて、どのような媒体に募集を掲載するのか決まったら、自社はどのような求職者にとって魅力的な職場なのか、訴求ポイントを明確にします。

例えば、「未経験から成長できる」「福利厚生が充実している」「残業が少なめ」など、求職者をひきつけるポイントをいくつか具体的に書き出してみましょう。

採用要件を作成する際のポイント

採用要件を作成する際には、会社の目指す姿・将来像から必要な人材を考えるアプローチと、現場で活躍している人材をもとに要件を設定するアプローチの双方を組み合わせることが大切です。どちらか一方に偏らず両方の視点を活かすことで、適切な要件を作成できるでしょう。

また、すべてを求めるのではなく、入社後に育成できるスキルと、最初から備わっていてほしい素質を明確に分けることも重要です。育てられる部分を見極め、採用要件をできるだけシンプルにすることで、柔軟な採用が可能になるでしょう。

そして、採用要件は一度作成して終わりではなく、組織の成長に合わせて見直すことも大切です。定期的に成果を振り返り、改善点を洗い出すことで、より適切な人材要件にアップデートできます。

人事業務のお困りごとはパーソルテンプスタッフにご相談ください

本記事では、採用要件の作成手順や、具体例について紹介しました。採用要件を明示することによって、採用のミスマッチを防止し、効率的な採用活動が行えるようになるでしょう。

採用活動に必要な人材が足りていない場合や、採用のスキル・ノウハウがない場合には、パーソルテンプスタッフにご相談いただくことで、人事業務に対応できる人材紹介が可能です。

依頼可能な業務として、具体的には面接や採用の支援・人材育成・給与や賞与の計算・勤怠管理・社会保険業務などが挙げられます。

パーソルテンプスタッフの人材紹介をご活用いただくことで、貴社の採用要件に合った人材をご紹介できます。

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