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BPaaSとは?BPOやSaaSとの違い、導入メリット・留意点を紹介

公開日:2026.03.26

人事ナレッジ

BPaaSという言葉を聞いたことがあっても、具体的な内容まではイメージできないという方は多いのではないでしょうか。

BPaaSは業務を効率化する手法の一つで、人材不足やコスト低減に頭を悩ませる企業から注目を集めています。この記事では、BPaaSの特徴やメリット、導入時の留意点を分かりやすく解説します。

BPaaSとは

BPaaS(ビーパース)とは、「Business Process as a Service」の略で、業務プロセスをクラウド(インターネット)経由で委託できるサービスを指します。従来のアウトソーシング(BPO)とクラウド型ソフトウェア(SaaS)を組み合わせ、両者のメリットを活かして活用できるのが最大の特徴です。

BPOやSaaSとの違い

BPOやSaaSとBPaaSとの違いを図解すると、以下のようなイメージとなります。

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以下、それぞれ具体的に違いを解説します。

BPOとは

BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、経理や人事、総務など、自社の業務プロセスの一部を、専門的なノウハウを持つ委託先企業に継続的に委託することを意味しています。自社の利益に直結しない、いわゆるノンコア業務を外部に任せることで、人件費などの固定費削減やコア業務への人的リソース集約、専門家による品質向上を実現します。

自社で人材を雇用・教育するのではなく、委託先の専門人材を間接的に活用するのが特徴です。

BPOについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
>>BPOとは?アウトソーシングとの違いや導入メリット、業務の例を紹介

SaaSとは

SaaS(サース)とは、「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の略で、従来はパソコンにインストールして利用していたソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービスです。

利用者は、ソフトウェアそのものを購入するのではなく、WEBブラウザやダウンロードした専用アプリを通じてサービスを利用します。利用期間や契約するライセンス数に応じて料金を支払う仕組みです。

BPaaS市場の成長と重要性

BPaaS市場は世界的な成長を遂げています。総務省によると、世界の市場規模は2023年に650億ドルでしたが、2029年は約2倍の1290億ドルになると予測されています。

出典:総務省「第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題」

日本でも、今後ますますBPaaSの重要性は増すと考えられます。その大きな要因が、労働人口の減少です。国内の経済市場は縮小局面に入っており、これまでの成功体験を繰り返すだけではその規模を維持できません。今後は、さらなる売上の拡大と経費の節減がより必要となってきます。そのためには、リソースを自社から委託先に付け替えるBPO以上の業務効率化やコスト低減が欠かせません。

そこで、AIやRPA(ロボットによる定常作業の自動化)などの最新技術を組み込んだBPaaSに注目が集まっています。企業がDXを加速し競合への競争優位性を確立するための戦略的な一手として、重要性が高まっているのです。

BPaaSを導入することで得られるメリット

続いて、自社でBPaaSを導入するメリットについて解説します。

コア業務に集中できる

BPaaSを導入すると、人事、経理などの業務のうち、定型的なノンコア業務(自社の直接的な利益につながらない間接業務)を、システムを含めた業務プロセスごと専門業者(ベンダー)に委託できます。これにより、社内のリソースを企画や戦略、開発といった高付加価値なコア業務へ集中させることが可能となります。

業務品質の向上と専門知識の活用ができる

BPaaSを導入するベンダーはその業務に精通した専門家集団であり、AIやRPAといった最新技術を駆使したプラットフォームを提供しています。専門知識を持ったスタッフによる高い精度での業務実行が期待できると同時に、法改正の際もベンダー側が対応するため、自社で対応するコストを減らすと同時に対応漏れのリスクの軽減もできます。

コストの削減につながる

自社内でAIやRPAなどを活用したシステムを導入しようとしても、サーバー構築費やソフトウェア開発費などの初期投資が発生します。また、専門人材の雇用や育成も必要ですし、導入までの時間がかかってコア業務を強化するのが遅れれば、売上拡大の機会を失ってしまう恐れもあります。

その点、BPaaSを導入すれば迅速に外部リソースへの移行が実現し、システム開発の費用面だけでなく人材育成のコストも削減できます。

業務プロセスの標準化や属人化が防げる

BPaaSの導入時は多くの場合、ベンダーが提供する標準化・最適化された業務プロセスに自社の業務を合わせる形になります。そのため、社内で長く残っていた属人化した作業や業務フローを更新する大きなチャンスとなります。業務の効率化、標準化が実現すれば、担当者の突然の休暇や退職時も安定して業務を遂行できます。

BPaaSを導入する際の留意点

BPaaSの導入にはメリットばかりがある訳ではなく、他社に業務を委託するリスクを把握する必要があります。ここでは、BPaaS導入における留意点を解説します。

業務のカスタマイズ性が低い

BPaaSは、すでに標準化・最適化された業務プロセスをパッケージとして提供しています。そのため、汎用的で多くの企業が導入しやすい特徴があります。

しかし、カスタマイズの範囲は限定的で、自社独自の業務フローや特殊な社内ルールは導入時の障壁になる場合があります。そうしたルールに固執していると、導入自体が困難になったり、追加のカスタマイズ費用が発生して導入メリットを活かせなくなったりする恐れがあります。

ベンダーへの依存度が高まる

BPaaSは、業務システムの構築・運用・保守と業務の継続的な実行の両方を一つのベンダーにまとめて委託する仕組みです。これにより業務の効率化やコストの削減が可能となりますが、特定のベンダーに自社の業務プロセスを任せきりにすることにはリスクもあります。例えば、業務ノウハウやスキルを自社に蓄積することが難しく、委託コストが延々と発生してしまうリスクなどがあります。

導入を一度開始すると後からベンダーの変更や解約が困難になるケースもあるため、委託の際は、費用面だけではなく、実績もしっかりと検証しましょう。SLA(サービスレベル合意書)を締結して品質条件を明確にすると共に、委託開始後も業務の品質を定期的にチェックすることが大切です。

セキュリティとガバナンスのリスクがある

ベンダーが強固なセキュリティ体制を構築していない場合、自社の関与していないところで情報漏えいやデータ紛失のリスクを抱えることになります。ランサムウェア(身代金ウイルス)による被害の場合、顧客情報の流出やサービス停止など、事業に大きな影響が生じます。

万が一、委託先でこのような事故が発生した場合、自社が直接的に管理していないにもかかわらず自社の信用を失墜させる恐れがあります。

BPaaSの具体的な業務例

メリットやデメリットを把握した上で、BPaaSに適した具体的な業務も確認しておきましょう。ここでは4つの代表的な業務例をご紹介します。

人事・労務

毎月の勤怠管理や給与計算、社員の入社時に必要な雇用契約書などの資料や行政への届出書類の作成を委託できます。処理の速度が上がったり計算ミスを防げたりするだけでなく、AIの技術を活かして勤怠の異常を見つけられるようにもなります。

経理・財務

経費精算や請求書の発行・処理、入金消込、買掛金・売掛金管理、月次決算の補助などで活用できます。手書きの領収書や、発行元によって様式が異なる請求書も、AI-OCR(人工知能による光学的文字認識)機能を活用して高精度に読み取り、システム上で会計ソフトへの転記が実現します。

カスタマーサポート

コールセンターの運営、メールやチャットでのサポート、テクニカルサポートなどの顧客対応にも活用できます。ベンダーはCTI(電話統合システム)やCRM(顧客管理システム)のプラットフォームを提供し、AIチャットボットによる自動応答とオペレータによる有人対応を組み合わせることで、顧客ごとの最適な対応を可能にします。

IT運用・管理

社内ヘルプデスク、パソコンやスマートフォンの設定(キッティング)、資産管理、サーバー監視、アカウント管理などの委託が可能です。資産管理システムや監視ツールを提供し、実際の問い合わせ対応やシステム障害時の初動対応、新入社員が自社のシステムにアクセスするためのアカウント発行などをリモートまたはオンサイト(自社駐在)で担当します。

BPaaSの導入に向いている企業

BPaaSの導入をおすすめしたい企業としてまず挙げられるのは、人的リソースに限りがあるスタートアップや中小企業です。経理や人事などバックオフィスに十分な人材を割けない場合、BPaaSを活用することで人的リソースをコア業務に集中させられます。

また、事業規模が急成長、急拡大している企業もBPaaSの導入がプラスとなるでしょう。事業の成長と共に社員が増え、定型的な業務の処理が増えてしまっている会社でも、採用や育成の業務量を減らし、さらなる成長のために人員を配置できます。

レガシーシステムが更新できないまま属人化した業務が更新できておらず、DX推進の阻害要因となっているような企業も、BPaaSの活用を検討するべきです。少しずつ効率化に取り組んでも部分最適化されるだけで、全体の生産性がかえって落ちる場合もあります。ベンダーに委託すれば、自社の課題を正確に把握し、全体最適の観点で解決方法を提案してもらえるでしょう。

さらには、従業員が多く毎月の定型的な間接業務の処理に膨大な工数が発生している大企業でも、BPaaSの導入は有効です。BPaaSに切り替えることで、浮いたリソースを付加価値の高い戦略部門に再配置します。

BPaaSの導入前に押さえておくべきポイント

最後に、BPaaSの実際の導入時に確認するべきポイントをまとめました。これらのポイントをしっかり押さえれば、失敗のないBPaaSの導入が実現するでしょう。

導入する目的を明確にする

まずは、何のためにBPaaSを導入するのかを明確にします。導入する目的や委託する範囲、コストと期待効果について社内で合意形成を図りましょう。BPaaSへの切り替えにより新たに月額費用が発生するため、投資対効果(ROI)が見合うかを慎重に比較検討することが重要です。

導入目的として主に挙げられる要素は、大きく3つあります。

  1. コストの削減
    1つ目は、コストの削減です。自社の人件費やシステムの維持費を圧縮したい場合、専門のベンダーに委託すればコストを抑えられます。


  2. 事業規模拡大や新規参入を見据えたリソースの再配置
    2つ目は、事業規模拡大や新規参入を見据えたリソースの再配置です。外部環境の変化にいち早く対応するためには既存のリソースを有効に活用する必要があります。ノンコア業務を外部化することで自社のリソースに余裕が生まれ、企画や営業などのコア業務に人材を集中できるようになります。


  3. 業務のスピードアップやDX推進
    3つ目は、業務のスピードアップやDX推進です。古いシステムや属人化した業務を刷新したい場合にBPaaSの活用が適しています。全体最適での改革という観点からも、外部の客観的な視点やノウハウは不可欠です。


このようにBPaaSは、企業が抱える課題によって導入目的も変わってきます。目的を明確にした上で、コストや実績、機能も加味してベンダーを選定しましょう。

自社の業務プロセスを変えることができるか確認する

BPaaSは、ベンダーが提供する標準化された業務プロセスを利用することでコストメリットを発揮します。自社のやり方を変えられない場合は、BPaaSを導入できなかったり、できたとしても効果が薄くなったりする恐れがあります。ベンダーのサービスに自社が合わせることが導入の前提になることを理解しましょう。

もしもベンダーのサービスに適合しない、また変更ができない業務がある場合は、カスタマイズ費の見積もりを依頼しましょう。カスタマイズが複雑だとBPaaSを導入する方がコストが高くなる場合もあるため、しっかりと確認することが大切です。

委託範囲を明確に切り分ける

何を委託し何を社内に残すかという委託範囲の決定は、慎重かつ戦略的に行わなければなりません。メリットだけを意識してノンコア業務を丸投げすると、社内からノウハウが失われ、ベンダーから送られてきた完成物について、その良し悪しを判断できなくなってしまいます。

一方、情報漏えいなどのリスクを恐れて委託範囲を狭めてしまうと、導入のメリットが薄れてしまったり、逆に工数が増えてしまったりする恐れもあります。コスト面や機能面だけでなく、自社へのノウハウの蓄積やリスクヘッジの観点も含め、委託範囲を検討しましょう。

BPaaSを導入し企業の成長につなげよう

BPaaSを効果的に活用して既存業務を圧縮できれば、新規事業やコア業務にリソースを投入できます。属人化の解消やDXの推進にもつながり、企業の競争力を大きく高めることも期待できるでしょう。

しかし、導入のリスクや注意点をしっかり確認しておかなければ、導入が失敗に終わったり、思っていたほどの効果が得られなかったりすることもあります。自社のビジョンや課題をしっかりと整理し、さらなる成長の手段としてBPaaSを導入しましょう。

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監修者

HRナレッジライン編集部

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