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組織マネジメントとは?ポイントや活用できるフレームワーク、求められる能力について解説
公開日:2026.03.26
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近年の市場環境の激しい変化や、はたらき方の価値観の多様化の中、人が育たない、意思決定が遅い、部門間で連携できないなど、組織課題に悩む企業が増えてきています。こうした課題を解く上で重要となるのが、個人ではなく組織として成果を出すための組織マネジメントです。
この記事では、組織マネジメントの基本的な考え方やリーダーシップとの違い、7Sなどのフレームワーク、実施するメリットなどについて分かりやすく解説します。組織の状態を見直したいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
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組織マネジメントとは
組織マネジメントとは、企業や組織が設定した目標を達成するために、組織という仕組みを効果的・効率的に機能させるための一連の活動を指します。具体的には、組織全体を統括しながらヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を最適に配分し、成果につながる形で活用していく考え方です。
組織マネジメントのポイントは、単に人を管理するのではなく、人が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境(仕組み)をつくり、維持・改善していく点にあります。組織図や役割分担、評価や意思決定のルール、業務プロセス、情報共有の仕組みなどを設計・運用し、状況に応じて見直すことで、組織全体が同じ方向に向かって動きやすくなります。
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リーダーシップとの違い
組織マネジメントとリーダーシップは、どちらも組織の目標達成に欠かせません。しかし、担う役割と焦点が異なります。
組織マネジメントは、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を適切に配分し、既存のプロセスやルールを整えながら、業務を安定的かつ効率的に進めることで目標を達成するための働きかけです。組織が滞りなく回る状態をつくり、維持・改善していく機能といえます。
一方、リーダーシップは、進むべき方向(ビジョン)を示し、変化を生み出しながら人々を導く働きかけです。現状維持だけでなく、新しい挑戦を促したり、メンバーの納得感を引き出したりして、組織を前進させる役割を担います。
なお、マネジメントとリーダーシップは二択ではなく補完関係にあるものです。例えば、新しい方針を掲げて変革を進めるためにはリーダーシップが必要ですが、実行計画や役割分担、運用ルールを整えて成果につなげるためには組織マネジメントが欠かせません。
組織マネジメントの目的や重要性
組織マネジメントの最大の目的は、組織が掲げる目標を一度達成して終わりにせず、持続的かつ効率的に達成し続けることです。個々の頑張りや属人的なスキルに頼るのではなく、役割分担・意思決定・情報共有・評価などの仕組みを整え、組織として安定して成果を出し続ける状態をつくります。
近年は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)時代と呼ばれるように、環境変化の予測が難しい時代です。このような状況では、優秀な個人の判断だけでビジネスの現場を乗り切ることには限界があります。だからこそ、組織として状況をとらえ、優先順位を見直しながら必要なリソースを素早く配分し直すことが必要であり、それが企業の競争力そのものになるのです。
組織マネジメントが機能すると、現場が迷わず動けるようになり、判断のスピードや実行力も高まります。結果として、変化に対応しながら成果を積み上げられる強い組織づくりにつながります。
従来の組織マネジメントとどう変わったのか
従来のマネジメント(安定成長期のマネジメント)は、市場が安定しており答えが明確な時代を前提としたものです。組織形態はトップダウン型のピラミッド組織が中心で、均一性、効率性、管理・統制に焦点が置かれていました。決められたルールや手順をいかにミスなく効率的に実行するかが重要であり、標準化が成果を左右しやすい環境だったといえます。
一方、現代のマネジメント(VUCA時代のマネジメント)は、予測不能な変化、多様な価値観、人材の流動化を前提にしています。組織形態も、アジャイル型やティール組織などに象徴される自律分散型のネットワーク組織へと広がり、多様性、適応力、自律・分散を重視する方向にシフトしています。
また、テレワークの普及により物理的な監督が難しくなったこともあり、管理(コントロール)で動かすのではなく、各メンバーが自律的に動けるように支援(サポート)することが、マネジメントの中心になりつつあります。
現代の組織マネジメントでは、正解を上から与えるのではなく、状況に応じて現場が判断しやすい仕組みを整えること、コミュニケーションを通じて各自の認識を揃えることが、より重要になっているのです。
組織マネジメントに活用できるフレームワーク「7S」
組織マネジメントでは、組織図(構造)を変えれば必ず課題が解決するとは限りません。組織が目標を達成できない背景には、戦略や制度、価値観、人材の状態など、複数の要素のズレが関係していることが多いためです。
そこで役立つのが、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した、組織を7つの要素に分けて全体の整合性を確認する7Sです。7つの要素の相互関係を見ることで、現状把握や課題特定、改善の優先順位づけに活用できます。
7Sは、ハードの3Sとソフトの4Sに大別できます。それぞれについて解説します。
ハードの3S
ハードの3Sは、比較的変更しやすい合理的な要素です。具体的には以下の3つを指しており、戦略に対して組織の仕組みが合っているかを確認する際の土台となります。
| Strategy(戦略) | 企業の方向性や目標達成までのシナリオ |
|---|---|
| Structure(組織構造) | 組織図、役割分担、指揮命令系統などの設計 |
| System(システム) | 業務プロセスや会議体、人事評価制度、情報共有の仕組みなど |
例えば、新規事業を伸ばす戦略に変えたにもかかわらず既存事業中心の組織構造のままだと、意思決定が遅れたり、必要な支援が届かなかったりします。こういったケースでは、戦略と組織構造やシステムのズレがないかを確認することで、改善ポイントが見えやすくなります。
ソフトの4S
ソフトの4Sは人や文化にかかわるため、短期間では変えにくい要素です。また、組織の実態や強みに直結しやすく、ハード面の施策が定着するかどうかにも大きく影響します。
具体的には以下の4つを指します。
| Shared Values(共通の価値観) | 理念、ビジョン、文化など、組織の中核となる考え方 |
|---|---|
| Style(経営スタイル) | 組織の風土、意思決定のされ方、上司のマネジメントスタイル |
| Staff(人材) | 人員構成、配置、採用・育成の状況など |
| Skills(スキル) | 組織(または個人)が持つ強み、専門性、得意領域 |
7Sでは、これらの要素が互いに矛盾なく連携している状態が理想とされています。ハード面だけを整えても、共通の価値観や経営スタイルが合っていなければ、施策が形骸化しやすくなります。
例えば、自律分散で動ける組織を目指すなら、単なる制度設計だけでなく、挑戦を後押しする人材の育成や配置、現場が動けるスキルセットまで一貫させることが大切です。
組織マネジメントを実施するメリット
組織マネジメントに取り組むと、組織の動きが整い、成果につながる再現性を高めやすくなります。ここでは、企業が組織マネジメントを実施することで得られる代表的なメリットをご紹介します。
生産性の向上につながる
組織マネジメントが進むと、役割分担や業務プロセスが明確になっていきます。誰が何を担うのかが整理されることで、業務の重複や担当の押し付け合いが減り、手戻りも起きにくくなるためです。
また、意思決定の流れや情報共有のルールが整うことで、確認作業や承認待ちの時間が短縮され、結果として組織全体の生産性向上につながります。
人材の定着とエンゲージメント向上につながる
組織マネジメントは、人材の定着やエンゲージメント向上にも効果が期待できます。
個々の役割が曖昧なままだと、成果が出ていても評価されない、負担が偏る、といった不満がどうしても生まれてしまうものです。しかし、公平な評価制度や明確な役割が整うと、従業員は、何を求められているか、どうすれば評価されるかを理解しやすくなり、納得感が高まります。
その結果、モチベーションが上がり、企業への信頼や愛着(エンゲージメント)が育ちやすくなるでしょう。
迅速な意思決定と実行ができるようになる
環境変化が激しい時代においては、意思決定のスピードがそのまま競争力に直結します。組織マネジメントによって権限や責任の所在が明確になると、誰が決めるのか、どこまで現場で判断してよいのかが具体的になり、迅速な意思決定が実行できるようになるメリットがあります。
その結果、判断の遅れによる機会損失を防ぎやすくなり、変化への対応や施策の実行もスムーズになるでしょう。
人材育成とスキルの標準化が進む
組織マネジメントを進めると、組織として必要なスキルが明確になる点もメリットです。求められるスキルが整理されれば育成の方向が定まり、研修設計や配置、OJT(実務を通じたトレーニング)も組み立てやすくなります。
また、業務プロセスや成功パターンが共有されることで、属人的だったノウハウが標準化され、チームが一定の品質を保ちやすくなります。結果として、特定の人に依存しない組織づくりにつながるでしょう。
組織マネジメントを行う上で求められる能力
組織マネジメントを機能させるためには、現場を動かす側のスキルアップも欠かせません。特に管理職やリーダー層には周囲を巻き込みながら改善を進める力が求められます。ここでは、組織マネジメントを行う上で重要な能力をご紹介します。
アセスメント能力
アセスメント能力とは、部下のパフォーマンスや潜在能力を客観的かつ公正に評価するスキルです。成果だけでなく行動プロセスや成長余地も含めて見立てることで、適切なフィードバックや配置、育成につなげやすくなります。評価の納得感が高まれば、従業員のモチベーションやエンゲージメントにもよい影響を与えるでしょう。
コミュニケーション能力
組織マネジメントにおけるコミュニケーション能力とは、単に話し上手であることを意味するものではありません。経営層が示す戦略や方針を現場が理解しやすい形に翻訳して伝えること、また、現場の状況や意見を吸い上げて経営層に戻すことが重要です。双方向のやり取りが機能すると、現場の納得感が高まり、施策の実行や定着が進めやすくなります。
意思決定能力
意思決定能力(ディシジョンメイキング能力)とは、限られた情報やリソースの中で責任を持って判断・決断する力です。組織では全員が納得してから業務を進めることが難しい場面も多く、判断を先送りすると機会損失につながります。優先順位を付け、必要な情報を集めた上で、一定の不確実性を受け入れつつ決断する力が、組織のスピードと実行力を支えます。
ファシリテーション能力
ファシリテーション能力とは、チームの議論を促進し、多様な意見を引き出しながら合意形成(コンセンサス)を図る力です。現代の組織は価値観や専門性が多様であり、単純なトップダウンだけでは納得感を得にくいケースもあります。議論の目的を整理し、多様な意見の中から対話を進め、最終的に何をするかを決断する力が求められます。
課題発見・解決能力
課題発見・解決能力とは、現場の業務プロセスにおける非効率やボトルネックを見つけ、改善策を立案・実行する力です。
業務が属人化している、承認フローが多過ぎて停滞している、情報共有が遅い、といった状態は、組織の成果を下げる要因になり得ます。現場の実態を把握し、影響度が大きい課題から優先順位を付けて改善できれば、組織マネジメントを成果に結び付けやすくなるでしょう。
組織マネジメントを実践するための具体的なステップ
組織マネジメントは、現状把握から改善、評価までをくり返しながら定着させていくことが重要です。最後に、組織マネジメントを実践する際の具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:現状の可視化と課題特定
まずは自組織の現状を客観的に把握することからはじめましょう。感覚だけで「ここが悪そう」と判断すると、打ち手がズレたり、現場の納得感が得られなかったりするためです。
7Sなどのフレームワークを活用し、戦略・組織構造・制度・価値観・人材・スキルといった観点で棚卸しを行い、理想と現実のギャップ(課題)を洗い出してみましょう。
結果として、戦略は明確だが現場の人材スキルが追いついていない、制度は整っているが共通の価値観が浸透していない、などといったズレが見つかる場合があります。
ステップ2:目標設定と改善計画の策定
課題が見えたら、同時にすべてに着手するのではなく、優先度の高いものから取り組みます。組織にとって影響度が大きい課題に集中したほうが、改善効果が出やすく、取り組みも続けやすくなるためです。
次に、「何を」「いつまでに」「どの状態にするか」という具体的な目標(KPI)を定め、それを達成するための行動計画(アクションプラン)を策定します。ただし、目標が曖昧過ぎると、実行後の評価が困難になり、改善が形骸化しやすいため注意が必要です。
ステップ3:実行と社内への浸透
改善計画を立てたら、実行に移します。ここで重要なのは、新しいルールやシステムを導入する際に、なぜ必要なのか、何を変えたいのかという目的と背景を経営層や管理職が説明し、現場の理解と協力を得ることです。
目的や背景が伝わらないまま進めると、やり方が変わって面倒になっただけだと受け止められ、運用が形だけになったり、反発が起きたりする恐れがあります。浸透を図るには、丁寧な説明に加え、現場の疑問を吸い上げる機会や運用上のフォロー体制も整えるのが理想です。
ステップ4:評価とモニタリング
実行後は、設定した目標(KPI)に対してどれだけ達成できたかを定期的に評価・測定します。数値で追える指標(生産性、離職率、欠勤率など)に加え、現場の声も把握しましょう。
評価手段としては、従業員アンケートを活用する方法があります。例えば、従業員の意欲や愛着を測定できるエンゲージメントサーベイは、施策が現場にどう受け止められ、どう行動に影響しているかを確認する上で有効です。
エンゲージメントサーベイについては、以下の記事でさらに詳しくご説明しています。
>>エンゲージメントサーベイとは?目的や導入メリット、実施のポイントを解説
ステップ5:改善と次のサイクルを回す
最後に、評価結果を踏まえて計画を修正・改善します。成果のあった施策は他部署にも展開し、組織全体に広げる(標準化する)ことで、再現性のある取り組みにできるでしょう。
一方、未達の課題や新たに見えた論点については、その原因を整理し直し、次の改善計画を立てて再度サイクルを回します。こうして改善を継続することで、組織マネジメントは単発の施策ではなく、さまざまな変化に対応し続けるための仕組みとして組織に定着していきます。
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組織マネジメントは変化に対応し続けるための土台づくり
組織マネジメントとは、単に人を管理したりルールを厳しくしたりすることではありません。企業が目標を達成するために組織を整え、ヒト・モノ・カネ・情報を最適に配分しながら、成果が出る状態をつくり続けるための取り組みです。
また、組織マネジメントは一度整えれば終わりではなく、現状把握→計画→実行→評価→改善のサイクルを回しながら運用していくことが重要です。自社の課題を客観的にとらえ、優先順位を付けて改善を積み重ねることで、変化に対応し続けられる強い組織をつくり上げることができます。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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