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属人化とは?原因やリスク、解消するためのステップを紹介
公開日:2026.03.26
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属人化とは、業務の進め方や必要な情報が特定の担当者に集中し、その人がいないと仕事が回らなくなる(滞ってしまう)状態のことです。短期的には詳しい人が素早く処理してくれるという強みにもなりますが、業務の停滞や品質低下、引継ぎ不能などのリスクにもつながります。
この記事では、属人化の原因やリスクを整理した上で、解消に向けた実践ステップや優先して取り組むべき業務などを分かりやすく解説します。
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目次
属人化とは
まずは属人化の意味を整理しつつ、関連する言葉(標準化・スペシャリスト・暗黙知)との違いを解説します。
属人化の意味
属人化とは、特定の業務の手法や進捗状況を担当者本人しか把握していない状態を指します。業務に必要な知識(ナレッジ)やノウハウ、進め方(プロセス)がマニュアルなどで共有・標準化されておらず、特定の個人の頭の中や経験・スキルに依存している状態のことです。
実際に属人化が起きている現場では、担当者が不在になると作業が止まる、引継ぎに時間がかかる、対応の品質にばらつきが出るといったような問題が生じ、組織全体に悪影響を与える恐れもあります。
属人化に関連する言葉
属人化には関連するいくつかの言葉があり、併せて押さえておくとより理解しやすくなります。
| 標準化 | 誰がやっても同じ品質・効率で業務を遂行できるように手順やルールを統一し、組織の仕組みに落とし込むことを指します。属人化の解消手段としては、この標準化が最も中心的な考え方です。 |
|---|---|
| スペシャリスト | 高度な専門知識や技術を持ち、組織に高い付加価値をもたらす人材を指します。スペシャリストの存在自体は本来、組織の強み(資産)となりますが、その専門性や判断基準が個人の中だけに留まり、他者が再現できない状態になると、結果として属人化につながる傾向にあります。 |
| 暗黙知 | 個人の経験や勘(カン)・コツ・感覚に基づいた、言葉や文章(マニュアル)で説明するのが難しい知識のことです。暗黙知が多い業務ほど教わっても再現しづらい業務になりやすく、属人化を引き起こしがちです。 |
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属人化が起こる主な原因
属人化は、担当者の能力や姿勢だけが原因で起こるものではありません。業務の性質や情報共有の仕組み、リソース状況などが重なることで、属人化がより生じやすくなります。ここでは、属人化が起こる主な原因を解説します。
業務の専門性・複雑性が高い
業務の遂行に高度な専門知識や長年の経験が必要な場合、他の人が簡単に代替できないため、結果として特定の個人のスキルや判断に依存しやすくなります。加えて、勘やコツといった言語化しにくい暗黙知が多い業務ほど引継ぎが難しくなり、属人化が進みやすい傾向にあります。
例えば、ベテラン職人の技術が必要な作業や、難解な社内システムの仕様を熟知しているエンジニアの対応などは、担当者以外ではすぐに代替が利かず、属人化が起こりやすい例です。
マニュアルや業務フローが整備されていない
業務の手順や判断基準、トラブル対応の方法が、マニュアル、手順書、チェックリストなどの文書として可視化・標準化されていない場合、情報が担当者の頭の中にしか存在しない状態になりがちです。この状態になると、周囲は何をどう進めればよいか分からず手が出せないため、結局その担当者に頼らざるを得なくなり、属人化しやすくなります。
人材や時間が不足している
組織全体が人材不足であったり、日々の業務に追われていたりすると、標準化に必要な工数を確保しづらくなります。マニュアルを作成する、後任へOJTで引き継ぐといった時間が取れない結果、標準化が後回しにされ続け、属人化が固定化・悪化していくケースは少なくありません。
担当者が情報を抱え込んでしまっている
担当者が「この知識は自分の存在価値(聖域)だ」「他人に任せるとクオリティが下がる」「自分が頑張って積み上げてきた知識だ」といった意識を持ち、あえて情報共有やマニュアル化をしないケースも考えられます。それにより業務プロセスがブラックボックス化すると、担当者の不在や退職がそのまま組織のリスクにつながります。
属人化が引き起こすリスク
属人化は、業務の継続性や生産性、品質、人材育成にまで影響します。ここでは、属人化が組織に引き起こす代表的なリスクを解説します。
業務の停滞・停止につながる
属人化が進むと、業務の進め方や必要な知識が特定の担当者の頭の中にしかなくなり、業務がブラックボックス化します。担当者が急な休暇を取ったり退職・異動で不在になったりすると、対応できる人がいなくなり、業務が突然止まってしまう恐れがあります。
業務効率の低下と業務遅延につながる
この作業はあの人にしかできない、という状態になると、関連する仕事がその一人に集中し、手順がスムーズに進まなくなります。その結果、対応待ちの業務が発生し、チームや組織全体の業務が遅延するリスクが高まります。
また、周囲は属人化している業務の手順を把握できないため、非効率なやり方に対する改善の提案ができる人がおらず、生産性が低いまま放置されてしまうケースも起こりえます。
品質の低下とミスの発生につながる
業務品質が担当者の経験や勘に依存すると、担当者のコンディション(体調やモチベーション)によって品質にムラが出たり、手順のばらつきによってミスが増えたりするなど、客観的な品質基準が整いにくくなります。
また、第三者のチェックが機能しにくい状態ではミスや不正が発見されにくく、問題が大きくなるまで見過ごされたり、表面化が遅れたりするリスクも高まります。
知識・ノウハウが組織に蓄積されない
担当者が長年かけて培った知識やノウハウ、失敗事例といった暗黙知が共有されないままだと、担当者の退職や異動と同時に、組織の貴重な資産も失われてしまいます。結果として、過去と同じ失敗をくり返したり、業務レベルが下がったりして、組織全体の学習が進みません。
人材育成の停滞につながる
ノウハウが特定の個人に集中し共有されないと、後任や周囲のメンバーが育ちにくくなります。マニュアルがない、教えてもらえない状態では、業務を学ぶ機会自体が限られ、組織全体のスキルの底上げが進みません。いつまでも人材層が厚くならず、将来的な競争力の低下につながる恐れもあるでしょう。
担当者自身が疲弊してしまう
属人化により業務負荷が一人に集中すると、担当者自身が心身共に疲弊し、休職や離職のリスクが高まります。自分が休むと業務が止まるというプレッシャーから休みを取りにくくなり、モチベーションやパフォーマンスの低下、ミスの増加を招くこともあります。
こうした状態が続くと、突然の休職や燃え尽き退職により、かえって業務停止リスクを誘発してしまう恐れもあります。
属人化のポジティブな側面
ここまでの説明の通り、属人化は一般的にネガティブな状態として捉えられがちです。しかし、状況によってはメリットとなる側面も存在します。
代表的なポイントが、品質とスピードの担保です。属人化が起こるということは、担当者がスペシャリスト(専門家)であるということでもあります。その場合、個人の高度なスキルや長年の経験、暗黙知(勘やコツ)によって、他の人には再現しにくい高品質なアウトプットや、圧倒的な作業スピードを実現できます。
ただし、これはあくまで短期的に見たメリットです。業務が個人に依存している以上、不在や退職によるリスクは残るため、強みとして活かしつつ、組織として再現できる形に落とし込むことが必要です。
属人化を優先的に解消するべき業務
属人化はリスクが大きい一方、すべての業務を一律に標準化するのは現実的ではありません。業務によっては専門性を活かすことが価値につながる場合もあるため、どこから解消に着手するべきかを見極めることが重要です。
ここでは、一般的に属人化を優先的に解消するべき業務についてご紹介します。
定型業務(ルーティンワーク)
定型業務(ルーティンワーク)とは、基本的に誰がやっても同じ結果になる業務です。それにもかかわらず属人化している場合、最もムダ(非効率)が発生しやすくなります。
具体的には、以下のような業務で発生しやすいです。
- 経理・財務
請求書発行、経費精算、入金消込、月次決算のデータ集計 - 人事・労務
勤怠締め、給与計算、入退社手続き、社会保険手続き - 一般事務
データ入力や各種発注業務、備品管理など
こうした業務は標準化しやすい領域であり、手順のマニュアル化やチェックリストの整備、ツール導入(RPAなど)によってすぐに自動化の効果が出やすい点が特徴です。
逆に、属人化したままだと担当者の独自ルールが生まれやすく、業務プロセスがブラックボックス化します。その結果、引継ぎが難しくなるだけでなく、ミスの発見が遅れたり、不正の温床になったりする恐れもあるため、優先的に解消しておきたい業務です。
顧客・取引先対応業務
顧客・取引先対応業務の属人化は、担当者の退職や異動がそのまま失客(顧客を失うこと)や取引停止に直結しかねない、特に危険度の高い属人化です。
「○○さんじゃないと話が通じない」といった状態は属人化が進んでいるサインであり、以下のような業務は特に注意が必要でしょう。
- 営業・セールス
特定の大口顧客との窓口対応、見積もり作成、案件管理 - カスタマーサポート
顧客からの問い合わせ対応やクレーム対応 - 受発注業務
取引先とのやり取りなど
属人化を解消するべき理由は、担当者のスキルやコンディションによって顧客対応の品質にばらつきが出ること自体が、企業の信用リスクに直結するためです。また、ノウハウが共有されないままだと、他の営業担当者やサポート担当が育たず、組織として顧客対応力が高まりません。
CRM(顧客管理システム)などを活用し、誰が・いつ・どのような対応をしたかを組織で共有できる仕組みを整えることが重要です。対応履歴や進捗が可視化されれば、担当の変更があっても品質を維持しやすくなり、失客リスクの低減にもつながります。
複数の部署が関わる業務
複数の部署が関わる業務で属人化が起きている場合、一人の担当者による特定の工程で業務が詰まってしまい、組織全体の生産性を大きく下げてしまう恐れがあります。部門をまたいで進む業務ほど影響範囲が広がりやすくなってしまうのです。
例えば、以下のような業務が該当します。
- 全社的な業務
稟議申請プロセスや契約書の法務チェックプロセス - 採用領域
募集から内定までの進捗管理 - 開発領域
新製品のリリース承認プロセス など
こうした業務で属人化が進むと、あの人の承認が下りないと次へ進めない、あの人に聞かないと今のステータスが分からない、といった状況が起こりやすく、結果として部門間に無駄な待ち時間が発生します。
この待ち時間は、単に手が止まるだけでなく、他部署の作業計画や顧客対応にも波及し、組織全体の遅延につながりかねません。そのため、業務全体の流れ(フロー)を可視化し、「誰のタスクがどこで滞っているのか」を見える状態にすることが重要です。併せて、ワークフローシステムなどを導入し、誰のタスクか、次に何をするべきかを明確にすれば、属人化による詰まりを減らし、組織全体が最適に業務を進めやすくなります。
属人化を解消する実践ステップと手法を紹介
属人化を解消するには、ブラックボックス化した業務を可視化し、標準化・仕組み化しながら、一人に依存しない状態をつくっていく必要があります。ここでは、属人化を解消するための実践ステップと有効な手法をご紹介します。
ステップ1:業務を可視化する
属人化の解消はまず、何をやっているかを正確に把握することから始めます。業務の全体像が見えないまま標準化に着手すると、重要な判断基準や例外処理が抜け落ち、かえって現場が回らなくなる恐れがあります。
可視化の方法としては、担当者へのヒアリングを通じて業務手順や判断のポイントを洗い出す、業務フローチャートを作成して工程と分岐を整理する、業務日誌や対応ログを残して実態を把握する、といった手段が有効です。ブラックボックスの中身をすべて洗い出す意識で、業務の手順だけでなく、例外対応やよくあるトラブル、判断の根拠も含めて棚卸ししましょう。
ステップ2:業務の標準化を行う
可視化で洗い出した内容をもとに、誰でもできる状態へ整えるのが標準化です。単に現状を文章化するのではなく、工程のムダや重複を省き、最適な手順を確立していくことがポイントです。
手法としては、マニュアル作成、チェックリスト化、手順書の整備などが代表例です。特に定型業務は標準化の効果が出やすいため、作業の順番、判断基準などを明確にし、誰が見ても同じように進められる形に落とし込みましょう。
ステップ3:業務の仕組み化を行う
標準化で手順を整えても、実行できなければ属人化は再発しやすくなります。そこで重要となるのが、業務を人に頼らない体制にしていく仕組み化です。マニュアルを守る努力だけに依存するのではなく、仕組みそのものでミスや抜け漏れを防ぐ設計に移行します。
手法・ツールとしては、ワークフローシステムの導入、RPAによる自動化、SaaSツールの活用、BPO(アウトソーシング)の活用などが挙げられます。例えば、申請・承認フローをワークフローに乗せれば、誰の承認待ちかが可視化され、担当者が変わっても業務が止まりにくくなります。くり返し作業はRPAやSaaSなどで自動化し、人が介在する箇所を減らせれば、属人化とミスの両方を抑えやすくなるでしょう。
ステップ4:複数で担当する
標準化・仕組み化が進んだら、次は、一人にしない体制をつくります。いくら手順が整っていても、実務経験が特定の人に偏っていると、休職・退職・繁忙のタイミングで業務が止まりやすくなります。ジョブローテーションやOJTを通じて複数の担当者が同じ業務を経験できるようにし、互いにフォローできる状態を目指しましょう。
特定の担当者が不在でも業務が回る、気兼ねなく休暇を取得できるような体制は、属人化の解消だけでなく、最終的には担当者の負担軽減や人材育成にもつながります。
ステップ5:定期的に見直しを行う
属人化の解消は、一度やったら終わりではありません。業務内容は、ツールのアップデートや法改正、組織改編などで変化します。マニュアルが更新されず古いまま放置されると、現場は次第に独自ルールで回りはじめ、再び属人化に戻ってしまう恐れがあるのです。そのため、定期的にプロセスを見直し、標準化した手順が本当に最適かを点検しなければなりません。
マニュアルが現状に合っているかの監査、担当者(特に新人)へのフィードバックヒアリング、マニュアルのここが分かりにくい、などといった声の収集、作業時間やミス件数など実績データの定点観測を行い、悪化の兆候がないかをチェックしましょう。
属人化の解消に取り組んだ企業の例
属人化の解消は、マニュアル作成のような標準化だけでなく、ツールの導入による情報の一元管理や引継ぎやすい業務設計までセットで進めることが重要です。参考として、属人化解消の成功事例を2つご紹介します。
成功事例1
ある企業では、経理業務が紙中心で、請求書や領収書などの管理が担当者に依存しやすい状態でした。また、情報が紙や個人のパソコンなどに保管されるため、他のメンバーが進捗や対応状況をすぐに確認できない点も問題となっていました。
そこで、会計処理や証憑類(請求書や領収書など)の管理をクラウド化し、データを組織全体で共有できる形に移行しました。紙を前提とした運用そのものを見直し、情報が特定の担当者だけに集まらないようにしたことで、業務の見える化と引継ぎやすさが進み、属人化リスクの解消に成功しました。
成功事例2
ある企業では、案件ごとの原価管理が十分にできておらず、発注・仕入などの購買管理も現場の一部担当者に依存していました。その結果、案件別の外注費を集計して把握しづらいなど、事業拡大の足かせとなりうる課題を抱えていました。
そこで、属人化から脱却するために業務情報を一元管理できる仕組み(ERPの導入)の整備を進め、案件ごとの原価管理や進捗の可視化を実現。特定の人員に依存しない運用体制が整ったことで、重要な役割を担っていた担当者が途中で退職した後もスムーズな引継ぎに成功しています。
また、案件の進捗が担当者以外でもタイムリーに確認できるようになり、各メンバーが自分の作業に集中しやすい環境も整いました。
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属人化を解消し、「個の力」を「組織の力」に変えよう
属人化は、特定の担当者に業務が依存し、業務停止や品質低下などのリスクを招きやすい状態です。一方、短期的にはスペシャリストの力によって品質やスピードが担保されるなど、メリットに見える側面もあります。だからこそ重要なのは、属人化をなくすこと自体を目的にするのではなく、どの業務を優先的に解消するべきかを見極め、現実的な手順で進めることです。
個人の経験やスキルは組織にとって貴重な資産です。その資産をその人だけのものにせず、チームで共有し、再現できる形に落とし込めれば、業務は止まりにくくなり、人材育成も進みます。属人化の解消をきっかけに、個の力を組織の力へ変える仕組みづくりに取り組んでみましょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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