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ITリテラシーとは?低いことで起こるリスクや高めるメリット・方法を紹介
公開日:2026.05.15
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ITリテラシーの重要性は理解しているものの、向上のために自社で取り組む必要性や方法が分からない担当者の方も多いのではないでしょうか。
ITリテラシーは、IT技術者だけでなくすべての社会人に求められる知識やスキルです。従業員のITリテラシーが不十分だと、事業の継続や成長に大きな影響を及ぼしかねません。
この記事では、ITリテラシーとは何かを詳しく解説し、従業員のITリテラシー不足がもたらすリスク、ITリテラシーの向上に取り組むメリットなどを解説します。自社でどのように取り組めばよいかもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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ITリテラシーとは?
ITリテラシーとは、情報技術(IT)を適切に理解し、業務で活用できる能力のことです。
デジタル化された社会ではたらくすべてのビジネスパーソンにとって、ITの知識やスキル、情報の活用能力は必須です。具体的には、ITを活用した新たなビジネス(サブスクリプションなど)やはたらき方(テレワークなど)への理解をはじめ、情報通信機器(パソコンやスマートフォンなど)やソフトウェア(文書作成ソフトやSNSなど)の基本操作と効果的な利用方法、情報の収集・発信などが該当します。
ITリテラシーの向上には、ビジネスで効果的にITを利活用する前提として必要となる、コンプライアンスやセキュリティ対策のすべての知識を備えることが求められます。
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デジタルリテラシーとの違い
ITリテラシーに近い概念として、デジタルリテラシーが挙げられます。一般的にはデジタルリテラシーが上位概念であり、その一部としてITリテラシーが位置付けられています。
ITリテラシーは情報技術の活用に焦点を当て、主に業務でITを利用するすべてのビジネスパーソンを対象にしています。一方、デジタルリテラシーは、デジタル技術に関する知識があり、活用する方法を知っていることを指します。データやデジタル技術を活用して新しい価値を創造したり、社会的な課題を解決したりする能力を含みます。
ITリテラシーの3つの要素
ITリテラシーは、大きく3つの要素で構成されます。
情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、インターネット上から業務に必要な情報を収集・整理し、分析・評価するまでのプロセスを適切に実行できる能力です。膨大な量の情報から必要かつ正確な情報のみを見極める力(情報の真偽判定)や、著作権などの法令や倫理への理解が求められます。
コンピューターリテラシー
コンピューターリテラシーとは、パソコンやスマートフォン、OS(基本ソフトウェア)、アプリケーションなどのハードウェア・ソフトウェアを操作し、業務で活用する能力です。WordやExcelなどのビジネスツールを効率的に使用し、トラブルが起きた際に初動の基本的な対処ができる知識やスキルが必要です。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーとは、メールやSNSの適切な利用方法やマナーなど、情報の発信に関する能力です。情報セキュリティに関する知識(パスワード管理、ウイルス対策、フィッシング詐欺への対処など)もネットワークリテラシーに該当します。
ITリテラシー不足がもたらす4つのリスク
次に、ITリテラシーの不足によって起こる可能性があるリスクをご紹介します。
情報漏えいとサイバー攻撃のリスクの増大
ITリテラシーの不足は、情報セキュリティにおける人的、技術的な脅威となります。
従業員のITリテラシーが不足していると、安易なパスワード設定や無断でのパソコン持ち出し、業務外でのファイル共有サービス利用(シャドーIT)などにより、さまざまなリスクにさらされる恐れがあります。こうした危機意識の欠如は人的な脅威ともいえ、費用をかけて技術的な対策を施しても情報漏えいのリスクは下がりません。従業員への教育は必須の取り組みです。
偽のWebサイトやメールに誘導して暗証番号を入力(フィッシング)させたり、ランサムウェアが仕込まれたファイルを開封させたりして個人情報や機密情報を盗み取る技術的な脅威も日常的に発生しているため、最新のセキュリティソフトなどで対策する必要があります。
情報収集や活用能力の低下
従業員のITリテラシーに差がある状態を情報格差といい、企業の意思決定の速さや質に悪影響を及ぼします。
インターネットやデータベースの効果的な活用方法を知らない従業員は、業務に必要な最新の情報や正確なデータを入手できず、企画立案や意思決定が遅れます。また、インターネット上で集めた情報(ニュース、SNS、専門記事など)の真偽を判断する能力が低ければ、フェイクニュースや誤ったデータを鵜呑みにして重大な判断ミスをする恐れがあります。
さらに、特定の従業員しかITツールを使いこなせない状況は、部署間・世代間で情報格差を生み出します。日常業務の連携不足を招く上、ビジネスの最新トレンドを更新できず、市場に参入する機会を失うことにもなりかねません。
業務効率の低下とコストの増加
あらゆる業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが求められる現代において、ITスキル不足は組織全体の生産性向上を妨げる恐れがあります。
表計算ソフトやグループウェアなどの基本的なツールを使えない従業員の業務プロセスは、IT技術を活用したデジタル化と組織風土改革による競争力向上(DX)を進める上でボトルネックになります。従業員からのツール活用に関する初歩的な問い合わせが増えれば、IT部門は本来注力するべき戦略的な業務をする時間が削られます。
また、ITリテラシーの低さは、自社のコスト増を招くことにもつながります。紙台帳の管理やデータの手入力は、デジタルツールでの管理や自動入力に比べて作業工数が増え、人件費が増加します。アナログな作業により従業員の残業時間が増えれば、追加で人を雇ったり、社内で対応できる業務を外注したりして、本来は不要なコストが継続的に発生する悪循環に陥ることもあるでしょう。
業務委託先や新しく導入するシステムの成果とコストを正確に比較検討できなければ、不要なコストが発生します。
法令違反や社会的信用の失墜
ITリテラシーにはコンプライアンスも含まれるため、知識の不足は法令違反や社会的な批判につながる恐れがあります。ITリテラシーの低さによって生じた一つのミスによって、消費者や取引先との信頼関係が回復不能な事態に陥ることも考えられます。
インターネットから取得した情報やSNSで発信する内容、業務委託先との取引に関連する法令(個人情報保護法や著作権法、下請法など)への意識が低いと、意図せずコンプライアンス違反のリスクが高まります。また、従業員による不適切なSNS投稿(誹謗中傷や個人情報、機密情報の漏えい)やランサムウェア感染による情報漏えいへの初動対応の遅れや不備は、企業の社会的信用を低下させる要因となります。
以下の記事では、適切なコンプライアンス体制を築くポイントをご紹介しています。
>>コンプライアンスとは?定義や具体的な違反事例を分かりやすく解説
企業がITリテラシーを高めるメリット
従業員のITリテラシー向上に企業が取り組むことでどのようなメリットが得られるのかを解説します。
業務プロセスの効率化
ITリテラシーが高まると、従業員が自主的に業務効率化に着手することが期待できます。RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)やクラウドツールを使いこなせるだけでなく、自身が担当する他業務への応用を検討し、システムの開発要件をIT部門の従業員に正確に伝えられるようになります。
日常的なルーティンワークやノンコア業務を自動化・簡素化し、より付加価値の高い業務に集中すれば、生産性は向上します。ペーパーレス化やデータの一元管理も容易になり、組織体制やオフィスの柔軟な変更が可能になります。
意思決定の迅速化
データ分析ツールの基本的な操作方法への理解や、データの意味を理解し価値の軽重を判断できるリテラシーがあれば、市場の動向や顧客のニーズをより正確に把握できるようになります。勘や経験ではなく、客観的なデータに基づいた意思決定(データドリブンな意思決定)によって、ビジネスのスピードと精度の向上が期待できます。
新規ビジネスモデルの創出と競争力強化
最新のデジタル技術(AI、IoTなど)に対する理解があれば、これらの技術を自社のサービスや商品にどのように取り入れられるかという視点が持てます。新しい商品やビジネスモデルの創出につなげられれば、市場における自社の優位性を高められます。
コミュニケーションの活性化
チャットツールやWeb会議システム、プロジェクト管理ツールなどを特性や目的に応じて利用できれば、社内外を問わず業務の連携が円滑になります。時間や場所にとらわれず、必要な情報を迅速かつ正確に関係者と共有できるため、チーム内のコミュニケーション活性化も見込めます。
従業員エンゲージメントの向上
煩雑で時間のかかるデータ入力などの手作業が自動化されると、残業時間の低減やコア業務へのリソース集中が実現します。ツールやシステムに対する理解が深まると、業務上の小さなストレスや不安も減ります。ストレスが減り、付加価値の高い業務に取り組めている実感が得られれば、やりがいや達成感を感じやすくなります。
ITリテラシーを高めるための具体的な方法
続いて、どのようにすれば従業員のITリテラシーを高められるか、対従業員の施策を中心にご紹介します。
個人のレベルを把握する
ITリテラシー向上施策の第一歩として、従業員一人ひとりの現在のスキルレベルを正確に把握する必要があります。全従業員を対象としたスキルチェックテストやアンケート形式のセルフチェックを行い、レベルを把握します。結果に基づき、教育プログラムのレベル分けや特定の知識が不足している層への集中的なアプローチを検討します。
体系的な教育プログラムを導入・提供する
従業員それぞれのレベルを踏まえ、段階的かつ包括的な教育プログラムを自社に導入します。新入社員向けの基礎編から、業務効率化ツール(Excelのマクロ、クラウドサービスなど)の解説、管理職対象のデータ活用講座まで、必要なタイミングで必要な講座を受けられるようにします。
対象者や目的に合わせて集合研修やeラーニングを使い分けると、受講者の参加率向上や負担感の低減につながります。座学だけではなく、実際に手を動かす体験(ハンズオントレーニング)を取り入れて、知識の確実な定着を図ります。
セキュリティと情報倫理の強化を行う
ITリテラシーで最もリスクに直結するのが、情報セキュリティと情報倫理です。フィッシング詐欺やランサムウェアなど最新の脅威事例を全従業員に共有し、抜き打ちの訓練も実施します。
個人情報保護法や著作権、社内機密情報の取り扱い、SNS利用時のマナーなどのコンプライアンス教育を徹底し、知識のアップデートと危機管理意識の向上を図ります。
個人情報保護法については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>個人情報保護法のルールや基本的な用語を分かりやすく解説
IT関連の資格取得支援を行う
IT関連資格の取得支援制度を設けると、従業員の学習意欲とスキル評価の客観性を高められます。ITパスポートなどIT全般の基礎知識を問うものから、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)のような実務に特化したものまで、職種に応じた推奨資格を定めることに加え、受験費用や教材費の補助、合格時の報奨金制度などを導入すれば、自律的な学習を促す大きな動機付けとなります。
実践の機会を創出する
学んだ知識を使えるスキルにするためには、業務で活用する機会を提供することが不可欠です。新しいクラウドツールや業務システムを導入する際、全従業員に権限を開放すれば、業務の中で試行錯誤しながら活用のシーンを増やすことにつながります。
業務の課題をITツールで解決することをテーマにグループワークやOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を積極的に行うことも有効な施策です。
スキルマップの作成と定期的な評価を行う
自社が求めるITリテラシーの水準を職種、職位別に明確化し、スキルマップを作成します。従業員は、自身のキャリアパスと照らし合わせ、何を学ぶ必要があるのかを具体的に把握できるようになります。
このスキルマップに基づいて、年次・半期ごとに個人のスキルを評価し、結果を教育プログラムの改善や人事評価に反映させ、PDCAサイクルを回します。
ITリテラシーを高めるための企業の取り組み
従業員のITリテラシーを高めるための企業の取り組みについて、環境や仕組みづくりを中心に解説します。
デジタル活用を促進するIT環境を整備する
従業員が最新の知識を学んでも、業務で使用するパソコンやシステムが古かったり、通信速度が遅かったりすると、学習や業務改善意欲の低下につながります。最新の業務用端末や使いやすいツールを揃え、ストレスなくITを利活用できる環境を、ハード面・ソフト面の両方で整えましょう。
社内でのナレッジ共有文化を醸成する
企業全体のITリテラシーを向上させるためには、一部の社員が持つIT知識やスキルを共有できる仕組みが必要です。IT部門主導による勉強会の立ち上げ、業務効率化事例の定期的な発信など、従業員同士が率先して教え合う風土を醸成することが大切です。
ITリテラシーに関する相談窓口を設置する
従業員が新しいツールやシステムの操作で困ったときにすぐに質問・相談できる窓口(ヘルプデスクやサポーター)を設けましょう。問題をすぐに解決し、初歩的な質問にも親切に対応してもらえたという経験を重ねることで、IT活用への従業員の心理的なハードルが下がり、業務の停滞が防げます。
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デジタル変革の推進にはITリテラシーを高めることが大事
ITリテラシーは、一部の従業員だけではなく、現代のビジネス環境では全従業員に必須の知識やスキルです。ITに関する最新の動向を把握し、ツールを使いこなしたり、インターネットで迅速に情報を収集したりすること、また法律や倫理を理解して遵守することが求められます。
従業員のITリテラシーを高めるための施策を導入し、ITリテラシー向上に自発的に取り組める仕組みをつくれば、社内の人材が育ち、組織全体でのデジタル変革が実現するでしょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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