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3C分析とは?目的や具体的な手順、見るべきポイント・活用事例について紹介

公開日:2026.03.26

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経営戦略を立てる際、客観的な視点から自社の課題を認識することは重要ですが、その認識を得る方法としてフレームワークを活用する企業も多いと思います。実際、世の中にはさまざまな分析のフレームワークがあります。

この記事では、そのフレームワークの一つである3C分析について、分析の流れや留意点などを詳細に解説します。

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3C分析の概要・目的

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字から取った、経営戦略や事業戦略を立案する際に用いられる分析フレームワーク(枠組み)です。外部環境と内部環境を客観的に把握し、確度の高い事業戦略の立案を可能にする、最も基本的かつ合理的な手法の一つとされています。

3C分析を取り入れると、外部環境が複雑かつ急激なスピードで変化する中でも、企業が市場で優位に立つためのカギ(=KSF:重要成功要因)を正しく設定できます。市場・顧客が欲している価値を知り、競合他社が何を提供しているか、または提供できていないかを把握し、自社のリソース(強み・弱み)を可視化できれば、自社だけが取れる戦略(勝ち筋)を導き出すことができます。

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3C分析の要素である3つの「C」とは

前述の通り、3C分析の3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字から取られています。それぞれ具体的に何を分析するのかを解説します。

Customer(市場・顧客)

Customerは外部環境の一つです。市場が存在しなかったり小さかったりすれば、多額の費用を投入して商品開発をしても回収できる見込みはありません。また、対象が学生なのか社会人なのかによって商品の価格が設定できる幅は変わります。時代の変化も考慮しなければなりません。サステナビリティへの関心が高まれば、原材料にもこだわる必要があります。

3C分析ではこのような、サービスや商品がターゲットとする市場の規模と成長性、顧客のニーズ、購買行動、価値観の変化などを分析・把握します。

Competitor(競合)

競合他社も外部環境に分類されます。自社とターゲットが近く同じジャンルの商品やサービスを提供する競合について、市場におけるシェア、事業戦略、強みや弱み(製品や価格、販売チャネルなど)、競合の経営資源(技術力、ブランド力)などを分析します。同じ切り口で複数の競合を分析します。

Company(自社)

Companyは内部環境で、3C分析の中で唯一コントロールできる要素です。競合の分析と同じ切り口で、シェア、強みや弱み、経営資源を分析します。競合の分析と比較することで、自社が保有している強みや成長余地がある対象、重点的に取り組まなければならない項目などが分かります。

自社の強みは、商品の売上や保有している特許数などの数字で評価できるものばかりではありません。組織力や、優秀な人材の層の厚さ、独自の企業文化、迅速な意思決定プロセスなどの人的資本は、客観的な評価が難しいですが、最もコアな自社の強みでもあり、他の企業が容易に模倣することができません。そうした要素も強みとして分析をします。

3C分析が活用される場面

続いて、3C分析が効果的に活用される場面を3つご紹介します。

新規事業や新市場へ参入するとき

新しい商品や、サービスを市場に出す前、新しい地域に進出する際などに3C分析は適しています。市場に顧客は本当にいるのか、強力な競合はいないか、自社の強み(技術力やブランド力)は通用するのか、などのポイントを客観的な視点から分析できます。

市場規模が大きくても、競合が圧倒的なシェアを持っている場合、参入しても顧客の選択肢にならない場合があります。無理に市場に乗り込んでも、多くの販売促進費が必要になったり、価格競争に巻き込まれたりする恐れがあり、参入のメリットは得られにくいでしょう。

異分野への新規参入を検討している場合は、自社が保有している技術力を活かせるのか、異分野でもブランド力が通用するのかを、3C分析を活用して十分に判断しましょう。

既存事業の戦略を見直すとき

3C分析は、すでに参入している市場において売上が下がってきた、新しい競合が出現してシェアが低下している、などの状況において、その要因を把握して戦略を見直すためにも有効です。ニーズの変化、競合の新しい戦略、自社商品やサービスに品質やブランド力の低下がないかなどを分析し、戦略を軌道修正できます。

節約志向の高まり、環境意識の向上など、よい商品、よいサービスの定義は時代と共に変化を続けています。また、商品の製造委託先をコスト低減の観点から変更したら品質が落ちた、新しい販促キャンペーンの不発なども、戦略見直しの契機となります。販売促進手法の変更、商品の性能向上、商品ラインアップの増減、価格帯の変更など、競合の変化も把握したうえで自社を分析しましょう。

具体的なマーケティング戦略を立てるとき

3C分析は、具体的なマーケティング戦略を検討する際にも有効です。特定の商品・サービスについて、誰に・何を・どのように売っていくか、そのポジショニングを決める際、自社しか持っていない強みを把握するために効果を発揮します。

また、顧客が求めているのに競合は提供できていない、自社だけが提供できる価値は何かという、いわゆるスイートスポットを見つけ出すためにも活用できます。

3C分析の具体的なやり方・流れ

3C分析は、正しいステップに沿って進めることでより精度の高い分析が実現します。以下の5つのステップに沿って進めましょう。

ステップ1:分析の目的とテーマを決定する

最初に、何のために3C分析をするのか、その目的を明確にしましょう。既存事業Aの売上低下の原因を探る、新規事業Bの参入戦略を立案する、商品Cのマーケティング施策を見直すなど、具体的に設定することで、より有効な戦略が立案できるようになります。

ステップ2:市場・顧客(Customer)の分析

次に、自社の商品やサービスがターゲットにしている(または、しようとしている)市場や顧客のニーズを分析します。市場をマクロ(全体像)、顧客をミクロ(個人)と捉え、社会全体の動きや変化と、それに影響を受ける個人の両方を分析します。

市場については、規模や成長性を分析します。この際に使用する分析手法がPEST分析です。「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の4つの切り口で外部環境を整理し、自社の事業活動に影響を及ぼす外部環境が今後どのように変化していくかを予測します。

顧客を分析する際は、より細かく、誰がどのようなニーズや不満を抱えているのか、商品をどうやって知るのか、商品を選ぶ基準は何か、どのようなステップで商品を購入しているか、といった購買決定プロセスで分析します。

分析には、AIDMA、AISASなどの手法が用いられます。自社の商品やサービスを購入する典型的な顧客像(ペルソナ)を設定することもありますが、机上で行う場合は、自社に都合がよい、実態とかけ離れた分析にならないよう注意が必要です。公的な機関が出す統計資料や消費者へのアンケート、インタビューによって情報を収集しましょう。

ステップ3:競合(Competitor)の分析

自社と商品やサービス、ターゲットが重複し、市場や顧客に与える影響が大きい競合他社が、どのような戦略に基づいて結果を出しているかを分析します。

まずは、競合の売上や利益、市場におけるシェアなど、事業活動の結果を知り、それが何によってもたらされているかを分析します。その上で、技術力やブランド力など、競合の持つ強みや弱み、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)、どのような戦略(価格、機能、チャネル)をとっているのかを分析します。

ステップ4:自社(Company)の分析

市場・顧客(Customer)と競合(Competitor)という外部環境を踏まえ、自社の強みと弱みを客観的に評価します。ここで重要なのは、ステップ2やステップ3と一貫性のある分析をすることです。

分析対象は、経営資源と戦略の大きく2種類に分かれます。技術力やブランド力、営業力(販売チャネル)、顧客基盤、財務基盤を競合と客観的に比較し、強みと弱みを見つけます。その上で、価格設定やプロモーション、サービス品質が競合と比べて優位性があるのか、あるいは劣っている部分があるのかを検証します。

ステップ5:KSFの導出と戦略の立案

Customer(市場・顧客のニーズ)とCompetitor(市場・顧客のニーズに対して競合が提供できないもの)の分析から、その市場で成功するための重要成功要因(KSF: Key Success Factor)を導き出します。

KSFに対してCompany(自社)の強みをどのように活かし、弱みを克服、あるいは回避して競合と差別化を図るか、具体的な戦略を立案します。競合と差別化できれば、その市場において独自の地位を持つと顧客から認知され、ブランドを築くポジショニングが実現します。

3C分析を成功させるためのポイントや留意点

3C分析の効果を最大化するためには、ご紹介したステップを踏むこと以外にも押さえるべきポイントがあります。そのポイントを5つご紹介します。

分析の順番に注意する

3C分析は、「Customer(市場・顧客)→ Competitor(競合)→ Company(自社)」の順で行いましょう。先に自社の分析から始めると、自社にはこのような強みがあるはずだ、このような商品を売りたいという内部の論理(思い込み)に引っ張られる恐れがあり、市場のニーズや競合の動きを見誤ってしまいます。

事実(ファクト)に基づいて分析する

分析の精度は、集めた情報の質で決定します。「~だと思う」「~のはずだ」といった希望的観測や主観(思い込み)が入ると、KSFの設定を誤り、間違った戦略によって自社に大きな損害が発生する恐れがあります。

3Cに限らず、あらゆる分析は客観的な事実(ファクト)に基づいて分析することが不可欠です。顧客の満足度について、「最近顧客は機能Aに満足していない気がする」といった曖昧な認識では、それが事実なのか、事実だとしても対策の必要性があるのかを判断できません。顧客アンケートを実施し、機能Aへの不満を40%の顧客が抱えている、などと分かれば、対策の必要性や緊急性、投入できる予算の規模などを判断できるようになります。

自社分析は客観的に行う

3つのCの中で最も主観(バイアス)が入りやすいのが自社の分析です。社内の人間は自社を過大評価(あるいは過小評価)しがちです。自社だけが認識していない弱みや、どの競合も持っていない圧倒的な強みに気付いていないケースは、決して珍しくはありません。

そのため、分析の順番を守ることや、客観的な事実に基づいて分析を行うことは非常に重要です。外部環境から分析を始めると、自社を相対的かつ客観的に理解できるようになります。

分析のための分析で終わらせない

3C分析でよくある失敗が、分析だけで終わってしまうことです。時間とコストをかけて市場や競合を詳細に分析し分厚いレポートを作った、という結果に満足してしまう傾向がよく見られます。こうした失敗をなくすためには、得られた結果から自社が勝つための行動(戦略)を設定することが大切です。

また、外部環境や内部環境の変化に沿った戦略を打つために、分析に時間をかけ過ぎないことも大切です。

定期的に3C分析を見直す

外部環境も内部環境も日々刻々と変化を続けています。一度分析したら終わりではなく、定期的に、または社会の大きな変化のタイミング(技術の著しい進化、国際情勢の急激な変化、物価の高騰、特定アプリの普及によるトレンドの変化など)のたびに分析を見直し、自社の戦略が現在も有効か、軌道修正が必要かを検証し続けることが重要です。

3C分析の活用事例

最後に、3C分析を有効に活用した事例を2つご紹介します。

EV市場の停滞を見極め、HV車でシェアを奪還

世界規模で展開する自動車メーカーにおいて、急激な市場変化に対応し、ハイブリッド車(HV)でシェアを拡大した事例です。
この自動車メーカーでは、以下のような3C分析を行い競合他社から顧客を呼び込む戦略の実行へとつなげました。

3C分析の整理
Customer(市場・顧客)
  • 市場は全世界。国や地域により、セダン・SUV・コンパクトなど好みが分かれる
  • 北米・欧州を中心に、EV(電気自動車)需要が当初予測より伸び悩んでいる
Competitor(競合)
  • 海外・国内メーカーに加え、参入障壁の低いアジア圏の新興EVメーカーが台頭
  • EV生産に注力していた競合他社は、需要停滞により戦略変更を余儀なくされている
Company(自社)
  • 地域ごとの好みに合わせた商品展開力と販売網がある
  • 独自の製造技術と人材育成により、高品質かつ低コストで製造することが可能
  • 需要変動に強い、豊富なラインナップ(ガソリン、HV、EVなど)を持つ

分析結果・戦略

競合が手薄になりつつある「HV車市場」に勝機があると判断し、自社の強みである「需要変動への対応力」を活かしてHV車の生産比率を引き上げ、EV一辺倒で迷走する競合他社から顧客を呼び込む戦略を実行しました。

コスト高と安さへのニーズ、両方に対応する二極化戦略

あるハンバーガーチェーンでは、物価高騰への対策として3C分析を行いました。 市場・顧客である学生や会社員は「安くて早い食事」を求めていますが、競合である他チェーンやコンビニも価格競争や高級化でしのぎを削っています。 自社は、圧倒的な店舗数と提供スピードが強みですが、昨今の原材料・人件費の高騰により、従来の「安さ一本」の勝負では利益確保が難しくなっていました。

3C分析の整理
Customer(市場・顧客)
  • 学生、会社員、ファミリー層が中心
  • 「安く・速く・手軽にお腹を満たしたい」「子供と楽しく過ごしたい」というニーズを持つ
Competitor(競合)
  • 他のファストフードやコンビニエンスストア
  • 競合他社は、高級路線や特定商品への特化などで差別化を図っている
Company(自社)
  • 圧倒的な店舗数と提供スピードが強み
  • 「安さ」が価値だが、物価・人件費高騰により利益圧迫が課題となっている
  • 高い商品企画力を持つ

分析結果・戦略

強みである「商品企画力」を活かし、高単価な季節限定メニューで客単価と利益率が向上。一方で、平日の時間限定で割安なセットメニューを投入し、ボリューム層(学生・会社員)の「安く済ませたい」というニーズも逃さない体制を構築しました。

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3C分析で自社の勝ち筋を見つけよう

3C分析は、自社が重要な意思決定を行う際、その決定に勝算があるかどうかの根拠となります。外部環境と内部環境を客観的な事実に基づいて評価することで、確度の高い戦略の決定ができ、事業の成長に結びつけることができます。

また3C分析は、KSFの策定につなげることで意味を持ちます。分析のための分析で終わらせず、定期的な見直しが必要です。自社の強みを最大化するため、ぜひ3C分析を有効に活用し、時代の変化や競合の戦略に負けない、強い事業戦略を構築しましょう。

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監修者

HRナレッジライン編集部

HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。

編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。

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