派遣社員とは? はたらき方のしくみ・メリット・正社員との違いを紹介

2025.06.05更新
派遣社員とは、どのようなはたらき方なのでしょうか。正社員との違いや派遣社員としてはたらく魅力について、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、派遣社員のはたらき方の特徴や魅力についてご紹介します。
派遣社員とは?正社員や他の雇用形態との違い
派遣社員は正社員やアルバイトと何が違うのか、それぞれの雇用形態のしくみについて説明します。
派遣社員とは?
派遣社員は、派遣元企業である派遣会社と雇用契約を結んではたらきます。そのため給料も派遣会社から支払われます。しかし、就業先は派遣先企業となり、仕事の指示は派遣先企業から直接受けます。
派遣社員は派遣法で雇用期間が定められており、原則として同じ就業先に勤められるのは最長3年となります。3年ルールとも呼ばれるこの決まりは、あらたな仕事へのチャレンジを促進し、雇用の安定やキャリアアップを目的としています。
また、さまざまな条件で仕事が選べるため、未経験からチャレンジしたいなど自分の希望に合った仕事に出会えます。また派遣会社が仕事探しから、就業中までをサポートしてくれるため、一人での転職ではない安心感が得られます。
このように柔軟なはたらき方と派遣会社による手厚いサポートを受けられる点が派遣社員の特徴です。
派遣のしくみとはたらき方の特徴
派遣のしくみ

派遣社員には、派遣先企業と派遣元企業(派遣会社)という2つの会社が関係します。
雇用主にあたるのは、派遣社員と雇用契約を結ぶ派遣会社です。派遣会社は雇用主として、派遣社員に給料の支払いや仕事の紹介、派遣先との調整・交渉などを行います。また、スキルアップのための研修を実施することもあります。
一方、派遣先企業は、派遣会社との契約に基づき、必要なスキルや経験を持つ人材を受け入れます。派遣社員が実際にはたらく職場となり、日々の業務の指示や管理を行います。
実際の雇用契約を結ぶのは、あくまで派遣会社です。雇用契約を派遣会社と結ぶ点が、企業と直接雇用契約を結ぶパートやアルバイトとは異なります。
登録型派遣と常用型派遣、紹介予定派遣の違い
派遣には以下の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- 登録型派遣
- 常用型派遣
- 紹介予定派遣
登録型派遣は有期雇用派遣とも呼ばれており、派遣先ではたらく期間のみ雇用関係が発生します。派遣会社に事前に登録しておき、就業先が決まった時点で派遣会社と雇用契約を結びます。派遣の契約期間の終了とともに派遣会社との雇用契約も終了します。
常用型派遣は、派遣会社と期間の定めを設けない雇用契約を結ぶはたらき方です。派遣先の就業期間が終了し、あらたな派遣先が決まるまでの待機中も派遣会社との雇用契約が継続します。待機中にも給料が発生しますが、常用型の契約をするには選考が必要なケースが一般的です。
紹介予定派遣は、派遣先の企業との直接雇用を前提にしたはたらき方です。派遣期間が終了した後は双方の合意のもとで直接雇用に切り替えることができます。
他の雇用形態との違い
正社員との違い
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結ぶのに対し、正社員は就業先企業と直接雇用契約を結びます。派遣社員は原則3年までの有期契約であるのに対し、正社員は期間の定めがない無期契約となります。
仕事内容や勤務地を柔軟に選ぶことができる派遣社員に対し、正社員は異動や転勤の可能性があるなど、就業条件を希望通りにすることが難しい傾向があります。
契約社員との違い
正社員と同じく、契約社員は就業先企業と直接雇用契約を結びます。雇用期間は派遣社員も契約社員も原則最長3年ですが、契約社員は条件によっては5年を超える就業もできます。
給料に関しては、派遣社員は時給制、契約社員は月給制が多く見られます。
パート・アルバイトとの違い
パートやアルバイトは就業先企業との直接雇用となります。雇用期間は派遣社員もパート・アルバイトも最長3年ですが、パート・アルバイトの場合は更新による延長もできます。
派遣社員のはたらき方が向いている人の特徴
派遣社員は希望に応じて柔軟なはたらき方ができますが、向いている人もいればあまり合わないと感じる人もいるかもしれません。ここでは、派遣社員に向いている人の特徴をご紹介します。
ワークライフバランスを優先したい人
派遣ではたらく場合、派遣会社と派遣先企業での契約で業務内容が定められており、契約外の早出や残業をする必要はありません。正社員よりも短い労働時間になる場合もあり、プライベートの時間をしっかり確保できます。空いた時間は休息のためだけでなく、習いごとや資格勉強などのスキルアップにも活用できます。
未経験からあたらしい仕事に挑戦したい人
全くの未経験から正社員として転職を成功させるのは容易ではありませんが、派遣社員の場合は、業界や職種未経験からはたらける求人も多くチャレンジしやすい傾向があります。また、派遣会社ではスキルアップに関する研修制度も充実しており、基礎講座を受講してから業務を開始できるケースもあります。紹介予定派遣なら、最長6ヶ月の派遣期間終了後、双方合意の上で直接雇用に切り替えることも可能です。
期間を区切ってはたらきたい人
はたらく時間や期間の自由度が高く柔軟にはたらける点は、派遣社員ならではのメリットです。
正社員の期限の定めのない契約は、退職の時に引き止めにあったり、後任への引継ぎが長引いたりと、簡単に辞められない場合もあります。また、契約社員は契約期間中に退職することが原則としてできないしくみです。
その点、派遣社員は定められた派遣期間が終われば雇用契約も終了になるため、短期間だけ集中してはたらきたい人に向いています。「留学までの期間だけはたらきたい」など、次のステップや仕事を辞めるタイミングが決まっている人は、有期雇用の派遣社員が向いているでしょう。
キャリアチェンジを考えている人
派遣会社では、未経験の業界や職種ではたらく人に対して研修を実施していることがあり、スキルを身に付けた状態ではたらき始めることができます。未経験からいきなり正社員として転職するのはハードルが高いですが、派遣社員であれば比較的簡単にスタートでき、はたらきながら現場のスキルを身に付けることも可能です。未経験の業界や職種にキャリアチェンジしたい人は、派遣社員のはたらき方が向いているでしょう。
子育て・介護など家庭との両立を重視する人
正社員の場合、残業や休日出勤が発生するなど、子育てや介護との両立が難しい場合があります。
一方、派遣社員は、1日数時間だけはたらく、週3~4日のみはたらくなど柔軟なはたらき方ができ、残業や休日出勤のない契約にもできます。残業せずに決まった時間に退社できれば、仕事が終わった後の時間を子育てや介護に使いやすいでしょう。
介護については、正社員でなくても1年に最大で5日間の休みを取得できる介護休暇や、長期の休みが取れる介護休業も利用できます。

派遣社員のメリット・デメリット
派遣社員としてはたらくメリット・デメリットを知り、はたらき方の理解を深めましょう。
派遣のメリット
そのときどきの希望で仕事が選べる
自分の希望に合わせて仕事を選べることは、派遣社員の大きなメリットです。自分の希望する条件に合わせて勤務地や時間、日数などを選択でき、契約期間も短期から長期まで選べます。
そのときの優先したい条件に合わせて、柔軟なはたらき方を実現できます。
未経験からスタートしやすい
派遣の仕事は、特定のスキルや経験がなくてもチャレンジできる仕事が多くあります。派遣会社によっては講座や研修が用意されているので、未経験から必要なスキルの習得を目指すこともでき、安心してはたらけます。
さまざまな職場や仕事を経験できる
派遣会社では取り扱う業種・職種も幅広く、さまざまな職場や仕事を経験することができます。自分の視野をさらに広げることで、将来的なキャリア形成にも大きなプラスになるでしょう。
派遣会社のサポートがある
派遣会社では、安心してはたらけるようにさまざまなサポートが用意されています。仕事探しの際には、求人サイトでは得られない企業の職場環境や仕事内容についての情報を聞くことが可能です。就業中に困難が生じた場合も相談に応じ、解決に向けて就業先企業との調整を行うなど、安心してはたらけるサポート体制が整っています。
福利厚生が充実している
派遣社員としてはたらく場合、派遣会社の福利厚生が受けられます。社会保険※、健康診断、有給休暇に加え、産休や育休制度も整備されています。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上で、2ヶ月を超える契約期間が見込まれるなどの条件があります。
専門的なスキルを活かせる仕事が多い
専門的なスキルを活かせる仕事が豊富にあることも派遣の特徴です。専門知識や経験を活かせる仕事に就くと、即戦力として就業先企業からの評価も高まるでしょう。また、派遣での経験を自分のキャリアとして積み重ねていくことができます。
はたらきたいときに、すぐはたらける
派遣会社では即日スタートの仕事も取り扱っているため、はたらきたいタイミングですぐにはたらき始めることができます。派遣会社にもよりますが、即日スタートというのは一般的に就業決定からおおむね10日以内に就業開始できるケースを指します。
派遣のデメリット
契約期間に上限がある
派遣社員は3年を超えて同じ就業先ではたらき続けることは原則できないため、同じ職場で長くはたらき続けたい人にとってはデメリットに感じるでしょう。
一方で、3年を区切りに別の就業先やあたらしい仕事にチャレンジでき、さまざまな経験を積むことができます。
また、派遣社員としてはたらいた後、同じ就業先で正社員や契約社員を目指せる、紹介予定派遣というはたらき方もあります。
裁量の大きな仕事をする機会が少ない
契約の際に仕事の範囲が決まっているため、裁量の大きな仕事をする機会が少ない傾向があります。裁量を持って仕事を進めたい人には物足りないかもしれません。一方、決められた範囲の仕事に集中したい人にとってはメリットにもなります。
時給制であることが多く、出勤日数によって収入が変動する
派遣社員の給料は時給制が多いため、出勤日数によって収入が変動します。祝祭日や夏季・年末年始の休暇など、休日が多い月は収支のバランスに気を付けましょう。
就業先企業によってはたらく環境などが異なる
はたらく環境は、派遣先企業によってある程度左右されます。出退勤の時間帯や職場のルール、使用する設備などは派遣先によって違いがあるため、派遣先が変わった当初は慣れるまでに多少の時間が必要になるかもしれません。

派遣社員としてはたらく魅力と職種
派遣社員としてはたらくと、どのような魅力があるのでしょうか。就業先や職種について見ていきましょう。
派遣先の会社は大手が多い傾向にある
日本人材派遣協会の調査によると、派遣社員が勤務する派遣先企業は、従業員数1,000人以上の大規模企業が46.2%を占めています。多くの派遣社員が大企業ではたらいていることからも、幅広い企業を選択肢として検討できる環境が整っていると言えるでしょう。
出典:一般社団法人日本人材派遣協会の2023年度派遣社員WEBアンケート調査
派遣社員が多い職種
派遣社員が活躍する職種はOA事務が最も多く、32.2%を占めています。OA事務の主な仕事内容は、パソコンを使用したデータ入力や文書作成、電話対応などで、コツコツと自分のペースで仕事がしやすい職種です。その他にも庶務事務や経理事務など、事務職が上位を占めています。

出典:一般社団法人日本人材派遣協会の2023年度派遣社員WEBアンケート調査
派遣社員としてはたらく将来性
派遣社員ではたらく場合でも、将来のためにキャリアアップを考えることは非常に大切です。
かつて、派遣社員は正社員と比較してキャリアアップ研修を受けられる機会が多くありませんでしたが、2015年の改正派遣法によって、現在では派遣社員のキャリアアップ支援が派遣会社の義務となりました。派遣会社に雇用されてはたらきながら、教育研修、キャリアカウンセリングなどのキャリアアップ教育を受けることができます。
派遣社員としてはたらきながら、将来を見越してスキルアップすることも十分に可能と言えるでしょう。
派遣から正社員への転職は可能?
派遣社員としてはたらきながら正社員に転職する方法には、大きく以下の3つの方法があります。
- 正社員の求人に応募する
- 紹介予定派遣ではたらく
- 派遣先で正社員に登用される
1つめは、派遣社員としてはたらきながら契約更新や終了時期のタイミングを合わせて転職活動をおこない、正社員の求人に応募する方法です。採用試験や面接を通過すれば、正社員として雇用されます。
2つめは、紹介予定派遣ではたらく方法です。最長約6ヶ月の派遣期間の後に派遣先企業が派遣社員を正社員として直接雇用する制度であり、仕事内容や職場環境を知り経験も積んだ後で正社員になれるメリットがあります。また、直接雇用に不安を感じる場合は正社員雇用を辞退することも可能です。
3つめは、派遣社員としてはたらいている企業に正社員として登用してもらう方法です。派遣先の企業によっては正社員登用制度が設けられており、筆記試験や面接に合格すれば正社員として雇用してもらえます。派遣社員としてのはたらきぶりを企業の採用担当者が把握した状態で登用試験に挑めるため、通常の転職活動よりも正社員として迎えてもらいやすいでしょう。
キャリア形成の考え方
派遣社員としてはたらいている方がキャリア形成を考える場合は、一例として以下の手順でキャリアアップが狙えます。
- 自分の今のキャリアを分析してキャリア形成の方向性を決める。
- 派遣会社でキャリアアップの相談をしてみる。
- より専門的な知識や資格取得によるキャリアアップを目指す。
まず、これまでの派遣社員としての経験をもとに、どのようなキャリアアップをするかを決め、キャリアアッププランとして書き出しましょう。派遣社員から正社員を目指す方法の他、派遣社員のままで専門知識を身に付けて専門分野で活躍することもキャリアアップの一つです。
次に、所属している派遣会社にキャリアアッププランについて相談しましょう。派遣会社で実施しているカウンセリングを受けることで、より正確なキャリアアッププランを作成できます。
キャリアアッププランに基づいた研修を派遣会社で受けることも可能です。基礎的なビジネスマナーやOA機器に関する研修の他、派遣先での業務に必要な知識を得るための研修に参加できる場合もあります。希望するキャリアによっては、専門スクールとの提携や資格取得の補助などの支援を受けながら、次の仕事探しやさらなるキャリアアップも可能です。
派遣社員の登録から就業までの流れ
実際に派遣社員としてはたらく場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。登録から仕事決定、就業後のサポートまでを分かりやすく説明します。
派遣会社に登録する
派遣社員としてはたらくには、まず派遣会社に登録する必要があります。Web上で完結する方法や、担当者とWebや電話などで面談をする方法もあります。
情報入力・仕事エントリー
登録する際に、希望条件や職歴、経験、スキルなどを入力します。自分で希望の仕事を探して仕事へエントリーすることもできます。
仕事案内
希望条件に合う仕事が見つかった場合は、担当者から案内があります。仕事内容や条件、はたらく環境などについての詳細な説明もあるので、自分の希望と合っているか、最終確認ができます。自分に合いそうな職場かどうかを判断しましょう。
就業決定・開始
意向の確認が済み就業が決定すると、必要書類を準備し契約手続きを終えて、いよいよ就業開始となります。
就業中・就業後のサポート
はたらいている間も、担当者に相談ができます。就業先に直接伝えにくいことなども、担当者が間に入ってフォローします。
さらに、契約終了時には、次の仕事探しのサポートをしてくれる派遣会社も多く、あらたな仕事探しも安心して進めることができます。
また、福利厚生やスキルアップのサポートも充実しています。さまざまな研修や講座があり、安心してはたらける環境が整っています。

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派遣社員の特徴やメリットについて解説してきました。
派遣ならではの特徴を理解して活用することで、自分の希望に合った柔軟なはたらき方ができるでしょう。派遣社員としてさまざまな仕事の経験を積むことは、キャリアアップにもつながります。
テンプスタッフでは、派遣での就業がはじめての方や、未経験の業界・職種にチャレンジしてみたい方にも安心してはたらける環境が整っています。
さまざまな雇用形態や職種・業界の仕事があるため、細かい条件に合わせて自分に合ったはたらき方が選べます。
勤務時間や勤務地、仕事内容、在宅勤務など、さまざまな希望条件で仕事が選べます。
紹介予定派遣は派遣社員として一定期間はたらき、仕事内容や就業環境を見極めてから、就業先企業と双方合意のもと正社員や契約社員となれるはたらき方です。
社会保険はもちろん、有給などの休暇制度、定期健康診断などのヘルスケアに加え、日常から休日までをサポートするお得な優待サービスもあり、安心してはたらくことができます。
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