時短勤務(短時間勤務)とは?対象者や適用期間、メリット・デメリットを解説|派遣の求人検索・人材派遣会社はテンプスタッフ

時短勤務(短時間勤務)とは?対象者や適用期間、メリット・デメリットを解説

2025.12.03更新

近年、育児や介護のために時短勤務(短時間勤務制度)を選択する人が増えています。育児・介護休業法の改正などを背景に女性活躍促進が進む中、はたらきやすい職場環境を構築する企業が増えてきています。

ここでは、時短勤務の制度について、対象となるケースや取得時の手続き、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。

時短勤務(短時間勤務)とは

時短勤務(短時間勤務)は、子育てや介護と仕事の両立支援を目的に作られた制度です。育児・介護休業法という法律で定められており、子どもが3歳に満たない労働者に対して短時間勤務制度を設けることを一定の事業主に義務づけています。

企業の所定労働時間は多くの場合8時間ですが、一定の条件を満たせば1日の労働時間を短縮することもできます。

時短勤務制度の導入背景

時短勤務制度が導入された背景には、急速な少子高齢化があります。

従来の日本企業では、仕事と家庭の両立を支援する制度がほとんどありませんでした。しかし、少子高齢化による労働人口減少の社会課題の広がりを受け、労働者が仕事と育児・介護を両立しやすくなるよう、2009年から企業への導入が義務づけられました。

時短勤務は希望者が取得しやすい法改正が行われています。例えば2023年の法改正では、育休や時短勤務を取得しやすくなる環境整備として、研修による従業員への周知か相談窓口の設置のいずれかを行うよう、企業に要請しています。

また2025年4月からは、2歳未満の子どもを養育するため時短勤務を行った場合、原則として時短勤務前の賃金の10%が給付される育児時短就業給付がスタートしました。

『厚生労働省令和6年 育児・介護休業法のあらまし』

1日あたりの所定労働時間は6時間

時短勤務の所定労働時間は原則1日6時間です。時短勤務が適用されている期間の残業は、残業免除の申請をすれば断ることができます。会社側も残業の強制はできません。

また、時短勤務中の給与は、所定労働時間の減少に比例して基本給が減額されます。短縮した時間分だけ減額されますが、時間当たりの単価は通常の勤務と変わりません。

時短勤務中の基本給の計算式は以下の通りです。

基本給×時短勤務時の所定労働時間÷本来の所定労働時間

例えば、1日の所定労働時間が8時間から6時間に短縮された場合、基本給も所定労働時間の短縮に合わせて通常の75%に設定されます。

時短勤務の対象者・適用期間

時短勤務は誰にでも適用される訳ではありません。以下の条件に当てはまる人は時短勤務の条件から外れる場合があります。

  • 日々雇用されている人
  • 勤務日が週2日以下
  • 1日の勤務時間が6時間以下
  • 同じ会社での勤務期間が1年未満
  • 短時間勤務制度の適用が困難と認められる業務に従事する労働者

一方、上記に該当する人でも、一定条件を満たせば時短勤務が適用されます。また、時短勤務の対象者や適用期間は、時短の理由が育児か介護かによっても異なります。詳しく見ていきましょう。

育児による場合

育児による時短勤務の対象者は以下の通りです。

  • 3歳に満たない子を養育する労働者であること
  • 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  • 日々雇用されていないこと
  • 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
  • 労使協定により適用除外とされていないこと

3歳未満の子どもを養育しており、現在の企業でフルタイム勤務をしている人なら、基本的に時短勤務の対象に含まれます。

育児による時短勤務の適用期間は、子が3歳に達するまで(子の3歳の誕生日の前日まで)が原則です。子どもが3歳を迎えたら、通常は時短勤務前の労働時間に戻ります。

ただ、3歳を過ぎても幼稚園や保育園の送迎を理由に時短勤務を希望する人は少なくありません。そうした要望を受け、時短勤務の期間を小学校就学前まで延長する企業もあります。

介護による場合

介護による時短勤務の対象者は以下の通りです。

  • 要介護状態にある家族を介護していること
  • 日々雇用されていないこと
  • 現に介護休業をしていないこと
  • 労使協定により適用除外とされていないこと

ここでいう家族には、事実婚を含む配偶者、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。

介護の時短勤務(短時間勤務制度)は、対象家族1人につき3年以上の期間で2回以上取得できます。また、企業によってはそれを超えて時短勤務を認める場合もあります。

時短勤務の給与はいくらになる?

時短勤務では、はたらき方によって給料が減少する場合と減少しない場合があります。例えば、以下のいずれかのはたらき方の場合、短くなった勤務時間に比例して基本給が減少します。

  • 固定時間制
  • フレックスタイム制
  • 時給制

上記の3つは一定期間の総労働時間をもとに給料が設定されるため、時短勤務で労働時間が短くなった分だけ給料は減額されます。

一方、以下のはたらき方の場合は時短勤務でも給与は減りません。

  • みなし労働時間制
  • 成果報酬制

なお、社会保険料は4〜6月の報酬月額を基準に標準報酬月額が決まるため、時短勤務を開始してもすぐには変更されない場合があります。

育児休業後の時短勤務については社会保険料の減額措置が適用され、育児を理由に低下した報酬に合わせた社会保険料額に改定できます。ただし、被保険者の人が会社を通して手続きが必要です。

時短勤務の申請方法

時短勤務ではたらくためには、勤務先への申請が必要です。ここでは、時短勤務の申請手続きについて具体的な方法を解説します。

時短勤務を勤務先へ申請するまでの流れ

時短勤務を勤務先に申請するまでの流れは以下の通りです。

  • 自身が時短勤務の対象条件に当てはまっているか確認する
  • 就業規則や就業規定に目を通し、時短勤務の申請期限を確認する
  • 勤務先に時短勤務を検討している旨を伝える

時短勤務に申請期限を設けている企業もあるため注意が必要です。不安な点がある場合は上司や人事に確認し、期限までに申請を進められるようにしておきましょう。

時短勤務を勤務先へ申し出た後の手続き

勤務先に時短勤務を申し出た後は、勤務先との間で以下の手続きを進めていきます。

  • 勤務先から短時間勤務申請書を受け取る
  • 短時間勤務申請書に必要事項を記入し、勤務先に提出する
  • 時短勤務が承認された場合、短時間勤務取扱通知書が届く

申請内容に誤りがあると修正に時間が取られ、時短勤務の承認が遅れる可能性があります。上司や人事・総務と確認の上で記入を進めていきましょう。

時短勤務のメリット

時短勤務ではたらけば、仕事と子育て・介護が両立しやすくなります。自分の理想のはたらき方が実現できる時短勤務のメリットを詳しく見ていきましょう。

ワークライフバランスが取りやすい

出勤時間が遅くなる、あるいは退勤時間が早くなることで、子どもの送迎や介護、家事全般に時間の余裕が生まれます。工夫次第では自分のスキルや知識を増やす時間を確保できます。

同じ会社でキャリアを継続できる

長期的に見れば、仕事を辞めずに育児や介護が落ち着いた後にフルタイム勤務に戻ることができ、精神的な余裕にもつながります。同じ会社に勤務し続けることで、社内での人間関係や業務の知識を維持しつつ、キャリア形成を長期的に計画しやすくなります。

時短勤務のデメリット

時短勤務は育児や介護を抱えた従業員にとって多くのメリットがありますが、デメリットもあります。利用する前に知っておきたい時短勤務のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

収入が減少する

総労働時間によって給与が決まる場合、勤務時間を短縮すれば、その分だけ収入が減少します。所定労働時間が8時間から6時間に短縮される場合、給与額は通常の75%となります。時短勤務を検討する場合は、収入が減少した場合の生活への影響を事前に確認しておきましょう。

周囲との情報連携に工夫が必要になる

時短勤務者は一部の時間帯ではたらくため、時間帯によっては上司やチームメンバーとの情報連携に工夫が必要です。円滑に情報連携できるよう、業務の進め方について事前に相談したり、情報共有の効率化を図るためのツールの活用を会社側に提案したりすることが大切です。

有給休暇が減る可能性がある

会社にもよりますが、1日の勤務時間が6時間未満になる場合、有給休暇が減る可能性があります。事前に就業規則を読み、人事・総務にも確認しておきましょう。

企業側の時短勤務のメリット

時短勤務制度は、派遣社員にとってはたらきやすさの向上につながるだけでなく、企業側にも、人材を確保しやすくなるというメリットがあります。ワークライフバランスを大切にしている企業という印象を求職者に与えることで応募につながる可能性があるからです。

また、長期的なキャリア形成につながることも期待でき、企業のイメージ向上にもつながります。育児や介護を理由に退職する社員が減ることで、離職率の抑制も期待できるでしょう。

企業側の時短勤務のデメリット

時短勤務に関する企業側のデメリットは、時短社員の配置の見直しが必要になることです。時短になると通常の社員と同じ量の仕事ができなくなると考えられるため、6時間で仕事をこなせる部署へ配置転換しなければならなくなるかもしれません。

配置転換が難しい場合は、時短勤務の社員の業務量が減った分だけ他の社員のフォローが必要です。周囲の社員の負担が増える可能性があるため、社内に不満や軋轢が生まれないよう、早急な対策が求められます。

時短勤務に関するよくあるご質問

最後に、時短勤務に関するよくあるご質問とその回答をご紹介します。

時短勤務とフレックスタイム制度は併用可能?

時短勤務とフレックスタイム制度は併用できます。フレックスタイム制度は自分の裁量で始業時間、就業時間、労働時間を決められるはたらき方のことで、総労働時間を満たせれば毎日の勤務時間を自分のペースで調整できます。

時短勤務とフレックスタイムを併用すると、労働者はフレックスタイム制度の精算期間における総労働時間を短縮して勤務できます。通常の時短勤務よりも勤務時間の自由度が高くなり、育児や介護のスケジュールと仕事の両立がしやすくなります。

時短勤務とパートとの違いは?

時短勤務は正社員としての雇用形態を維持しながら労働時間を減らすのに対し、パートは非正規雇用で短時間労働をするはたらき方を指します。

労働日数に関しては、時短勤務よりもパートの方が自由度は高くなります。1日6時間でも週30時間の労働が必要な時短勤務に対し、パートは1日3時間×週3日などのはたらき方ができます。

一方、福利厚生や社会保険に関しては、パートよりも時短勤務の方が充実しています。時短勤務の雇用形態は正社員であり、通常勤務の社員と同様に賞与や退職金を受け取れたり、資格手当が支給されたりなどの福利厚生があります。

時短勤務でも残業代や賞与はある?

時短勤務であっても、残業や賞与は支給されます。ただし、基本給が変わるため、支給される金額は減額されます。

例えば残業代については、労働時間が1日8時間かつ週40時間を超えるかどうかで計算方法が変わります。時短勤務で所定労働時間が6時間の社員が1時間残業した場合は法定労働時間の8時間以内であり、1日8時間を超えてはたらいたときのような割増賃金は発生しません。

一方、時短社員が3時間残業すると1日の労働時間が9時間となり、法定労働時間の8時間を超えた1時間については通常賃金の1.25倍の割増賃金が受け取れます。

6時間未満の時短勤務はできる?

育児・介護休業法では原則6時間を時短勤務としていますが、あくまでも目安です。企業によっては6時間よりも短い勤務時間を設定している場合があります。気になる場合は企業の人事・総務に確認しましょう。

転職してすぐに時短勤務はできる?

時短勤務の対象外の条件として、同じ会社での勤務期間が1年未満という項目があるため、転職直後の時短勤務の実現は難しいのが一般的です。ただし、企業によって対応が異なるため、入社直後から時短勤務ができる企業が見つかる可能性もあります。

時短勤務の給付金はいくらもらえる?

時短勤務をすると、育児時短就業給付金が支給される場合があります。支給額は、受け取った給与の水準によって以下のように異なります。

(1)支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合

育児時短就業給付金の支給額=支給対象月に支払われた賃金額×10%

(2)支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合

育児時短就業給付金の支給額=支給対象月に支払われた賃金額×調整後の支給率

(3)支給対象月に支払われた賃金額と(1)または(2)による支給額の合計額が支給限度額を超える場合

育児時短就業給付金の支給額=支給限度額−支給対象月に支払われた賃金額

テンプスタッフなら時短勤務以外の方法でも仕事と家庭を両立できる

短時間勤務制度は1日の労働時間が8時間から原則6時間に短縮される制度で、仕事と育児・介護の両立がしやすい制度です。メリットとデメリットを踏まえ、自身のライフスタイルやキャリアプランと照らし合わせながら、利用を検討してみてください。

ワークライフバランスを選択できるはたらき方は時短勤務以外にもあります。業界トップクラスの求人数を誇るテンプスタッフでは、ライフスタイルや希望に合わせたはたらき方が実現できる派遣でのはたらき方をご紹介しています。

派遣ではたらく

仕事と育児・介護を両立させる選択肢として、以下のようなはたらき方もあります。

■週4日や1日6時間勤務など、はたらく日数・時間を選べるはたらき方

時間を選んではたらく(週4日以下・短時間など)



■専門スキルやキャリアを活かしつつ、はたらく時間に柔軟性を持たせたワークスタイル フレキシブルキャリア

専門スキル・短時間ではたらく(フレキシブルキャリア)



■オフィスへ通勤の必要がなく、自宅ではたらくことができる在宅勤務

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