時短勤務はいつまで?制度や魅力を把握し家庭と仕事を両立

2024.09.18更新
近年、育児や介護のために時短勤務を選択する人が増えてきています。育児・介護休業法の改正や女性活躍促進が進む中、時短勤務(短時間勤務制度)は多くの企業で導入が進んでおり、はたらきやすい職場環境を構築することが急務となっています。
時短勤務とは何なのか、どういうケースが時短勤務の対象になるのか、時短勤務を取得することになったら何をしなければいけないのか。ここでは時短勤務の制度やメリット・デメリット、家庭と仕事の両立について詳しくご紹介します。
時短勤務とは
時短勤務は、育児・介護休業法という子育てや介護などの両立支援を目的に定められている制度です。仕事と育児・介護の両立のため、一定の条件を満たせば1日の所定労働時間を原則6時間として短縮勤務することができます。
時短勤務の条件は? 雇用形態はどうなる?
時短勤務の適用には、それぞれ以下の条件をすべて満たす必要があります。
育児による時短勤務の対象者
- 3歳に満たない子を養育する労働者であること
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日々雇用される者でないこと
- 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
- 労使協定により、適用除外とされていないこと
介護による短時間勤務の対象者
- 要介護状態にある家族を介護していること
- 日々雇用される者でないこと
- 現に介護休業をしていないこと
- 労使協定により、適用除外とされていないこと
時短勤務が適用されないケース
時短勤務は誰にでも適用されるものではありません。以下に当てはまる方は、時短勤務の対象から外れる場合があります。
- 日々雇用される者
- 勤務日が週2日以下
- 1日の勤務時間が6時間以下
- 同じ会社での勤務期間が1年未満
- 短時間勤務制度が困難と認められる業務に従事する労働者
時短勤務後の雇用形態
雇用形態は、時短勤務取得前後で変わることはありません。正社員であれば正社員、契約社員であれば契約社員のままとなります。
時短勤務はいつまで?期限はある?
育児による時短勤務の適用期間
子が3歳に達するまで(子の3歳の誕生日の前日まで)。
育児による時短勤務の期限延長
育児による時短勤務は、原則として子どもが3歳になったら時短勤務前の所定労働時間に戻ります。
しかし、3歳以降も保育園・幼稚園の送迎などの理由で引き続き時短勤務ではたらきたいと考える人が少なくありません。そうした要望を受け、会社独自の制度として、小学校就学前まで時短勤務の延長を認める企業が増えてきています。
時短勤務の延長を検討する際は、自分の会社が時短勤務の延長制度を導入しているか事前に確認しておきましょう。
介護による時短勤務の適用期間
対象家族1人につき、利用開始日から3年以上の期間で2回以上利用できる。
介護による時短勤務の期限延長
時短勤務の適用期間は上限がないため、企業と労働者の間で話し合って決めるのが一般的です。
時短勤務の勤務時間は何時間?
時短勤務の所定労働時間は、1日6時間です。
時短勤務中の残業は、残業免除の申請をすれば残業を断ることができます。会社側も残業を強制することはできません。
時短勤務中の給与はどうなる?
時短勤務中の給与は、所定労働時間の減少に比例して基本給が減額されます。 短縮した時間分だけ減額となりますが、時間あたりの単価は変わりません。
例えば、時短勤務期間の所定労働時間が8時間から6時間に短縮される場合、所定労働時間は通常の75%となります。そのため基本給も通常の75%に設定され、給与が計算されます。短縮した2時間分だけ減額されることとなります。
時短勤務とフレックスタイム制度の違い
時短勤務とフレックスタイム制度は全く異なります。その大きな違いは、1日の労働時間にあります。
労働時間の違い
時短勤務は、1日の労働時間が原則1日6時間となりますが、フレックスタイム制度は1日の労働時間が固定されません。
フレックスタイム制度は、自分の裁量で始業時間、就業時間、労働時間を決められるため、総労働時間を満たせれば、毎日の勤務時間を自分のペースで調整できます。
フレックスタイム制度を導入している会社によっては、1日のうち必ず勤務しなければならない時間帯=コアタイムを導入している場合があります。
時短勤務は、勤務時間を6時間と設定した場合、毎日6時間勤務する必要があります。フレックスタイム制度は、コアタイムに勤務していれば勤務時間を調整できるため、時短勤務よりも自由度が高くなります。
時短勤務とフレックスタイム制度は併用可能
時短勤務とフレックスタイム制度の併用は可能です。勤務先がフレックスタイム制度を導入している場合、時短勤務と組み合わせることで仕事と育児・介護を効率的に進めることが可能となります。
時短勤務ができた理由と法改正
時短勤務が導入された理由
従来の日本企業では、仕事と家庭の両立を支援する制度がほとんどありませんでした。
少子高齢化が進み、労働人口の減少や人材不足が懸念される中、労働者の仕事と育児・介護が両立できる環境を整えるため、2009年の育児・介護休業法の改正で短時間勤務制度の導入が各事業主に義務づけられました。
以降も、時代や社会環境の変化に従い改正が重ねられています。
2023年の法改正
2023年の改正では、企業に育休や時短勤務を取得しやすくなる環境整備や、研修による従業員への周知、相談窓口の設置のいずれかを行うよう要請されました。
2025年の改正予定内容
また2025年の改正では、2歳未満の子どもを養育するため時短勤務を行った場合、原則として時短勤務前の賃金の10%が給付される育児時短就業給付がスタートします。

時短勤務の申請手続き
時短勤務を選択することを決めたとき、何から始めればよいでしょうか。以降では、時短勤務の申請手続きについて具体的にご紹介します。
時短勤務を勤務先へ申請するまでの流れ
時短勤務の申請は、次の手順で進めていきます。
- 自分が時短勤務取得対象者の条件に合っているか確認する。
- 就業規則や就業規程に目を通し、時短勤務の申請期限を確認する。よく分からない場合は、上司や人事・総務に確認する。
- 勤務先に時短勤務を検討している旨を伝える。
時短勤務を勤務先へ申し出た後の手続き
勤務先へ時短勤務を申し出た後の手続きは、次の手順で進めていきます。
- 勤務先から短時間勤務申請書をもらう。
- 短時間勤務申請書に必要事項を記入し、勤務先に提出する。
- 申請書が承認されると短時間勤務取扱通知書が届く。
申請書方法がよく分からない場合は、勤務先の上司や人事・総務と相談しながら記入しましょう。
時短勤務からフルタイム勤務に戻る際の注意点
自分が大切にしたいこと、譲れない条件を考える
フルタイム勤務に戻っても、育児や介護は続きます。ワークライフバランスを重視したいのか、仕事のキャリアを重視したいのか、自分が今何を一番大切にしたいのかを考えてみましょう。
家庭と仕事で大切にしたいことを書き出し、今後自身が家族や仕事とどのようにかかわっていくのがベストなのか考えてみましょう。
勤務先とフルタイム勤務に戻った後のはたらき方についてすり合わせる
フルタイム勤務に戻ると、残業などは以前と同様に求められる可能性があり、学校から緊急連絡が入ったり、家族の体調が急に変わるなどの不測の事態が発生することが想定されます。
フルタイム勤務後も仕事と家庭を両立するため、上司や周囲のメンバーとも対応について事前に話し合っておくことが重要です。

時短勤務のメリットとデメリット
時短勤務は、育児や介護のため活用する従業員にとって多くのメリットをもたらす制度ですが、デメリットも存在します。以降では、時短勤務のメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
時短勤務のメリット
ワークライフバランスが取れる
出勤時間が遅くなる、あるいは退勤時間が早くなることで、子どもの送迎や介護・家事全般に時間の余裕が生まれます。工夫次第では、自分のスキルや知識を増やす時間を確保することも可能です。
公的機関の受付時間に間に合う
病院や役所などの日常生活に欠かせない施設は早く閉まることが多いので、時短勤務で早く退社できることで、立ち寄ることができます。
同じ会社でキャリアを継続できる
同じ会社に勤務し続けることで、これまで積み上げてきたキャリアを継続できます。会社内でのキャリアプランを長期的に考えられるようになります。
時短勤務のデメリット
収入が減少する
勤務時間を短縮した分だけ収入が減少します。所定労働時間が8時間から6時間に短縮される場合、所定労働時間は通常の75%となります。
時短勤務を検討する場合は、収入が減少した場合の生活への影響を事前に確認しておきましょう。
周囲との情報連携に工夫が必要になる
時短勤務者は一部の時間帯ではたらくため、時間帯によっては上司やチームメンバーとの情報連携に工夫が必要です。
円滑に情報連携を行えるよう、日ごろから業務のやり方を見直す、情報連携用のツールの導入を検討してみてもよいでしょう。
有給休暇が減る可能性がある
会社にもよりますが、1日の勤務時間が6時間未満になる場合、有給休暇が減る可能性があります。事前に就業規則を読んで、人事・総務にも確認しておきましょう。

テンプスタッフなら時短勤務以外の方法でも仕事と家庭を両立できる
短時間勤務制度の充実により、仕事と育児・介護の両立がしやすくなってきています。メリット・デメリットを踏まえて、自身のライフスタイルやキャリアプランと照らし合わせながら、時短勤務の利用を検討してみてください。
また時短勤務以外にも、ワークライフバランスを選択できるはたらき方があります。業界トップクラスの求人数を誇るテンプスタッフでは、よりライフスタイルや希望に合わせたはたらき方ができる派遣というはたらき方をご紹介できます。
仕事と育児・介護を両立させる選択肢として、以下のようなはたらき方もあります。
- 週4日や1日6時間勤務など、はたらく日数・時間を選べるはたらき方
- 専門スキルやキャリアを活かしつつ、はたらく時間に柔軟性を持たせたワークスタイル フレキシブルキャリア
- オフィスへ通勤の必要がなく、自宅ではたらくことができる在宅勤務
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仕事と育児・介護を両立させるはたらき方に不安を抱いている方でも安心して就業いただけるよう、コーディネーターがこれまでの経験や、希望の条件を丁寧にヒアリングします。
仕事と育児・介護両立にあたっての不安や疑問など、まずは気軽にテンプスタッフに相談してみませんか。