貿易事務とは?仕事内容・1日の流れ・必要な知識やスキルをご紹介
2026.02.03更新
事務職といってもさまざまな種類がありますが、中でも貿易事務は専門性が高い職種です。英語での書類の作成や輸出入にかかわる管理業務などがあり、専門性を高めてキャリアを構築したい人に選ばれています。
ここでは、貿易事務の主な仕事内容や1日の流れ、メリットや年収・給与の目安、必要な知識・スキルなどを詳しく解説します。
貿易事務とは
貿易事務とは、貿易に関する事務仕事のことです。まずは基本的な業務内容と他の事務職との違いを解説します。
輸出入業務に特化した事務
貿易事務は、輸出入の手続きをする際に必要な書類の手続きや進行管理などを担う仕事です。貿易書類の作成や受注・発注、海外の担当者との交渉、貨物輸送のルート提案、船積手配、営業部門と連携しながらのデータ収集や通関手続きなどさまざまな業務があります。どれが中心的な業務になるかは勤務先の業態によっても変わります。
他の事務職との違い
貿易事務は、その他の事務職とは異なる大きな特徴があります。
貿易事務以外の事務の仕事内容は、主に以下の通りです。
- 一般事務:企業内の特定の部署で事務的なさまざまなサポート業務を行う職種
- 総務事務:部署をまたいで企業全体の事務処理全般や各部署のサポートを行う職種
- 経理事務:企業活動に伴うお金の管理や記録を行う職種
例えば一般事務は、書類作成やパソコンのデータ入力、電話対応、来客対応など、会社の運営に不可欠なさまざまな事務仕事を行う職種です。
一方、貿易事務は、英語を使った海外企業とのやり取りや貨物輸送の手配、通関手続きなど、専門的な知識を必要とする業務に携わる点が異なります。
貿易事務の主な仕事内容
貿易事務の仕事は多岐にわたり、どの業務を行うかで求められるスキルは異なります。ここでは、貿易事務の代表的な仕事内容をご紹介します。
| 通関手続き | 税関に対して輸出入の申告をして許可を得る |
|---|---|
| 出荷・納品管理 | 運送業者などと連携し、貨物の出荷や納品を管理する |
| スケジュール管理 | 納品までのスケジュール管理・調整 |
| 輸出入にかかわる書類作成 | インボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)、信用状・為替手形、原産地証明書など、輸出入に必要な書類の作成 |
| 許認可や検査に関する法律の調査 | 商品に必要な輸出入許可や検査有無の確認 |
| お問い合わせ対応 | 取引先からの輸送や納期に関するお問い合わせ対応 |
- インボイス(INV):輸出貨物の品名・数量・価格・契約条件・契約単価など、取引の詳細が記載された書類
- パッキングリスト(P/L):貨物の品名・個数・重量などが記載された書類
- 船荷証券(B/L):貨物の引渡しに必要な書類
- 信用状(L/C)・為替手形(B/E):代金の支払いに必要な書類
- 原産地証明書(C/O):貨物の原産国を証明する書類
貿易事務の仕事の1日の流れ
続いて、貿易事務の仕事の1日の流れを見てみましょう。詳細な業務内容は、繁忙期か閑散期か、また顧客のスケジュール次第で大きく変わりますが、一例としては以下のように仕事が進みます。
| 時間 | 業務 | 業務の概要 |
|---|---|---|
| 9:00〜 | 出社・メール確認 |
|
| 10:00〜 | スケジューリング・支払い処理 |
|
| 12:00〜 | 休憩 | |
| 13:00〜 | 船積書類作成・L/C確認作業 |
|
| 15:00〜 | 通関書類作成・B/L差し入れ |
|
| 16:30〜 | コレポン |
|
|
17:30~ 18:00 |
翌日の準備・終業 |
出社〜午前はお問い合わせ対応が中心
貿易事務の仕事は、取引先企業からのお問い合わせ対応から始まります。貿易事務は海外企業との取引が多く、時差の関係から夜中にメールが届くのが一般的です。そのため、午前中はメールを仕分け、返信する業務が中心です。
メール処理と並行して、入金確認や支払い処理なども行います。
午後は書類作成・確認作業を進める
午後からは、船積書類の作成や確認作業がメインです。インボイスやパッキングリストなどの金額や数量に間違いがあってはならず、慎重な作業が必要です。また、L/Cの確認作業、B/Lの船会社への確認といった業務も進めます。
- L/C:信用状。船積書類の指示や輸出入手形に対して銀行が商品代金を保証する書類
- B/L:船荷証券。海上運送で貨物を受け取った船会社が発行する貨物の受取証で、流動性を持つ有価証券
- D/R:貨物受取証。船積前の貨物を倉庫で一括して受けるときに発行される受取証で、B/L作成の基礎データになる
スケジュールに応じて納期調整・配送指示など
港に貨物が届いた際の確認作業や配送指示なども貿易事務の仕事の1つです。船の航行は天候に左右され、予定時刻ぴったりに届くことはめったにありません。入港日が近づいたら、入港後のスケジュールをこまめに輸入者に伝えるだけでなく、トラブルがあった際は納期調整、配送方法の変更などを臨機応変に行います。
貿易事務のメリット
貿易事務は他の事務職とは仕事内容に大きな違いがあります。ここでは、貿易事務としてはたらくことのメリットについて紹介します。
語学力を活かせる
語学を活かした仕事に興味がある人にとって、貿易事務はおすすめの仕事です。
貿易事務では、外国語で記載されたメールに返信したり、貿易書類を確認したりと、語学のスキルが活かせる場面が多くあります。語学スキルを仕事に反映させることで取引先からの信頼を得られることは、貿易事務ならではのメリットと言えます。
専門的な知識が身に付く
貿易事務には、電話やメールの対応だけでなく、貿易関係の書類作成や確認業務の知識が求められます。また、輸出入に関するお金の流れや国際法、輸入国と輸出国それぞれの法律に関する知識の習得も必要です。
貿易事務に必要な専門知識が身に付くことで、同じ業界でのキャリアアップや転職に有利にはたらくでしょう。
グローバルな視野が広がる
貿易事務は、海外取引先とのやり取りや英語を含む書類対応など、国際業務に日常的に関わります。そのため、各国の商習慣・物流ルール・決済方法への理解が進み、取引先の文化的背景を踏まえたコミュニケーションが身に付きます。さらに、為替や国際輸送の動向、規制変更などの情報に触れる機会が増えるため、業務に必要な国際知識を継続的にアップデートしやすい点がメリットです。
コミュニケーション能力が向上する
貿易事務の仕事では、国内外の非常に多くの企業や人とのやり取りが発生します。例えば、貨物の保険付保に関する手続きで保険会社と連携したり、代金決済において銀行とやり取りを行ったりするなど、貿易業務にかかわるさまざまな関係者との調整が必要になります。相手先の要望や事情をくみ取った上で整理し調整・伝達する能力が求められるため、仕事を通じてコミュニケーション能力の向上が期待できます。
貿易事務の年収・給与の目安
厚生労働省によると、貿易事務の賃金(1時間あたり)の全国平均は、一般労働者(正社員)で、2,554円、短時間労働者で1,408円でした。また、令和7年度の東京都の最低賃金は1,226円であり、東京の最低時給と比較しても高い時給の設定であることが分かります。
ただし、給与は企業の規模や貿易事務職としてのスキルによって違ってくることを覚えておきましょう。
貿易事務に必要な知識・スキル
貿易事務に興味はあるけれど、どのようなスキルを身に付ければよいのか気になる人もいるでしょう。
貿易事務は専門性の高い知識が多く求められますが、以下のようなスキルがあれば活躍できます。
貿易実務の基礎知識
貿易事務は、他の事務職よりも専門的な知識や経験が求められます。英語などの語学力はもちろん、貿易や法律に関する知識、国際物流に関する知識も必要となります。そのため、パソコンやメールの基礎スキルや語学力があっても即戦力になるのは難しく、未経験者はまずは知識を身に付けていくことになります。
仕事を通じて知識を身に付ける以外には、貿易実務検定などの資格取得を通じて専門性を高める方法もあります。
事務処理スキル
貿易事務では、他の事務と同様、事務処理に関する知識や経験が求められます。例えば、メールの処理能力です。時差の関係で朝には海外からのメールが大量に届いている日も多く、それらのメールを優先順位ごとに仕分けして正確に返信する必要があります。
また、輸出入に関する書類作成では、間違いのない正確な作業をスピーディに行うことも必要です。
語学力
貿易事務の仕事では語学力が求められることが多く、採用時には一定水準以上の語学力の証明が必要です。企業によって基準は異なりますが、TOEIC(R)であれば600点以上を目安としているケースが一般的です。
また、多くの企業では新入社員研修の一環として語学研修を実施しています。そのため、語学学習に前向きに取り組める姿勢も、貿易事務として重要なスキルの1つと言えるでしょう。
臨機応変な対応力
届いた貨物の確認や配送指示は予定通りに進むことばかりでなく、天候によるスケジュールの遅れは常に発生します。そうした中でも柔軟にスケジュールを管理しなければなりません。また、仕事を進める上では営業部門との連携や国内外の顧客とのやり取りも多く、コミュニケーション能力が求められます。
さまざまな人とコミュニケーションを取りながら、状況に応じて臨機応変に対応できる能力があれば、貿易事務として重宝されるでしょう。
貿易事務が向いている人・向いていない人
貿易事務は、仕事を進める上で語学力が必要となるため、語学力に自信がある方や、語学力を活かして仕事をしたいと考えている人に特に向いています。また、他人とのやり取りが苦にならず積極的にコミュニケーションが取れる人や、そのときの状況を見て柔軟に計画を調整するのが得意な人にも向いているでしょう。
一方、決まったルーティンワークをコツコツとこなすことが好きな人や、デスクワークよりもからだを動かす仕事がしたい人には向いていない可能性があります。
未経験から貿易事務を目指せる?
貿易事務は未経験からでも目指せる仕事です。他業種・他職種での経験が貿易事務の業務に活かせるケースも少なくありません。
例えば営業事務は、営業部門と連携する、顧客と納期調整を行うなど、貿易事務と共通する業務内容が多い職種です。このような経験があれば、貿易事務への転職時に評価されやすくなります。
また、未経験の場合は貿易事務アシスタントとしてキャリアをスタートする方法もあります。メール対応や各種手続きを英語でやり取りできるレベルの英語力があれば、実務経験がなくても貿易事務を目指せます。
ただし、語学力やパソコンスキル、貿易に関する最低限の知識は求められることが多く、全く知識や経験がない状態での採用は難しいでしょう。
貿易事務の将来性・キャリアパス
貿易事務は専門性が高く、経験を積めば他の職種への転身や高難度の国家資格の取得などのキャリアパスを描けます。
例えば、貿易事務で得た書類作成や法律関係の知識は、海外商品を現地で仕入れるバイヤーとして活躍するときにも活用できます。貿易事務で獲得した英語力は、海外とのやり取りの多い営業や一般事務への転職で評価されやすいでしょう。
貿易事務のキャリアパスとして代表的な資格が通関士です。貿易関連で唯一の国家資格であり、取得することで輸出入業務の専門家として認められ、貿易業界により深く携われるでしょう。
未経験でもテンプスタッフなら安心
貿易事務は事務職の中でも特に専門性の高い職種ではありますが、仕事を通じて貿易に関する実務能力や語学力が身に付くメリットがあります。将来的には通関士へのキャリアアップも可能であり、語学やコミュニケーション能力を活かして貿易に深く携わりたい方におすすめです。
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