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派遣と出向、何が違うの？

「派遣」と「出向」は、似ているように思われがちですが、実はまったく違うものです。しかしこの二つの違いを説明できる人は、そう多くないのではないでしょうか。過去の事例では、ある企業が社員を「出向」と思っていたが、実は「派遣」だったというケースもありました。企業側も「派遣」と「出向」の違いについて、しっかり理解できている人が少ないのが現状です。その違いについて分かりやすく説明していきます。

派遣と出向の違い

派遣と出向の大きな違いは、どこと労働契約を結んでいるかということです。派遣の場合は派遣元企業と労働契約を結びますが、出向の場合は出向先企業と労働契約を結びます。

ちなみに出向の場合は、出向元との労働契約にプラスして出向先と契約を結ぶ「在籍出向」と、出向元との労働契約は解消して出向先のみと契約を結ぶ「転籍出向」の2パターンがあります。転籍出向は、もともと勤めていた企業を退職して移籍することになるので、実質的には出向先の企業へ転職するのと同じです。在籍出向の場合は二重に労働契約を結ぶことになりますが、給与などの待遇や就業規則について、どちらの企業のものが適用されるのかは契約内容によって変わります。

また指揮命令権については、派遣の場合は派遣先企業に、出向の場合は出向先企業にあります。派遣も出向も、指揮命令権が実際に勤務している会社にあるという点では共通しているのです。

派遣と在籍出向の違い

特に、「派遣」と「在籍出向」は区別がつきにくいと言えます。在籍出向とは、出向元での社員という立場は変わらず、出向先へ移籍して仕事をするということです。こう言われると、派遣と在籍出向は似ていますね。

在籍出向にあたる場合の判断基準は以下のとおりなので、ぜひ参考にしてみてください。こちらの条件に当てはまらなければ「派遣」、当てはまる場合は「在籍出向」となります。
1.出向先が出向労働者に対する指揮命令権を有している
2.出向先が賃金の全部または一部の支払いをする
3.出向先の就業規則の適用がある
4.出向先が独自に出向労働者の労働条件を変更することがある
5.出向先で社会・労働保険に加入している
（参照元：企業人事労務解決室「出向と派遣の違いは何？」）

求人広告などで「出向」と記載してあるものを見てみると、関連会社などに「在籍出向」となるケースが多くあります。これらの企業に応募したり、選考に臨んだりするときには上記の条件に当てはまるかどうかを気に留めておくとよいでしょう。

就業期間の違い

それでは、派遣と出向で就業期間に差はあるのでしょうか。
派遣の場合は短期であれば1日～1ヶ月、長期であれば6ヶ月以上と就業先や仕事内容により大きく差があります。自分の経験やスキルだけでなく、はたらく条件に合わせて仕事内容を選べるのが派遣の強み。ライフイベントの都合に合わせてはたらけるのは、派遣の魅力的ではないでしょうか。一方、出向の場合、就業期間は1年以上と定められる場合が多く比較的長期にわたります。そのため、契約期間の途中で何かトラブルがあったり、自分や家族の事情が変わったりして「辞めたい」「転職したい」と思っても、なかなか言い出しにくいことがあるでしょう。

なお労働者派遣業の認可を受けていない企業が従業員を他社に派遣すると、労働者派遣法違反となり行政指導の対象になります。企業側ももちろん気を付けなければなりませんが、はたらく側も派遣と出向の違いについてきちんと理解しておくことが必要です。特に仕事に応募するときには、「それは派遣なのか、それとも出向なのか」ということについてしっかり確認しておきましょう。