営業やコーディネーターの仕事を経験したのちに“コーディネーター向けの研修講師”を担当していた吉富。ある日、新規事業として立ち上がったばかりの『りもーとテンプ』を任されることになりました。

吉富:『りもーとテンプ』は、コロナ禍においてパソコンやWi-Fi等の機器提供や労務管理などの支援をすることで、派遣社員の在宅勤務を実現できるようにしたサービスです。二人の現場のマネージャーが立ち上げて、私はメンバーとしてそのプロジェクトに入りました。

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営業推進本部 事務戦略遂行室吉富 絵里奈

しかし、立ち上げたばかりなので当然ながらユーザーはいません。しかも、吉富には事業の立ち上げ経験があるわけでもなく、どのように進めていったらいいのか分からず戸惑うばかりだったといいます。

吉富:サービスの形ができ、これから運用を考えていこうという状態でした。でも、上司が大事に温めてきたプロジェクトですし、一つひとつのアクションに対して二人の意向や了承を得ながら進めるべきだと思っていました。そしてなにより、自分が失敗することでプロジェクトに支障をきたしてしまうことへの恐怖もありました。

立場もさることながら、研修業務と兼任をしながら新規事業の運用整備も進めなければならなかった吉富は、思うように動けずにいました。

吉富:上司は二人とも非常に忙しいので、そうすると確認がとれなかったりして思うように物事が前に進められず、悶々としていました。

そうこうしているうちに1カ月が経ち、吉富は行動を変える決意をしたのです。

吉富:上司に対して「〇〇はどうしますか?」「〇〇していいですか?」という確認ではなく、「〇〇にしますね」と共有するようにしました。つまり、「確認してから行動」ではなく「共有しながら行動」に変えたのです。

どうしていいか分からない戸惑いと、失敗したくないという気持ち。いろんな思いで身動きがとれなくなっていた吉富でしたが、徐々に動けるようになっていったようです。

吉富:共有しながら行動することで、『失敗しても自分で最後までやりきるんだ』と腹をくくることができたのではないかと思います。

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吉富:「よし、こんな感じで進めていいんだな」と確信してからは、もう自分で思ったように推進していけるようになりました。もちろん、要所要所では確認をしましたが、「こうしましたので」という報告だけで回せるようになっていったんです。ここに至るまでに時間を要してしまいましたが、それでも温かく見守りながら任せて頂けたことは本当に感謝でしかありません。

ではなぜ、行動を変える決意をしたのか。その原動力はなんだったのか――。それは、吉富が派遣コーディネーターの仕事やコーディネーター向けの研修業務を兼任しているところに答えがありました。

吉富:担当しているコーディネーター向けの研修では、「コーディネーターはどういうマインドを持って仕事をするべきか」というマインド研修も実施しています。どんな仕事でも慣れてくるにつれて、常に自分で気持ちを高く持っていかないとどうしてもルーチンになってしまいますよね。コーディネーターの場合だと「紹介して、決まった」「紹介して、決まった」みたいな。

そのコーディネーター向けの研修で、吉富が必ず伝えていることがあるといいます。

吉富:「何のために」「誰のために」ということは必ず伝えるようにしていました。仕事における行動にはすべて意味があります。小さな作業から大きなミッションまで、一つひとつにそれをする目的が必ずあります。ですから、なんとなくそれをこなすのではなく、「何のために、誰のためにそれをするのか?」を理解して行動することがすごく大事だと思っていたので、研修資料を作るときに盛り込むようにしていました。

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その「何のために」「誰のために」という視点は、吉富が自分自身で新規事業を進めるうえでも、重要なものになったようです。

吉富:『りもーとテンプ』の体制づくりがなかなか進まない時に、「ちょっと待てよ」と。「あれ、誰のほうを見て何のためにやってるんだろう」って、ふと我に返る瞬間がありました。内向きの思考に陥っていたところに、まさに“自分で自分に研修をする”、みたいな感じになっていたんです。

「この先にいるのはスタッフなんだ」と改めて強く感じた吉富は、「そのための道筋の途中として、私が今これをやっているんだ」と立ち位置をしっかり認識するようになり、その足取りも力強くなっていったようです。

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吉富:「サービスをリリースします」というタイミングで入らせてもらったわけですが、やがて最初の利用者が決まった時にはみんなで大喜びしましたね。はじめての申込書を作ったときのことは今でも鮮明に覚えているほどです。

そうして1カ月もすると利用者数が20人ほどまで増えた『りもーとテンプ』でしたが、今では累計260人まで増加したといいます。(2022年4月現在)

そんな吉富に、仕事で大切にしていることを聞いてみました。

吉富:やっぱり、「何のために」「誰のために」という言葉はいつも意識しています。

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吉富:私、もともと前職で営業をずっとやっていたんですけど、「数字を取るぞ!」みたいな発想だと逆に上手くいかないものなんですよね。
それよりも、その先のお客様のことだけを考えて提案しようとか、スタッフの方が困っていることをなんとか解決してあげよう、と考えてコツコツやるべきだなって。
そうすることで、回り回って結果的に数字となって表れてくるってことを体感したので、そんな動きを大切にしています。

在宅派遣サービスの『りもーとテンプ』