大学生時代に個別指導塾でアルバイトをしていた古田は、「人を育てる」というところに興味を持ち、有名な予備校を運営する会社に新卒で入社しました。

古田:入社後は、都内の校舎に勤務することになりました。最初は一般のメンバーでしたが、2年目から校舎長を任されまして、全体を見るような役割をするようになりました。

hakken20230628_2_furuta.png

人事本部 Temp University推進室 古田 全人

古田は授業を担当するのではなく、面談をしたり、勉強のカリキュラムを組んだりと、“裏方”として忙しい日々を送っていたようです。

古田:僕自身も「勉強を教えるのが好き」というより、その方の悩んでることを聞きながら、「いかに前向きに勉強に向き合ってもらえるか」を考えるのが好きだったんです。

しかし、5年ほど経験したところで社長室へと異動になった古田。業務内容としては、いわゆる“秘書”の業務だったと言います。

古田:社長の行くところについていったり、資料を作ったり、会議のフォローをしたり。本当に“秘書”という感じでしたね。



「人を育てる」というところに関心を強く持っていた古田は、秘書の役割をしながらもその思いを募らせていきました。

古田:やっぱり教育の世界の中で「自分がどれだけやれるんだろう」という気持ちが強くなってきたので、研修会社への転職を決めました。

古田が転職先に選んだのは、業界でも有名な研修会社でした。そこで、教育コンテンツの開発や、講師の育成に注力していきます。

古田:最初はメンバーでしたが、2年目からサブリーダーのような位置づけでマネジメントにも携わっていきました。



しかし、古田にはひとつ気がかりなことがありました。

古田:研修を提供するところには、やりがいを感じていました。ただ、研修会社は対象が社外の方なので、「研修をした後の様子」が見れないんです。研修をしたことで「どう育ったのか」が分からないのが、すごくモヤモヤするようになって……。

「せっかく『教育』という接点でご縁があったのだから、スキル不足や能力不足が解消されたのかどうか『最後まで見届けたい』」と古田は考えるようになっていたのです。

古田:そうなると、僕の場合は“事業会社での人材開発”が向いているのかな、と。社内向けの研修を提供できれば、ビフォーからアフターまで追いかけられますから。そう考えて、再び転職活動をしました。

転職活動をするなかで、人材系の企業に絞って4社を受けていった古田。

古田:いろんな会社の面接を受けたんですが、「ぜひ力を貸してほしい」というスタンスで話してくれたのがテンプスタッフで、純粋に「力になりたいな」と思いました。



そうしてテンプスタッフに入ることになった古田。入社してから、『ある社風』に驚いたのだと言います。

古田:人事部が主体となる研修ではなく「現場単位で教え合う文化」があるな、と思いました。いろんな現場で“学び合う”みたいな動きが根づいていて、それは驚きでしたね。

一方で、人事部が主体となる研修としては、まだ提供できていない点があることを課題に感じていた古田。

古田:「何か良いやり方はないかな」っていうのをずっと考えていきました。莫大な予算を投じるわけでなく、それでいて永続性のある質の高い教育はできないかなって。



そうして古田は、テンプスタッフの「現場単位で教え合う文化」を最大限に発揮できる『企業内大学』の構想にたどりつきます。

古田:3年目で人事本部長と面談をした時に、『企業内大学』の構想をお話ししたら「いいね!」ということになりました。もともと「3年後ぐらいに実現できればいいかな」と思っていたんですが「すぐやろうよ!」と言われて。

そうして、企業内大学である『Temp University(テンプユニバーシティ)』を開校することになったのでした。



古田:立ち上げて1年が経ちますが、昨年度は30講座を開くことができました。やっぱり、社員が講師になっている講座は人気ですね。「教え合う文化」がもともとありましたから。

これまでの経験をもとに企業内大学を成長させる一方で、古田には「ある想い」がありました。

古田:もともとテンプスタッフのビジネスを見ていると、「派遣社員の皆さんの存在があってこそ」だと思っていて。ですから、『Temp University』に関しても、まずは社員からではあるんですけど、いずれ派遣社員の皆さんにも展開したいと思っているんです。

社員向けの研修と、派遣社員向けの研修では、仕組みが大きく異なります。それでも古田は、「挑戦したい」と強く意気込みます。

古田:大変なのは分かっているんですが、学びを身近な存在にしてもらいたいんです。それは、社員だろうが派遣社員だろうが関係なくて、スキル不足や能力不足といった不安をなくしてもらいたい。そしてやがては、その家族の皆さんにも提供したい。そんな環境を整えていけたら、と思っています。

そんな古田に、「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。

古田:やっぱり、人事部とはいえ『派遣社員の方がいることで私たちが成り立っている』ということは常に意識したい点ですね。

そして、私たちのビジネスは、『派遣社員の皆さんの人生を動かしているんだ』という気持ちも絶対に忘れてはいけません。

ですから、『Temp University』を成長させていって、いずれ派遣社員の皆さんも受講できるようにして、「研修をした後」までしっかりフォローさせていただけたら、これ以上ない喜びじゃないかな、って考えています。