これは、パーソルテンプスタッフを通じて派遣社員として働いている安藤さんのお話です。
安藤さんは現在、無期雇用派遣という形でCADオペレーターとしてお仕事をされていますが、これまで2度の闘病生活を経験したといいます。
なぜ安藤さんが派遣を選び、CADオペレーターになったのか。2度の闘病生活とはどのようなものだったのか。詳しく伺っていきました。
安藤さんは昔からCADオペレーターになろうと思っていたんですか?
いえいえ。高校の頃は婦人警官になりたかったんですよ。
婦人警官?!

「あみだくじ」でインテリア売り場へ
ええ。ただ、その高校の卒業生には誰もいないし学校側もサポートが難しいということで断念して。結局、その当時人気だった百貨店に就職しました。
そうだったんですね。百貨店ではどのようなお仕事を?
家具などのインテリア売り場で販売員をしていましたね。
じゃあ、インテリアが好きだったとか。
いえ。最初に同期が集まって「あみだくじ」をして決まったんですよ。
あみだくじ?!そんな感じだったんですね。
すごい時代ですよね。インテリア売り場では、お客様から図面をもらってレイアウトを考えたりして、インテリアコーディネーターみたいなお仕事を10年続けました。
10年はすごい。

ある時に、建築士を目指している友達の旦那さんから「CADオペレーターは食いっぱぐれないよ」という話を聞いて、CADオペレーターも建築士も目指してみようかなと思いました。仕事でも図面を見る機会は多かったので、「自分でも書けたらいいな」と思いましたし。
なるほど、そういう流れで。
辞めた時の退職金でスクールに通って、「AutoCAD」を習得しました。それで仕事を探したら、派遣だと結構AutoCADを使うお仕事があると分かって。
接客業から派遣でCADオペレーターへ転身
それで、派遣を選ぼうかなと。
ええ。ただ、派遣で証券会社に勤めていた女友達がいたので、「派遣ってどう?」って聞いてみたんです。そうしたら、「派遣は大変だよ」って言われて……。
え、何が大変だと言ってましたか?
いくつかあるんですが、「就業先で誰にも頼れないよ」とか「その派遣会社の代表として就業先に行くわけだから、そのぐらいの自覚がないとダメだよ」とか。
いや、そんな息苦しい感じではないはずですけど……
あと、私がずっと接客業だったので、「事務系の仕事はできるの?」って心配もされました。

なるほど。それでどうしたんですか?
テンプスタッフで面談して、AutoCADを使うお仕事を紹介してもらいました。やっぱり、立ち仕事から事務仕事に変わったのは慣れなくて意外と辛かったです。でも、定時で帰れるのは嬉しくて。百貨店は遅く始まって遅く帰るシフトだったので、いつも夜遅くまで働いていましたから。
早く帰るのに憧れていたんですね。
ええ、面談の時から「残業は少ないところで」って希望を出していました。『アフターファイブ』への憧れから(笑)
いいですね。そういえば建築士を目指すというのはどうなったんでしょう?
あ、受験資格が得られたので、また学校に通うことにしたんです。「学校に行きたいので、あまり残業はできません」って担当営業から伝えてもらって。就業先の皆さんからも「頑張ってね」って励まされました。
男女兼用トイレでも「そんなの別にいいですよ」
じゃあ、気持ちよく学校に通って。
ええ、2年で建築士の資格を取りました。
わあ、すごい!
ただ、そこから建築系の仕事に進めるかなと思ったんですけども、いけなかったんです。「安藤さん、建築系は資格があっても経験がないとお仕事はできないんですよ」って言われて。
え、そうなんですか。せっかく取ったのに……
でも、いいんです。夢中になれることがその時だけでもできたので。それで、「土木ならどう?」って言われて、土木系で図面を書くお仕事に移りました。基本的に『仕事』を軸に決めているので、途中で別の派遣会社も利用したりして。

なるほど。別の派遣会社ではどんな仕事を?
電車の線路を上に持ち上げて踏切での渋滞をなくそうとする、“高架化工事”の現場ですね。高架化は10年くらいのプロジェクトなんです。あとは、高速道路のお仕事もやりましたね。ただ、そこは同じ派遣社員でちょっとクセのある方がいらっしゃって……。「仕事がしにくいなあ」って悩まされました。
どう対処したんでしょうか。
そこでテンプスタッフにまた相談したんです。「職場を変えたいんですけど、何かいい仕事ないですか?」って。
再び頼ってくださって。
そうしたら、「高架化のお仕事をやられていたんですね。高架化のお仕事はうちにもありますけど、どうですか?」って。「やった!」と思ったんですけど、その就業先も少し問題があったんです。
え、なんでしょうか。
「女性の方が職場に少ないですが、大丈夫ですか?」って。実際、職員はほぼ男性みたいで、トイレも一つだったんです。だから、男女兼用ですね。
あら……。それでどうしたんですか?
私も40過ぎてたし、長くいるつもりもなかったので「そんなの別にいいですよ」って言って。でも、そこに決まってから結局12年も働きましたけどね(笑)
長い!
まあそれだけ居心地も良かったんだと思います。トイレもすぐ男女別になりましたし。

じゃあ、順調に12年間お仕事を続けられたわけですね。
いやあ、ずっと順調だったわけでもなくて。
ステージ2の「乳がん」で放射線治療へ
10年ぐらいたった時でしょうか。ちょっと胸にしこりがあるなあ、と思って事務の女性と雑談している時にポロっと口にしたんです。そうしたら「え?健康診断は受けたんですか?」って。
派遣社員も健康診断は必須ですよね?
ええ、ただ「乳がん検査」のオプションは付けていなかったんです。
え、なぜですか?
私の家系は誰もがんになってないので、「うちは“がん家系”じゃないから大丈夫でしょ」って。ただ、事務の女性から「診てもらったほうがいい」って言われて病院に行ったら、ステージ2の乳がんでした。オプションを付けていればと後悔しましたね。
乳がん……。
「入院は2週間くらいで、おそらく部分切除でいけるかな?」って言われたんですけど、ただ「どうしよう、お休みしなきゃいけないな……」と。それで就業先の所長に相談したら、「それは入院して治さなきゃね」って。

就業先の方も、すぐに理解してくださったんですね。
ちゃんと支援部隊もあって、サポートしてくれました。就業先に「大丈夫だよ」ってサポートもしてもらえて、ちゃんと居場所も確保してもらえたっていうのは、すごく嬉しかったですよね。
確かに、それは心強い。
ただ、退院した後も治療は大変でした。抗がん剤じゃなくて放射線治療だったんですけど、私の場合は20日間、土日以外の平日に全部行かなきゃいけないんです。
毎日のように仕事を抜けなきゃいけない。
そう。実際やるのは10分~15分くらいの照射なんですけども、着替えだとか移動だとかで1時間半ぐらいは抜けなきゃいけないわけです。人によっては仕事をやめざるを得ない方もいるでしょうし、半休を20回取るって方もいるでしょうし……。
安藤さんはどうされたんですか?
ここでも就業先の方が「抜けても大丈夫ですよ」って、就業中に行かせてくださったんです。こんなありがたいことはなかったですね。

10年近く勤務したからこその“信頼関係”もあったとは思いますけど、就業先の方が治療と仕事の両立にとても理解があったんですね。
そうですね。周囲にあまり乳がんの人がいなくて不安だったんです。ただ、就業先の方に相談した時に、「私の周りにもいるけど、今みんな元気に働いてるから大丈夫だよ」って言ってくださって、それは本当に励みになりました。病院での治療は無事に終えることができて、今は3カ月に一度の検診と薬を飲むホルモン治療で済んでいます。
仕事を続けながら無事に治療を乗り越えられたわけですか。
ただ、これで終わりじゃないんです。
え、他にも何か……?
「派遣の皆さん、自分のことは誰かに相談しましょうね」
それから1年後です。いつものようにCADで作図していたら、なんか線がまっすぐじゃないんですよ。どうやっても歪んで見えるんです。
もしかして、目ですか。
そう、病院に行ったら「網膜剥離」って言われて……。突然でしたね。原因も不明で。運転も日常的にしていたので、危なかったですよね。それで、「1カ月のステロイド治療ですね」って言われたんですけど。
また継続的な治療が必要になったんですね。
ええ、また就業先の方に相談して。「ちょっと目の病気で」って言って、しっかり通院させてもらいました。今度は入院がなかったので良かったですけど。

続けざまに病気になって、さぞ不安になったのでは?
もちろん生活の面とか不安にはなったんですけども、派遣の場合はすぐ営業担当の方に相談できるのが大きいですよね。私は無期雇用で長く職場にいたからこそ就業先との関係性も構築できていましたけど、就業期間が短くて職場との関係が十分にできていない場合でも、営業担当に相談できるのは心強いと思います。
職場で信頼を構築することと、営業に相談することが大切だ、と。
そうです。やっぱり、「自分のことを誰かに相談する」っていうのは大事ですよね。そこで拾ってもらって私は救われたので。
自分のことをキャッチしてくれる方がいるかどうか。
ええ。あと、大切なのは“保険”ですね。私は三大疾病になったらその後の保険料の支払いが免除になる保険に入っていたので、金銭的な負担が減って安心でした。
それは良かったですね。
まあ、身体のことはこの先もどうなるかも分からないですけど、仕事では日々全力でいきたいと思っています。同じ派遣の皆さんも、必要な検査はきちんと受けてくださいね。それから、身体に何か異変を感じたら、一人で抱え込まず誰かに相談したほうがいいですよ。
ご自身の経験からのアドバイスは説得力があります。安藤さんの今後の健康とご活躍を祈っていますね。ありがとうございました!
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