今回は、パーソルテンプスタッフ株式会社が2025年12月14日(日)に埼玉県川越市の「りそなコエドテラス」にて開催した『ちがいがチカラに!視覚障がいから学ぶ未来フェス』という子ども向けのイベントについてレポートいたします。
「視覚障がいから学ぶ」というのは具体的にどのような内容だったのか、どういった思いで企画されたのか、詳しく見ていきましょう。
イベントの概要
パーソルテンプスタッフは、“はたらくWell-being”創造カンパニーとして、これまでも『ダイバーシティ推進イベント』を積極的に開催していますが、今回は『視覚障がい』をテーマとしたイベントです。

イベントの構成としては「視覚障がいに関する座学」「講演」「視覚障がいの方の世界を体験する」など、様々なカリキュラムが実施されました。イベントの流れを順に見ていきましょう。
▼ごあいさつと自己紹介
歴史的建造物である「埼玉りそな銀行旧川越支店」が再生されたのが今回の会場、「りそなコエドテラス」です。来場した子ども達は20名ほどで、親御さんも含めると60名弱と多くの人が集まりました。
まずは、子ども達に向けてパーソルテンプスタッフ埼玉営業部の部長である村上がごあいさつ。次いで、同じくマネージャーの中村から「1日のながれ」を説明しました。

(左:川越オフィス マネージャー 中村 / 右:埼玉営業部 部長 村上)
その後、同じテーブルに座っているお友達同士で自己紹介をしてもらうことに。
テーブルは5名ずつ4グループに分かれていましたが、学年はバラバラでみんな初対面。初めて会うお友達を前に、なかなか最初は声を出せずに静かになってしまう時間がありました。

▼視覚障がいに関する座学
続いて、教育支援事業をしている「Inclusive Wis」の玉置様より、視覚障がいに関する座学での講義です。内容としては、以下のようなお話を順にしてくださいました。
・「視力」ってそもそも何なのか
・どうして見えにくくなるのか
・「見えにくいと困ること」はなにか
・視力が悪い人はどんな道具を使っているのか
・周囲の人はどんな気づかいができるか

身近な“視力”のことでありながら「視力が悪くなってしまった場合のお話し」ということで、みんな真剣に耳を傾けていました。
▼ゲストトーク
そして続いては、ブラインドサッカーの元日本代表である加藤健人(かとうけんと)選手の講演です。

加藤選手は、高校生の頃から“レーベル症”という遺伝性の病により、徐々に視力が低下してしまいました。目が不自由な現実を受け入れられず悩んだ時期もあったようですが、ご両親の協力もあり19歳のときにブラインドサッカーに出会ったのです。
競技を始めて3年ほど経った2007年には日本代表に初選出され、それ以降はなんと13年連続で日本代表強化指定選手に選出され続けたトッププレイヤー。
そんなご自身の体験から「夢や目標を持つことの重要性」を語りかけてくださり、それと同時に子ども達にも「みんなの夢や目標はなんですか?」という質問を投げかけます。みんなには手元の紙へ「夢」や「目標」を書いてもらうことに。

そして、テンプスタッフの社員達もサポートしながらグループ内で発表してもらいました。
「陸上選手になりたい」とか「絵が上手くなりたい」など、夢や目標は様々で、なかには「サッカーのキーパーで日本代表になる」と具体的な夢を描いている子もいて、大人も驚かされるほどでした。
▼体験してみよう(ブラインドサッカー編)
続いては、いよいよブラインドサッカーの体験へ。そもそもブラインドサッカーは、アイマスクをつけ視覚を閉じた状態で「ボールの音」と「声」のコミュニケーションだけで行なう5人制のサッカーです。
とはいえ、いきなりボールを蹴るのは難しいので、まずは“歩行ゲーム”から。アイマスクを付けて視覚を閉じた状態で、まずはボールを持ち、歩いていって渡す練習をします。
お互いに声を掛け合いますが、「あとちょっと!」といった声掛けだと分からないので多くの子が苦労していました。具体的に「右に3歩!」「左に2歩!」という感じで伝えることがポイントでした。

続いては“シュートゲーム”です。ボールをシュートし、コーンで決めた枠の中にゴールを決められるかチャレンジします。実際の蹴り方は、加藤選手とコエド川越サッカーチームの選手がお手本を見せてくれました。

ゴールの方向は手を叩いて教え、足でボールがあることを確認してから蹴りだすのですが、空振りも結構多くて、子ども達は「わー!」と楽しそうな声を上げていました。

チームごとに得点の競争をしていましたので、ゴール側を担当していた子も「こっち!こっち!」と白熱していたようです。
▼体験してみよう(お買い物編)
次は、お友達と2人でペアになり、アイマスクをしてお買い物をする人とサポートする人に分かれてお買い物体験をしました。買うのは、55円・25円・20円といったお菓子。
小銭の入った財布を持って、スナック菓子やチョコ、ゼリーなどを買うのですが、穴が開いた硬貨が5円なのか50円なのか分からなかったり、手に取ったお菓子がお目当てのものなのか分からなかったりして大苦戦。

店員さん役で参加していた地元の高校生からも「5円足りないよ」などと指摘されたりしながら、お買い物をしていました。
また、アイマスクをしたまま席に戻って食べるのですが、視界が遮られているせいか「え、これ何味だろう?」と戸惑う声が聞こえたり「目が見えないと味も分かりにくいんだ!」と驚く声が聞こえたりしました。

ただ「お菓子を買って食べる」という行為でも、普段いかに目から大事な情報が入ってきているのかを改めて感じてもらえたようです。
このイベントを、なぜ企画したのか
当日も裏方として活躍していたのが、企画を担当した1人であり、川越オフィスでリーダーを務める加藤です。

埼玉営業部 川越オフィス リーダー 加藤
そこで加藤に、どのような思いでこのイベントを企画したのか聞いてみました。
以前のイベントでブラインドサッカーと出会い、実際に競技を目にしたとき、視覚に頼らず仲間と声を掛け合いながらプレーする姿に大きな感動を覚えました。
一方で、私たちは川越でお仕事をしているのですが、地域との関係づくりを改めて強化したい、という思いがありました。地域全体と声を掛け合いながら「多様な働き方」や「ダイバーシティ」への理解を広げていきたいと考えていたんです。
そこで、視覚障がいの体験を、ぜひ地域の子どもたちに直接感じてほしいと考えました。視覚障がいの世界を知って、パラスポーツを体験して、仲間と協力する時間を通じて、「他者との違い」や「自分自身の個性」に目を向けるきっかけになればと。
当日は、就労支援施設の方をはじめ多くの方にも運営に関わっていただきました。参加者だけでなく関わるすべての人が自然に支え合って、それぞれの役割を果たすことで、一つのイベントが成り立っていきました。こうした経験が、「誰もが自分らしく活躍できる社会」への理解につながっていけばといいなと思っています。
今回、地域の企業や団体の皆さまなど様々なご縁が重なって実現したわけですが、このイベントが、地域におけるダイバーシティ理解や新しい働き方の広がりにつながるきっかけだけでなく、子どもたちの成長にも寄与してくれたら嬉しいですね。
最後は、今回のイベントをうけて「あしたからの生活で気をつけてみたいことはどんなことですか?」ということを子ども達に書き出してもらいましたが、みんなは次のような感想を書いていました。
「何かをやるときは周囲になるべく声を掛けるようにしたい」
「目が見えないと色んなことが難しかったので、困っている人がいたら助けたい」
「点字ブロックにモノが置いてあったらどかしたい」
また、「早く書き終わった子は、加藤選手に『今日ブラインドサッカーをやってみてどう思ったか』を伝えてみましょう!」と告げたところ、多くの子が加藤選手の前に並んで一人ずつ感想を伝えていました。
最初の自己紹介ではほとんど喋れなかった子たちが、加藤選手に「今日は楽しかったです。ありがとうございました!」と元気よく伝えている姿を見て、参加しているスタッフたちも大感動。一日の疲れが吹っ飛ぶような、そんな瞬間でした。
▼プレゼントと記念撮影
予定していた体験イベントもすべて終わり、加藤選手を中心に全員で記念撮影もパチリ。

最後は障がい者雇用の領域で事業を展開している「パーソルダイバース」から、障がいのある社員が作った“お菓子”や“ハーバリウムのボールペン”といったプレゼントをもらい、子ども達も大満足の様子でした。

4時間近くの大がかりなイベントでしたが、「他者とちがいがあっても、それはチカラになる」といったメッセージに溢れた時間となりました。子ども達に「相手の立場を思いやる」とか「身近な人を大切にする」といった気持ちが少しでも芽生えてくれたら、嬉しいものです。
またこうしたイベントが開催された際は、取材してご報告させていただきますので、どうぞお楽しみに!
