大阪に本社を構えるパーソルエクセルHRパートナーズは、事務と技術派遣・請負を中心とした人材サービス会社です。その中で「CXデザインセンター」に所属している河村は、開発業務をしながらISOの認証関連を担当していました。
河村:自社のシステムや、提供するサービスの品質が国際的な基準をクリアしているかどうかを証明するのがISO認証です。いろんな種類があって、僕は『ISO9001』や『ISO27001』といった認証に携わっています。

パーソルエクセルHRパートナーズ
CXデザインセンター河村 拓海
ISOの認証が直接的に派遣スタッフと関係することはありませんが、企業としての信頼性を維持するうえでは非常に重要な要素です。
河村:例えば、部署では『ISO9001』の認証取得を目指していますが、取得するためには現場の課題をまとめた「課題管理表」を作る必要があります。現場の課題をまとめるには、その情報を集めなければなりません。

会社としての信頼性を高めるためにも必要なISO認証ですが、その業務を行ううえでは多くの苦労があるといいます。
河村:社内のいろんな人に頼まなければいけないことが多いのですが、直近のお客様対応が優先されるため、担当者との打ち合わせの時間調整や依頼内容の進捗管理には苦労しました。
そんな状況でも河村は、根気強く業務に取り組み、なおかつ挑戦をしようとしていました。
河村:部署の認証取得はもちろんですが、もっと自分のスキルを高めていって、いずれは自分の部署だけでなく幅広い範囲の担当になりたいと思っています。

なぜ河村がそこまで粘り強く動き、挑戦を続けているのか――。それは、河村がプライベートで取り組んでいる『スポーツ』からの影響がありました。
河村:僕は小学校から高校までずっとサッカーをやっていて、大学でもフットサルをやっていました。ただ、11歳の時に「なんだか視野が狭くなった気がする」と病院に行ったら『緑内障』が発覚したんです。
学生時代はそこまで不便がなかったものの、大学3年生の10月から目の調子がどんどん悪くなり、フットサルもできなくなっていきました。やがて2カ月もすると「これは治らんな」と自分でも諦めてしまうほどになったといいます。
河村:それで、視覚障害者向けの支援施設に行ってみました。そこで「何か僕の視覚障害レベルでもできるスポーツはないですか?」って聞いたら「何でもできるよ」と言われて。すごく驚きましたね。
徐々に視界が狭くなり、「できることが減ってきた」「選択肢がなくなっていく」と感じていた河村にとって、「何でもできる」という言葉は衝撃だったようです。

河村:それで、まずは『ブラインドマラソン』を始めました。伴走してもらいながら行うマラソンですね。ちょうど就活の時期でもありましたけど、並行して取り組みながら、今の会社に入れていただいて。
パーソルエクセルHRパートナーズにはエンジニアとして入社して仕事を始めた河村でしたが、目の状態はさらに悪化してしまいます。
河村:定期検診で眼圧を測るんですけど、高い状態が続いたので眼圧を下げるために手術をすることになりました。視界も、右はまったく見えなくなって、左は狭いながらも見えている感じでした。それで、産業医の先生や上司とも相談して開発業務主体から『ISO』の業務主体へと業務の見直しを実施することになったんです。

さらに、取り組んでいたスポーツも『パラクライミング』へと転向した河村。
河村:視覚障害クラスのパラクライミングは、サイトガイドと呼ばれるパートナーに後ろから指示を出してもらいながらクライミングをします。クライミングでは、登れなかった時に課題が出てくるんですが、「じゃあ次はこうしてみよう」みたいなことを考え続けるので、徐々にメンタルが鍛えられていきましたね。
そうしてパラクライミングの世界で頭角を現した河村は結果を残し、なんと2024年にはパラクライミングの日本代表選手に選出されるまでになったのです。
河村:大会に出て負けると悔しくて。それでトレーニングを積んで練習して、「次は負けたくない」という気持ちで試合に臨んでいました。そうしたら大会で結果を残すことができ、日本代表に選ばれて、すごく嬉しかったです。

日本代表になったことで、河村はさらに大きな刺激を受けることになります。
河村:気が付くと周りにも金メダリストの選手がいたりして、「こんな身近にすごい人はおるんやな」と強く感じました。この刺激は、今の仕事にも影響していると思いますね。
さらに河村が日本代表になったことを知ったパーソルエクセルHRパートナーズは、自らの意思で挑戦・努力し結果を出したことを賞賛する気持ちで河村のスポンサーになり、全面的にバックアップをするようになりました。
<プレスリリース>パーソルエクセルHRパートナーズ、IFSCパラクライミングワールドカップ - インスブルック2024 日本代表選手に河村 拓海が決定
河村:ありがたいですね。遠征の費用を負担してくれるだけでなく、会社の人たちも応援してくださって。「パラクライミングの活動を優先していいからね」とも言ってくださるので。

スポーツ施設「GORILLA PARK」でのトレーニング(左3枚)と競技中(右)の様子
そんな河村に、「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。
河村:多くの人に支えてもらってパラクライミングの日本代表にもなれたので、僕としては「どうやって仕事で返せるかな」ということをずっと考えています。
だからこそ、自分自身の仕事の範囲を広げていって、派遣スタッフをはじめ会社の皆さんにも貢献できるようになっていきたいです。パラクライミングだけでなく、仕事での“挑戦”も、ずっと続けていきたいと思います。
