これは、テンプスタッフを通じて派遣社員として働く松本さんのお話です。

松本さんは、ある派遣先で「契約更新はしない」と言われた際に「ホッとした」と口にします。本来であれば、派遣社員は契約を更新しながら働き続けるため、「残念」と感じてしまうような場面です。

では、なぜ松本さんは「契約更新はしない」と言われて「ホッとした」のか。その理由を探っていくと、松本さんが“仕事に向き合ううえでのこだわり”を垣間見ることになりました。

松本さん、「契約更新はしない」と言われて「ホッとした」のだとか。

そうですね。役に立っていないんじゃないかと思いながら働いていたので、正直なところホッとした、という感じです。

17年の正社員生活をやめ、外の世界へ

ちょ、ちょっと背景が分からないので、順番にお伺いしてよろしいですか? 松本さんはずっと派遣で働いていたんでしょうか。

いえ、社会に出たときは正社員として都内の百貨店で働いていました。販売もやりましたし、本社で管理会計みたいな部署にいたこともありました。

じゃあ結構、長くいらっしゃって?

ええ、トータルで17年ほどですね。

hakken20250522_2_matsu.jpg

百貨店で17年。長いですね。

長いけどすごく楽しかったです。休みがなかなか取れなかったり夜も遅かったりハードではあったんですけど、やりがいはあって。でも、あるとき「このままズルズルいったら定年までいることになるぞ」と思いまして。

居心地は良かったけど、外の世界も知りたくなった。

そうです。1回しかない人生ですから、他の会社で他の仕事もしてみたいなと思いまして。それで転職をしようと考えました。でも、その前にお休みを全然していなかったので半年は遊ぼうと。

いいですね。どこか旅行に?

ええ、屋久島に行ってみたり、カンボジアに行ってみたり。あとハローワークに行ったら無料の職業訓練があったので、そこで医療事務の資格を取ったりもしました。

初めての派遣で、自分の時間が取れるように

そうして転職をされて。

ええ、正社員としては2社ほどお勤めをさせていただいて、その間に結婚したんですけど、出張の多い仕事だったので、ちょっと家事にあんまり軸足を置けなかったんですよね。

hakken20250522_3_matsu.jpg

転職先でもハードワークだったわけですか。

ええ、それで1回専業主婦になったんですけど、やっぱり働きたくなってしまって……。そんなとき、ハローワークで知り合った子に「派遣で働いてみたら」って言われて。その子、テンプスタッフでコーディネーターのアシスタント業務に就いていたんですよね。

なんと、そんなつながりが。

それで、テンプスタッフに登録に行って、派遣で働くことになりました。

そうでしたか。働いてみてどうでしたか?

今までいた会社がすべてハードモードの会社で、自分の時間が取れないことが多かったので、「自分の時間が取れて、要望も聞いてもらえるのはいいな」と思いました。まあ、私は何でも経験したかったので、条件は指定しなかったんですけども(笑)

ええ! 条件を設定しなかったんですね。どんなお仕事に就いたんでしょう。

最初は食品の研究所でしたけど、デスクワークの業務が多かったですね。そこで1年半ほど働いていたところで、母が入院することになってしまって。

Excelの関数や会議の議事録など、多方面で貢献

そうだったんですね。

「母の看病をさせてください」ということで一旦やめました。それから3カ月ぐらいして亡くなってしまったんですが、父がショックで落ち込んでしまって……。食事も作れないし、「もう生きていけない」くらいの状態なので1年くらい父のところに通いました。

それは大変でしたね。

1年たって父がちょっと持ち直してきたので、働きはじめようと思って。そのときは「家の近くがいい」って初めてわがままを言って、大手メーカーの関連会社で半導体の仕様書を書く仕事をしました。

hakken20250522_4_matsu.jpg

半導体の仕様書? ご経験されていないですよね。

周りの方に恵まれて教えていただきながらできました。それに、あまりExcelがお得意じゃない方もいらしたので、「こういうのを作ってほしい」って言われたら関数を用いて作って差し上げたりして貢献できました。

わあ、すごいですね。

3年続けたあと、次は同じ系列の会社で固定資産管理のお仕事を担当しました。ただ、内製化することが決まっていて「派遣社員は減らしていく」という話だったんですよね。

そんな状況で入ったんですね。

だから、引継ぎ用の仕事のマニュアルを作ってほしいって言われて。Yes/No形式で分かりやすいフローチャートを作ったり、会議の議事録も任されたりしたので担当していました。

「契約更新しない」と言われ、安堵してしまった

ご活躍されましたね。さぞ喜ばれたんじゃないでしょうか。

そうですね。フローチャートは「これがあって良かった」とおっしゃっていただけましたし、議事録も「すごく評価されていますよ」っていうのは営業さんから聞いていました。

hakken20250522_5_matsu.jpg

あ、でも内製化することが決まっていたということは、最後は松本さんも……

ええ、私が最後の1人でしたけど終了しまして、次は別の会社で営業事務のお仕事をさせていただくことになりました。ただ……。

ただ?

その職場は色々とうまくいかなかったんですよね。教えてくださる方が体調を崩されたり妊娠なさったりとかで、どんどん入れ替わるとか。教えてくださる内容もちょっと齟齬があったりして、混乱してしまったりして。

ちょっと混沌としていた感じですか。

ええ、さらにそのタイミングでコロナ禍にもなってしまって、職場の人にも会えなくなり、チャットで相談するのも難しく……。それと、同時期に父の体調が崩れてしまって、父の世話をしながらお仕事をすることになったんです。

大変な状況になりましたね。

そんななか、その就業先から「契約更新はしません」って言われたのでホッとしてしまったわけです。一番はやっぱり『役に立っていない自分』が嫌で、罪悪感すらあったので。

なるほど。今までのように就業先に貢献できていないことがつらかったわけですか。

はい、それは一番つらかったですね。派遣社員って時給制ですから、時間に対する対価をお支払いいただくには、その時間は役に立ってないといけないと思うんです。だからいつも、「時給の分の価値が提供できているかしら?」というのは不安に感じていて。

素晴らしい心がけだと思います。

『定期評価制度』で就業先からフィードバック

その後はまた別の仕事に?

1年くらい介護をしたのちに父も亡くなったんですけど、今度は実家を片付けなきゃいけなくなって。相続の手続きとか色々あるんですよね。金融機関をまわるとか。

“実家じまい”は大変だとよく聞きます。

それがようやく終わって、今の就業先をまたテンプスタッフに紹介していただきました。

hakken20250522_6_matsu.jpg

ちょっと疑問に思ったんですけど、テンプスタッフ以外に登録しようとは思いませんでしたか?

私は特に何も不満がなかったですし、Web上で「お仕事探してます」ってフラグを立てるとすぐにご連絡をいただいたので、他で探す必要がなかったんですよね。

なるほど、そうでしたか。それで、次のお仕事も紹介されて。

はい。それが今も行っている就業先ですね。

今は「役立っている」感じはありますか?

それでいいますと、『定期評価制度』というのがはじまったみたいで、就業先からのフィードバックをしていただきました。

あ、この評価制度ですね。

パーソルテンプスタッフの定期評価制度

hakken20250522_7_matsu.jpg

まだ1回目なんですけれども、評価をしていただきましたね。

「私はテンプスタッフから来ている人間だ」

評価を受けていかがでしたか?

具体的なことは恥ずかしいので避けますけど、「大変助かっています」っていうような内容で、嬉しかったですね。私自身、自分の頑張りをきちんと見てもらえて「ありがとうございます」という気持ちになりました。

hakken20250522_8_matsu.jpg

やっぱりご自身がどう評価されるのかは気になりますか。

ええ、とっても。「私はテンプスタッフから来ている人間だ」と常に意識しているので、自分の行動でテンプスタッフの評価が落ちるのも嫌ですし、「あの派遣会社を選んでよかったね」と言われたいんです。なので、もし直すべきとこがあったら言ってほしいなとも思います。

そこまで考えていただけるなんて私たちも非常に嬉しいです。では、この評価制度は今後も続けて実施してほしい、と。

ええ、そうですね。定期的でなくて構わないので、気づいたことがあれば伝えてほしいです。良いことも悪いことも。お互いに気持ちよく働くために、言いたいことを言い合える環境が整っているとありがたいですから。

やっぱり働く環境は大事ですものね。

はい。自分のライフステージを振り返ってみても、私は本当に「派遣で働かせていただけて良かったな」って思うことばかりでした。働く環境を柔軟にご用意いただいてありがたいなって。今後も可能な限り今の働き方を続けたいです。

松本さんの今後の活躍も期待していますね。ありがとうございました!