「2020年9月末で契約を終了とさせていただきます」
新型コロナウイルスの影響はスタッフの方たちにも及んでおり、中島が担当していた30歳の女性スタッフもその一人でした。

あるメーカーの営業所でのお仕事だったんですが、コロナ禍の影響でコスト削減が叫ばれてしまい、ある派遣スタッフの方のご契約を9月末で終了することになりました。先方から言われたのが契約満了の2カ月前でしたので、「10月からどうしよう」とスタッフの方だけでなく私自身も不安を感じました。

広域第二事業本部 浜松オフィス中島 弘樹

派遣スタッフの期間が満了する前に、なんとか次の仕事を紹介したい。スタッフの方に合いそうな企業に何社も電話を掛けていたという中島。しかし、コロナ禍のため職場見学が直前キャンセルになるなど、思うようにいかない状況が続いてしまいました。

コロナ禍ということもありまして、どうしても行動が限られてしまいました。お仕事をご紹介できても、スタッフの方から「そのお仕事はお断りしたい」ということになってしまったりして、ご契約に結びつかないことがいくつか続いたんです。そうして、時間ばかりが過ぎてしまいました。

厳しい状況が続くなかでも、スタッフの方を不安にさせないために常に情報を渡し続ける中島。該当しそうな企業すべてに連絡し尽くした中島は、新たな手段を模索することにしました。

ハローワークに情報を出している企業は、確実に募集していることが明確なのでアプローチしてみようと思いました。ただ、その場合は正社員がメインになるので「派遣は考えていない」ですとか、「通年で出していていい方がいれば採用します」というパターンも多くて非常に難しいんです。でも、そのなかで1社、ある食品容器の商社さんに目が留まりました。

中島はなぜ、その商社に目が留まったのでしょうか。

コロナ禍でテイクアウトも増えて結構お忙しいんじゃないかなと思ったんです。それですぐに何度もアプローチをしていったんですが、やはり「正社員がメインなので」と断られ続けてしまいました。

断られ続けながらも、会話からその企業の悩みを確認していった中島。その企業の名古屋本社にアプローチする必要が生じた際には、名古屋を担当するテンプスタッフ社員とも連携して、諦めずに話を聞いていきました。

正社員を採用するにも時間が掛かっているということだったので、すぐに即戦力として貢献できることをお伝えするなど、いろんな角度から派遣の良さをアピールしました。

その商社は当初、正社員を雇うことだけを考えていました。しかし、中島の「企業側の立場に立った提案」が受け入れられ、派遣を活用することになったのです。

派遣の良さがしっかり伝わって、先方のニーズとマッチしたことが成約に繋がったきっかけだと思っています。スタッフの方にお電話で「決まりました」ということを伝えた時に、「良かったです」とすごく喜んでくださって、電話越しに泣いているんじゃないかと思うぐらいで。その時に、僕も「スタッフの方がここまで喜んでくれることを、僕の立場でやることができるんだ」と嬉しくなりました。

無事に仕事が決まり、新しい職場ではたらき始めたスタッフの方。その後もフォローを続けるなかで、スタッフから思わぬ言葉をいただいたそうです。

先方の社員の方からスタッフの方に「中島さんはすごく電話をかけてきてくれてね」とか「何回も訪問してきたのは中島さんくらいだよ」という話があったみたいで。スタッフの方から改めて「私のために本当にありがとうございました」という感謝の言葉をいただきました。その時に、スタッフの方のために無我夢中でやってきて良かったなと率直に感じましたね。

「スタッフの方から最後に言われたことが今でも忘れられない」と中島は続けます。

最後に「色々と不安もありましたけど、本当に中島さんが担当で良かったと思っています」と言われたことは、今でも強く印象に残っています。

そんな中島に、仕事で大切にしていることを聞いてみました。

誠心誠意を持って行動するということです。自分の行動や表現一つで相手に不快な思いをさせてしまうこともあれば、逆に今回のように相手に喜んでもらえるということがあります。自分の行動の根底に「常に誠心誠意を持って、相手のために」という気持ちがあれば、最終的には双方の喜びに繋がるんじゃないのかな、と考えています。